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第1章「最強勇者観察日記1冊目」
観察日記8「めでたく風邪をひきました」
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不覚とはこのことだろう。
まさか風邪をひいて倒れるとは。
丈夫というほど丈夫ではなく、貧弱というほど弱くはないが、まさか披露で倒れることになるとは思わなかった。
専属のお医者様が、
『なにかストレスがかかって体が許容範囲を超えてしまったのだろう、安静にするように』
と、困ったような顔で言っていた。
それにしても風邪ねぇ?
ここ何年かひいてもいなかったから、油断してたなぁ。
でもまぁ寝ていればそのうち治るだろうし、お布団でいつまでも寝ていられるし、それが目的ってわけじゃないけど、やっぱり布団はいいわよね。
あまり動いて悪化させるのもあれだし、素直に寝るとしよう。うんそれがいい。
今日は大人しく寝ていようと決めるクルミだった。決して堕落を貪れる理由ができて嬉しいなど思ってはいない。
「クルミ?起きたのか?」
布団に潜り、至福の時を貪ろうとしていたくるみの耳に、ノックの音とアカメの声が入ってきた。
「アカメ?ごめんなさい、風邪ひいちゃってるから入ってこな、えぇ!?」
そうして扉越しに返答しようとして布団から頭を這い出すと、目の前にもうアカメの顔があった。
「えっ!?ちょ!音なかったってかはや!?」
いつの間に扉開けたの!?歩く音も聞こえなかったよ!?
普段ならこれくらいで驚くことはないと思うのだが、今のくるみは熱にうかされた状態であるため、些細なことで驚く体質になっていた。
「ああすまない。驚かせるつもりはなかったのだが、それより大声を出しては体に響くぞ」
「誰のせいよ誰の」
「ところでくるみ、聞いてほしいことがあるのだが、いいだろうか」
「話変えるの下手かって。いいよ、どうしたの?」
「私はこの世界のことをより知りたい」
突然の言葉にクルミは少しばかり思考が停止する。
そんな大きなことを言われた訳では無いのだが、アカメの言っている意味を理解するのに頭が追いつかず、思考停止。
「いやいやいや思考停止するほどのことはいってなかったでしょうよ。しっかりしなさいよ私」
「クルミ?」
「あ、いやなんでもない。それで具体的にはどんなことを知りたいの?」
「この世界のことであればなんでも良い。文化、風習、言語、人口、あらゆる情報が欲しい」
そんなアカメの言葉に、クルミは全ての問題を解決させる神のような存在を思い出して、ぽんと手を打った。
それがほどれほど愚策だったか、あとで思い知ることになるだろう。
「それなら、パソコン使ってみればいいんじゃない?」
「ぱそこん?」
「この世界の全てが記録された、小さな図書館?みたいなものかな?」
「そんなものがこの世界にはあるのか」
クルミの説明にアカメを目を丸くして驚いた様子だった。
正確には違うけど、まぁいいよね。
「それじゃ案内するから、付いてきて」
「いや、いい。クルミは寝ていてくれ」
「そうもいかないでしょう?パソコンの使い方わからないのに」
「いや、魔法の図書館ならどうにかなるだろう」
「そ、そう。じゃあこの隣の部屋にあるから、決して壊さないようにお願いね。絶対壊さないでね壊しちゃダメだからねわかった?」
不安で仕方ないので3度念押ししてみた。
すると困ったように眉をハの時にして赤目は頷き、部屋を出ていった。
ま、まぁ、大丈夫でしょう。正直動くのだるかったから助かるんだよね。
とりあえず寝よう。もうだるい。
そうしてくるみは眠りについた。
部屋を出ていったアカメはくるみの言われた通り、隣の部屋に入って『ぱそこん』とやらを探した。
隣の部屋の扉を開けると、そこには本棚と机が置かれており、その上に何やら四角いものが二つ置いてあるのを見つける。
「これは?」
その見たこともない二つの四角い『それ』と、その手前においてある板のようなものと、すぐ脇においてある丸いもの。
初めて見る異様な『それ』をアカメはしばらく眺めやった。
「初めて見るものだな。魔法具か何か、か?」
そこまで呟いてアカメははっと閃く。
「まさかこれが『魔法の図書館』なのか?」
いや、だがそれにしても小さすぎる。こんなものの中にこの世界の全てのものが入っているとは思えない。
魔法格納庫の媒介、とかだろうか。
魔法格納庫は本来次元を歪めて作った倉庫のようなもので、普通ならバッグなどの形をとっているはずだが。
「四角い、箱?」
そしてそれは収納できる規模が大きければ大きいほど、その大きさも重さも異なってくる。
「この大きさ、入っているのは異世界の知識すべてか。納得出来ない訳では無いが、しかし」
そんなことが本当にありえるのだろうか。世界の知識すべてとなると、その本の数は一つ二つと数える気すら失せるほどの数になるはず。
以前世界の3分の1の本が集められた図書館を訪れたことがあるが、目がくらむような本の数に驚愕したものだ。
その三倍の数がこの箱の中に?
「考えていても埒が明かない。試してみる方がいいか」
アカメは考えるのをやめてその手を四角い『それ』にかざす。
魔力を1点に集め、その箱に繋げると、四角く薄いそれが光りだした。
妙な印が浮かび上がり、その箱が起動したことを確認する。
「さて」
そして再び魔力を集め、アカメはその箱に魔力を滑り込ませ、その『図書館』の中身を驚く速さで見始めた。
「これはっ!?」
驚愕するアカメの声とともに、その四角いそれは光を失ったのだった。
まさか風邪をひいて倒れるとは。
丈夫というほど丈夫ではなく、貧弱というほど弱くはないが、まさか披露で倒れることになるとは思わなかった。
専属のお医者様が、
『なにかストレスがかかって体が許容範囲を超えてしまったのだろう、安静にするように』
と、困ったような顔で言っていた。
それにしても風邪ねぇ?
ここ何年かひいてもいなかったから、油断してたなぁ。
でもまぁ寝ていればそのうち治るだろうし、お布団でいつまでも寝ていられるし、それが目的ってわけじゃないけど、やっぱり布団はいいわよね。
あまり動いて悪化させるのもあれだし、素直に寝るとしよう。うんそれがいい。
今日は大人しく寝ていようと決めるクルミだった。決して堕落を貪れる理由ができて嬉しいなど思ってはいない。
「クルミ?起きたのか?」
布団に潜り、至福の時を貪ろうとしていたくるみの耳に、ノックの音とアカメの声が入ってきた。
「アカメ?ごめんなさい、風邪ひいちゃってるから入ってこな、えぇ!?」
そうして扉越しに返答しようとして布団から頭を這い出すと、目の前にもうアカメの顔があった。
「えっ!?ちょ!音なかったってかはや!?」
いつの間に扉開けたの!?歩く音も聞こえなかったよ!?
普段ならこれくらいで驚くことはないと思うのだが、今のくるみは熱にうかされた状態であるため、些細なことで驚く体質になっていた。
「ああすまない。驚かせるつもりはなかったのだが、それより大声を出しては体に響くぞ」
「誰のせいよ誰の」
「ところでくるみ、聞いてほしいことがあるのだが、いいだろうか」
「話変えるの下手かって。いいよ、どうしたの?」
「私はこの世界のことをより知りたい」
突然の言葉にクルミは少しばかり思考が停止する。
そんな大きなことを言われた訳では無いのだが、アカメの言っている意味を理解するのに頭が追いつかず、思考停止。
「いやいやいや思考停止するほどのことはいってなかったでしょうよ。しっかりしなさいよ私」
「クルミ?」
「あ、いやなんでもない。それで具体的にはどんなことを知りたいの?」
「この世界のことであればなんでも良い。文化、風習、言語、人口、あらゆる情報が欲しい」
そんなアカメの言葉に、クルミは全ての問題を解決させる神のような存在を思い出して、ぽんと手を打った。
それがほどれほど愚策だったか、あとで思い知ることになるだろう。
「それなら、パソコン使ってみればいいんじゃない?」
「ぱそこん?」
「この世界の全てが記録された、小さな図書館?みたいなものかな?」
「そんなものがこの世界にはあるのか」
クルミの説明にアカメを目を丸くして驚いた様子だった。
正確には違うけど、まぁいいよね。
「それじゃ案内するから、付いてきて」
「いや、いい。クルミは寝ていてくれ」
「そうもいかないでしょう?パソコンの使い方わからないのに」
「いや、魔法の図書館ならどうにかなるだろう」
「そ、そう。じゃあこの隣の部屋にあるから、決して壊さないようにお願いね。絶対壊さないでね壊しちゃダメだからねわかった?」
不安で仕方ないので3度念押ししてみた。
すると困ったように眉をハの時にして赤目は頷き、部屋を出ていった。
ま、まぁ、大丈夫でしょう。正直動くのだるかったから助かるんだよね。
とりあえず寝よう。もうだるい。
そうしてくるみは眠りについた。
部屋を出ていったアカメはくるみの言われた通り、隣の部屋に入って『ぱそこん』とやらを探した。
隣の部屋の扉を開けると、そこには本棚と机が置かれており、その上に何やら四角いものが二つ置いてあるのを見つける。
「これは?」
その見たこともない二つの四角い『それ』と、その手前においてある板のようなものと、すぐ脇においてある丸いもの。
初めて見る異様な『それ』をアカメはしばらく眺めやった。
「初めて見るものだな。魔法具か何か、か?」
そこまで呟いてアカメははっと閃く。
「まさかこれが『魔法の図書館』なのか?」
いや、だがそれにしても小さすぎる。こんなものの中にこの世界の全てのものが入っているとは思えない。
魔法格納庫の媒介、とかだろうか。
魔法格納庫は本来次元を歪めて作った倉庫のようなもので、普通ならバッグなどの形をとっているはずだが。
「四角い、箱?」
そしてそれは収納できる規模が大きければ大きいほど、その大きさも重さも異なってくる。
「この大きさ、入っているのは異世界の知識すべてか。納得出来ない訳では無いが、しかし」
そんなことが本当にありえるのだろうか。世界の知識すべてとなると、その本の数は一つ二つと数える気すら失せるほどの数になるはず。
以前世界の3分の1の本が集められた図書館を訪れたことがあるが、目がくらむような本の数に驚愕したものだ。
その三倍の数がこの箱の中に?
「考えていても埒が明かない。試してみる方がいいか」
アカメは考えるのをやめてその手を四角い『それ』にかざす。
魔力を1点に集め、その箱に繋げると、四角く薄いそれが光りだした。
妙な印が浮かび上がり、その箱が起動したことを確認する。
「さて」
そして再び魔力を集め、アカメはその箱に魔力を滑り込ませ、その『図書館』の中身を驚く速さで見始めた。
「これはっ!?」
驚愕するアカメの声とともに、その四角いそれは光を失ったのだった。
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