21 / 35
20 嫌な予感
しおりを挟む
昼休みの間、毒島の相談に乗ってやっていたのだが、ぶっちゃけ大した話ではなかった。
毒島にとっては大事なことなんだろうけど、オメガの俺からしたらアルファの時点で勝ち組なのに、劣等感を抱くことがアホらしいと思ってしまう。
まぁ、毒島も俺を優秀なアルファだと思って話しているわけだしな。オメガだと知ってたら絶対話さないだろう。
くだらねーと思いながら毒島の話を聞いてやった。俺にアドバイスなんてできるわけもなく、当たり障りのないことを言っておいたが、毒島は最後も笑顔でありがとうと感謝しているようだった。
◇◇◇
「やっべー、五時間目体育なの忘れてた!」
昼休みが終わるギリギリまで毒島と話していて、次の授業が体育だということをすっかり忘れていた。急いで教室に戻り体操服に着替えて、グラウンドへ急いだ。
教室に小森の姿はなかったから、あいつは先に行ったのだろう。
「はぁ、はぁ、間に合った……」
グラウンドについた瞬間授業開始のチャイムが鳴った。まだ始まってもいないのに息切れをしている。
今日の授業はサッカーらしい、協調性を試される球技はあまり得意では無いのだが、日向ならみんなと一緒に楽しくやるんだろうな、面倒臭いが仕方ない。
準備運動をしてサッカーコートへ向かっていると、小森の姿が無いことに気がついた。
「なぁ、小森のやつ知らないか?」
「さぁ、知らないよ」
近くにいたクラスメイトに聞いてみるが、知らないと答える。なんだか嫌な予感がした俺はクラスメイトに片っ端から小森がどこにいるのか聞いていく。
「昼休みに先輩に呼び出されてたよ」
「それ! 久住先輩だったか!」
「いや、違ったけど」
「っ、そうかありがとな」
久住では無いことに少しホッとしたが、授業をサボってまでの呼び出しってのは少し気がかりだ。もしかしたら久住の金魚の糞の二人が代わりに呼び出したのかもしれない。
だが、聞こうにもあの二人の名前を俺は知らない。
迷った俺はセンコーに腹が痛いから保健室に行くと伝えて、授業を抜け出すことにした。
クラスメイトたちが心配して一緒に保健室に行くと言い出したが、全力で断りなんとか一人で授業を抜け出すことができた。
とりあえず保健室に行ってみるが、保健の先生がいるだけだった。
「どうかしたかい?」
「いえ、なんでもないです!」
入ったはいいが特に用もなかったので、困った挙句勢いよく扉を閉めて出て行ってしまった。やばい生徒だと思われたに違いない。
それにしても今の保健の先生すごいイケメンだった。あんなイケメンだと生徒から人気なんだろうな性的な意味で。
なんて余計なことを考えてしまった俺は、急いで小森がどこにいるのか考える。そういえば、久住は映画研究部の部室をやり部屋にしてるって昨日日向が言っていたことを思い出す。
俺は映画研究部の部室へ向かうために部室棟を目指した。
「小森いるか!」
勢いよく映画研究部の部室の扉を開ける俺。
しかし、部室には誰もいなかった。よかったのかよくないのか、一体どこにいるんだともう一度よく考える。
あいつらが行きそうな場所を思い出してみる。俺が知っている場所なんて少ないから、行ったことない場所に居たら詰みだ。
あと俺が知っている場所といえば……
「空き教室か!」
星学内で初めて小森にあった場所だ。
俺は急いで校舎内に戻り3階まで、階段をすっ飛ばして空き教室に向かった。
「はぁはぁ……」
3階まで階段を2段飛ばしで駆け上がったため息が上がる。俺は息を整えながらゆっくりと空き教室へ向かう。
空き教室の扉の前に立った時、扉の奥から嫌な声が聞こえてきた。
「っあ"、やめでぇ!!」
「うっせーよ」
「ほらほら口開けろって」
「ごほっ……お"」
同じ状況なのに日向の部屋から聞こえてきた日向と凛の声とは全く違う、本当に最悪な声が聞こえてきた。
毒島にとっては大事なことなんだろうけど、オメガの俺からしたらアルファの時点で勝ち組なのに、劣等感を抱くことがアホらしいと思ってしまう。
まぁ、毒島も俺を優秀なアルファだと思って話しているわけだしな。オメガだと知ってたら絶対話さないだろう。
くだらねーと思いながら毒島の話を聞いてやった。俺にアドバイスなんてできるわけもなく、当たり障りのないことを言っておいたが、毒島は最後も笑顔でありがとうと感謝しているようだった。
◇◇◇
「やっべー、五時間目体育なの忘れてた!」
昼休みが終わるギリギリまで毒島と話していて、次の授業が体育だということをすっかり忘れていた。急いで教室に戻り体操服に着替えて、グラウンドへ急いだ。
教室に小森の姿はなかったから、あいつは先に行ったのだろう。
「はぁ、はぁ、間に合った……」
グラウンドについた瞬間授業開始のチャイムが鳴った。まだ始まってもいないのに息切れをしている。
今日の授業はサッカーらしい、協調性を試される球技はあまり得意では無いのだが、日向ならみんなと一緒に楽しくやるんだろうな、面倒臭いが仕方ない。
準備運動をしてサッカーコートへ向かっていると、小森の姿が無いことに気がついた。
「なぁ、小森のやつ知らないか?」
「さぁ、知らないよ」
近くにいたクラスメイトに聞いてみるが、知らないと答える。なんだか嫌な予感がした俺はクラスメイトに片っ端から小森がどこにいるのか聞いていく。
「昼休みに先輩に呼び出されてたよ」
「それ! 久住先輩だったか!」
「いや、違ったけど」
「っ、そうかありがとな」
久住では無いことに少しホッとしたが、授業をサボってまでの呼び出しってのは少し気がかりだ。もしかしたら久住の金魚の糞の二人が代わりに呼び出したのかもしれない。
だが、聞こうにもあの二人の名前を俺は知らない。
迷った俺はセンコーに腹が痛いから保健室に行くと伝えて、授業を抜け出すことにした。
クラスメイトたちが心配して一緒に保健室に行くと言い出したが、全力で断りなんとか一人で授業を抜け出すことができた。
とりあえず保健室に行ってみるが、保健の先生がいるだけだった。
「どうかしたかい?」
「いえ、なんでもないです!」
入ったはいいが特に用もなかったので、困った挙句勢いよく扉を閉めて出て行ってしまった。やばい生徒だと思われたに違いない。
それにしても今の保健の先生すごいイケメンだった。あんなイケメンだと生徒から人気なんだろうな性的な意味で。
なんて余計なことを考えてしまった俺は、急いで小森がどこにいるのか考える。そういえば、久住は映画研究部の部室をやり部屋にしてるって昨日日向が言っていたことを思い出す。
俺は映画研究部の部室へ向かうために部室棟を目指した。
「小森いるか!」
勢いよく映画研究部の部室の扉を開ける俺。
しかし、部室には誰もいなかった。よかったのかよくないのか、一体どこにいるんだともう一度よく考える。
あいつらが行きそうな場所を思い出してみる。俺が知っている場所なんて少ないから、行ったことない場所に居たら詰みだ。
あと俺が知っている場所といえば……
「空き教室か!」
星学内で初めて小森にあった場所だ。
俺は急いで校舎内に戻り3階まで、階段をすっ飛ばして空き教室に向かった。
「はぁはぁ……」
3階まで階段を2段飛ばしで駆け上がったため息が上がる。俺は息を整えながらゆっくりと空き教室へ向かう。
空き教室の扉の前に立った時、扉の奥から嫌な声が聞こえてきた。
「っあ"、やめでぇ!!」
「うっせーよ」
「ほらほら口開けろって」
「ごほっ……お"」
同じ状況なのに日向の部屋から聞こえてきた日向と凛の声とは全く違う、本当に最悪な声が聞こえてきた。
0
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
アルファのアイツが勃起不全だって言ったの誰だよ!?
モト
BL
中学の頃から一緒のアルファが勃起不全だと噂が流れた。おいおい。それって本当かよ。あんな完璧なアルファが勃起不全とかありえねぇって。
平凡モブのオメガが油断して美味しくいただかれる話。ラブコメ。
ムーンライトノベルズにも掲載しております。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる