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孤独
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ゆらり、ゆらりと動く影。その小さい影は薄暗がりの中で不安定に揺れながらも歩いていた。
何を目的とするわけでもなく、どこに行くでもなく。当てもなく彷徨う幽霊のように、足取りおぼつかない様子で長い廊下を進んでいく。
どれだけ進んだのか、影の目の前に扉が現れた。この施設の中では珍しくもない、カードスキャンによって開ける扉だ。
影は一瞬立ち止まった後、そのカードスキャナーの前までゆらりと進むと、動きを止めた。
しかし、何をするでもなく、ただとどまるだけ。
今の陰に思考はなく、ただただそこに立っている。
やがて影はみじろぎをし、力無く垂らしていた腕を持ち上げた。その動作も、やけにゆっくりとしている。
そんな影はカードスキャナーに手をかざすと、手のひらに光る何かが現れる。何かの紋様のような、魔法陣のような、そんな不思議な紋様は現れると淡く光って回転し、すぐに消えた。
直後、ピーという電子音の後に扉が開く。
そうして通れるようになった扉を見て、影はポツリとつぶやいた。
「疲れた」
か細く、力なく紡がれた少女のようなその声は、誰に届くことなく虚空に消える。
やがて影は、彼女は開いた扉に体を滑り込ませると、闇へと消えていった。
####################################
――彼女に名前はない。決して動揺させるな、友好的な関係を保て。決して悪い影響を与えるな。世界を守りたいのならな。
幼少期から憧れだったこの機関に就任して最初に言われたのは、そんなことだった。
最初は何を言われているのかわからなかったし、どういうことなのかもわからなかった。
しかし、最高機密を扱うこの期間に就任してから約一年が経とうとしているこの頃。
就任時に言われたその言葉の意味を知った。
『この世界の存続を脅かす唯一の存在として、あらゆる国家権力者から保護を求めてきた存在。表向きは保護と言っているが、その実は世界を破滅に追いやりかねない彼女の牢獄としてあてがわれた。それがこの施設の本当の運用目的であり、存在意義だ。それ以外にここでやるべきことはない』
それがこの施設の。
――英日連盟最高国家研究機関 第7本部の使命なのだという。
####################################
頭がぼんやりとしている。何を考えていたのか、何をしようとしていたのか、全ての意思が朧げではっきりしない。
長い時間を生きてきた私にとっては、もう当たり前になってしまったけれど。それでもやはり思う。
――退屈だな、と。
この部屋にこもってもうどれだけ経ったのか。時間の感覚が完全に麻痺してしまっていてわからない。
たまには部屋の外に出てみようか。
そんな気になって立ち上がると、体がいやに重たかった。
そんなに長いこと座ったままだったのか。これは体を動かさないといけないかもしれない。
そう思いつつ、少しだけ体を伸ばし、辺りを見回す。
ここに座り込む前より、少し気配が変わっている。
部屋の中に変わりはない。物が増えたわけでも減ったわけでもない。しかし、私にはあらゆるものを把握する力がある。
意識を向ければこの施設の全て、はたまたこの世界のどこでもみることができる。やろうと思えば施設全ての床に落ちている埃の数まで数えられるだろう。それも、数秒とかけないうちに。
そういうことで、とりあえず施設内を観察してみる。
どれだけ時間が過ぎたのかはわからないが、どうやら少しばかり施設が広くなっているらしい。増設でもしたのだろうか。
あと、知っている人間が何人かおらず、知らない顔がやけに増えている。また人が増えたか?
さて、どうしたものか。
増設した施設を探検するのも面白そうだし、新しい顔を見に行くのも面白そうだ。
そうして考えているとこちらに近づいてくる男が一人。意識を向けると、何やら両手でトレーを持ち、緊張した顔でこちらに歩いてくる。
見たことない男だ。
私に食事を持ってきてくれる人間は限られているはずだが、最近変わったのだろうか。
とりあえず何もせずに黙って眺めておくとする。
人間の行動は面白い。一体何をどうしたらそうなるのかはわからないが、表情がコロコロ変わり、心に抱く感情は高い山の上から見る空の如く、一瞬一瞬で全く同じにはならず移り変わる。
広い雄大さを見せたかと思えば、そこら辺の石ころのように狭い心を見せることもある。
退屈を極めたこの身にはあまりにも面白いおもちゃだ。
そんな人間の男は体をガチガチに緊張させながら歩いてきて、部屋の前で立ち止まった。
目の前の扉を凝視し、大きく息を吸って吐く。誰が見ても緊張しまくっている。
しばらく総じて深呼吸したあと、首を横に振って気合いを入れたのか、トレーを左手にに持ち直して、男は右手でノックしてきた。
こんこん
と静かな部屋に音が鳴り響く。
私は男の様子を眺めながら「はい」と返事すると、男の額から汗が滴り落ちた。
「お目覚めのところすみません。お食事をお持ちしました」
努めてはっきり声を出しているのがまるわかりだ。
面白いやつだなと思いながら私は返事をする。
「入っていいよ」
するとピーという電子音が響き、次いで扉がスライドして男が姿を現した。
癖っ毛が目立つ短髪の、そこそこ身長が高い細身の男。どことなく顔が幼いので頼りなさげに見えるのが特徴だろうか。
そんな男は部屋に入ってくると視線を彷徨わせる。食事を置く場所を探しているのだ。しかし、部屋には私が座っていた椅子以外も抜けの空。机もなければベッドもない。
そう言えば誰かが掃除をしにきていたから全部しまったんだったな、とその時気づいて、私は男に目を向けた。
「あぁ、ごめんね。そう言えば全部しまってた。少し待って。机を用意するから」
そう伝えると男は「は、はいっ!」と相変わらず緊張した声で返して直立する。
まぁ、そうなるのも多少は仕方ないなとは思うが、ずっとその調子だとこちらも気分がよろしくない。後でちゃんと話してやらねば。
そう決めて私は体のうちに意識を向ける。
この体には莫大な力が宿っている。先ほど施設内を見渡したときも、その力を使った。
誰かにこれを説明しようとしてもなかなか説明できないが、とりあえず魔法の類ということにした。便利な言葉だ。
魔法を行使するには魔力がいる。私の体の中にはそれがあった。
体の中心に貯まる魔力を一雫だけ掬い上げ、それを肩から腕へと伝えて自らの手に集める。
花壇に水をやるような仕草で手を振れば、何もなかったはずのそこに、部屋の内装とはかけ離れた豪華な食卓がが現れる。
そのまま机に歩いて行き、椅子の方に手を振れば、ふわりと浮き上がって椅子が私の後ろに着地する。
それを手で引き寄せて座り、呆気に取られている男に目を向けた。
「これでいい?」
そう聞くと、男はハッとし、しかし現実が飲み込めていないのかオロオロし出す。
「えっ、椅子が、、机が!?そこっなにもっなっ」
見事な慌てっぷりだ。もはや言葉も話せていない。
あぁそうか。これを見るのは初めてなのか。それはそうか。この力を使うのはこの世界に私だけしかいないんだった。
もう少し配慮するべきだったな。突然こんなものを見せられては誰でもこうなる、か。
「突然見せたのは良くなかったね。びっくりした?」
ゆっくり声をかけてあげると、男の瞳に平静が少しずつ戻ってくる。
「へっ、、は、はい。申し訳ありませんその、取り乱してしまって」
「気にしてない。最初はそうなる。もう少し私が気をつければよかった、ごめんね」
「いやそんなことはありません!謝らないでください!」
「そう?それならよかった。それじゃあ、食事、ここに置いてくれる?」
「はいっ」
私の言葉に、きびきびと動いて男は手に持ったトレーを机に置いてくれる。
「ありがとう。少し待って」
「え、はい」
机のトレーを少しこちらに引き寄せた後、反対側に私と同じ椅子を出現させる。
突然現れた椅子に、男は驚いて勢いよく振り返った。
(大きな音を聞いた時の猫みたい)
他の人間よりも反応が大きくて面白いなと思いつつ、椅子を少し引き寄せてやる。
「よかったら一緒にたべない?いろいろ聞きたいこともある」
「え……ですが」
「もうたべた?」
「いえ、まだこれから食べようかと思っていたところです」
「それなら丁度いい。何か好きな食べ物はある?」
「僕ですか?」
「そう。食べたいものでもいい」
「なぜ、今それを、、、?」
私の急な質問に、男はやはり困惑している。
「いいから」
「そう、ですね」
男は少し考えるそぶりを見せると、施設の食堂にある定食メニューを提示してきた。
おそらく?今日食べる予定だったのだろう。
私はそれを聞くと一言「そう」といって再び魔力を抽出。その定食メニューは何度か食べたことがあったが、私もなかなかに嫌いじゃない代物だった。
その時のことを思い出しつつ、魔力を排出して男の目の前に定食メニューを出してやると、もはや男の口が空いたまま塞がらなくなっていた。
「どうぞ。話しながら食べて。さっきも言ったけど、いろいろ聞きたいことがあるから」
そう言いつつフォークを手に取り、トレーの上に並べられたハンバーグ定食の付け合わせにそれを突き刺す。
「こ、これは一体、どこから……」
「聞きたい?」
「えっいやっ」
「体に悪いものじゃない。食べても害にならない。安心して」
そうして人参を口に放り込む。
男はその言葉をまだ信じられないのか、目の前に現れた刺身料理をじっと観察しながらも、箸を持ち上げて料理をつつき出す。
しばらく様子を見ていると、刺身を一枚箸で持ち上げてぶらぶらと揺らし始めた。目の前にある物が現実だと受け止められないと、人間はこんな妙な動きをするのかと、少しばかり感心してしまった。
面白いので黙って見ていると、恐る恐る男は箸で摘んだ刺身を醤油につけ、口に放り込んだ。瞬間、顔が幸せいっぱいの笑顔で染まり上がる。
(まるで子供みたい。子猫?)
「それで、あなたの名前は?」
様子を伺いながらもそう聞くと、ビクッと体を震わせて男は背筋を伸ばした。
「キースと申します!」
「アメリカ人?ファミリーネームは?」
「ノイタブラス!キース・ノイタブラスです!お好きなように呼んでいただければ!」
「キース。へぇ、いい名前」
「あ、ありがとうございます」
「キースは私の食事係になったの?」
「食事係、ですか?」
「持ってきてくれたから」
「そうですね、食事だけでなく、身の回りのお世話をさせていただくことになっております」
「私のお世話?でも、ここって研究機関だったはず、それに……」
私は最高機密そのもののはず、とは流石に言えなかった。このキースという男がそれを知らされているかどうかわからない、というのもある。
私のお世話というのだから、私に関することは必ず誰かに聞いているはずだが、私がどれだけの時間ぼんやりしていたのかがわからない以上はなんとも言えない。
そう考えていると、口をつぐんだ私を不安に思ったのか、キースはこちらの様子を伺って声をかけた。
「な、なんでしょう?」
「私のこと、なんて聞いてる?」
「えっ……と」
「言えない?」
「いや、そんなことは、えと」
「じゃあ、質問を変える。今の年号と、日付を教えて」
「アズレア歴5年の5月28日です」
キースの返答に疑問を覚える。
アズレア歴?新しい年号になっていたのか。5年ということは、最低でもその時間は過ぎたことになる。
「前の年号は何年までだったの?」
「75ですね」
私が覚えているのは70年まで。丁度70年に部屋に戻って椅子に座り、ぼんやりとしてしまったのだろう。
それにしても少しのんびりしただけで10年も過ぎていたのか。施設の様相が変わっていたのも、人員が入れ替わっているのも納得だ。それだけ経っていればそうもなろう。これは気をつけないと100年経つのもあっという間なのだろうな。
「キースが私の世話係になったのはいつ?」
「つい数日前ですね」
「キースの前に私の食事を持ってきてくれた人はどうなったの?」
「年齢が年齢なので退職なされました」
「そう。残念」
「あの、僕からも質問しても、いいでしょうか?」
「なに?」
「前職の方から最後に食事を持って行ったのは今から10年前と聞きました。この10年、何をしていたんでしょうか?」
「この部屋でぼんやりしていた」
「ぼんやり?」
「なんとなく考え事をしていて。大したことではないんだけど、少し気を抜いてぼんやりしていたら10年が過ぎていた」
「考え事というのは?」
「それは聞かないほうがいい。人には理解できない」
「そうですか……」
そうして少しばかり落ち込んだ様子のキースを横目に、私は立ち上がる。ざっと施設内に意識を向けると、気になる施設がいくつか増えているのがわかる。
食事も終わったことだし、少し見に行くとしようか。
「キース、食べ終わったら少し出かける」
「へ?どこにですか?」
「この10年で施設内も変わっているようだし、少し探検する」
「それなら、僕もついて行きます。案内役はあった方がいいでしょう」
キースがそう言って食べ終わったトレーを二つ持ち上げていう。正直なところ案内役はいらない。歩き回ると言っても転移するだけだし、その場所が何であるかはこっそり人間の思考を覗けばすぐにわかる、が。
たまにはそういうのも悪くないか。
「そうだね。よろしく」
「わかりました」
そうしてトレーを両手に抱えたキースは踵をかえす。その背中を私は止めた。
「キース、待って」
「はい?」
「そのトレー、机の上に置いて」
「え、でも、片付けないと、ですよね?」
「移動しなくてもできる」
「……わかりました」
キースは私の言葉に少し固まると、素直に戻ってきて机の上にトレーを戻した。
それを見て私はいつも通りに魔力を使い、トレー1つは消滅させ、もう一つは食堂の返却口に転送する。
突然現れた食器類に職員が声を上げたのがわかるが、気に留めない。
次に机と椅子をしまって、部屋の中は何もなかった部屋へと戻っていた。
「これでいい。それじゃ行くよ」
私がキースにそう声をかけると、もうキースは驚くことはなかったが、何やらひたすらに疲れた顔で「はい」と返事をし、私の後ろについて部屋を出た。
###################################
部屋から出て廊下を歩く。目的地は決めてある。
増設された施設は三ヶ所。施設の北東外側、南、南西。
今から向かうのは北東の増設施設。そこまでの道を探り出して歩いていると、後ろからついてきていたキースが「あの」と控えめに声をかけてくる。
「どこへ向かってるんですか?」
「私が外に出ていなかった間に増設された施設北東。そこを見に行くの」
「あぁ、3年前にできた別棟ですね」
「別棟?」
「はい。あのあたりは働いている研究員の居住区なのは知っていますか?」
「知ってる」
「人員入れ替えの際、別施設の増築で人が足りなくなったので、人を増やしたんです。そしたら本棟に部屋がなくなったらしく、別棟を作られたそうです」
「それが北東外側にある施設?」
「そうです。自分もそこに住んでいます」
「ふーん」
私にとって10年は瞬きの間に過ぎる時間だが、人間にとってはそうではない。少なくとも短いとは言えない月日だ。
その間に研究で何か成果が得られたのか、それで増員をしたのか、はたまた新しいことを始めたのか。
まぁ、その辺も少し見てもいいかもしれんな。
そんなことを話していたら目の前に扉が見えてくる。私がいたのが『第一研究棟』。この施設には全部で第6棟まで研究施設が6角形の形を取って存在し、それぞれが長い廊下で繋がれている。
目の前に見えてきた扉は『第二研究』。主に大きい機械などを使ってなにかしらの研究をする場所だ。
私も詳しいことは知らない。時が過ぎるに連れてその大きな機械で研究されている事柄がガラッと変わるからだ。
確か私が知っている中では化学エネルギーの開発とか言ってた気がするが、今はなんの研究をしているのか。
そう考えつつツカツカと歩いて扉の前へ歩いてきた私だが。
自動で開くはずの扉がうんともすんとも言わず、私のゆく道を阻んでびくともしない。
ここのシステムには顔認証システムがあったはずだ。
それぞれの棟でランク付けされ、それぞれの棟に勤務している人間なら扉の前に立っただけでカメラが顔を認識し、扉が開くはず。
私は昔から全ての棟に行けるようになっていたはずだが。
「扉が開かない?」
しばらく待ってもやはり扉は反応を示さない。
周りを観察してみると、扉の横の天井に丸い何かがくっついており、今までなかったはずのカードリーダーが扉の横に備え付けられていた。
10年の間で防衛システムを変えたのか?
「どうかなさいましたか?」
後ろのキースには私の声が届かなかったのか、不思議そうな顔でこちらを見つめてくる。
私の様子に何かを察したのか、私の前に出て懐から何かを取り出した。
「あぁ、扉を開けたいんですね。カードは持っていないんですか?」
「ここは顔認証システムがあったはずだけど」
「あぁ、それなら8年前ほど前に廃止されましたよ」
「廃止?何故?」
「8年前にハッカー集団にカメラをハックされて、研究資料が一部流出したとかで、全面的に防衛システムを見直したそうです」
「それでこの古典的なカードシステムを導入したのか?」
「まぁ、カードと言っても持ち主の全ての情報をデータとしてカードに入力し、施設の人間の心臓部に近い位置にチップを入れて、その心拍数で使用の可否を決められるようになってますので、昔よりは強化されてるんですけどね。扉開けますね」
そう言いながらキースはカードリーダーにカードを通していく。
数秒もしないうちに扉はすんなりと開いた。
「キース、そのカードを借りても良い?」
「流石にそれはダメです。所有者以外には渡してはいけない決まりとなっています。おそらく総督に進言なされば新しいカードを発行してくださると思いますよ?」
「まぁ、あとで話してみるか」
そうぼやいて私は空いた扉を潜って中に入った。
中に入ると最初に目に入ったのは液体の入った大きい機械だった。
天井に届きそうなほどのサイズで、青色なのか緑色なのか、どちらとも言える謎の液体がたっぷり入っており、周りでは研究員らしき人物がそれぞれ作業をしているのが見える。
「あれはなに?」
大きな機械を指差して言うと、キースが応えてくれる。
「5年ほど前に開発された特殊燃料の研究ですね。今は何をしているのか僕も詳しくはわからないのですが、今現在見える液体の燃料では濃度が薄く、燃料として使うには改良が必要とかで、その研究をしているようです。詳しい話を聞きたいならきいてみますか?」
「液体燃料?エネルギー資源の開発というのはきいたことあるが、完成したと言うことか?」
キースは私の言葉に少し唸ったあと、頷いた。
「まぁ、こちらは本命ではありませんが、そう言うことですね」
「本命?」
「はい。こちらの液体燃料は、相当数のエネルギーを要する物質を抽出する際にでた副産物なんです。本来廃棄される物だったんですけど、こちらの液体にも資源的価値があると報告が上がり試験運用。しかし濃度の問題で使用するには効率が悪いので、といった流れでしょうか」
「詳しいことはわからないと言っていたが、よく知ってるではないか」
「一応ここの職員ですからね。ある程度のことなら耳に入ってきますよ。ただ、専門的な抽出方法とか、そう言う専門的なものはわかりません」
何を目的とするわけでもなく、どこに行くでもなく。当てもなく彷徨う幽霊のように、足取りおぼつかない様子で長い廊下を進んでいく。
どれだけ進んだのか、影の目の前に扉が現れた。この施設の中では珍しくもない、カードスキャンによって開ける扉だ。
影は一瞬立ち止まった後、そのカードスキャナーの前までゆらりと進むと、動きを止めた。
しかし、何をするでもなく、ただとどまるだけ。
今の陰に思考はなく、ただただそこに立っている。
やがて影はみじろぎをし、力無く垂らしていた腕を持ち上げた。その動作も、やけにゆっくりとしている。
そんな影はカードスキャナーに手をかざすと、手のひらに光る何かが現れる。何かの紋様のような、魔法陣のような、そんな不思議な紋様は現れると淡く光って回転し、すぐに消えた。
直後、ピーという電子音の後に扉が開く。
そうして通れるようになった扉を見て、影はポツリとつぶやいた。
「疲れた」
か細く、力なく紡がれた少女のようなその声は、誰に届くことなく虚空に消える。
やがて影は、彼女は開いた扉に体を滑り込ませると、闇へと消えていった。
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――彼女に名前はない。決して動揺させるな、友好的な関係を保て。決して悪い影響を与えるな。世界を守りたいのならな。
幼少期から憧れだったこの機関に就任して最初に言われたのは、そんなことだった。
最初は何を言われているのかわからなかったし、どういうことなのかもわからなかった。
しかし、最高機密を扱うこの期間に就任してから約一年が経とうとしているこの頃。
就任時に言われたその言葉の意味を知った。
『この世界の存続を脅かす唯一の存在として、あらゆる国家権力者から保護を求めてきた存在。表向きは保護と言っているが、その実は世界を破滅に追いやりかねない彼女の牢獄としてあてがわれた。それがこの施設の本当の運用目的であり、存在意義だ。それ以外にここでやるべきことはない』
それがこの施設の。
――英日連盟最高国家研究機関 第7本部の使命なのだという。
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頭がぼんやりとしている。何を考えていたのか、何をしようとしていたのか、全ての意思が朧げではっきりしない。
長い時間を生きてきた私にとっては、もう当たり前になってしまったけれど。それでもやはり思う。
――退屈だな、と。
この部屋にこもってもうどれだけ経ったのか。時間の感覚が完全に麻痺してしまっていてわからない。
たまには部屋の外に出てみようか。
そんな気になって立ち上がると、体がいやに重たかった。
そんなに長いこと座ったままだったのか。これは体を動かさないといけないかもしれない。
そう思いつつ、少しだけ体を伸ばし、辺りを見回す。
ここに座り込む前より、少し気配が変わっている。
部屋の中に変わりはない。物が増えたわけでも減ったわけでもない。しかし、私にはあらゆるものを把握する力がある。
意識を向ければこの施設の全て、はたまたこの世界のどこでもみることができる。やろうと思えば施設全ての床に落ちている埃の数まで数えられるだろう。それも、数秒とかけないうちに。
そういうことで、とりあえず施設内を観察してみる。
どれだけ時間が過ぎたのかはわからないが、どうやら少しばかり施設が広くなっているらしい。増設でもしたのだろうか。
あと、知っている人間が何人かおらず、知らない顔がやけに増えている。また人が増えたか?
さて、どうしたものか。
増設した施設を探検するのも面白そうだし、新しい顔を見に行くのも面白そうだ。
そうして考えているとこちらに近づいてくる男が一人。意識を向けると、何やら両手でトレーを持ち、緊張した顔でこちらに歩いてくる。
見たことない男だ。
私に食事を持ってきてくれる人間は限られているはずだが、最近変わったのだろうか。
とりあえず何もせずに黙って眺めておくとする。
人間の行動は面白い。一体何をどうしたらそうなるのかはわからないが、表情がコロコロ変わり、心に抱く感情は高い山の上から見る空の如く、一瞬一瞬で全く同じにはならず移り変わる。
広い雄大さを見せたかと思えば、そこら辺の石ころのように狭い心を見せることもある。
退屈を極めたこの身にはあまりにも面白いおもちゃだ。
そんな人間の男は体をガチガチに緊張させながら歩いてきて、部屋の前で立ち止まった。
目の前の扉を凝視し、大きく息を吸って吐く。誰が見ても緊張しまくっている。
しばらく総じて深呼吸したあと、首を横に振って気合いを入れたのか、トレーを左手にに持ち直して、男は右手でノックしてきた。
こんこん
と静かな部屋に音が鳴り響く。
私は男の様子を眺めながら「はい」と返事すると、男の額から汗が滴り落ちた。
「お目覚めのところすみません。お食事をお持ちしました」
努めてはっきり声を出しているのがまるわかりだ。
面白いやつだなと思いながら私は返事をする。
「入っていいよ」
するとピーという電子音が響き、次いで扉がスライドして男が姿を現した。
癖っ毛が目立つ短髪の、そこそこ身長が高い細身の男。どことなく顔が幼いので頼りなさげに見えるのが特徴だろうか。
そんな男は部屋に入ってくると視線を彷徨わせる。食事を置く場所を探しているのだ。しかし、部屋には私が座っていた椅子以外も抜けの空。机もなければベッドもない。
そう言えば誰かが掃除をしにきていたから全部しまったんだったな、とその時気づいて、私は男に目を向けた。
「あぁ、ごめんね。そう言えば全部しまってた。少し待って。机を用意するから」
そう伝えると男は「は、はいっ!」と相変わらず緊張した声で返して直立する。
まぁ、そうなるのも多少は仕方ないなとは思うが、ずっとその調子だとこちらも気分がよろしくない。後でちゃんと話してやらねば。
そう決めて私は体のうちに意識を向ける。
この体には莫大な力が宿っている。先ほど施設内を見渡したときも、その力を使った。
誰かにこれを説明しようとしてもなかなか説明できないが、とりあえず魔法の類ということにした。便利な言葉だ。
魔法を行使するには魔力がいる。私の体の中にはそれがあった。
体の中心に貯まる魔力を一雫だけ掬い上げ、それを肩から腕へと伝えて自らの手に集める。
花壇に水をやるような仕草で手を振れば、何もなかったはずのそこに、部屋の内装とはかけ離れた豪華な食卓がが現れる。
そのまま机に歩いて行き、椅子の方に手を振れば、ふわりと浮き上がって椅子が私の後ろに着地する。
それを手で引き寄せて座り、呆気に取られている男に目を向けた。
「これでいい?」
そう聞くと、男はハッとし、しかし現実が飲み込めていないのかオロオロし出す。
「えっ、椅子が、、机が!?そこっなにもっなっ」
見事な慌てっぷりだ。もはや言葉も話せていない。
あぁそうか。これを見るのは初めてなのか。それはそうか。この力を使うのはこの世界に私だけしかいないんだった。
もう少し配慮するべきだったな。突然こんなものを見せられては誰でもこうなる、か。
「突然見せたのは良くなかったね。びっくりした?」
ゆっくり声をかけてあげると、男の瞳に平静が少しずつ戻ってくる。
「へっ、、は、はい。申し訳ありませんその、取り乱してしまって」
「気にしてない。最初はそうなる。もう少し私が気をつければよかった、ごめんね」
「いやそんなことはありません!謝らないでください!」
「そう?それならよかった。それじゃあ、食事、ここに置いてくれる?」
「はいっ」
私の言葉に、きびきびと動いて男は手に持ったトレーを机に置いてくれる。
「ありがとう。少し待って」
「え、はい」
机のトレーを少しこちらに引き寄せた後、反対側に私と同じ椅子を出現させる。
突然現れた椅子に、男は驚いて勢いよく振り返った。
(大きな音を聞いた時の猫みたい)
他の人間よりも反応が大きくて面白いなと思いつつ、椅子を少し引き寄せてやる。
「よかったら一緒にたべない?いろいろ聞きたいこともある」
「え……ですが」
「もうたべた?」
「いえ、まだこれから食べようかと思っていたところです」
「それなら丁度いい。何か好きな食べ物はある?」
「僕ですか?」
「そう。食べたいものでもいい」
「なぜ、今それを、、、?」
私の急な質問に、男はやはり困惑している。
「いいから」
「そう、ですね」
男は少し考えるそぶりを見せると、施設の食堂にある定食メニューを提示してきた。
おそらく?今日食べる予定だったのだろう。
私はそれを聞くと一言「そう」といって再び魔力を抽出。その定食メニューは何度か食べたことがあったが、私もなかなかに嫌いじゃない代物だった。
その時のことを思い出しつつ、魔力を排出して男の目の前に定食メニューを出してやると、もはや男の口が空いたまま塞がらなくなっていた。
「どうぞ。話しながら食べて。さっきも言ったけど、いろいろ聞きたいことがあるから」
そう言いつつフォークを手に取り、トレーの上に並べられたハンバーグ定食の付け合わせにそれを突き刺す。
「こ、これは一体、どこから……」
「聞きたい?」
「えっいやっ」
「体に悪いものじゃない。食べても害にならない。安心して」
そうして人参を口に放り込む。
男はその言葉をまだ信じられないのか、目の前に現れた刺身料理をじっと観察しながらも、箸を持ち上げて料理をつつき出す。
しばらく様子を見ていると、刺身を一枚箸で持ち上げてぶらぶらと揺らし始めた。目の前にある物が現実だと受け止められないと、人間はこんな妙な動きをするのかと、少しばかり感心してしまった。
面白いので黙って見ていると、恐る恐る男は箸で摘んだ刺身を醤油につけ、口に放り込んだ。瞬間、顔が幸せいっぱいの笑顔で染まり上がる。
(まるで子供みたい。子猫?)
「それで、あなたの名前は?」
様子を伺いながらもそう聞くと、ビクッと体を震わせて男は背筋を伸ばした。
「キースと申します!」
「アメリカ人?ファミリーネームは?」
「ノイタブラス!キース・ノイタブラスです!お好きなように呼んでいただければ!」
「キース。へぇ、いい名前」
「あ、ありがとうございます」
「キースは私の食事係になったの?」
「食事係、ですか?」
「持ってきてくれたから」
「そうですね、食事だけでなく、身の回りのお世話をさせていただくことになっております」
「私のお世話?でも、ここって研究機関だったはず、それに……」
私は最高機密そのもののはず、とは流石に言えなかった。このキースという男がそれを知らされているかどうかわからない、というのもある。
私のお世話というのだから、私に関することは必ず誰かに聞いているはずだが、私がどれだけの時間ぼんやりしていたのかがわからない以上はなんとも言えない。
そう考えていると、口をつぐんだ私を不安に思ったのか、キースはこちらの様子を伺って声をかけた。
「な、なんでしょう?」
「私のこと、なんて聞いてる?」
「えっ……と」
「言えない?」
「いや、そんなことは、えと」
「じゃあ、質問を変える。今の年号と、日付を教えて」
「アズレア歴5年の5月28日です」
キースの返答に疑問を覚える。
アズレア歴?新しい年号になっていたのか。5年ということは、最低でもその時間は過ぎたことになる。
「前の年号は何年までだったの?」
「75ですね」
私が覚えているのは70年まで。丁度70年に部屋に戻って椅子に座り、ぼんやりとしてしまったのだろう。
それにしても少しのんびりしただけで10年も過ぎていたのか。施設の様相が変わっていたのも、人員が入れ替わっているのも納得だ。それだけ経っていればそうもなろう。これは気をつけないと100年経つのもあっという間なのだろうな。
「キースが私の世話係になったのはいつ?」
「つい数日前ですね」
「キースの前に私の食事を持ってきてくれた人はどうなったの?」
「年齢が年齢なので退職なされました」
「そう。残念」
「あの、僕からも質問しても、いいでしょうか?」
「なに?」
「前職の方から最後に食事を持って行ったのは今から10年前と聞きました。この10年、何をしていたんでしょうか?」
「この部屋でぼんやりしていた」
「ぼんやり?」
「なんとなく考え事をしていて。大したことではないんだけど、少し気を抜いてぼんやりしていたら10年が過ぎていた」
「考え事というのは?」
「それは聞かないほうがいい。人には理解できない」
「そうですか……」
そうして少しばかり落ち込んだ様子のキースを横目に、私は立ち上がる。ざっと施設内に意識を向けると、気になる施設がいくつか増えているのがわかる。
食事も終わったことだし、少し見に行くとしようか。
「キース、食べ終わったら少し出かける」
「へ?どこにですか?」
「この10年で施設内も変わっているようだし、少し探検する」
「それなら、僕もついて行きます。案内役はあった方がいいでしょう」
キースがそう言って食べ終わったトレーを二つ持ち上げていう。正直なところ案内役はいらない。歩き回ると言っても転移するだけだし、その場所が何であるかはこっそり人間の思考を覗けばすぐにわかる、が。
たまにはそういうのも悪くないか。
「そうだね。よろしく」
「わかりました」
そうしてトレーを両手に抱えたキースは踵をかえす。その背中を私は止めた。
「キース、待って」
「はい?」
「そのトレー、机の上に置いて」
「え、でも、片付けないと、ですよね?」
「移動しなくてもできる」
「……わかりました」
キースは私の言葉に少し固まると、素直に戻ってきて机の上にトレーを戻した。
それを見て私はいつも通りに魔力を使い、トレー1つは消滅させ、もう一つは食堂の返却口に転送する。
突然現れた食器類に職員が声を上げたのがわかるが、気に留めない。
次に机と椅子をしまって、部屋の中は何もなかった部屋へと戻っていた。
「これでいい。それじゃ行くよ」
私がキースにそう声をかけると、もうキースは驚くことはなかったが、何やらひたすらに疲れた顔で「はい」と返事をし、私の後ろについて部屋を出た。
###################################
部屋から出て廊下を歩く。目的地は決めてある。
増設された施設は三ヶ所。施設の北東外側、南、南西。
今から向かうのは北東の増設施設。そこまでの道を探り出して歩いていると、後ろからついてきていたキースが「あの」と控えめに声をかけてくる。
「どこへ向かってるんですか?」
「私が外に出ていなかった間に増設された施設北東。そこを見に行くの」
「あぁ、3年前にできた別棟ですね」
「別棟?」
「はい。あのあたりは働いている研究員の居住区なのは知っていますか?」
「知ってる」
「人員入れ替えの際、別施設の増築で人が足りなくなったので、人を増やしたんです。そしたら本棟に部屋がなくなったらしく、別棟を作られたそうです」
「それが北東外側にある施設?」
「そうです。自分もそこに住んでいます」
「ふーん」
私にとって10年は瞬きの間に過ぎる時間だが、人間にとってはそうではない。少なくとも短いとは言えない月日だ。
その間に研究で何か成果が得られたのか、それで増員をしたのか、はたまた新しいことを始めたのか。
まぁ、その辺も少し見てもいいかもしれんな。
そんなことを話していたら目の前に扉が見えてくる。私がいたのが『第一研究棟』。この施設には全部で第6棟まで研究施設が6角形の形を取って存在し、それぞれが長い廊下で繋がれている。
目の前に見えてきた扉は『第二研究』。主に大きい機械などを使ってなにかしらの研究をする場所だ。
私も詳しいことは知らない。時が過ぎるに連れてその大きな機械で研究されている事柄がガラッと変わるからだ。
確か私が知っている中では化学エネルギーの開発とか言ってた気がするが、今はなんの研究をしているのか。
そう考えつつツカツカと歩いて扉の前へ歩いてきた私だが。
自動で開くはずの扉がうんともすんとも言わず、私のゆく道を阻んでびくともしない。
ここのシステムには顔認証システムがあったはずだ。
それぞれの棟でランク付けされ、それぞれの棟に勤務している人間なら扉の前に立っただけでカメラが顔を認識し、扉が開くはず。
私は昔から全ての棟に行けるようになっていたはずだが。
「扉が開かない?」
しばらく待ってもやはり扉は反応を示さない。
周りを観察してみると、扉の横の天井に丸い何かがくっついており、今までなかったはずのカードリーダーが扉の横に備え付けられていた。
10年の間で防衛システムを変えたのか?
「どうかなさいましたか?」
後ろのキースには私の声が届かなかったのか、不思議そうな顔でこちらを見つめてくる。
私の様子に何かを察したのか、私の前に出て懐から何かを取り出した。
「あぁ、扉を開けたいんですね。カードは持っていないんですか?」
「ここは顔認証システムがあったはずだけど」
「あぁ、それなら8年前ほど前に廃止されましたよ」
「廃止?何故?」
「8年前にハッカー集団にカメラをハックされて、研究資料が一部流出したとかで、全面的に防衛システムを見直したそうです」
「それでこの古典的なカードシステムを導入したのか?」
「まぁ、カードと言っても持ち主の全ての情報をデータとしてカードに入力し、施設の人間の心臓部に近い位置にチップを入れて、その心拍数で使用の可否を決められるようになってますので、昔よりは強化されてるんですけどね。扉開けますね」
そう言いながらキースはカードリーダーにカードを通していく。
数秒もしないうちに扉はすんなりと開いた。
「キース、そのカードを借りても良い?」
「流石にそれはダメです。所有者以外には渡してはいけない決まりとなっています。おそらく総督に進言なされば新しいカードを発行してくださると思いますよ?」
「まぁ、あとで話してみるか」
そうぼやいて私は空いた扉を潜って中に入った。
中に入ると最初に目に入ったのは液体の入った大きい機械だった。
天井に届きそうなほどのサイズで、青色なのか緑色なのか、どちらとも言える謎の液体がたっぷり入っており、周りでは研究員らしき人物がそれぞれ作業をしているのが見える。
「あれはなに?」
大きな機械を指差して言うと、キースが応えてくれる。
「5年ほど前に開発された特殊燃料の研究ですね。今は何をしているのか僕も詳しくはわからないのですが、今現在見える液体の燃料では濃度が薄く、燃料として使うには改良が必要とかで、その研究をしているようです。詳しい話を聞きたいならきいてみますか?」
「液体燃料?エネルギー資源の開発というのはきいたことあるが、完成したと言うことか?」
キースは私の言葉に少し唸ったあと、頷いた。
「まぁ、こちらは本命ではありませんが、そう言うことですね」
「本命?」
「はい。こちらの液体燃料は、相当数のエネルギーを要する物質を抽出する際にでた副産物なんです。本来廃棄される物だったんですけど、こちらの液体にも資源的価値があると報告が上がり試験運用。しかし濃度の問題で使用するには効率が悪いので、といった流れでしょうか」
「詳しいことはわからないと言っていたが、よく知ってるではないか」
「一応ここの職員ですからね。ある程度のことなら耳に入ってきますよ。ただ、専門的な抽出方法とか、そう言う専門的なものはわかりません」
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