ファウスト プリンセス

蒼井肇

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第一章 お姫様は退魔錬金術士なんだ。

第八話 私のお店開店! きっと開運になるんじゃない!?

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国への納品が終わり、翌日の朝。
 ミレアはベッドから起きて、眠そうな顔で何かをみやっていた。
 どうやら、木でできた、なにかの看板のようだが。
「ふぅ、もう朝ね、昨日はどうなるかと思ったわ。ほんと酷刑は免れてよかったぁ。じゃなきゃ、レディの美ぼうの手足がたたかれたら台無しだもん」
 ミレアはあくびをしながらいった。
 たしかに、かわいいが。
 プニロンがあきれながら口を開いた。
「また、自分でほめてる馬鹿プニ」
「あたし、まだ十七歳よ。恋してる乙女なのよ」
 ミレアはそういうと、木の板の方に歩みを寄せた。
「良い日差しね。とりあえず、これを店の外につけましょ」
「何プニか、そのでかい木の板プニは?」
 プニロンがそういうと、ミレアは木の板を拾い上げて、プニロンに表面をみせた。
「じゃーん、かわいいでしょ、昨日、一生懸命、考えて作ったのよ。みなさい、プニロン、絶対に店の運気見出せるわ。これも借金返済のためよ」
 その木の板にはなにやら、店の名前のような字がかかれていた。
 プニロンは、さらにあきれていた。
 そして、何を想ったか、ミレアは木の板を持って、駆け足で、階段を下りていった。
 外に出て、ミレアは釘とトンカチを持って、大工仕事をしていた。
 そう、看板を取り付ける作業だ。
 釘をたたく音が聞こえる。
「よっと、これで、最後、トントンと。できたぁ、やっと看板つけれたわ」
「手が真っ赤プニね。大分トンカチで自分の手たたいたプニね。不器用プニ」
「うるさいの。結構、痛かったんだから。でも最後まで頑張ったのよ、ほめなさいよ」
「頑張ったプニね。それで何て書いてあるプニか」
「『退魔錬金術店ファウスト プリンセス』よ」
 看板には、新しい店の名前がかかれていた。
ミレアの手はとんかちでたたいてしまい、赤くなっていた。
プニロンも見かねていた。
だが、どうにか、看板は見事につけれていた。やればできる子だ。
「確かミレアの苗字はファウスト、プニよね、で、姫ってなんプニか」
「えっへん。そうなの、いいでしょ。いいでしょ、王族みたいで。あたしの可愛いところ王子様にアピールしたいじゃない。姫よ、姫! この店の主で、姫よ」
 乙女の恋心はすごい。
「ま、かわいいのは可愛いプニが、身分がプニ」
「ダングラス店よりはましよ。絶対に開運よ」
「勝手に代えていいプニか?」
「ダングラス先生は経営や店をどんな風にでも変えていいっていってたもん。だから、昨日、寝ながら考えて作ってたの。名前、変えたら仕事だって増えるかもしれないしね」
「ま、功を奏するとも言うプニね」
「でも、250PRIじゃ、到底、一億PRIは返済できないわね。うー、生活費で消えそう。どうしよう。とりあえず、今日はプニロン、仕事もらいにギルドまで行きましょ」
「わかったプニ」
 話しがまとまり、二人は、ギルドに行く準備をするため、店の中に入っていった。
 店の名前がファウストプリンセスになったことで開運になるといいのだが。




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