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「神西暦シリーズ GAME/SAME」

「SAME」Ⅰ

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「SAME」は、「GAME」と同じ時代を描いている。SAMEという名も、そこから来ている。
ただまあ、「GAME」が連載を開始した西暦1986年時点に考えた近未来(神西暦772年こと西暦1999年)を描いてきたため、多少SF的な面も持つファンタジー作品なのに対して、「SAME」は神西暦772年という架空の歴史の存在する世界とされている…
どちらの世界も、半世紀ほど前に二度目の世界的な大戦が行われてしまっているなど、設定は共通している。現実世界との違いは、それが神との大戦であった点…
大戦後、大打撃を受けたこの国は、同盟国の中でも最強の国であった人狼の国SDの属国となり、SD-G-RLと呼ばれるようになった。
その大国SDで生まれたレッドと呼ばれる青年が、母親の母国であるSD-G-RLに戻るところから、「SAME」の最終決戦は始まる。このレッドこそが、赤井隆あかいたかし…「GAME」終盤にも登場しているが、「SAME」ではレッドと呼ばれる事がほとんどとなっている。
空港…のようなものは存在するが、運ぶのは、バット・ズーの子孫たち…
「便利だけど、肩が痛むな…やっぱり時間はかかるけど、船で行くべきだったかな…」
最終決戦までは、SDで魔族と呼ばれる魔物の子孫たちや、神に従う天使たちと戦っていた。
レッドこと赤井隆が、バットポートでSD-G-RL-SETUに着いたのが、神西暦772年6月4日…船で来られていたら、最終決戦での合流もできなくなってしまう。
6月4日18時ちょうど…赤井隆が先ほどまでいたバットポートで悲鳴が上がった。
バットポートで働く蝙蝠の能力を持つ魔族たちが、天使たちに教われていたのだ…
この場面は、「GAME」でも、風田哲也かぜたてつやの視点で描かれている。

***

「どうやら、真美ちゃんの言う通りらしいな…こんなに天使が集まるなんて…」
風田哲也は、自身も魔物の子孫であるが、そんな事は知らずに育っていた。
まあ、魔物と人間の子は一度に何人も生まれるため、この時代になると魔族であることなど珍しくないのだが…翼があるわけでもなく、人間を超えた筋力があるわけでもなく、そして、火を吐くこともできなかったため、自身の事を魔族とは考えてもいなかった。…サラマンダー・ズーの子孫という裏設定を知っている者から見ればおかしいと感じるかもしれない。しかし、「GAME」の頃にはサラマンダー・ズーの詳細な設定などしていなかった…もちろん、理由付けは「SAME」でやってある。
「SAME」に新たに登場させていた設定に、新種というものがある。まあ、これは、「SAME」の連載が始まって少し経った西暦1990年に観た「新・種・誕・生」という映画から着想を得たものであるが、全ての生物が同様に能力を発揮するとは限らない…世代を経ていくことで突然変異種というものも誕生していく…そう…風田哲也の一族は、突然変異により系譜の途中から能力が変わったのだ…
おとなしい性格をしていた風田が、悪意を持つ魔族に仲間が傷付けられた事で能力は現れる。
風田が魔族に奮った拳は、赤く燃えていた。
風田の祖先(裏設定のサラマンダー・ズー)は、火を吐く能力を持っていたが、突然変異によりどこからか手足から火を出す能力へと変わっていた。そして、能力がないと勘違いしたまま風田哲也の代まで来ていたのだった。まあ、もしかしたら、隔世遺伝とか先祖返り的なものかもしれないが、私も風田の両親の能力を設定していないため、それを漫画内で読み取るのは不可能に近い。
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