笑顔になる魔法

ルーナ

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笑顔になる魔法

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「此度はこちらの都合で勝手に呼んでしまい申し訳ない。異世界の勇者殿達よ、現在我々人間の国は危機に瀕している。魔族との戦争である。ぞの戦争で疲弊しきってしまった。人的にも食料的にもだ。それはあちらとも同じだと思う。ここにきて終わらせる決め手に欠けてしまった。長年続く戦争で。この大陸は狭い、魔族との共存の道は難しいのだ。あと一手で決まる何かが欲しい。藁にもすがる思いで召喚、異世界からの力にと逃げてしまったふがいない我々を笑ってもいい。だがどうか助けていただきたい。」


煌びやかなな大広間、頭部には王冠が輝いており、高そうな金色の杖を持っている初老の男性が堂々と話す。ただその男性の顔はいささか疲労の色が見える。目の下にはクマがあり、頬がこけているように見える。


「諸君らには不憫な思いはさせたくない。戦争に行きたくないと思うものもいよう。強要はしない。最低限生活できる程度のものは与えよう。ただ仕事にはついていただくつもりだ。協力してもらえる勇者には訓練期間のすえ戦場へと行ってただく。ここに残っているのは今の世役に立たない金・宝石類。恩賞は沢山与えると約束しよう。その後元の世界へ帰るか、、残るかはそなたたち次第である。」


周りがざわつく。クラスメイト達がどうするか話をしているようだ。


「伝承によると異世界からの勇者には珍しいスキルなるものを備えているのだとか。」


更に周りがざわつく。殆どの人が一度は思っただろう。魔法が使えれば…。ここはそんな世界なのだろうと理解できる。


「確認してからでもよい。どうか我々に力を貸していただきたい」


そう言い頭を下げる。すると回りの兵達が騒ぎ始めた。そう
貴族は平民には頭を下げないと本で読んだことがある。ましてやそのトップである王は頭を下げてないけない存在なのだ。そう、彼はこの間国の王であった…。






時は少し遡り、現代日本。どこにでもある高校、その一室にいた全ての生徒が神隠しにあった。
私もその内の一人。樹山翠、それが私の名前。平凡な家庭に産まれ平凡に育ち、最近まで平凡な学生生活をしていた。そう最近までは…。


両親が伴に交通事故により事故死。両親は駆け落ち同然で結婚していたため親戚からの評判は良くなかった。ただ私は未成年のため親戚に引き取られる事になった。高校は転校しなくて済んだ事は幸運であったが、世界が変わった感じがした。


引き取った親戚からは要らない子と言われ冷たくあしらわれていた。暴力は受けなかったが、両親を一緒に無くした喪失感に言葉の暴力はつらかった。


家庭での環境が変わると自然に学校での環境も変わっていった。これは恐らく私に原因がある。余裕がなくなり人付き合いが悪くなって友達は離れていってしまった。


楽しい事なんてない、そんな事を思いながら過ごしていた。


そんなある日…


「我が名はアーデンベルグ、この国の王である。」


そう、異世界へ喚ばれたのだ、クラスメイト全員と一緒に。正直少しどきどきした。もしかしたらここが私の居場所なんじゃないかって…。


「王さま、俺頑張るよ!協力させてくれ!」


「私も力になりたい。興味もあるし。」


そんな声が聞こえてきた。


「諸君、感謝する…。では一旦訓練場へ移動する」


王は近くにいた帽子をかぶり、いかにもって感じのローブを纏った男に目配せをする。


男は頷き、なにかを口ずさむ。


すると床が突然光だした。私は眩しくて目をつぶる。


気がつくと風が頬を撫でた。さっきまで屋内だったハズなのに、そう思い目を開けるとそこはさっきまでの場所と違った。


「驚かせてすまない。今のは転移魔法である。さぁ、ここが訓練場である。各々どんなスキルがあるか確認してほしい」


スキルはどんなものか自然とわかるみたい。中には特定の条件じゃないと発動しないものがあるらしい。この世界の人もそれぞれスキルは持っているけど、生活に便利くらいとの事。その中でも攻撃的だったり、治癒だったりでどこで働くか決めるらしい。


「うおー、すげー!手からビームが出たぞ!」


「私剣が出せるみたい、少し体が軽い気がするかなー」


「ふむ、やはり変わったスキルが多いな。しかも強力だ。」


やっぱりみんな使うスキルがわかるみたい。私は…。


なんとなく植物が気になるみたい。


よし、なんか恥ずかしいけどやってみる。私は地面に生えている草に手を向ける一つの植物はゆっくりと成長し、ポンッ!と花が咲く。


「え、私こんなスキルなの?」


ショックだった。もしかしてこれだけのスキルなのかもしれない。


「樹山、お前どんなスキルだった?」


クラスメイトに話しかけられてドキッとする。


「私…花を咲かせるだけのスキルみたい」


「うける!花咲かすだけって。他になんか出来ないの?」


「そんなのわかんないよ…でも、他にも出きるかも!」


これだけなんて悲しすぎる、そう思いつつもう一度別な植物に手を向ける。


ボウッと手がうっすらとひかる。


手が暖かい。


光を浴びた植物はゆっくりと成長し、ポンッと音を立てて花がさく。


雪はまだ手の平をあて続けているが変化がない。


「樹山のはハズレ確定じゃん。留守番よっろしっくねー!」



あー、ここでも要らない子決定らしい。少し期待してただけにショックが大きい。


「っっう、ひっ……。ひぐ……」


せっかく誰かの役に立てると思ったのに。悔しい……。


いつのまにか溜まっていた涙が頬を伝う。


最近は涙脆い。両親が亡くなってから泣きすぎだと思うくらいに…。


「御主のは魔法だな。使いようによってはいいかもしれんが、花を咲かす程度なら余り期待しない方がよいであろう」


誰かが私の肩に手を置きながら話す。


「どんなスキルかは自ずとわかるはずだ。攻撃系や回復などのサポート系は是非魔族討伐へ参加してほしい。その他のものには復興支援をしていただきたい。この者以外は実用的なものばかりである」


手を置いたのは王冠を頂に輝かした王であった。王のいうこの者とは私の事だろう。私には出来ることはないのだろうか?


「俺は魔族を倒し、この世界を平和に導くぜ!」


「私も勇者って呼ばれるように頑張りたい!」


「こんなスキルで役に立つなら手伝ってやるのもいいかもしれない」


「あの子可哀想」


「諸君、感謝する。諸君には一ヶ月間と短いがそれぞれのスキルを生かせるように訓練をしよう。」


クラスメイトに王はそう言った。


「御主には申し訳ないが、王宮に残り侍女として働いてほしい。御主より能力の高いものは他におる。だから御主は……」


普通の仕事をして、戦争が終わるのを待て。そんな内容だった。


私にはそれを受け入れるしかなかった。






暫く経ったある日。


「雪さん、何度言えばわかるのかしら!選択するシーツはこちらに、綺麗なシーツはこちらに!!わかりましたか?」


「…はい。すいません。」


私は今王宮の侍女をしている。主な仕事内容は清掃。他のクラスメイトは訓練を頑張っているらしい。


「はあ、ホント勇者佐間の中でも落ちこぼれはいますのですね」


こんな言葉を言われる足袋に私の心は荒む。だけど平気。


「うー…、っうー、ひっく!うぇ……っん」


平気と思ってもダメみたい。大丈夫、気にしない!そう思っても寝るときには自然と涙がでてくる。


きっと私はどこにいても役にたたないのだろう。そんなことさえよぎってしまう。


「お父さん、お母さん会いたいよ……なんで、私を置いていったの……」


逃げ場のない怒りや悲しみは全て両親へ。それでなんとか自分を保とうとしていた。


それでも無情に世界には時が流れる。


「ん………、もう朝」


代わり映えのない朝がきた。正直私だけでも元の世界に帰りたい?


いや、元の世界に帰っても私に居場所はない。


どうしたらいいのだろうか。



朝食をとり、仕事の準備をする。


幸いに私には夜勤はない。異世界人だからと特別待遇らしい。中には私より歳下の子がテキパキとはたらいている。


私はなんなのだろう?そんな疑問が生まれる。


確かに私はバイトなどしたことがない。普通の家庭に育ち、苦労はしていないだろう。反抗して理不尽な怒りを両親に向けてきた。


今なら何故そんな言葉を放ったのかも後悔したことも……


考え事をしながらだとミスをする。そんな事を聞いたことがある。


「雪さん!この食器はとても高価なの。いつも分けるようにいっているでしょう?どうしてわからないのかしら?」


「申し訳ありませんでした」


私は頭をさげる。またやってしまった。天然属性はないハズなのに、よくミスをしてしまう。きっと色々考えているからだ。


「もう、ほんっっとに気を付けてくださいまし?」


「はい、以後気を付けます」


高校生である私だが、一足先に社会人とはって洗礼を受けているようだ。


社会人とは壁が高すぎる。そう強く思う。私は弱い人間だ。


「勇者様の中にも要らない子はいるのですね」


あー、私は要らない子なのだ。そう、どこの世界でも。


「うっ、うーっ、ふぇっ、ぐぅー……」


涙が止まらない、私は気づけば走っていた。


もう私の居場所はない。


私の存在価値はない。


私を必要としている人はいない。


私は不必要な人間だ。


そう結論付けるには簡単だった。


「はぁっ、はぁっ、はぁー」


気づけば森の中だった。焼けた臭いのする森。


月はでておらず、真っ暗で余計に恐怖を掻き立てる。


あ、私ここで死ぬのかな?


そんな考えが頭をよぎる。聞いた話だと魔族は魔物を使役しており、見つかったら食べられてしまうらしい。


「うっ」


一瞬恐怖に震えるも、それでもいいかなと思えてきて不思議に落ち着いていく。


「お父さん、お母さん会いに行くね」


普通の両親であった。不満はないが自慢できる程はない。それでも二度と会えないとなるといとおしくて仕方がなかった。


そう考えあてもなくさ迷い歩いた。


どれくらいの時間歩いただろうか。


ガサッ


ふと物音がした。


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