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続・最終話
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現れたのは魔物……
そうではなく人だった。
ただその人の肌は白く髪は銀髪であった。
「ほう、魔力の高いものが一人でいるから警戒したものだが、まさかこんな幼子だとはな…」
私は人であったことにため息をついてしまった。
「不服か?余が相手なら十分であろう?のう、異世界の勇者よ」
相手?……そう…か、この死人みたいに見えるのかま魔族なのだろう。私はそう思った。どうみても生きている人間には見えないくらい白い、目は赤く、そして銀髪だ。
この世界に来てまだ数十日であるが、銀髪は見たことがなかった。
「さて、どうしてほしい勇者よ。このような魔力を持つものは王国にはおらなんだ。異世界から喚ばれた者であろう?」
そんな事を聞かれても私の気持ちは決まっていた。
「あなたがどなたか知りませんが、私を殺してくださいませんか?」
もう辛い。
要らない子なんて聞きたくない。
両親がいて、好きな人がいて、普通に暮らしたかった。
魔族なら……敵なら私を殺してほしい。自分で死ぬ勇気なんてないから。
「くっくっくっ、誰よりも強い魔力を持つものよ、余は楽しみに来てやったのに………何故泣く?」
気づいたら泣いていた。知らない人の前で泣くなんて恥ずかしい。けど止まらない。
でも不思議と落ち着いていた。
「私は要らない子なの。前の世界でもこの世界でも。両親は事故で死んでしまって、友達も……私を引き取ってくれた親戚も……私要らない子だって」
敵であるのに、何故こんな話をしてしまったのだろう。でも……
最期くらい好きにしたい。
「そうか、それは災難だったな。だがそれは余には全く関係のない話だ」
全く関係ない。わかりきっている。私は人で、この人は魔族。敵なのだ。今は戦時中、個人の思想なんて意味をなさない。何百、何千、何万人と様々な考えをした人が生きていて…そして死ぬ。
「一つ話をしてやろう……。この戦争は人間どもが始めたのだ。数を増やしてきた奴等は住む場所、食糧を奪いにきた。古の契約で不可侵条約をしてあるのにもだ」
そう……なんだ。こんな世界に来て舞い上がってたのだろうか。一方的に悪いのは魔族とイメージしてしまってた。
「余は魔族の上に立つ者、魔王である。我が同胞を殺して人間は憎い」
最初は、人かま魔族を蹂躙していったのだとか。宣戦布告もなく、無防備な辺村を攻撃してきたらしい。
だが奇襲だけでは勝敗はつかなかった。
態勢を立て直した魔族は攻めて来る人々を撃退していき、みるみるうちに人は疲弊していった。
魔族の被害も甚大だったが人程ではないみたいだ。
人は悪者なのかもしれない……
人は自ら始めた戦時により首を閉めている。
「だが、余は強者と戦うのは好きだ、正々堂々とな。この戦い人間は勝つ気だろうが無理であろう。人間にはもう余力はない。魔族は人間より強い。いくら異世界の勇者であろうと、束になってかかってこようと魔力の差は圧倒的なのだ」
「……。人は死ぬしかないのね」
「そうだ、そなた達は巻き込まれただけに過ぎぬが、人間がこちらに攻めて来る限りこの戦いは終わらぬだろう。こちらは攻める気はないとゆうのに」
よっぽど人より魔族の方が信用出来そうなのかもしれない。彼らは嘘を嫌う種族なのだとか。古の盟約により不可侵条約を守るのだとか。
「さて、そなたは何が出きる?」
「私は…私は、花を咲かすだけの魔法しかないの」
「…ほう、それは実に興味深い話だ、見せてみよ。さすれば望み通りにしてやろう」
ああ、きっとこの魔族は私を救ってくれるのだろう。
私の望みは死。
居場所がない私、どの世界でも要らない子。
これで最期。
月の光がさす。視界が広がる。
見渡すと此処は焼けた樹に囲まれている。緑は殆どない灰色の世界。
……私の名前は翠、両親が悩んだ末につけてくれた名前だと記憶している。
最期くらい、この名前に恥じないくらいここを緑にしたい。
鳥達が飛び、さえずる森に。
「私の名前は翠、この名は私好き。この名は色ではなく自由な鳥だって。鳥達が自由に飛べるよう、この焼け野はらが緑になりますように」
両手を組み、祈るように魔法を使う。
以前と比べ物にならないくらいの光が辺りを包む。
目を開けるとそこには………
力強い樹に囲まれ、地面には色とりどりの花が。
そして満開の桜……。
「綺麗……。これが私の魔法」
「見事だ。こんな魔法見たことがない」
私も見たことがない、こんな魔法と知らなかった。
「フフフっ……、あっ!」
美しくて自然と笑みがでてしまった。
恥ずかしくなり魔族を見ると……
彼もまた……
「フッ、美しいな。そなたの…そなたの魔法は……
人を、魔族を、笑顔にする魔法だ」
完
そうではなく人だった。
ただその人の肌は白く髪は銀髪であった。
「ほう、魔力の高いものが一人でいるから警戒したものだが、まさかこんな幼子だとはな…」
私は人であったことにため息をついてしまった。
「不服か?余が相手なら十分であろう?のう、異世界の勇者よ」
相手?……そう…か、この死人みたいに見えるのかま魔族なのだろう。私はそう思った。どうみても生きている人間には見えないくらい白い、目は赤く、そして銀髪だ。
この世界に来てまだ数十日であるが、銀髪は見たことがなかった。
「さて、どうしてほしい勇者よ。このような魔力を持つものは王国にはおらなんだ。異世界から喚ばれた者であろう?」
そんな事を聞かれても私の気持ちは決まっていた。
「あなたがどなたか知りませんが、私を殺してくださいませんか?」
もう辛い。
要らない子なんて聞きたくない。
両親がいて、好きな人がいて、普通に暮らしたかった。
魔族なら……敵なら私を殺してほしい。自分で死ぬ勇気なんてないから。
「くっくっくっ、誰よりも強い魔力を持つものよ、余は楽しみに来てやったのに………何故泣く?」
気づいたら泣いていた。知らない人の前で泣くなんて恥ずかしい。けど止まらない。
でも不思議と落ち着いていた。
「私は要らない子なの。前の世界でもこの世界でも。両親は事故で死んでしまって、友達も……私を引き取ってくれた親戚も……私要らない子だって」
敵であるのに、何故こんな話をしてしまったのだろう。でも……
最期くらい好きにしたい。
「そうか、それは災難だったな。だがそれは余には全く関係のない話だ」
全く関係ない。わかりきっている。私は人で、この人は魔族。敵なのだ。今は戦時中、個人の思想なんて意味をなさない。何百、何千、何万人と様々な考えをした人が生きていて…そして死ぬ。
「一つ話をしてやろう……。この戦争は人間どもが始めたのだ。数を増やしてきた奴等は住む場所、食糧を奪いにきた。古の契約で不可侵条約をしてあるのにもだ」
そう……なんだ。こんな世界に来て舞い上がってたのだろうか。一方的に悪いのは魔族とイメージしてしまってた。
「余は魔族の上に立つ者、魔王である。我が同胞を殺して人間は憎い」
最初は、人かま魔族を蹂躙していったのだとか。宣戦布告もなく、無防備な辺村を攻撃してきたらしい。
だが奇襲だけでは勝敗はつかなかった。
態勢を立て直した魔族は攻めて来る人々を撃退していき、みるみるうちに人は疲弊していった。
魔族の被害も甚大だったが人程ではないみたいだ。
人は悪者なのかもしれない……
人は自ら始めた戦時により首を閉めている。
「だが、余は強者と戦うのは好きだ、正々堂々とな。この戦い人間は勝つ気だろうが無理であろう。人間にはもう余力はない。魔族は人間より強い。いくら異世界の勇者であろうと、束になってかかってこようと魔力の差は圧倒的なのだ」
「……。人は死ぬしかないのね」
「そうだ、そなた達は巻き込まれただけに過ぎぬが、人間がこちらに攻めて来る限りこの戦いは終わらぬだろう。こちらは攻める気はないとゆうのに」
よっぽど人より魔族の方が信用出来そうなのかもしれない。彼らは嘘を嫌う種族なのだとか。古の盟約により不可侵条約を守るのだとか。
「さて、そなたは何が出きる?」
「私は…私は、花を咲かすだけの魔法しかないの」
「…ほう、それは実に興味深い話だ、見せてみよ。さすれば望み通りにしてやろう」
ああ、きっとこの魔族は私を救ってくれるのだろう。
私の望みは死。
居場所がない私、どの世界でも要らない子。
これで最期。
月の光がさす。視界が広がる。
見渡すと此処は焼けた樹に囲まれている。緑は殆どない灰色の世界。
……私の名前は翠、両親が悩んだ末につけてくれた名前だと記憶している。
最期くらい、この名前に恥じないくらいここを緑にしたい。
鳥達が飛び、さえずる森に。
「私の名前は翠、この名は私好き。この名は色ではなく自由な鳥だって。鳥達が自由に飛べるよう、この焼け野はらが緑になりますように」
両手を組み、祈るように魔法を使う。
以前と比べ物にならないくらいの光が辺りを包む。
目を開けるとそこには………
力強い樹に囲まれ、地面には色とりどりの花が。
そして満開の桜……。
「綺麗……。これが私の魔法」
「見事だ。こんな魔法見たことがない」
私も見たことがない、こんな魔法と知らなかった。
「フフフっ……、あっ!」
美しくて自然と笑みがでてしまった。
恥ずかしくなり魔族を見ると……
彼もまた……
「フッ、美しいな。そなたの…そなたの魔法は……
人を、魔族を、笑顔にする魔法だ」
完
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