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19相談
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四時間目の終わりのチャイムが鳴り、昼休みの時間となる。
俺は小森の席に行き、食堂に行こうと誘いに行く。
「食堂行こうぜ」
「うん」
小森が急いで教科書を片付けているのを待っていると、教室の扉の方から俺を呼ぶ声がした。
「御子柴日向くんいますか……」
「ん?」
声のする方を振り返ると昨日助けたひ弱先輩がおどおどと立っていた。俺はひ弱先輩のいる扉の方へ近づいてどうしたのか尋ねる。
「どうしました?」
「あの、日向くんに相談したいことがあるんだけど……今いいかな?」
「あーっと……」
どうしたものか、この人も久住のターゲットにされてるから相談に乗ってやりたいのは山々だが、小森を一人にするのも心配だ。
悩んでいる俺のところへ片付けを終えた小森がこちらへやってきた。
「日向くんおまたせ……」
「あ、小森」
「やっぱり無理かな?」
「どうかしたの?」
小森が首を傾げて不思議そうに俺たちを見ていたので、事情を説明した。
「いいよ! 僕は教室で食べるから」
「本当にいいのか?」
「いいよいいよ、先輩が相談に乗ってほしいって言ってるんだし」
まぁ、教室でなら他の生徒もいるし久住が襲ってくる心配はないだろう。
ひ弱先輩もかなり深刻そうな顔をしてるし心配だ。
「わかった、くれぐれも教室から出るなよ!」
「大丈夫だよ、心配しないで」
小森に念を押し、俺はひ弱先輩と食堂へ向かった。ひ弱先輩も相談に乗ってくれるとわかり安心したのか、深刻そうな顔が少し和らいだ気がする。
そういえばこの人の名前知らないなとふと思った。
「あのー、先輩の名前ってなんですか?」
「あぁ、ごめん名乗ってなかったね。俺は2年の毒島悠太」
毒島って、全然ひ弱そうな名前じゃねーじゃん、むしろ強そう。こんなひ弱そうな見た目なのに、星宮学園に通ってるってことは頭いいんだよな。人間見た目だけじゃわかんないもんだよな。
俺とこいつどっちがオメガかって100人に聞いたら100人が毒島だって答えるだろう。こいつがアルファかベータかは知らないが。
でもアルファだってイジメられるし、そんなアルファをオメガである俺が守ってやれるんだ。
──見てろよ久住の奴マジでギャフンと言わせてやるからな。
「日向くん?」
打倒久住と、俺は心の中で闘志を燃やしていた。そんな俺を毒島は不思議そうに見ていた。
食堂に着いた俺たちは、昼食を受け取ると席に座った。
「そんで、先輩の相談って?」
「うん、まずはこの前はありがとう助けてくれて」
「いいっすよ、たまたまですから」
やっぱり感謝されるのはどうにもなれなくて、体がむず痒い。
「俺アルファなのに鈍臭いから、久住くんをイライラさせちゃってさ、日向くんはほんと凄いよねあの久住くんに面と向かって言い合えるなんて」
やっぱりこの人もアルファだったのか。でもアルファだけど俺の嫌いなアルファな感じじゃない。
そもそもアルファの奴らはみんな嫌いなんていう偏見は俺には無い、日向も凛もアルファだけど優しいしな。
久住はアルファだから嫌いなんじゃ無い、クズだから嫌いなんだ。
「アルファとかそんなんの関係ないですよ、同じ人間ならみんな一緒です」
「そうかな……優秀なアルファの日向くんにはわからないよ、俺の苦労なんて」
「はあ、そうですかねー少なくとも俺は久住なんかより毒島先輩の方が好きですけどね」
「えっ!! それって」
「いや、その恋愛的なのじゃなくて人としてですよ!!」
──やべっ! 飯食うことに夢中になってて、好きなんて言ってしまった。
「はは、ありがとう日向くんは優しいね」
「そうですか、ね」
アルファの中にも色々あるんだな。
星学のようにアルファが沢山いるとアルファの中でも優劣をつけたがるらしい。アルファというだけでベータやオメガより上なんだからそれだけで十分なのに、贅沢な奴らだ。
俺は小森の席に行き、食堂に行こうと誘いに行く。
「食堂行こうぜ」
「うん」
小森が急いで教科書を片付けているのを待っていると、教室の扉の方から俺を呼ぶ声がした。
「御子柴日向くんいますか……」
「ん?」
声のする方を振り返ると昨日助けたひ弱先輩がおどおどと立っていた。俺はひ弱先輩のいる扉の方へ近づいてどうしたのか尋ねる。
「どうしました?」
「あの、日向くんに相談したいことがあるんだけど……今いいかな?」
「あーっと……」
どうしたものか、この人も久住のターゲットにされてるから相談に乗ってやりたいのは山々だが、小森を一人にするのも心配だ。
悩んでいる俺のところへ片付けを終えた小森がこちらへやってきた。
「日向くんおまたせ……」
「あ、小森」
「やっぱり無理かな?」
「どうかしたの?」
小森が首を傾げて不思議そうに俺たちを見ていたので、事情を説明した。
「いいよ! 僕は教室で食べるから」
「本当にいいのか?」
「いいよいいよ、先輩が相談に乗ってほしいって言ってるんだし」
まぁ、教室でなら他の生徒もいるし久住が襲ってくる心配はないだろう。
ひ弱先輩もかなり深刻そうな顔をしてるし心配だ。
「わかった、くれぐれも教室から出るなよ!」
「大丈夫だよ、心配しないで」
小森に念を押し、俺はひ弱先輩と食堂へ向かった。ひ弱先輩も相談に乗ってくれるとわかり安心したのか、深刻そうな顔が少し和らいだ気がする。
そういえばこの人の名前知らないなとふと思った。
「あのー、先輩の名前ってなんですか?」
「あぁ、ごめん名乗ってなかったね。俺は2年の毒島悠太」
毒島って、全然ひ弱そうな名前じゃねーじゃん、むしろ強そう。こんなひ弱そうな見た目なのに、星宮学園に通ってるってことは頭いいんだよな。人間見た目だけじゃわかんないもんだよな。
俺とこいつどっちがオメガかって100人に聞いたら100人が毒島だって答えるだろう。こいつがアルファかベータかは知らないが。
でもアルファだってイジメられるし、そんなアルファをオメガである俺が守ってやれるんだ。
──見てろよ久住の奴マジでギャフンと言わせてやるからな。
「日向くん?」
打倒久住と、俺は心の中で闘志を燃やしていた。そんな俺を毒島は不思議そうに見ていた。
食堂に着いた俺たちは、昼食を受け取ると席に座った。
「そんで、先輩の相談って?」
「うん、まずはこの前はありがとう助けてくれて」
「いいっすよ、たまたまですから」
やっぱり感謝されるのはどうにもなれなくて、体がむず痒い。
「俺アルファなのに鈍臭いから、久住くんをイライラさせちゃってさ、日向くんはほんと凄いよねあの久住くんに面と向かって言い合えるなんて」
やっぱりこの人もアルファだったのか。でもアルファだけど俺の嫌いなアルファな感じじゃない。
そもそもアルファの奴らはみんな嫌いなんていう偏見は俺には無い、日向も凛もアルファだけど優しいしな。
久住はアルファだから嫌いなんじゃ無い、クズだから嫌いなんだ。
「アルファとかそんなんの関係ないですよ、同じ人間ならみんな一緒です」
「そうかな……優秀なアルファの日向くんにはわからないよ、俺の苦労なんて」
「はあ、そうですかねー少なくとも俺は久住なんかより毒島先輩の方が好きですけどね」
「えっ!! それって」
「いや、その恋愛的なのじゃなくて人としてですよ!!」
──やべっ! 飯食うことに夢中になってて、好きなんて言ってしまった。
「はは、ありがとう日向くんは優しいね」
「そうですか、ね」
アルファの中にも色々あるんだな。
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