どうも異世界で超能力者になりました

第一章

第7話 覚醒

「やっと、みつけたぜぇ…！」

少女から手を離し、こちらへと向かってくるボルス。俺とボルスの間にいた人達は自然と後ろへ下がり、広い空間ができる。

「あれから苦労したぜぇ…。てめぇに負けたせいで暫く心が折れちまってたからよぉ。」

「そのまま心が折れてりゃ、これから痛い目遭わずにすんだのにな」

俺はボルスに対して挑発しながらも少しの気も抜かない。

「ヘッ。まぁいいぜぇ！てめぇのお蔭でここまで強くなったんだからなぁ！！」

先程と同じように突進してくるボルス。よくみると身に付けている装備は所々少し尖っている。なるほど。殺傷能力を上げるための装備か。

俺はその事を判断すると、同じようにボルスへと駆け出す！

「ハッ！突進勝負ってかぁ！？いいぜぇお望み通り殺してやるよぉ！！」

さらに加速してくるボルス！そして互いに衝突しそうになった次の瞬間！

「だッッ！！」

俺は素早く身を屈め、横に転がりつつボルスの足を思いっきりはらう！

「なッッ…ウワァアアアア！！？？」

バランスを崩したボルスは勢いよく転び、そのスピードのせいでズザァアッッッと音をたてながら滑っていく。

ちなみに今、俺が使った技はいわゆる足払いである。

前回戦ってみて気づいたがあいつは只の脳筋野郎。少し技を使ってやればどういうことはない…。

だがその考えは甘かった。

「上だよ！馬ァ鹿！！」

「グハッ！？」

何故か上空にいたボルスに思いっき殴られ、地面に顔を叩きつけられる。

「俺が魔法を使えない脳筋だとでも思ったかぁ！？てめぇがそんな小賢しい真似をしてくることなんざこっちすでにお見通しなんだよぉ！」

再び降り下ろされた拳を避けつつ、何故ボルスが上空にいたのかを判断する。

先程、俺が足を払ったボルスの方へ目をやると人の形からサラサラと何かが霧散していく。

土魔法か…！

恐らく奴は土魔法で自身の身代わりを作っていたのだろう。なるほど。電気を通さなかったのも頷ける。

だが、先程の一撃はかなりのダメージになってしまった。頭がフラフラする。しかしそんな悠長なことも言ってられない。

「おらぁ！まだまだいくぞぉ！」

ボルスは俺一瞬で目の前へ来ると、拳を繰り出してくる。かろうじてかわすが二発目を避けられない！

ーーードゴォッ

凄まじい勢いで吹き飛ばされ、民家の壁にめり込む。

「カハッッ…！」

口から胃液と血が吐きだされる。おそらくあばら骨の何本かが今ので折れてしまった。

「おいおい。さっきまでの威勢のよさはどこに行っちまったんだぁ？」

ニタニタと笑いながら俺に近づいてくるボルス。

クソ…。「蒼天」をもってきておきゃ良かったぜ…！

「んじゃあ止めと行くかぁ！」

もう目の前まで迫ってきていたボルスが俺に止めを刺そうと拳を振り上げる。

畜生…！こんな所で死ねるか…！

「死ねぇ！！」

ボルスの拳は降り下ろされる…！が、その拳は俺には届かなかった。なぜなら…

壊れた瓦礫が宙に浮き、ボルスのパンチを防ぐ盾ような役目をはたしていたのだ。

「なっ…なんだこりゃ！？」

慌てて飛び退くボルス。

俺自身、何が起こったかわからなかったが、何故か今起こった現象を理解できた。

そして理解した瞬間…。俺は立ち上がり言い放った。コイツとはじめて戦った際に言ったように…！








「悪かったな。本気ださなくて。ちょっとだけ本気出してやるよ。その代わり、てめぇの命の保証はねぇぞ？」