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第二章
第3話 自分を知る
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「ま、まぁ…そんな落ち込むなって…気持ちはわかるんだけどさ…」
ルビンにそう励まされる俺。
「あぁ…大丈夫だ…。問題ない…」
いや、全く大丈夫ではないのだが。
今日、俺たちは(ルビン、ミレナリオ、セレスティン、俺で)クエストに出掛けたのだ。
そして、初級クエストーかつて俺が受注したスライム討伐クエストーを受けたのだ。
結果は大成功、なのだが…
「そうですよ!師匠!!師匠は魔法が使えないんだからスライムが一匹すら倒せなくても当然なんですから!!」
「お前、頭をカチ割るぞ…」
俺から返ってきた答えに驚くミレナリオ。
こいつ、悪気があるわけじゃないから余計たちが悪い…。
そう、ミレナリオの言うとおり結局俺はスライムの一匹すら倒すことも出来なかったのだ。
「超能力に目覚めた今ならスライムくらい余裕なはずだ!」
そう意気込んでいたのだが、
俺が目覚めた超能力は「触れた物体を操作」することなのだ。つまり魔法はやはり使えない。となると結局攻撃できない。
となるとやはり倒せない…。
「大丈夫だ…!気にするなよコウスケ…!きっと倒す方法はある…!」
ルビンがまた励ましてくれるが…
恐らく倒す方法は皆無に等しいだろう。
俺は今日と以前の戦闘経験と書物の知識を照らし合わせて考えてみたのだ。
書物には「物理攻撃だけで倒すことはむずかしい」と書かれており「物理攻撃だけでも倒すことは可能」という風に受け取れる内容だった。
だが、俺がどれだけ攻撃しても倒れることは無かった。
そこで俺が考えたのは「魔法才能が少しでもあるならば無意識に自然と物理攻撃にも魔法を使用してしまっておるのでは?」ということだった。
検証のためにミレナリオにこっそり協力してもらい、魔法を使わないで物理攻撃だけでスライムを倒してもらった。
一体倒すのにかかった時間は約30分。
俺の身体能力値はミレナリオの約五倍ほど。
だが、俺がどれだけ攻撃してもスライムは倒れない。
つまり、俺の仮説は正しいことが証明されてしまった訳だ。
そしてこれが今なお、俺が立ち直れない理由でもあるのだ。
「まぁ、また機会があったら行ってみようぜ!」
俺の落ち込む理由に気づく事もなく、ルビンはそう言ったのだった。
~~~~~~
(さて、本当にどうするか…。)
流石に街に着いてからは落ち込んでいる事もできない。
なんとかして、対処方法を見いださなければこれから冒険者として食っていくには厳しいのだ。
(とりあえずは俺の超能力について調べるか。何か見つけれるかもしれない。)
そして翌日。
俺は街から出てすぐそばにある草原に来ていた。ここならばモンスターが出ることもないので安全に超能力を試すことが出来る。
「まずは操作時間からだな。」
俺は「蒼天」の持ち手に手を触れる。
そして、そのまま「蒼天」を空中に投げ上げ、「蒼天」の操作を始める。
「なんか、何度やっても不思議な感覚だよなぁ…。」
対ボルス戦の時はそこまで気にならなかった事なのだが、改めて何かを操作するというのは変わった感覚がある。
「……」
20分程経過しただろうか。少し操作するのが疲れてくる。
そして更に5分後。
カラン、という音と共に蒼天が地面に転がっていく。
「操作時間は大体こんなもんか。次は超能力の範囲だな。」
俺は地面に落ちた「蒼天」を持ち上げると再び操作を始める。
どうやら、連続でも使用できそうだ。
「よし、それじゃあ…」
俺は「蒼天」を空中に浮かせると、自分から遠ざける。
ボルスと戦った際は、約100m離れた宿から持ってきたので、恐らく200mくらいなら問題ないだろう…と思っていたが。
「これ…離れると見えなくなるな…。」
恐らく150mほど飛ばしたはずなのだが、「蒼天」が小さすぎてごまのように見えてしまう。
(遠くから持ってくるのは問題なさそうだけど飛ばすのはきついな…。一応、100mが限界って考えとくか。)
「蒼天」を操作してまた自分の方へと寄せる。
「さて…と、んじゃ、他の物でも試してみるか。」
俺は「蒼天」を近くにおろし、その辺にあった砂利を手に握れるだけ掴む。
「おぉ、こりゃいいな」
砂利を操作したところ、全て自分の手足ように扱うことができた。
……もしかすると。
「これをこうしてっ…と。」
それまで俺の回りを浮遊していた砂利を操作し、左手の拳を覆うような形で包み込む。
すると、俺の左手の拳はガン○ムのような見た目になる(色は砂利のままだが)
「おぉ…!一回やってみたかったんだよなぁ。」
が、やはり問題はおこる。
「これ…見た目だけだな…。」
形を形成したはいいのだが、少し触れただけで崩れてしまうのだ。ガ○ダムのような丈夫さは期待出来ないだろう。
…と、そこで俺はあることに気づいた。
「これ…地面にやったらどうなるんだ…?」
俺は地面に手を触れると、操作しようと試みる。…が、何もおきない。
「ん?やっぱり対象がでかすぎると無理なのか…?」
先程、砂利で試して気づいたのだが「蒼天」を操作するよりも楽な感じがした。(「その楽な感じってどんな感じなの?」とか聞くのは無しで)
おそらく俺の能力は質量か物体の大きさによって操作出来るかが決まってくるのだ。
「ま、地面はでかすぎるし、重たすぎるな。他にも試してみるか。」
それから暫く、俺は自分の能力の調査を続けるのだった。
~~~~
「ふぅ…こんなもんか…!」
恐らく、試したいことはこれで終わりはずだ。
ここで俺が今日わかった事をまとめてみよう。
可能なこと
・対象に触れているならば自由に操ることできる。…が、質量や物体の大きさに関係する。
・距離は恐らくどれほど離れていても問題はないだろうが、俺が認識できなくなる可能せいがあるので、100mを限界とする。
・物体の大きさ、質量によって操作の精度が変わってくる。小さいものならば、今日の砂利のようにより多く操作することが出来るだろう。
・操作可能時間は約20~30分。中々長い。
・物体の操作は可能だが、物体の本質を変えるのは不可能。しかし、物体の変形は可能なよう。
そうこう考えているうちに、俺の泊まっている宿に着いた。
そして、思ったことを一言。
「結局、どうしようもねぇぇえええ!!!!」
その夜、街に大絶叫が響き渡ったのだった。
ルビンにそう励まされる俺。
「あぁ…大丈夫だ…。問題ない…」
いや、全く大丈夫ではないのだが。
今日、俺たちは(ルビン、ミレナリオ、セレスティン、俺で)クエストに出掛けたのだ。
そして、初級クエストーかつて俺が受注したスライム討伐クエストーを受けたのだ。
結果は大成功、なのだが…
「そうですよ!師匠!!師匠は魔法が使えないんだからスライムが一匹すら倒せなくても当然なんですから!!」
「お前、頭をカチ割るぞ…」
俺から返ってきた答えに驚くミレナリオ。
こいつ、悪気があるわけじゃないから余計たちが悪い…。
そう、ミレナリオの言うとおり結局俺はスライムの一匹すら倒すことも出来なかったのだ。
「超能力に目覚めた今ならスライムくらい余裕なはずだ!」
そう意気込んでいたのだが、
俺が目覚めた超能力は「触れた物体を操作」することなのだ。つまり魔法はやはり使えない。となると結局攻撃できない。
となるとやはり倒せない…。
「大丈夫だ…!気にするなよコウスケ…!きっと倒す方法はある…!」
ルビンがまた励ましてくれるが…
恐らく倒す方法は皆無に等しいだろう。
俺は今日と以前の戦闘経験と書物の知識を照らし合わせて考えてみたのだ。
書物には「物理攻撃だけで倒すことはむずかしい」と書かれており「物理攻撃だけでも倒すことは可能」という風に受け取れる内容だった。
だが、俺がどれだけ攻撃しても倒れることは無かった。
そこで俺が考えたのは「魔法才能が少しでもあるならば無意識に自然と物理攻撃にも魔法を使用してしまっておるのでは?」ということだった。
検証のためにミレナリオにこっそり協力してもらい、魔法を使わないで物理攻撃だけでスライムを倒してもらった。
一体倒すのにかかった時間は約30分。
俺の身体能力値はミレナリオの約五倍ほど。
だが、俺がどれだけ攻撃してもスライムは倒れない。
つまり、俺の仮説は正しいことが証明されてしまった訳だ。
そしてこれが今なお、俺が立ち直れない理由でもあるのだ。
「まぁ、また機会があったら行ってみようぜ!」
俺の落ち込む理由に気づく事もなく、ルビンはそう言ったのだった。
~~~~~~
(さて、本当にどうするか…。)
流石に街に着いてからは落ち込んでいる事もできない。
なんとかして、対処方法を見いださなければこれから冒険者として食っていくには厳しいのだ。
(とりあえずは俺の超能力について調べるか。何か見つけれるかもしれない。)
そして翌日。
俺は街から出てすぐそばにある草原に来ていた。ここならばモンスターが出ることもないので安全に超能力を試すことが出来る。
「まずは操作時間からだな。」
俺は「蒼天」の持ち手に手を触れる。
そして、そのまま「蒼天」を空中に投げ上げ、「蒼天」の操作を始める。
「なんか、何度やっても不思議な感覚だよなぁ…。」
対ボルス戦の時はそこまで気にならなかった事なのだが、改めて何かを操作するというのは変わった感覚がある。
「……」
20分程経過しただろうか。少し操作するのが疲れてくる。
そして更に5分後。
カラン、という音と共に蒼天が地面に転がっていく。
「操作時間は大体こんなもんか。次は超能力の範囲だな。」
俺は地面に落ちた「蒼天」を持ち上げると再び操作を始める。
どうやら、連続でも使用できそうだ。
「よし、それじゃあ…」
俺は「蒼天」を空中に浮かせると、自分から遠ざける。
ボルスと戦った際は、約100m離れた宿から持ってきたので、恐らく200mくらいなら問題ないだろう…と思っていたが。
「これ…離れると見えなくなるな…。」
恐らく150mほど飛ばしたはずなのだが、「蒼天」が小さすぎてごまのように見えてしまう。
(遠くから持ってくるのは問題なさそうだけど飛ばすのはきついな…。一応、100mが限界って考えとくか。)
「蒼天」を操作してまた自分の方へと寄せる。
「さて…と、んじゃ、他の物でも試してみるか。」
俺は「蒼天」を近くにおろし、その辺にあった砂利を手に握れるだけ掴む。
「おぉ、こりゃいいな」
砂利を操作したところ、全て自分の手足ように扱うことができた。
……もしかすると。
「これをこうしてっ…と。」
それまで俺の回りを浮遊していた砂利を操作し、左手の拳を覆うような形で包み込む。
すると、俺の左手の拳はガン○ムのような見た目になる(色は砂利のままだが)
「おぉ…!一回やってみたかったんだよなぁ。」
が、やはり問題はおこる。
「これ…見た目だけだな…。」
形を形成したはいいのだが、少し触れただけで崩れてしまうのだ。ガ○ダムのような丈夫さは期待出来ないだろう。
…と、そこで俺はあることに気づいた。
「これ…地面にやったらどうなるんだ…?」
俺は地面に手を触れると、操作しようと試みる。…が、何もおきない。
「ん?やっぱり対象がでかすぎると無理なのか…?」
先程、砂利で試して気づいたのだが「蒼天」を操作するよりも楽な感じがした。(「その楽な感じってどんな感じなの?」とか聞くのは無しで)
おそらく俺の能力は質量か物体の大きさによって操作出来るかが決まってくるのだ。
「ま、地面はでかすぎるし、重たすぎるな。他にも試してみるか。」
それから暫く、俺は自分の能力の調査を続けるのだった。
~~~~
「ふぅ…こんなもんか…!」
恐らく、試したいことはこれで終わりはずだ。
ここで俺が今日わかった事をまとめてみよう。
可能なこと
・対象に触れているならば自由に操ることできる。…が、質量や物体の大きさに関係する。
・距離は恐らくどれほど離れていても問題はないだろうが、俺が認識できなくなる可能せいがあるので、100mを限界とする。
・物体の大きさ、質量によって操作の精度が変わってくる。小さいものならば、今日の砂利のようにより多く操作することが出来るだろう。
・操作可能時間は約20~30分。中々長い。
・物体の操作は可能だが、物体の本質を変えるのは不可能。しかし、物体の変形は可能なよう。
そうこう考えているうちに、俺の泊まっている宿に着いた。
そして、思ったことを一言。
「結局、どうしようもねぇぇえええ!!!!」
その夜、街に大絶叫が響き渡ったのだった。
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