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第一章 異世界からきた姫様
第二幕 え? まじかよ、絵がほんとになるじゃん!?
しおりを挟む「パンパかパーン! 姫様、オメデトウございます! ついに、結婚相手発見ダスね」
何と稲光がした召喚ポスターから、魔法使いみたいな格好をし、身長50センチほどで藍色の瞳をしたものが現れた。何やら手に、でっかいペンとタブレットのような物を持っている。
「な、何だぁ? また変なのが、ポスターから出てきた!」
少年は驚嘆し、数歩また後退する。
「ピット、ありがと」
姫様は、可愛い声でいい、ニッコリと笑顔を見せる。
「我輩は、ユニ姫様、専属の宮廷魔法画家、ピット・レ・レッジェレなるものダス」
「宮廷魔法画家?」
少年は瞳を見開き、ゴクリと唾(つば)を呑む!
「ユニ姫様、早速でございますが、ムコ殿発見と致しまして、婿殿と、記念撮影画を描きとう御座いますダス!」
ピットはすんなりとタブレットを展開し、大きなペンを構え、描く体勢に入る。
「そうね、えっと、まだ、キミの名前、訊いてなかったね、あたしは、ユニ・ローザアマラント、魔法の国テスタのお姫様です。よろしくね。キミは何ていうの?」
ユニは笑顔で返し、可愛い声で言う。
「俺は、輝里利勇馬(きりり・ゆうま)、ゆーまでいいよ」
少年は、照れくさそうな面持ちで返す。
「あれ、あたしと頭文字同じだね、やっぱり結ばれている者は、運命的な愛があるのね♡」
ユニは、嬉しそうな面持ちで勇馬の手を握り、上下に手を握ったまま動かし、ポンポンと飛び跳ねる。明るい姫様だ!
「ほんとだな。偶然にしても、出来すぎてる気がするが……」
怪訝な面持ちでゆーまは、ユニを一瞥する!
「うふぅ。じゃぁ、ゆーま、許婚(いいなずけ)発見、記念撮影しましょ!」
「き、記念撮影?」
ユニが、にこやかな笑顔をみせ、ピットがいた方を振り向く!
「ピット、魔法タブレット展開して!」
「了解で御座います、姫様。魔法タブレット展開!」
Pon!
魔法タブレットが小さな状態から大きくなり、手で持てないくらいになった。そして、それは見事に宙に浮いていた。
「魔界を想像するダス!」
そういうと、ピットの藍色の瞳が淡く光りだした。
「相変わらず、典型的なやつじゃ!」
ラクリが嘆息気味の声で、突っ込みを入れる。
「ま、魔界?」
ゆーまが、おいそれといい、かたずをのんで眼をパチクリさせた。
「で、そのおっきいペンとでっかいタブレット、何、ユニ?」
「これはね、魔法の国テスラの魔法アイテムなの。でもね、宮廷魔法画家の資格を持った人しか使えないから、私なんかは、魔法が使えても使えないの」
ユニが、軽く可愛い笑顔をみせ、笑顔でゆーまに言葉を返す。ゆーまは、そうなのかといった面持ちでうなずいている。
ピットが、次の瞬間、重い口を開いた。
「ムコ殿、我輩の魔法ペンと魔法タブレットダス!」
淡々とピットが解説していく。魔法ペンと魔法タブレットは大きくなって宙に浮いている。
「では、我輩の瞳に魔界を映しますダス」
「ゆーまぁ、こっち来て、一緒に手を繋いだシーン撮ろうよ」
ユニが、ゆーまに手招きをする。ラクリが宙に浮きながら腕組をし、その様子を一瞥していた。
「う、うん、そりゃ、いいけどさ」
ゆーまは潔く、ユニの言われたとおりにおろろと、挙動不審な歩き方をして、歩んでいく。
そして、ユニの隣に来て、ユニが、思いっきり、ゆーまの手を握った!
「ほら、ラクリも一緒に!」
ユニが、宙に浮いて腕組をしていたラクリに、発破をかけるように呼ぶ。不貞腐(ふてくさ)れた機嫌の悪そうな顔で、ラクリはパタパタと羽を動かしユニに近付いてくる。
「姫様の手を握るとは甚だしい!」
ブスッとした面持ちで、ラクリがゆーまを睨みつける。
「ラクリ、いいじゃない。許婚(いいなずけ)なんだし!」
ユニが困った顔をし、えへへと愛嬌(あいきょう)をみせる。
「ユニ姫様、準備はいいダスか?」
どんどん、ピットの瞳が、眼光を強く光らせ輝いてく。
「いいよ、可愛く描いてね!」
ユニが言う。
「では、魔界創造! はぁ、キタぁッ! パニクルぅー」
頓狂(とんきょう)な声を出し、ピットは魔法ペンを持ち、両手を大きく広げた。次の瞬間、ピットの藍色の瞳が赤い色に変わった。
「な、なんだ、ピットの瞳の色が変わった!」
「魔法ペン展開!」
魔法ペンが光を出し、ピットの手が俊足に動いていく!
ズババババババ!
「は、速い!」
ゆーまは、余りの、ピットの手の動きの速さに、口をポカンとあけ、唖然となる!
「ふぅ、描けましたダス! 魔法画は魔力を多く使うダスな。しんどいダス」
少し、ピットが疲れた声で言うと、あっと言う間に、タブレットの中に魔法画が描けていた。
「魔法画、展開!」
「な、何だ! 描いた絵が、魔法タブレットから飛び出してくる!」
ピットが魔法ペンで、ペン先が、魔法の力で輝いた状態で、魔法タブレットを叩くと、目の前に写真よりもリアルな情景の見事な魔法画が現れた。それは淡く光っていた。まったくユニ、ラクリ、ゆーまたちと同じ姿の魔法画があった。
「あれ、何だ、これ? 俺が、もう一人いる? 今、手を繋いでいたシーンと同じだ! ラクリもいる」
ゆーまは、唖然となり、魔法画に指を差しながらいう
「ビックリしておるのぅ。魔法画は、現実にあったものと同じようにその時、描いたものが具現化するのじゃ! つまり、本人がしたことと、同じような情景を、魔法画で見ることができるのじゃ!」
ラクリが、淡々と説明していく。
「でさぁ、これ、消えるのかよ!」
「多分ね、消えるよ。ピットの魔法タブレットに魔法画は記録されているから、その魔法画を失わない限りは、何回でも具現化して見えるけど、ピットの魔法ペンで、突っ突けば消えるよ。いつもそうしてるもん」
ユニは、にこやかな笑顔でいい、可愛くウィンクする。
「ムコ殿、この魔法画を消すダスか?」
「いや、ユニと手を繋いでいるのを見えるのは、嬉しいんだけど、あのさぁ、やっぱ、恥ずかしい、消してくれ」
「了解いたしたダス! 魔法画破壊!」
PON!
ピットが、そういい、魔法ペンで、具現化していた魔法画を、突っ突くと現れていたユニたち三人の姿が、光り輝きながら消えてしまった!
「ピット、さっきの魔法画記録はしてるんでしょ?」
ユニが訊く。
「ユニ姫様、それは大丈夫ダス! 魔法タブレットの中に我輩の魔力で記憶させてあるダスから」
ピットは、胸を張り、ポンと丸い手で胸を叩く。
とんでもないやつがでてきたもんだ。
☆☆
第三幕につづく。UP予定。感想おまちしてます。
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