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第一章
第五話 やっぱり悲報
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「ハァッ…ハァッ…」
息が乱れてきているのを感じる。
不味いな…
今、俺はギルドから受けた初クエストに来ている。正直、自分のレベルにあった敵を選んだつもりだったが、とんだ間違いであったようだ。
正式な初クエストということで気分が高揚していた俺は
「折角だし一人で行かせてくれ。」
と言って、来たのだが全く…こんなことになるならば複数人で来るんだった…。
「なんで、死なねぇんだぁぁあああ!!」
そう叫び、モンスターを何度も切りつける。手応えはあった。
だが…そのモンスターはまるでダメージを受けていないかのように平然とその場にいる。
動作はゆっくりだが、俺の攻撃を物ともしないそのモンスターに軽い戦慄を覚える。
そのモンスターの名は……!
「スライム」
~~~~~
さて、こうなったのには理由がある。
俺は武器を受け取った次の日、「スライム3匹の討伐」のクエストを受けて、いつもの場所(鉱石を採掘していた洞窟のすぐ隣にある草原。この時はギルドからの依頼ではなく、個人的に来ていたものだった。)へと向かった。
着いてすぐ、スライムを見つけた俺は武器を構え、スライムに向かって走り先日こしらえた刀「蒼天」で(透き通った青い刀身からそう名付けた)切り裂いた。
「なるほど。初心者向けのモンスターってだけにあまり強くはないな…。このぶんなら、すぐに終わるかな?」
そう呟いた俺だったが、先程切り裂いたスライムをみてギョッとする。
何と再生していたのだ。そしてその場に平然ととどまっていた。
「このッッ…!」
俺はもう一度スライムを切り裂くが、結果は同じ。やはり再生される。
そしてそれから3時間繰り返した結果はやっぱり変わらない、そして今に至るーー。
「クソッたれ……」
俺は最早、戦意を喪失しかけていた。まさかにスライム一匹にここまで大変な思いをするとは…
「…仕方ない……今日は帰ろう……。」
このままやっても拉致があかない。
正直、何故死なないのかわからないが攻撃しても意味がないならば、どうしようもない。
こうして、俺の初クエストは失敗に終わったのだった…。
~~~
俺はギルドに着くと、すぐに報告へ向かった。
「あ、コウスケさん。お疲れ様です!どうです?はじめてモンスターと戦ってみて。」
「あ…はい。凄いっすね…。」
俺の明らかにクエストに失敗したという表情をみて、ギルドの職員さんの顔も曇る。
「ど、どうされました?何かあったんですか…?」
俺はスライムが何度切りつけても死ななかったことをギルドの職員に告げる。
「切っても死なない…?そんなはずは……あ、少し待ってて下さい…!」
何かに気づいたのか。ギルドの職員がカウンターの奥へと向かう。
…5分程待っただろうか。職員さんが分厚い本を抱えて戻ってきた。
「これが…スライムの文献です…。」
何やら職員さんは非常に言いにくそうにして、俺にそのページを示してくる。
何々…?
<スライム>
他モンスターに比べ比較的温厚な性格をしている。攻撃もゆっくりのため、避ける事は容易である。
ここまでは、良かった。俺もこれは実際に戦ってみて分かった。だが、次の文が問題だった…。
<尚、物理耐性が非常に高いため剣などによる物理攻撃はほぼ通じない。だが魔法耐性は皆無なので、「魔法を使う」もしくは「武器に魔法効果ををもたせる」ことで簡単に倒せる。>
…この文を読んだ瞬間、俺は泣きそうになった。
身体能力が高く、武器の材質のお蔭で魔法に対して抵抗する手段は出来た。だが…魔法による攻撃は一切使うことが出来ないのだ。
たかが、スライム。と思っていたが、その価値観を根本から覆された……。
「え、えっと…その……PTを組まれれば倒せるはずですよ…。」
流石にこの事実にはギルド職員も何と言ったらいいのか分からず、俺から目を逸らす。
こんな事ならば、もっと文献を読んでおくべきだった。だが後悔しても後の祭り。
俺はこの異世界での生活が改めて厳しい事を痛感したのだった…。
息が乱れてきているのを感じる。
不味いな…
今、俺はギルドから受けた初クエストに来ている。正直、自分のレベルにあった敵を選んだつもりだったが、とんだ間違いであったようだ。
正式な初クエストということで気分が高揚していた俺は
「折角だし一人で行かせてくれ。」
と言って、来たのだが全く…こんなことになるならば複数人で来るんだった…。
「なんで、死なねぇんだぁぁあああ!!」
そう叫び、モンスターを何度も切りつける。手応えはあった。
だが…そのモンスターはまるでダメージを受けていないかのように平然とその場にいる。
動作はゆっくりだが、俺の攻撃を物ともしないそのモンスターに軽い戦慄を覚える。
そのモンスターの名は……!
「スライム」
~~~~~
さて、こうなったのには理由がある。
俺は武器を受け取った次の日、「スライム3匹の討伐」のクエストを受けて、いつもの場所(鉱石を採掘していた洞窟のすぐ隣にある草原。この時はギルドからの依頼ではなく、個人的に来ていたものだった。)へと向かった。
着いてすぐ、スライムを見つけた俺は武器を構え、スライムに向かって走り先日こしらえた刀「蒼天」で(透き通った青い刀身からそう名付けた)切り裂いた。
「なるほど。初心者向けのモンスターってだけにあまり強くはないな…。このぶんなら、すぐに終わるかな?」
そう呟いた俺だったが、先程切り裂いたスライムをみてギョッとする。
何と再生していたのだ。そしてその場に平然ととどまっていた。
「このッッ…!」
俺はもう一度スライムを切り裂くが、結果は同じ。やはり再生される。
そしてそれから3時間繰り返した結果はやっぱり変わらない、そして今に至るーー。
「クソッたれ……」
俺は最早、戦意を喪失しかけていた。まさかにスライム一匹にここまで大変な思いをするとは…
「…仕方ない……今日は帰ろう……。」
このままやっても拉致があかない。
正直、何故死なないのかわからないが攻撃しても意味がないならば、どうしようもない。
こうして、俺の初クエストは失敗に終わったのだった…。
~~~
俺はギルドに着くと、すぐに報告へ向かった。
「あ、コウスケさん。お疲れ様です!どうです?はじめてモンスターと戦ってみて。」
「あ…はい。凄いっすね…。」
俺の明らかにクエストに失敗したという表情をみて、ギルドの職員さんの顔も曇る。
「ど、どうされました?何かあったんですか…?」
俺はスライムが何度切りつけても死ななかったことをギルドの職員に告げる。
「切っても死なない…?そんなはずは……あ、少し待ってて下さい…!」
何かに気づいたのか。ギルドの職員がカウンターの奥へと向かう。
…5分程待っただろうか。職員さんが分厚い本を抱えて戻ってきた。
「これが…スライムの文献です…。」
何やら職員さんは非常に言いにくそうにして、俺にそのページを示してくる。
何々…?
<スライム>
他モンスターに比べ比較的温厚な性格をしている。攻撃もゆっくりのため、避ける事は容易である。
ここまでは、良かった。俺もこれは実際に戦ってみて分かった。だが、次の文が問題だった…。
<尚、物理耐性が非常に高いため剣などによる物理攻撃はほぼ通じない。だが魔法耐性は皆無なので、「魔法を使う」もしくは「武器に魔法効果ををもたせる」ことで簡単に倒せる。>
…この文を読んだ瞬間、俺は泣きそうになった。
身体能力が高く、武器の材質のお蔭で魔法に対して抵抗する手段は出来た。だが…魔法による攻撃は一切使うことが出来ないのだ。
たかが、スライム。と思っていたが、その価値観を根本から覆された……。
「え、えっと…その……PTを組まれれば倒せるはずですよ…。」
流石にこの事実にはギルド職員も何と言ったらいいのか分からず、俺から目を逸らす。
こんな事ならば、もっと文献を読んでおくべきだった。だが後悔しても後の祭り。
俺はこの異世界での生活が改めて厳しい事を痛感したのだった…。
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