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13 宣戦布告
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とりあえず日向の件については解決には至らないが、話はわかった。
だが、さっきのクラスメイトの件については見逃すわけにはいかない。関係ないやつをそれも3対1でいじめるのは外道の行いだ。そこのところははっきりさせないといけない。
「日向の件は分かったが、さっきのクラスメイトの件は許せねぇな! なんであんなことした!」
「あ? イライラしてたから暇潰し……」
そんなくだらないことで無関係の人間にあんなことするなんて、やはり久住はクズ野郎だった。
「テメェ、同じ学校の生徒をなんだと思ってんだ」
「生徒をか? あんなのただの雑魚だろ、あいつも一応はアルファだが、アルファの中でも底辺中の底辺、同じアルファで括られるなんて虫唾が走る」
「マジで言ってんのかそれ……」
「当たり前だろ? すぐに助けを求めて一人では何もできない無様な雑魚が……」
コイツの話を聞いてるとイライラが治らねぇ。殴りたい気持ちが再び湧き上がってきた。
俺は久住を睨む。
「なんだよその目は、お前みたいな人間のゴミはそれにも値しないがな、でもお前の弟の日向は俺がたっぷり可愛がってやるよ」
その一言を聞き、俺の中で何かがプツンと切れる音がした。それは殴りかかるとかそう言うのさえも超えて逆に冷静になってしまうほどだった。
「お前そんなことずっと続けてるのか?」
「まぁな、授業も簡単すぎて暇だしな。ちょっとした遊びだよ。辞めてった奴らもいるが俺のせいにはならないからな」
なるほどな、日向の言っていたあの噂は本当で、コイツのターゲットにされた奴らが逃げるように学園を去って行ったのか。
そんでターゲットの一人として俺のクラスメイトが選ばれたわけか……。
許せねぇ、不良をやってきたがここまでのクズは早々出会えるもんじゃないぞ。どこにでもいるもんだなこういう奴は。
「お前の思い通りになんかさせねぇからな! 俺がお前の遊びとやらを全部邪魔してやる!」
「……ふっははは、なんだそれ、バカが考えることは突拍子もなくて面白いな……勝手にしろよ」
「あぁ、勝手にさせてもらう!」
そう久住に言った俺は、空き教室を出て行った。
教室を出た俺はズカズカと廊下を歩き、帰るために昇降口に向かう。するとどこからかさっき助けたクラスメイトが出てくる。
「日向くん!」
「お前、帰ったんじゃなかったのか?」
「うん! お礼が言いたくて、さっきは助けてくれてありがとう」
「いや、元々俺のせいだし気にすんな」
「そんなことないよ、僕本当に怖かったから。あの時助けに来てくれて嬉しかった、だからありがとう」
「あ、ああ」
不良をやっていると周りから疎まれることはあっても、感謝されることは少ない。だからこんなに感謝されるとどう返せばいいのか分からなくなってしまう。
照れた俺は感謝を言ったクラスメイトと共に昇降口へ向かった。
「でも、なんか今日の日向くんすごくカッコいいね。口調もいつもと違うし」
「え……あっ」
やばい、すっかり自分が日向のフリをしていることを忘れていた。久住にはバレてしまったが、流石に他の生徒にバレるわけにはいかない。
だがここで慌てるのも怪しまれるので上手いこと誤魔化さなくてはいけない。
「いやー、お兄ちゃんの真似してみたんだよね」
「日向くんお兄さんがいるんだ!」
「う、うん、双子の兄なんだけどね、強くてかっこいいんだ!」
多分日向は俺のことを一ミリもかっこいいなんて思っていないだろうが、ついつい口が勝手に動いてしまったので仕方がないのだ。やはり兄というものは弟にかっこいいと思われていたいものだ。
クラスメイトとは正門の前で別れ、朝と同じ道を通り駅に向かった。
「あっ! あいつに俺のスマホとバッグどこにあるか聞くの忘れた!」
昨日ホテルに置いてきてしまったスマホとバッグを返してもらうことをすっかり忘れていた。
デートの後帰ってからホテルに電話したのだが、忘れ物はなにもなかったと言われたので、恐らく久住が持っているのでそのことを一番に聞くつもりだったのだが、ムカつきすぎて忘れていた。
ゲームの連続ログインが切れてしまうが、あいつにまた会うのも気分が悪いので大人しく駅に歩みを進めた。
帰りはそこまで満員電車ではなかったので、痴漢に遭わずに電車に乗ることができた。
だが、さっきのクラスメイトの件については見逃すわけにはいかない。関係ないやつをそれも3対1でいじめるのは外道の行いだ。そこのところははっきりさせないといけない。
「日向の件は分かったが、さっきのクラスメイトの件は許せねぇな! なんであんなことした!」
「あ? イライラしてたから暇潰し……」
そんなくだらないことで無関係の人間にあんなことするなんて、やはり久住はクズ野郎だった。
「テメェ、同じ学校の生徒をなんだと思ってんだ」
「生徒をか? あんなのただの雑魚だろ、あいつも一応はアルファだが、アルファの中でも底辺中の底辺、同じアルファで括られるなんて虫唾が走る」
「マジで言ってんのかそれ……」
「当たり前だろ? すぐに助けを求めて一人では何もできない無様な雑魚が……」
コイツの話を聞いてるとイライラが治らねぇ。殴りたい気持ちが再び湧き上がってきた。
俺は久住を睨む。
「なんだよその目は、お前みたいな人間のゴミはそれにも値しないがな、でもお前の弟の日向は俺がたっぷり可愛がってやるよ」
その一言を聞き、俺の中で何かがプツンと切れる音がした。それは殴りかかるとかそう言うのさえも超えて逆に冷静になってしまうほどだった。
「お前そんなことずっと続けてるのか?」
「まぁな、授業も簡単すぎて暇だしな。ちょっとした遊びだよ。辞めてった奴らもいるが俺のせいにはならないからな」
なるほどな、日向の言っていたあの噂は本当で、コイツのターゲットにされた奴らが逃げるように学園を去って行ったのか。
そんでターゲットの一人として俺のクラスメイトが選ばれたわけか……。
許せねぇ、不良をやってきたがここまでのクズは早々出会えるもんじゃないぞ。どこにでもいるもんだなこういう奴は。
「お前の思い通りになんかさせねぇからな! 俺がお前の遊びとやらを全部邪魔してやる!」
「……ふっははは、なんだそれ、バカが考えることは突拍子もなくて面白いな……勝手にしろよ」
「あぁ、勝手にさせてもらう!」
そう久住に言った俺は、空き教室を出て行った。
教室を出た俺はズカズカと廊下を歩き、帰るために昇降口に向かう。するとどこからかさっき助けたクラスメイトが出てくる。
「日向くん!」
「お前、帰ったんじゃなかったのか?」
「うん! お礼が言いたくて、さっきは助けてくれてありがとう」
「いや、元々俺のせいだし気にすんな」
「そんなことないよ、僕本当に怖かったから。あの時助けに来てくれて嬉しかった、だからありがとう」
「あ、ああ」
不良をやっていると周りから疎まれることはあっても、感謝されることは少ない。だからこんなに感謝されるとどう返せばいいのか分からなくなってしまう。
照れた俺は感謝を言ったクラスメイトと共に昇降口へ向かった。
「でも、なんか今日の日向くんすごくカッコいいね。口調もいつもと違うし」
「え……あっ」
やばい、すっかり自分が日向のフリをしていることを忘れていた。久住にはバレてしまったが、流石に他の生徒にバレるわけにはいかない。
だがここで慌てるのも怪しまれるので上手いこと誤魔化さなくてはいけない。
「いやー、お兄ちゃんの真似してみたんだよね」
「日向くんお兄さんがいるんだ!」
「う、うん、双子の兄なんだけどね、強くてかっこいいんだ!」
多分日向は俺のことを一ミリもかっこいいなんて思っていないだろうが、ついつい口が勝手に動いてしまったので仕方がないのだ。やはり兄というものは弟にかっこいいと思われていたいものだ。
クラスメイトとは正門の前で別れ、朝と同じ道を通り駅に向かった。
「あっ! あいつに俺のスマホとバッグどこにあるか聞くの忘れた!」
昨日ホテルに置いてきてしまったスマホとバッグを返してもらうことをすっかり忘れていた。
デートの後帰ってからホテルに電話したのだが、忘れ物はなにもなかったと言われたので、恐らく久住が持っているのでそのことを一番に聞くつもりだったのだが、ムカつきすぎて忘れていた。
ゲームの連続ログインが切れてしまうが、あいつにまた会うのも気分が悪いので大人しく駅に歩みを進めた。
帰りはそこまで満員電車ではなかったので、痴漢に遭わずに電車に乗ることができた。
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