夢物語〜わたしがみた夢の話集〜

常に眠い猫

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七つの大罪 

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ドレスを着た高貴な女の子が大事にしていた宝物。
姉の唯一の遺品として譲り受けたそれはとんでもないものだった。
中には大罪と呼ばれる七つの思念体が封印されていて、決して中を明かしてはいけなかった。のだが。

高貴な女の子がお忍びで舞台に立つ前日に、その遺品が盗まれてしまった。急いで確認をしに行くと、その箱が無い。
あの箱が開けられてしまうと、とんでも無いことになる、と心配になってしまった女の子は、舞台に集中するために一旦は振り払う。
そんな女の子を見ていた男が、一通り舞台を終えた後にそっと女の子に声をかける。
しかし、それを途中で止めて「まだお客さんがいるから後で」と、見に来てくれたり食事をしているお客さんに聞こえないように言って、笑顔を振りまきながら舞台を降り、挨拶しに行く。
その道中、その酒場の中で3人組の男が話してるのを見つける。
右側に座る男は長身痩せ型で剣を携えていることから騎士なのだろう。左側は身長が小さく、腰に杖を携えている。一見子供に見えるその人は、しかしオーラが他の二人とは桁違いで、おそらく魔法使い。その間に座って豪快に酒を飲む男は、屈強で筋肉がついておりガタイもいい。武器は見当たらないが、体格からして戦士なのだろう。
それぞれが旬のきのこスープ、ラーダのステーキ、ビアリの炒り飯を食べながら話に集中しているようで、私が近づいてきたことにも気づいていないようだった。大声で話すその内容が耳に入ってくる。
「ギルドの話じゃこの辺にあるらしいな!」
真ん中の男が大きく切った肉を口に放り込みながら言う。
「ギルド曰く、他の冒険者やトレジャーハンターでも見つけることができなかったそうだぞ」
「見つけることができないもの?それを探せって言われてるのか?」
「そうだ。なんでも、見つけることができたら依頼主から莫大な報酬を約束されてる案件らしい」
「らしいって言うのは?」
騎士の男が眉を顰めてそう聞くと、戦士は得意そうにニヤッと笑って見返し、得意そうに「ギルマスから直接聞いた話でな」と返した。瞬間、戦士の目が見開かれ、その表情に驚きが広がったかと思えば、次の瞬間には顔を曇らせて目の前の煙立つ炒り飯を見下ろす。
「お前、それ受けたのか」
「もちろんだろ!あれだけの報酬がありゃぁ贅沢したとしても三年は生きられる金額だぞ?受けない理由がない!」
「あの、さ」
それまで黙って聞いていた魔法使いがおずおずと手を上げる。
「それ、依頼主は誰か聞いたの?」
「聞いたぞ?」
「誰だったんだ?」
「極秘事項とかで教えてもらえんかった」
「えぇ……」
戦士の一言に騎士と魔法使いの表情が一層曇った。
「怪しさ満点どころの話じゃないな」
「ちなみに何を探せって言われたの?」
「あーと、それがだな。古代のアーティファクトらしい」
「アーティファクト?」
「アーティファクトぉ!?」
突然魔法使いが立ち上がって叫んだ。
「イドラス?」
騎士が魔法使いに目を向ける。
「どうした?何か心当たりがあるのか」
イドラスと呼ばれた魔法使いはそう言われて捲し立てる。
「心当たりってもんじゃないよ!魔法師も魔法使いも知らない人はいない!無尽蔵に魔力を作り上げる古の武器の総称だよ!魔法会ではそのアーティファクトを探し求めたり、それを研究して人生を費やす人だっている、世界に十個もない超貴重な古代の遺物で、魔法を使う人間なら一度は見てみたい代物なんだよ!」
「へぇ、そんなものがあるのか」
「あーなんかそんなことも言ってたか?」
「お前はなんで覚えてないんだよ」
「ちょっと待って、それを探せって言われたの?」
「そうだ。この近辺にあることは確認できたらしいんだが、詳しい場所はわからないらしい。以前力の強い魔法師が魔法使いから譲り受けてそのアーティファクトの封印をしたらしいんだが、ここしばらくでその魔法師が死んだって話が舞い込んできたらしく、急いで創作依頼がなされたって流れだったか?」
「あーそういうことか。確かに自然から直接力をもらって奇跡を起こす魔法使いと、魔法の構造を知って組み上げる魔法師とは使える魔法と技術面が大きく異なってくるから、封印が目的だとするなら技術と知見に長けた魔法師の方にアーティファクトを託したのは頷けるね」
「それはそんなに危険なものなのか?」
「ギルマスが言うにはアーティファクトととしてはそこまででもないらしいぞ?」
「その、アーティファクトの名前ってわかる? 人に渡ってきたものなら、僕が知ってるものかもしれない」
「そのアーティファクトの名前は『七つの大罪』と言うそうだ」
「『七つの大罪』…………確か封印が施されたって言われてるのは……50年前。ってことは今その封印が薄れてる可能性があるかも」
「封印が解けるとどうなるんだ?」
「そのアーティファクトは、七つの強力な思念が封印された小さな箱なんだ。暴食、色欲、強欲、憤怒、怠惰、傲慢、嫉妬。それぞれが個別のエネルギー体で、七つで一つだと言われている。それは人に寄生する形で力を発揮し、巨大な魔力を手に入れることができる」
「それならデメリットがないように見えるが」
「ただし、これが寄生すると大抵がそれぞれの気質に沿った感情が増幅され、それに精神を蝕まれる。最後にはその膨大な魔力に体すら蝕まれて、体が崩れて無くなる」
「なんだそりゃ。武器としては欠陥品じゃないか」
「そうなんだ。だから僕も、おそらく魔法会の上層部、研究者たちも、これがどうやって武器として使われていたのかがわからないし、いまだに解明もできていないと思う。ただわかっているのは、確実に人間に対して甚大な被害はあるだろうってことくらい」
「だから急ぎの任務なんだろうな」
「話を聞く限りじゃギルマスが直接依頼しているところと、アーティファクトってところを見ると、極秘で依頼してきてるのは魔法会の上層部だろうな」
「僕もそう思うよ。ただ、なんで匿名なんだろうとは思う。探しているものがアーティファクトで、それこそ急いで探したいのであれば、魔法会はそれなりに権威ある組織だし、名前を出した方が人員も集まりやすいんじゃ」
「それはほら、あれだろ。大きな組織によくあるやつ」
「あれ?」
「自組織の失態を広めたくないんだよ」
「失態?」
「だろうな。もともと人が管理していたところを見るに、管理していた人間が属していたのはおそらく魔法会。そこからどう言う基準で決めていたのかはわからないが、人から人に渡って管理してきたなら、魔法会は常にそのアーティファクトの在処を管理していたってことになる。古代の『武器』であることは魔法を使う人間ならよく知っている、あるいは俺たちが思う以上に世間に広まっている。なら管理保有していたはずのものが突然行方をくらまして、罪を問われるのは誰か」
「魔法会、ってこったな」
「そういうことだ。加えて、庶民である俺たちが知っているなら王族は当然知っている。おそらく、その危険性や価値もよく知っているだろう。加えて、今王族と魔法会はいい関係にある。そんな中で管理していたはずの超貴重なものが行方しれずになったとしれたら?」
「関係は微妙なものになるでしょうね。微妙なものになるだけなら安いものですが、魔法会の管理不足から、アーティファクトを王族が管理するって話の流れになってしまうと、研究もできなくなってしまうおそれがある。仮に王族が配慮してくださって研究ができたとしても、魔法会の内部構造はガラッと変わることになるでしょうね」
「そう。大事になってしまうわけだ。それなら名前を出さず、王族にも誰にもバレる前に事態を収集してしまおうとするのはわからない話ではない」
「めんどくせぇ話だよなぁ」
「お前はもっと人の話を聞け」
「難しいことは俺にはわからん」
「あぁ、なるほど。だからある程度どこにあるのかがわかっているんだね。魔法会の上層部が調べていたなら納得かな」
「まぁ、それでもまだ気になる部分は色々あるんだがな。その辺は俺たちが考えても仕方ないことだ。どうせ断るんだから」
「あ? やるぞ?」
「は?」
「え?」
「なんだよ、場所が分かってて、あとは見つけるだけならできるだろ?簡単なお仕事ってやつだ」
「『簡単なお仕事』に、3年も豪遊できる金額を提示する人はいないと僕は思います」
「いつも言ってるだろ。お前はもう少し頭を使え。そして話を聞け」
「なんだ、聞いてただろ? 何が問題なんだ」
「一つずつはなすぞ? まず、今回探している代物は、古代武器として使われていたとされる強力なものだ。そしてそれは代々魔法会が管理する魔法師が封印を施してきた、ここまではいいか?」
「ガキに諭すような話し方な気に触るが理解してる」
「二つ目だ。そのアーティファクト本体は思念体で、人に取り憑く。莫大な魔力を得る代わりに確実に死ぬ。そしてその封印が今にも解かれそうな状況なわけだ」
「そうだな?」
「加えて、今回提示された金額は僕たちが3年豪遊できるほどの莫大な金額。別にハイランク冒険者でもなく、かと言ってローランクってわけでもない中途半端な僕たちが選ばれた」
「つまり、死ぬ危険があまりにも高すぎる任務で、悪く言えば捨て駒にされかけてるって言ってるんだ」
「待て待て矛盾があるぞ。魔法会はこのことをいち早く解決したいんだよな? なんでそんな回りくどいやり方をするんだよ?」
「それは分かりませんが、随分前に回った噂があります」
「うわさ?」
「そうです。その思念体は取り憑いた人間が滅びると、一度はこの中に戻ってくるんだって、真偽はわかりませんが、ここまでの話と総合すると」
「一度取り憑かせて、ほかの手だれの冒険者に滅ぼさせる。すると思念体は一度戻るから、万が一封印が解けたとしても再封印が容易になるって流れが一番辻褄が合うのか」
「はあ!? 完全な捨て駒じゃねぇか!」
「だから僕たちはずっとそう言ってたんだけどなぁ」
「毎回こいつに説明するだけで一苦労だな」
「同感です」

そこまで聞いてしまってから、女の子は意を決して話しかけた。
「あの」








女の子はその3人に自己紹介をし、話を聞いてしまったこと、その箱について知ってるかもしれないことを伝え、後日またこの居酒屋へ来るようにお願いする。
3人は一応了承をして宿へ戻り、後日女の子に会いに来る。
女の子は事情を説明したあと、箱を取り戻して欲しいと告げる。自分は魔法会に属する者ではないが、魔法師だった姉にいろんなことを教わっており、魔法使いにも魔法師にもなれる素質を持っていることを仲間のイドラスが保証する。
だがことが事なだけにそれを了承するわけにもいかず、妥協案を提示した。
これほどまでの素質があるなら、魔法会に入るための試験を受けてみてもいいかもしれない。それに受かることができて、一定以上の成績を収めることができれば、上層部への連絡手段が確保できる。それを持って説得するなり、自分が管理するに相応しい者だと証明ができれば、その箱を女の子に返すことも可能だろう。しかし、今すぐ了承はできない。
と伝え、女の子からも理解をもらい、いざ大罪探しへと踏み切る。





【ダイジェスト】



しばらくの間箱を探すが見つからない冒険者たち。
箱を盗んだのは意地の悪いトレジャーハンターの一人。
七つの大罪の存在を知り、その代物がどんな者であるかを知っている醜いそいつが盗み出し、売り飛ばしてしまおうと画策していたが、女の子が毎日送っていた魔力が途絶えたことでその封印が解けてしまい、七つの思念体は世界のどこかに飛んでしまう。
恐ろしくなって箱を投げ出し逃げる男。それを冒険者が見つけて頭を抱えることになる。
一応ギルマスに全員で報告することにし、判断を仰いだところ、思念体を再封印するまで、そのまま任務を行って欲しいと言われる。
再封印に際して魔法使いではなく魔法師が必要だったが、魔法使いが女の子を指名、素質を確認し、封印方法を知っているかを確認し(女の子は姉から教わっていて知っている)、ギルドに登録することで許可を得た。ここから四人の旅が始まる。

【暴食のエピソード】


魔法使いに魔法を教えてもらいながら魔法師の勉強をする女の子。
四人で旅をしていたある日、東北の森を抜けた先にある村でトラブルが発生。村人の食料がほとんどない状態とのこと。
季節は夏の終わりにさしかかり、作物はまだ育つ環境な上、少し前に収穫期を迎えているはずの食料が見当たらない。
村人に話を聞くと、収穫をした村共同の食糧庫に全て保管してあるはずが、3日でほぼもぬけの殻になってしまっていたとのこと。
詳しい状況を確認するため、多くの村人に確認すると、ある家は一晩も経たずに気づいたら食料がなくなってしまっていた。村人の多くは山に入り、自然の木の実や山菜、森に罠を仕掛けてとれた小動物などで食い繋いでいるという。
魔法使いが当たりの森をサーチすると森の中に何かがいる事に気づいたが、詳しい位置はわからない。
すると魔法師女の子が近くに行けば詳しい位置を特定する魔法を使えるとのことだったので、近くまで行って特定する。
すると、肌は黒く醜く変色し、腕も異様に長く、丸まった背中とちぢれた髪を振り乱しながら、何かを食べている。
よく見るとそれは野生動物の死骸。
驚いて女の子が声を出すと首がぐるりとこちらを向き、赤黒く光る目がこちらを捉えた。
【戦闘パート】
戦士が先陣を切り、騎士が後ろから追いかける。魔法使いがサポートに周り、戦闘に慣れていない女の子はその戦いを見守った。
案外タフなことと、ダメージが入ってるように見えないこと。
そこまでスピードは速くないがパワーが強い。
戦士は騎士に下がらせ欠点を見つけるようにいう。
戦士が戦っている様子を騎士が見つめる。魔法師が戦士のサポートで魔法を繰り出すなか、土魔法で作った岩と炎を避けるそぶりを見せる。
戦士に弱点を伝え、打撃にてその化け物を倒す。






【色欲エピソード】
【強欲エピソード】
【憤怒エピソード】
【怠惰エピソード】
【傲慢エピソード】
【嫉妬エピソード】







【ラストエピソード】



全部の思念体を封印する事に成功し、悪いトレジャーハンターを撃退。長い旅に終止符を打ち、ギルマスに報告。
トレジャーハンターと共謀していた魔法会内のスパイも炙り出せて万事解決。ただし、今回の騒動が王族にバレてしまい、魔法会は痛手を食ってしまい、報酬はおじゃん。代わりに、今回の件を解決した3人には多額の褒章と好きなものを一つだけもらえる権利が与えられ、一人が住み心地の良い安い家、国宝級の家事職人が作った武器、国家機関に属する魔法使いが持つ書物の閲覧許可、女の子はアーティファクトの定期的な閲覧許可。それぞれが思うままに申請し、全て許可を得た。
高貴なお方だった女の子は魔法と魔法士としての技術を高めたいと言ってギルドに正式所属する事になり、親からも理解を得た。
全て終わって、最初に出会った酒場で「昨日のことのようだな」と笑いながら、女の子の正式加入を祝って、酒をぶつけ合うのだった。
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