サイキック捜査官 BLUE DRAGON

蒼井一

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第二章 鬼ヶ島鬼神面殺人事件

第十六話 東京の離島 鬼ヶ島

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あの事件があってから、しばらく経ち、涼たちは普通に高校に通っていた。
 カナ、翔、若菜も一緒にいる。涼は何かをポケットから取り出した。
「じゃーん、若菜、翔! カナちゃん! ついについに、当たったぞぉ! アイドルグループQLB41の姫君恭子ちゃんのディナーショー招待状!」
「ほんとっスか、涼師匠!」
「ああ、マジだ。しかもだ、四名様ご招待だ!」
「と、いうことは、俺っちとカナちゃん、若菜先輩もいけるっすね」
 翔の目が輝く。鼻息が荒い。カナと若菜もへぇ~といった面持ちで嬉しそうだ。
 そして、涼が言葉を紡いだ。

「カナちゃん、若菜、いくか?」
「ま、今をときめく、アイドルの姫君恭子に会えるならいってもいいけどね」
「先輩、あたしもいいですよ」
 若菜とカナは少し不満そうな顔をしたが、相槌をきれいに打った。

「よし、決まりだ。じゃ、皆で行こうか。場所はだな……」
「涼師匠、恭子ちゃんの華麗な水着姿っすよ」
 そのときだった。翔が何かの雑誌をカバンから取り出して、涼に見せた。
「おお、めっちゃ可愛いじゃん」
 涼は鼻の下を伸ばし、にやけてしまった。どうやら姫君恭子の大ファンのようだ。
 確かに、水着姿は妖艶だった。
 若菜の顔色が変わった。
「ふん、なによ、こんなブス!」
「あぁー、若菜先輩、そりゃないっスよぉ、せっかく、ヤングマガピン少ない小遣いはたいて買ったのにぃ」
 なんと、若菜はヤングマガピンの雑誌を真っ二つに破いてしまった。
 さすがにこれには涼たちも参った。
 翔は、反動で立ち崩れた。
 カナがそれをみて、ポンと翔の肩をたたいた。
「翔君、ご臨終ね。仕方ないよ、敵だもん」
「敵って、そんな」

「(本破るって、おいおい、女の嫉妬はこわいな)」
 涼も苦笑いし内心で叫び声をあげた。
 そして、また涼は説明を始めた。
「それでだ、場所はだな、東京の離島、鬼ヶ島なんだ。日は、来週の日曜日だ」
「なーんだ、ここから近いじゃない。よかった。カナちゃんドレス着て行こうよ」
「そうだね、海があるから、水着も持って行こうか」
「み、水着!」
「師匠、アイドルはいるし、パラダイスっスよ、楽園っスぅ」
「はぁ、お前は、そればっかりだな」
「絶対にデジビデに恭子ちゃんの笑顔と生ボディ納めるっす!」
「先が思いやられる」
 涼は翔の喜び方に嘆息めいたが、嬉しいのは同じだった。
 そうこうして、みなその日を待ち、学校を後にした。






☆☆
第十七話につづく。UP予定。
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