良い武器(斧)を見つけるために仕方なく勇者と魔王討伐に一緒に行ってあげる

ルーナ

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「「うおぉぉぉぉぉースゲェェェェェ」」

村人にとっては娯楽と化していた。

「勇者より強いなんて」
「魔王なんて目じゃないかも」
「ぐひっ。ろりろり」

「前回よりはまともに打ち合えた方じゃないかしら。もうちょっと長く打ち合いたかったけどもう満足だわ。今日はもうおしまいにしようかしら」

リリムは満足していた。これだけ暴れれば満足しない方がおかしいくらいに。

「そこの護衛二人、そいつを宿まで運んであげなさい」
「は、はい……」
「さ、今日はここまでよ。みんな解散してね」

いつの間にか出来ていた人だかりに解散するようにリリムは声をかけた。

「勇者パーティーがこんだけ強いと期待がもてるね」
「嬢ちゃん、勇者様をちゃんと引っ張って行ってくれよ」
「魔王討伐頑張ってくれよ」
「おねーちゃんのファンになる。がんばって」

少女とは思えぬ実力。小柄な体系から斧を振り回す豪快さ。大人しければ美少女と言ってもいい程の見た目。リリムアは一日でツーリスの住人の心を掴んだ。

「魔王なんてついでだから。私は良い武器(斧)を探すためについてきてるの」

「「ええぇぇえーーーー」」

住人一同心の声が一致した瞬間であった。

「私も宿に幾から失礼するわね」

リリムは住人を背に宿へ向かった。

「なんつーか、自由な子だな」

そう誰かが呟いた。

リリムは勇者がいるであろう宿へ向かった。この村へ着いたときに護衛騎士が宿泊している宿を聞いたのだ。そこから手合せをするために突撃したのだ。

「確かここを曲がったところに……あった!」

護衛騎士が宿泊するだけあってなかなか大きな宿であった。だが田舎娘のリリムには基準がわからなかった。
受付に勇者が来たかと尋ねると、運び込まれましたと帰ってきたため部屋に案内してもらった。宿屋の主も先ほどの騒動を知っているようで、知り合いであることは理解していたようだ。建物の二階が宿になっており、部屋の前まで案内された。

「たのもー!」

リリムはノックもせずにドアを開けた。

「ひぃぃぃ」
「でたっ」
「すいませんすいません」
「もう今日は無理っす、勘弁してください」

護衛騎士二人はリリムに向かって土下座した。

「冗談よ。そんなことよりレオンは目を覚ましたかしら」
「い、いえ、まだです」
「疲れもあったみたいで眠っているみたいです」
「そう、明日からの予定を決めようと思ったんだけど」

あ、そうゆう建設的な話も出来るんだーと二人は思った。

「ガルム将軍の娘であるリリム殿が同行して頂けるとのことで、合流したらすぐに王都へ戻る予定です」
「強はもう遅いのでここで一泊し、明日一緒に王都へ向かいましょう」
「ご飯は?」
「宿一緒にごちそうになりましょう」
「やたっ、たのしみだわ」
「それに、今回のいきさつについても詳しく聞きたいですし」

リリムはいきなり現れて「ガルムの娘のリリムよ!勇者の度について行ってあげるから手合せしなさい!」と自己紹介は住んではいるのだが詳しいことは知らぬまま事を運んだのだった。

「勇者様は当分目を覚まさないでしょうし、一階へ食事を摂りに行きましょう」
「ええ、わかったわ」

一階は食事処になっており、護衛騎士曰く美味しいとのこと。リリムは楽しみに降りて行った。良い時間とゆうこともあり、大勢の客でにぎわっていた。

「私の村と違ってやっぱり人が多いわね」
「ああこの国のドワーフの村は外れにありますしね、えーとあそこに座りましょう」

そういって指で示したところへ腰を掛けた。

「注文をしてから話をしよう。ここはマスターのおまかせしかないんだけど……リリム殿は飲むのかい?」
「そうね、いただこうかしら」
「じゃあ、おまかせ三つとエール三つ頼む」

大声で注文すると、厨房の方から「あいよー」と気の抜けた返事が返ってきた。

「では、遅くなりましたが勇者様の護衛を任されましたライツ・ギルフォードです」
「同じく護衛のメルクリスト・キルスです。メルの方が呼びやすいですがクリス、とお呼びください」
「私はリリム・アックス、元将軍の娘よ。お父さんがもう歳だからって代わりに行って来いって言われて魔王討伐に参加することになったわ」
「なるほど、そうでしたか」

そこへエールが運ばれてきた。

「では魔王討伐隊結成記念にて乾杯と行きましょう」
「肝心のレオンは寝てるけどいいの?」
「仕方ないでしょう。それにあなたが一緒であれば我々はお役御免になります。今しかないのですから」
「そう、それならいいわね」
「では乾杯!」

カチン!とグラスのぶつかる音が響いた。

「それにしてもまだ体中が痛いです」
「強さはガルム将軍譲りですね。王都で上位に入る勇者様が手も出ないなんて」
「ガルム将軍の娘であるリリム殿と剣を合わせることが出来て光栄です」
「ねぇねぇ、お父さんてどんな人だったの?教えて下さる?」
「ええ、いいですよ。引退されたのはもうずいぶん前なので先輩から聞いた話ですが……」

父親の功績や強さを他者から聞き、上機嫌にお酒がすすんで行った。
また二人からもどんな訓練をしてそのような強さを手に入れたのかと話しは弾み、夜は更けていった。

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