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31 最後に
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「なぁ、俺お前のこと好きなのかも知れない」
「……はぁ? 急に何言ってんだ」
「わかんねー、こんな気持ち初めてだから、そもそも人を好きになったことねーし」
「お前まさか童貞で処女かよ」
「そうだよ! 悪かったな!」
「不良のくせに真面目だな……」
不良なのと童貞なのは関係ないと思う。優等生なのにセフレいるのだっておかしいと思うし。
「でも、それは気のせいだな」
「えっ……」
「昨日助けられてそう思っただけだろ、吊り橋効果ってやつだ」
そうなのだろうか、そんな簡単に昨日のことを無しにしてしまって良いのだろうか。なんで久住はこんなにもあっさりとしているんだ。
「そう、だよな。俺みたいな底辺オメガが優秀なアルファを好きになるなんておこがましいよな、わりぃ今のは忘れてくれ」
「…………あぁ」
なんだか柄にもなく変なことを言ってしまった自分に後悔する。優等生のアルファに囲まれていたせいで、自分も優秀だと錯覚してしまったのだろう。
なんだか気まずい空気になってしまった。
「まぁ、月曜日からはもとの生活に戻るから、お前と会うことももうないから安心しろよ」
「…………そうか」
「なんだよ? どーせ清々するとか思ってんだろ!」
「思ってないさ、ただお前じゃこの学園の授業はついていけないだろ」
「っ……まぁそうだけど」
最後までコイツは俺のこと馬鹿にしやがった。そりゃ星宮学園と矢場沢北高校なんて天と地のほどの学力の差がある。
そんな学園の人気者と同じ部屋にいるなんてとんでもない話だ。
なんてくだらない話をしていると、朝のホームルームの時間になっていた。
俺たちは部室を出てそれぞれの教室に向かった。
案外あっさりとした別れだ。もう二度と久住と会うことはないだろう。
◇◇◇
それからの授業も特に変わったことはなかった。むしろ久住を警戒しなくて良くなった分気楽だ。
昼食も小森と共に学食でいつもより高めのメニューを選んだ。
「日向くん、大丈夫?」
「へ? なんで」
「なんだか今日は元気がないみたいだけど……」
ぼっーっと昼飯を食べていたら、小森が心配そうな顔で俺の顔を覗いてきた。俺はハッとする。
コイツとも会うのはこれで最後になるだろう。
「ありがとな、小森」
「急にどうしたの?」
「いや、なんとなく……」
俺は小森にお礼を言って昼飯をまた食べ始めた。
午後の授業も淡々と過ぎていった。こんなにも授業が短く感じたのははじめてだ。
思い入れなんてないのになんだろ、仲良くなった小森と別れるのが悲しいのかな。
あっという間に最終日は過ぎていった。
帰りのホームルームが終わると皆教室を出て行く。
俺は一人ポツンと席に座り、窓の外を見ていた。
「日向くん、部活行かないの?」
「そうだな……」
小森が俺に話しかけてきた。俺は上の空で答える。
「僕部活行くね」
「あぁ、頑張れよ」
それだけ言うと小森は教室を出ていった。あいつずっと一緒にいたのに俺が日向じゃないって気づいてなかったな。あいつと接する時はほぼ素の状態だったのに。
ま、元々仲が良かったわけじゃないみたいだし、気づかないのも当然か。
「俺も帰るか」
結局、久住以外の映画研究部の部員には会えていないが、もうどうでも良いだろう。
俺は鞄を持ち教室を出た。
「痛っ!」
教室を出だと同時に誰かにぶつかる。ヤバキタに通っていたならすぐに睨みあげてメンチ切ってたのに丸くなったもんだ。
なんて思いながら顔を上げる。
「っ……く、久住!!」
「よお、帰るのか?」
「あぁ」
もう会わないと思ってたのにまさかの久住の登場に胸が高鳴るのがわかる。乙女みたいで恥ずかしいと思うが本当なのだからしょうがない。
「どうしたんだよ……」
「お前とはもう会わないだろうからな、最後のその間抜け面見ておこうと思って」
「んだよそれ、俺は日向はの双子だぞ! それだと日向の顔も間抜け面って言ってるからな!」
「はは、冗談だよ。可愛いお顔ですね」
そんなふざけたことを言いながら、久住が俺の頭をポンポンと撫でた。怒るところなのに嬉しくてそれどころじゃない。
でもこれが最後だと思うと悲しくて、俺は俯いて黙り込んでしまった。
二人っきりの廊下は静かで、窓の外から聞こえる部活をする生徒の声がやけに大きく聞こえた。
俺は最後に嫌がらせをしてやろうと、突っ立っている久住の胸ぐらを掴みそのままキスしてやった。
──チュッ
そっと唇を離し、久住の顔を見ずに
「ふっ、俺のファーストキスだ、ざまぁみろ! じゃあな!」
それだけを言うと廊下を走り、階段を降り靴箱へ急いだ。
「おい! 待て」
久住の止める声も無視して走り続けた。一度も久住を見ることはなく俺は学園を後にした。
◇◇◇
「ただいま……」
「おっかえりー、どうだった久住先輩とは?」
「別に……何もねーよ」
テンションの高い日向が俺を出迎えたが、俺はテキトーにあしらい制服を脱ぎ部屋着に着替え自室へ閉じ籠った。
昨日知ったボタン型盗聴は俺が引きちぎったので、今日の出来事は俺と久住だけが知っている。
俺は部屋に閉じこもるなり、ベッドに入り布団にうずくまった。
先程久住にキスしてしまった恥ずかしさよりも、頭を撫でられたことが嬉しくて、でもそれよりももう会えない悲しい思いが強くて俺は知らぬ間に声を押し殺して泣いていた。
泣いたのは自分がオメガだと知って以来だ。
もし俺がオメガじゃなかったら久住は俺のこと好きになってくれていたのだろうか。俺がもし日向だったら良かったのに、あいつが羨ましく思えた。
羨ましいなんていつも思ってた。あいつがアルファだと知った時からずっとだ。
「ぐすっ……くそ、なんで……俺は、オメガなんだよぉ」
泣いているのに久住のこと思い出すだけで、身体が熱くなるのを感じた。どこまでいっても俺はオメガだと悲しくなる。
「くっ、ふぅ……あっ、く、ずみぃ…」
布団の中で久住のことを思いながら一人していた。
◇◇◇
「正義~、ご飯!」
夕飯を知らせる日向の声が扉の奥から聞こえ、目を覚ました。どうやらいつのまにか眠ってしまっていたらしい。
「はぁ、なんか疲れた」
ひとしきり悲しんだら、少しだけスッキリした。ヤバキタの御子柴なんて呼ばれていた俺がこんなことで泣くなんて、全部久住のせいだ。
どうせ俺がオメガである以上あいつが俺を好きになってくれることはないんだ。潔く諦めろと前までの俺ならそう言うだろう。
うじうじしてるのも自分らしくないからな。こうなったらこの一週間のことは綺麗さっぱり忘れてやろう。
「正義ー!! ご飯」
「わかったよ!」
しつこい日向の声に返事をしながら、部屋を出て一階へ降り、夕飯を食べた。
「……はぁ? 急に何言ってんだ」
「わかんねー、こんな気持ち初めてだから、そもそも人を好きになったことねーし」
「お前まさか童貞で処女かよ」
「そうだよ! 悪かったな!」
「不良のくせに真面目だな……」
不良なのと童貞なのは関係ないと思う。優等生なのにセフレいるのだっておかしいと思うし。
「でも、それは気のせいだな」
「えっ……」
「昨日助けられてそう思っただけだろ、吊り橋効果ってやつだ」
そうなのだろうか、そんな簡単に昨日のことを無しにしてしまって良いのだろうか。なんで久住はこんなにもあっさりとしているんだ。
「そう、だよな。俺みたいな底辺オメガが優秀なアルファを好きになるなんておこがましいよな、わりぃ今のは忘れてくれ」
「…………あぁ」
なんだか柄にもなく変なことを言ってしまった自分に後悔する。優等生のアルファに囲まれていたせいで、自分も優秀だと錯覚してしまったのだろう。
なんだか気まずい空気になってしまった。
「まぁ、月曜日からはもとの生活に戻るから、お前と会うことももうないから安心しろよ」
「…………そうか」
「なんだよ? どーせ清々するとか思ってんだろ!」
「思ってないさ、ただお前じゃこの学園の授業はついていけないだろ」
「っ……まぁそうだけど」
最後までコイツは俺のこと馬鹿にしやがった。そりゃ星宮学園と矢場沢北高校なんて天と地のほどの学力の差がある。
そんな学園の人気者と同じ部屋にいるなんてとんでもない話だ。
なんてくだらない話をしていると、朝のホームルームの時間になっていた。
俺たちは部室を出てそれぞれの教室に向かった。
案外あっさりとした別れだ。もう二度と久住と会うことはないだろう。
◇◇◇
それからの授業も特に変わったことはなかった。むしろ久住を警戒しなくて良くなった分気楽だ。
昼食も小森と共に学食でいつもより高めのメニューを選んだ。
「日向くん、大丈夫?」
「へ? なんで」
「なんだか今日は元気がないみたいだけど……」
ぼっーっと昼飯を食べていたら、小森が心配そうな顔で俺の顔を覗いてきた。俺はハッとする。
コイツとも会うのはこれで最後になるだろう。
「ありがとな、小森」
「急にどうしたの?」
「いや、なんとなく……」
俺は小森にお礼を言って昼飯をまた食べ始めた。
午後の授業も淡々と過ぎていった。こんなにも授業が短く感じたのははじめてだ。
思い入れなんてないのになんだろ、仲良くなった小森と別れるのが悲しいのかな。
あっという間に最終日は過ぎていった。
帰りのホームルームが終わると皆教室を出て行く。
俺は一人ポツンと席に座り、窓の外を見ていた。
「日向くん、部活行かないの?」
「そうだな……」
小森が俺に話しかけてきた。俺は上の空で答える。
「僕部活行くね」
「あぁ、頑張れよ」
それだけ言うと小森は教室を出ていった。あいつずっと一緒にいたのに俺が日向じゃないって気づいてなかったな。あいつと接する時はほぼ素の状態だったのに。
ま、元々仲が良かったわけじゃないみたいだし、気づかないのも当然か。
「俺も帰るか」
結局、久住以外の映画研究部の部員には会えていないが、もうどうでも良いだろう。
俺は鞄を持ち教室を出た。
「痛っ!」
教室を出だと同時に誰かにぶつかる。ヤバキタに通っていたならすぐに睨みあげてメンチ切ってたのに丸くなったもんだ。
なんて思いながら顔を上げる。
「っ……く、久住!!」
「よお、帰るのか?」
「あぁ」
もう会わないと思ってたのにまさかの久住の登場に胸が高鳴るのがわかる。乙女みたいで恥ずかしいと思うが本当なのだからしょうがない。
「どうしたんだよ……」
「お前とはもう会わないだろうからな、最後のその間抜け面見ておこうと思って」
「んだよそれ、俺は日向はの双子だぞ! それだと日向の顔も間抜け面って言ってるからな!」
「はは、冗談だよ。可愛いお顔ですね」
そんなふざけたことを言いながら、久住が俺の頭をポンポンと撫でた。怒るところなのに嬉しくてそれどころじゃない。
でもこれが最後だと思うと悲しくて、俺は俯いて黙り込んでしまった。
二人っきりの廊下は静かで、窓の外から聞こえる部活をする生徒の声がやけに大きく聞こえた。
俺は最後に嫌がらせをしてやろうと、突っ立っている久住の胸ぐらを掴みそのままキスしてやった。
──チュッ
そっと唇を離し、久住の顔を見ずに
「ふっ、俺のファーストキスだ、ざまぁみろ! じゃあな!」
それだけを言うと廊下を走り、階段を降り靴箱へ急いだ。
「おい! 待て」
久住の止める声も無視して走り続けた。一度も久住を見ることはなく俺は学園を後にした。
◇◇◇
「ただいま……」
「おっかえりー、どうだった久住先輩とは?」
「別に……何もねーよ」
テンションの高い日向が俺を出迎えたが、俺はテキトーにあしらい制服を脱ぎ部屋着に着替え自室へ閉じ籠った。
昨日知ったボタン型盗聴は俺が引きちぎったので、今日の出来事は俺と久住だけが知っている。
俺は部屋に閉じこもるなり、ベッドに入り布団にうずくまった。
先程久住にキスしてしまった恥ずかしさよりも、頭を撫でられたことが嬉しくて、でもそれよりももう会えない悲しい思いが強くて俺は知らぬ間に声を押し殺して泣いていた。
泣いたのは自分がオメガだと知って以来だ。
もし俺がオメガじゃなかったら久住は俺のこと好きになってくれていたのだろうか。俺がもし日向だったら良かったのに、あいつが羨ましく思えた。
羨ましいなんていつも思ってた。あいつがアルファだと知った時からずっとだ。
「ぐすっ……くそ、なんで……俺は、オメガなんだよぉ」
泣いているのに久住のこと思い出すだけで、身体が熱くなるのを感じた。どこまでいっても俺はオメガだと悲しくなる。
「くっ、ふぅ……あっ、く、ずみぃ…」
布団の中で久住のことを思いながら一人していた。
◇◇◇
「正義~、ご飯!」
夕飯を知らせる日向の声が扉の奥から聞こえ、目を覚ました。どうやらいつのまにか眠ってしまっていたらしい。
「はぁ、なんか疲れた」
ひとしきり悲しんだら、少しだけスッキリした。ヤバキタの御子柴なんて呼ばれていた俺がこんなことで泣くなんて、全部久住のせいだ。
どうせ俺がオメガである以上あいつが俺を好きになってくれることはないんだ。潔く諦めろと前までの俺ならそう言うだろう。
うじうじしてるのも自分らしくないからな。こうなったらこの一週間のことは綺麗さっぱり忘れてやろう。
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