夢物語〜わたしがみた夢の話集〜

リアとケイト

　それはとある都会の片隅にある、ちょっと寂れたお店の話。
　そこには昔、名の知れた男の鍛冶屋があった。
　少ない材料で最高の道具あるいは武器を打つ。
　使い心地、切れ味、見た目、需要など全てにおいて優れたそれは一躍人々の目に触れ知り渡り、一躍ブランドにまで上り詰める。
　そんな店に、自らの実力に、男はプライドと誇りを持っていた。
　しかしある日、彼に不幸が訪れる。
　彼が、実は《人間ではない》ことに気づかれたのだ。
　その正体は、姿を変えたドワーフ。
　人間が住む世界とは違う、ヒトが認識できない場所にだけ生きる、彼らの隣人。
　人々はそれを知り、彼を忌み嫌った。
　当然、彼が作ってきたものは、その人気を落としてゆく。
　それに危機感を覚えた彼は、この店と技術を先へと繋ごうと躍起になり、女の奴隷を買うことにした。
　こ綺麗で、将来有望であろう高値で売られた子供を買い、自分の技術をたたき込んだ。
　本来、自らの手で打つその技術は、彼が作り上げた魔法によって生み出されていた。
　彼は少女に自分が持ちうる全ての知識を教え、そして、病でその命を落とす。
　それからは少女が一人でその元工房であるその家にくらし、男から望まずに託された《隣人の門》を長い間守り続けている。







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　朝はいつも、誰かが扉をノックする音で目が覚める。