ファウスト プリンセス

蒼井一

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プロローグ

とんでもない借金地獄になっちゃうじゃない? 

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ここは、ファンタジーの国、異世界プリマヴェーラ。剣や魔法があり、モンスターも普通に認識されている世界だった。
 暦はちょうど、パローラ暦1058年を数えていた。
 その世界のアルビコッカ大陸に面しているペペロンチーノ国にある、アイテム生成所、一般的には、錬金術店といわれている店で、ひとりの女の子とその子のしもべと思われるプニプニしたゼリーみたいないきものがアイテムを作るのにやっきになっていた。
 その女の子の表情はきびしかった。作れなくて頬を膨らませている。
ご機嫌斜めだ。
「遅いなぁ、ダングラス先生、まだ戻ってこないわ」
 おんなのこはふてくされた顔でぷーっといった。
どうやら、その女の子は弟子のようで、肝心の先生が店にもどってきていないようだ。
 時間は夜の九時を過ぎていた。
 そのとき、となりにいるプニプニしたいきものが女の子に話しかけた。
「どっかで、多分、また酒飲んでるプニよ」
「うー、それはいいんだけど、このアイテムどう作るんだろう~、全くレシピがわからなーい」
 アイテムを作る見習い生だろう女の子は頭をくしゃくしゃと手でかいて、半べそだった。
 そのときだった。
 頭を手でかいた反動で机がゆれ、引き出しから何かが落ちた。
 何かを書いた手紙のようだが。
 女の子は半べそでそれをみやり、足もとに落ちたのに気がついた。
「あ、あれ、手紙? なんだろう?」
「誰からプニ?」
 ゼリーのかたまりのような生き物は不思議そうな顔で言った。
 女の子は手紙を開封していく。
 すると。
「ダングラス先生からだわ」
 なんと、女の子の師匠からだったのだ。
「なんて、書いてあるプニか?」
 女の子は目で手紙をどんどん読んでいく。
 その書いてる内容がわかっていくと、女の子の顔色が青ざめていく。
(ミレアよ、先生は、しばらく、仕事で、隣国へ行ってくる。当分、戻らないから、店の経営は任せた。好きなように、店を変えてもいい。とりあえずだ、私は借金取りに追われているからな。隣国で稼いでくる。後は任せた)
「えぇぇッ、うそぉー、そんなのないよぉ~。借金って、とんずらじゃないのよぉ~」
 ミレアは借金という文字をみて半べそで泣き叫んだ。
 となりにいたゼリーみたいないきものがまた聞き返した。
「借金? ミレアいくらあるって、書いてあるプニか?」
「い、い、1億PRI……って、ええぇぇ、そんなの返せないよぉ~」
「一億プニ?」
 どうやら、この国の通貨単位はPRI(プリ)というようだ。
 一億借金があることにミレアは気付き腰を落とし、机に手を突いた。
 そのとき、ゼリーのいきものがえっへん顔でえらそうにいった。
「ミレア、こりゃ、腹切りプニね」
こつん!
「もう、プニロン、うるさい! 今、あたし、困ってるんだから」
 ミレアのげんこつがプニロンというゼリーの生き物にとんだ。
 げんこつをしたものの、プニプニしているため、プルンとはじけて力はかからなかったのだ。
 そのとき、顔をうつむけ、ミレアは半べそをかいていった。
「先生がいなかったら、あたし、まだ、見習いなのに、アイテム作れないヨぉ~」
「これ、なんだプニか? 近くに分厚い本があるプニよ」
 ミレアががっくりきたとき、プニロンが手紙の落ちたところからある重要なものをみつけた。
 それは。
「退魔錬金術師ダングラス完全秘技レシピ表? あたしにこれ見て作れっていうのかしら?」
「きっと、置いてあるってことは、そうプニよ」
 プニロンがそういうと、ミレアは目を大きく見開き、注意深く本をみやった。
 すると、ミレアの表情が急に明るくなった。
「あ、やったぁ。今、作ってるの、かいてる。ラッキィ、大丈夫だわ。よし、とりあえず、明日、納期のぺペロンチーノ国に提出する、『トロトロ薬草豆』こしらえるわよ」
 そう、納品物の作り方のレシピがかかれていたのだ。
ちゃんと作れれば、納品できる。
 プニロンも安堵し、ほっと息をはいた。しもべも大変なのだ。
ミレアはさっそく、本を片手に、材料を集めだした。




☆☆



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