19 / 35
18 警戒
しおりを挟む
──三日目
今日も早くに起きて学校へ向かった。
とにかく久住が自由になる瞬間が危険だ。授業中は好き勝手できないから安全だが、休み時間は出来るだけ小森の側から離れないようにしていた。
「トイレ行くのか、小森?」
「う、うん」
「俺も行く」
キモいと思い続けている連れションをしたり。
いつもの俺だったら……
「便所行ってくる」
「俺も行く」
「ついてくんな、きしょいな」
と、凛を怪訝な目で見ていた。
他にも教室を出る時の一瞬だって目を離さなかった。
「次移動教室だぞ、一緒に行こうぜ」
「……うん」
移動教室なんて人生で初めて誘った気がする。
これもいつもなら……
「正義~、次の授業実験室だってよ」
「は? だる、サボる」
「お前なー」
移動するのがめんどくさいからサボっていた。たかが数十メートルの移動なのにだ。
そんな俺が移動教室に誘うなんて、自分でも驚いている。だが、周りのクラスメイトは俺以上に驚いていたらしい。
三時間目と四時間目の間の十分休みの時時間、小森も自分の席で本を読んでいたので、俺も席についていちごオレを飲んでいるとクラスメイトの男子3、4人がこちらに寄ってきた。
「ねぇ、日向くん……」
「ん?」
「日向くんと小森って……」
モジモジとして話の続きをしない男子生徒たち、お互い顔を見合わせて言うか言わないか迷っているようだ。
言いたいことがあるんだったらさっさと言えや! と内心思っているのだが我慢我慢。
「なにかな……」
イライラし始める俺だがなんとか笑顔を保っている。俺はまたいちごオレを吸う。すると一人の生徒が意を決したような顔で続きをしゃべり始めた。
「付き合ってるのか!!」
「ゔっ! ……ゴホゴホっ……はぁあ! 何言ってん、のかな?」
「だって、最近よく話してるし、今日はずっと一緒じゃないか」
やっぱ周りから見ても不自然なぐらい一緒にいるように見えたらしい。確かにトイレにまで誘うとか普通にキモいけど、そこで仲良くなったとかじゃなくて付き合ってるに直結すんのがすげぇな。こいつらの頭ん中どうなってるんだ。
こいつらに感心している場合ではない。
どう誤魔化そうかと考える。
うやむやに誤魔化せば、付き合ってるって噂が広まりかねない。日向のために友達を作ってやろうとは思ったが、恋人がいるなんて噂が広まれば俺が日向に殺されかねない。
「えーと、僕昨日怖い夢見ちゃって、一人でいるの怖くて小森くんについてきてもらってたんだ」
高校生が夢が怖いからなんてさすがに無理があるかと思ったが、男子生徒たちの反応はというと……
「なんだー、だよね小森なんかと付き合うわけないよね」
「怖いなんて可愛いな~」
「よかったら僕がついていこうか?」
納得しているご様子だった。
──こいつら本当に頭いいのか?
小学生じゃないんだから怖い夢見たからって、連れションなんてしないだろ。まぁ、誤魔化せたしいいか。
むしろ次は俺が連れション行きますの立候補してるし、誰が好き好んでお前らなんかとトイレに一緒に行くかよ。
こいつら俺のことアルファだと思ってるんだ。ノットが無いことバレたら面倒臭いからな。なんかしてるとこ覗き込んできそうだし……
ちょうど四時間目の開始のチャイムが鳴った。
「ほら、授業始まるよ!」
チャイムと俺の言葉で渋々彼らは席に戻っていった。なんとかやり過ごせたようで、ほっと胸を撫で下ろす。
勉強嫌いの俺だが授業中の方がなんだか気を張ってなくていいので楽になってきていた。スマホも戻ってきて、ゲームしまくれるしな。
今日も早くに起きて学校へ向かった。
とにかく久住が自由になる瞬間が危険だ。授業中は好き勝手できないから安全だが、休み時間は出来るだけ小森の側から離れないようにしていた。
「トイレ行くのか、小森?」
「う、うん」
「俺も行く」
キモいと思い続けている連れションをしたり。
いつもの俺だったら……
「便所行ってくる」
「俺も行く」
「ついてくんな、きしょいな」
と、凛を怪訝な目で見ていた。
他にも教室を出る時の一瞬だって目を離さなかった。
「次移動教室だぞ、一緒に行こうぜ」
「……うん」
移動教室なんて人生で初めて誘った気がする。
これもいつもなら……
「正義~、次の授業実験室だってよ」
「は? だる、サボる」
「お前なー」
移動するのがめんどくさいからサボっていた。たかが数十メートルの移動なのにだ。
そんな俺が移動教室に誘うなんて、自分でも驚いている。だが、周りのクラスメイトは俺以上に驚いていたらしい。
三時間目と四時間目の間の十分休みの時時間、小森も自分の席で本を読んでいたので、俺も席についていちごオレを飲んでいるとクラスメイトの男子3、4人がこちらに寄ってきた。
「ねぇ、日向くん……」
「ん?」
「日向くんと小森って……」
モジモジとして話の続きをしない男子生徒たち、お互い顔を見合わせて言うか言わないか迷っているようだ。
言いたいことがあるんだったらさっさと言えや! と内心思っているのだが我慢我慢。
「なにかな……」
イライラし始める俺だがなんとか笑顔を保っている。俺はまたいちごオレを吸う。すると一人の生徒が意を決したような顔で続きをしゃべり始めた。
「付き合ってるのか!!」
「ゔっ! ……ゴホゴホっ……はぁあ! 何言ってん、のかな?」
「だって、最近よく話してるし、今日はずっと一緒じゃないか」
やっぱ周りから見ても不自然なぐらい一緒にいるように見えたらしい。確かにトイレにまで誘うとか普通にキモいけど、そこで仲良くなったとかじゃなくて付き合ってるに直結すんのがすげぇな。こいつらの頭ん中どうなってるんだ。
こいつらに感心している場合ではない。
どう誤魔化そうかと考える。
うやむやに誤魔化せば、付き合ってるって噂が広まりかねない。日向のために友達を作ってやろうとは思ったが、恋人がいるなんて噂が広まれば俺が日向に殺されかねない。
「えーと、僕昨日怖い夢見ちゃって、一人でいるの怖くて小森くんについてきてもらってたんだ」
高校生が夢が怖いからなんてさすがに無理があるかと思ったが、男子生徒たちの反応はというと……
「なんだー、だよね小森なんかと付き合うわけないよね」
「怖いなんて可愛いな~」
「よかったら僕がついていこうか?」
納得しているご様子だった。
──こいつら本当に頭いいのか?
小学生じゃないんだから怖い夢見たからって、連れションなんてしないだろ。まぁ、誤魔化せたしいいか。
むしろ次は俺が連れション行きますの立候補してるし、誰が好き好んでお前らなんかとトイレに一緒に行くかよ。
こいつら俺のことアルファだと思ってるんだ。ノットが無いことバレたら面倒臭いからな。なんかしてるとこ覗き込んできそうだし……
ちょうど四時間目の開始のチャイムが鳴った。
「ほら、授業始まるよ!」
チャイムと俺の言葉で渋々彼らは席に戻っていった。なんとかやり過ごせたようで、ほっと胸を撫で下ろす。
勉強嫌いの俺だが授業中の方がなんだか気を張ってなくていいので楽になってきていた。スマホも戻ってきて、ゲームしまくれるしな。
0
あなたにおすすめの小説
〔完結済〕この腕が届く距離
麻路なぎ
BL
気まぐれに未来が見える代わりに眠くなってしまう能力を持つ俺、戸上朱里は、クラスメイトであるアルファ、夏目飛衣(とい)をその能力で助けたことから、少しずつ彼に囲い込まれてしまう。
アルファとかベータとか、俺には関係ないと思っていたのに。
なぜか夏目は、俺に執着を見せるようになる。
※ムーンライトノベルズなどに載せているものの改稿版になります。
ふたりがくっつくまで時間がかかります。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
両片思いのI LOVE YOU
大波小波
BL
相沢 瑠衣(あいざわ るい)は、18歳のオメガ少年だ。
両親に家を追い出され、バイトを掛け持ちしながら毎日を何とか暮らしている。
そんなある日、大学生のアルファ青年・楠 寿士(くすのき ひさし)と出会う。
洋菓子店でミニスカサンタのコスプレで頑張っていた瑠衣から、売れ残りのクリスマスケーキを全部買ってくれた寿士。
お礼に彼のマンションまでケーキを運ぶ瑠衣だが、そのまま寿士と関係を持ってしまった。
富豪の御曹司である寿士は、一ヶ月100万円で愛人にならないか、と瑠衣に持ち掛ける。
少々性格に難ありの寿士なのだが、金銭に苦労している瑠衣は、ついつい応じてしまった……。
獣人王と番の寵妃
沖田弥子
BL
オメガの天は舞手として、獣人王の後宮に参内する。だがそれは妃になるためではなく、幼い頃に翡翠の欠片を授けてくれた獣人を捜すためだった。宴で粗相をした天を、エドと名乗るアルファの獣人が庇ってくれた。彼に不埒な真似をされて戸惑うが、後日川辺でふたりは再会を果たす。以来、王以外の獣人と会うことは罪と知りながらも逢瀬を重ねる。エドに灯籠流しの夜に会おうと告げられ、それを最後にしようと決めるが、逢引きが告発されてしまう。天は懲罰として刑務庭送りになり――
さかなのみるゆめ
ruki
BL
発情期時の事故で子供を産むことが出来なくなったオメガの佐奈はその時のアルファの相手、智明と一緒に暮らすことになった。常に優しくて穏やかな智明のことを好きになってしまった佐奈は、その時初めて智明が自分を好きではないことに気づく。佐奈の身体を傷つけてしまった責任を取るために一緒にいる智明の優しさに佐奈はいつしか苦しみを覚えていく。
当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる