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第一章 異世界からきた姫様
第三幕 ええぇッ、いきなりきて、一緒に住むのかよぉ!?
しおりを挟むラクリたちの視線が集まる。
「一応、ラクリ、召喚ポスターの異次元魔法穴、蓋(ふた)しときましょ。また、お父様に見付かったら、強引にでもゆーま、連れて行かれそうだしね」
そういい、ユニは、ゆーまの部屋の壁にあった、召喚ポスターのブラックホールのような黒い穴を見遣る。
「で、この召喚ポスターの魔法穴って、もしかして、ユニたちの魔法の国と、ほんとに、繋がってるの、ユニ?」
「繋がってるよ。私の国と。それが、どうしたの?」
「いや、ということは、許婚(いいなずけ)ってことは、ユニと結婚したら、その、魔法の国に行って、君主になるってこと?」
「そうじゃ、まだわかっとらんやつじゃ! お主が、次期後継者といっておるじゃろ!」
「やっぱり、マジぃッ? じゃぁ、俺は、天皇みたいに鳥かごになるわけね」
何を考えているのか、ゆーまは、どよよんとした面持ちで下を向く!
「でもね、強引には連れて行かないよ。ゆーまが、私でいいって言ってくれて、好きになってくれて、私を守ってあげるって、言ってくれるような人になるまでは、強引には連れて行かない。こっちで、結婚してもいいしね」
ユニがうふふと、可愛い面持ちでいい、ウィンクをゆーまに飛ばす。
「ちょっと待って。何か、話がややこしくなってる」
行き成りの言葉にゆーまは、慌てふためき、身体(からだ)をバタバタ照れくさそうに動かす。
「では、姫様、異次元魔法穴を魔法アイテムで塞(ふさ)いでおきます!」
「お願い、ラクリ」
ユニが言うと、異次元魔法穴の前にパタパタと羽を動かし、ラクリがその真ん前で止まった。
「いでよ! 次元蓋(ディメンションホール)!」
PON!
ラクリが言うと同時に、瞬時に、蓋(ふた)のような物が現れた。恐らく魔法の国テスラの魔法アイテムだろう。
「展開!」
次元蓋(ディメンションホール)が大きく広がり、異次元魔法穴に覆いかぶさるようになった。
見事に異次元魔法穴が、次元蓋(ディメンションホール)で、すっぽり入り、塞(ふさ)がり閉じられた。その瞬間、ユニが手で、蓋を思いっきり引っ張ったりして、開かないか、チェックしだした。ゆーまは、どうしていいか判らず、固唾(かたず)を呑(の)んでいる。
「大丈夫そうね! ちゃんと閉まってるね!」
ユニは、安心した面持ちで言う。
「ねぇ、ゆーまのお父さんとお母さんは?」
ユニが、口に人差し指をやり、不思議そうな顔で、明るくゆーまの方を向き、訊(き)き返す!
「あ、あの、それがさぁ、海外に二人とも仕事で行っていて、いないんだ!」
少し、ゆーまが間を於(お)いて口を濁す。
「そうなの。許婚(いいなずけ)だから、お父様に挨拶(あいさつ)しようと思ったんだけど、残念ね」
「で、仕事はナにをやっておるのじゃ? 騎士か? 魔法使いか? 王様か?」
ラクリが、突拍子もないこという。
「お、王さま? ち、違うラクリ、ここは現代、魔法の国じゃネーっての! 父さんはゲームクリエーターだよ。んで、母さんはイラストレータだよ!」
慌てて、ゆーまは弁解する。
「ゲームクリエーター? イラストレーター? それ、何の仕事?」
ユニが、頓狂(とんきょう)な顔をして訊き返す。
「(あぁ、そうか、ユニの国にはないんだ)簡単に言うと、架空の世界を作る仕事と、絵を描く仕事だよ」
「まあ、創造主なのですね。お母様は、魔法画家ですのね」
ユニが、両手を握り、胸の前で、可愛く合掌し、目がキラキラ輝く。
「ん、(ちょっと、ニュアンスが違う気がするが)まぁ、そんなとこだよ」
呆れて、ゆーまは、言葉が返せなかった。
「じゃぁ、二人っきりなのね!」
ユニの目が、可愛く輝く。
「ふ、ふたりっきり?」
「同棲だね!」
「ど、同棲?」
「夫婦生活だね!」
「夫婦? ちょっと、待って!」
ユニの表情がどんどん輝き、目がキラキラ美化する。ゆーまは、照れて顔を赤くして、大きな声で、答えを返し、今にも、倒れそうなくらいだ。
「ゆーまぁ♡ 夫婦なんだし、一緒に寝ましょ♡」
「ね、ねるぅ~、待ってよ!」
ゆーまは、興奮し、ドキドキ慌てて、バタバタと手足を動かす。
「出て行けなんてゆーま殿、言ったらパンチじゃぞッ! か弱い姫様を敵の手に駆けるのかじゃ!」
ラクリが、痛いことを言う。
「うぅ、(痛いところ付くなぁ)出て行けとは言わないけど、待って、一緒に寝るのはまだ、止めよう。とりあえず、隣の部屋が空いてるから、そこをユニとラクリ、使ってよ。とりあえず、ピットは男だろ? 俺の部屋で一緒に住もう」
「ムコ殿とダスか?」
ピットが、不思議そうな顔をする。魔法の国では、男女関係なく一緒に寝ていたのだろうか?
「あったりまえだ。女の子と一緒に男が寝てたら、可笑(おか)しいだろ!」
慌てて、声を張り上げて、ゆーまは捲(まく)し立てる。
「ぜんぜんいいよ♡」
ユニがニッコリ笑い、笑顔で返す。しかし……
「そうじゃなくてさぁ、結婚もしてないのにって、話で」
「あたしは、いいよ! ゆーまだって許婚(いいなずけ)だもん」
「だ、だめ」
何を想像しているのか、ゆーまは赤くなって、その場に足を付いて蹲(うずくま)ってしまった。
「ゆーま、かわいい。恥ずかしがり屋ね」
うふふと可愛く笑い、ニコニコしている。
「姫様、とりあえず、夜が来ましたので、隣の部屋で、寝ることにしましょうじゃ!」
ラクリが、納まりがつかないので、急遽(きゅうきょ)、仕方ないと助け舟を出した。
「そうね、ゆーまも一緒に来る?」
「い、いけねぇ」
ゆーまがそういうと、ユニがドアのほうへ歩いていった。ラクリが後ろから付いていく。
「お、オヤスミ、また明日」
ドキドキ顔を赤らめながら、シャイな少年は、手をユニに振った。
「オヤスミー♡」
ユニが、ドアのところで、ウインクをし、明るく可愛い声で、眩(まぶ)しいくらいに言い、隣の部屋に歩いてく。
「ピット、寝よう!」
「ラジャーダス!」
ピットが、部屋にあったベッドに持たれかけて、横になった。暫(しばら)くして、ゆーまは何を考えているのか、机の前にある椅子に座り、机に立て肘(ひじ)をして、シャーペンを引っ張り出した。
そのままの姿勢で、二人とも眠りについた。
☆☆ ☆☆
第四幕につづく。10/23UP予定。感想おまちしてます。
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