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勇者であるレオンハルトと立ち会うこととなったリリム。勇者は美しい装飾が施された長く軽く湾曲した剣、サーベルを携えている。一方、リリムは戦斧を持っている。一般的な片手斧は柄の部分は木で出来ているが、戦を考えている武器である為、柄の部分まで金属で出来ている。戦闘の強い衝撃で折れないようにするためだ。そこに衝撃を少しでも吸収するために布が巻かれている。
この世界ではスキルが存在している。そのスキルにも二種類あり、先天性に備わっているものをユニークスキル、後天的に身に付けた技術より備わったものを個人スキルと分別されている。その他にも種族的にユニークスキルを所持している場合が多い特徴があり、ドワーフであれば鉱石鑑定を持っていることが多い。鉱石鑑定は鉱石の質を知ることができ、鉱石を扱う鍛冶と相性がいい。このためドワーフには鍛冶師が多いとされる由来でもある。
他の人型の種族であれば大抵種族的なユニークスキルを持っているが、ヒューマンには種族特性は無いとされている。その為ヒューマンでユニークスキルを持っている者は大切に扱われることが多い。
「僕は勇者だ。自慢ではないがそれなりに強いと自負している。君みたいなようじ……げふんげふん……少女に相手できるとは思えない。」
「戦ってみなければわからないじゃない」
「わかった。ハンデとして先に僕のスキルを教えておく。僕には光の加護と剣技のスキルしかない。魔法は使えないが、魔法の様なものは使えると伝えておこう」
「その慢心が敗因になるのよ!」
そう言ってリリムは蹴りだした。多少の怒りも入っているせいか、さっきまで佇んでいた状況とは大違いだ。
早い!レオンハルトは思った。将軍がギガントトードを相手に動いていた以上に、いや倍以上に早い。
「たあああぁぁぁぁっ!」
リリムは斧を両手に一直線にレオンハルトへと駆け寄り、真上から振り下ろした。
「ほう」
良い太刀筋だとレオンハルトは思った。迷いがなく、真っ直ぐだ。それなら力はどうだろうと思い来る斬撃を剣で受け止めた。
そして意識を失った。
気づけば見知らぬ天井が見えた。確かガルム将軍を迎えに行って、ギガントトードと戦った記憶はあるけど……。
「ここは……?」
不意に近くにいた気配に気づく。
「おお勇者様、気づかれましたか!どこか痛いところはないかな?」
「う、頭が痛い……あなたは、ガルム将軍……いえガルム殿ですね。ではここは山村のオーネリアですね?私はなぜこんなことになってしまったのでしょうか?」
「申し訳ありません、俺の娘と立ち会ったのは覚えていますかな?」
「あっ」
「思い出されたようで何よりです。うちのバカ娘のバカ力に打ち合おうとしてそのまま打ち負け、剣の腹で
頭をぶつけられたんじゃ」
「そうか、僕は負けたのか。勇者が負けるなんて」
勇者のスキルである光の剣は属性付与、耐久性向上の効果があり、普通の剣だったら腹で受け止めたら折れていただろう。だが耐久性が上がった状態で受け止め、様子を見ようと思ったらそのまま力任せに押し切られてしまった
「これは模擬選なんですじゃ。それに技術ではなく、力だけあるだけじゃ、もう一度立ち合ったら同じにはならんじゃろう」
「それでも負けは負けです。娘さんはどちらに?」
「ほれ、そこにいますじゃ」
そこには正座をして、目に涙を浮かべ怒った形相でこちらをにらんでいる少女の姿があった。
「こ、これは。いったいどうされたんですか?」
「いえ、勇者様、これはお仕置きをちょいとですな。勇者様に何かあったとしたら一大事じゃから」
「わ、私より弱いあんたがわ、わるいのよ!」
「これ、勇者様に向かってなんて口をきくんじゃ!」
「きゃん」
ガルムはリリムの頭蓋に拳骨を落とす。落とされた直後はさらに涙目だったが、落ち着いてきたらレオンハルトを見る目がより一層きつくなった。今まで女性にこのように見られたことは一度もないだろう。
「ガルム殿、僕は様付けされるほどの人ではありません。普通に話してもらって結構ですので」
「ほら!こいつもそう言ってるでしょ!自称勇者が!」
「こら!本当にどこで育て方を間違ったか……」
ふふっとレオンハルトは笑った。自分を打ち負かした相手が父親に頭が上がらず、ほんとに小さな女の子にしか見えない。ただ、その女の子は自分の体の半分ほどの斧を振ります程の力持ちではある。ほんとに幼女ではないのだろう。
「ガルム殿立会いの前に言われたことは変わりないですか?」
「あん?リリムをやるってここですじゃ?」
「はい、その話です。あ、無理にかしこまらずに普段通りで結構です」
「よし!じゃ、お構いなく。儂の代わりに魔王討伐はリリムを連れて行ってくれ。結婚が遅く、子供はまだ若いが、儂はもう200歳近い。すでに衰えを感じている儂は足手まといにしかならんじゃろう」
「私やーよ、こんな奴のお供なんて」
「リリムさん、お願いします。僕に力を貸していただけませんか?」
「いーーだ、絶対いや!」
リリムには冒険についていくメリットは全くない。この村で育ち、この村で満足している。魔物は確かに多くなったが、撃退できるであろう。母親が早くに亡くなったことは今でも引っかかっているが、病気でありどうしようもない事だった。それに、今みたいに一人で対処できない魔物が出た場合、自分が居なくなった後誰も対処できないのではないかとも考えていた。
「申し訳ない勇者さんよ。この子は誰に似たんだか頑固なんじゃよ」
「だったら、リリムさんの気持ちが変わるまで僕もこの町にいます!」
そう言って勇者スマイルを向けるが、リリムには効果が薄いようだ。
「え、ほんと?ふつーに嫌なんだけど?」
「リリム、旅に出たら珍しい武器が見つかるかもしれんぞ?」
「それはちょっと魅力的なんだけど……」
「この村では作られていない武器にも会えるかもしれん」
「でも、この村の守りが気になるし……」
ホント頑固じゃ。村の事を考えてくれているのはありがたいが、ガルムは素直に思った。ダメもとで……
「かっこいい斧や凄い斧に出会えるかもしれないのう……」
「いく!もちろん行く!ぜっったい行くわ!」
うわー、育て方間違った。何でこんなに斧好きなんかとガルムは思った。だが、これは好都合。ガルムは以前王都に住んでいた。将軍であった為もちろんではあるが、見聞を広める事の意義を十分に理解しているつもりである。リリムにもこんなさびれた山村に閉じこもるではなく、常日頃旅に出て経験をつんでほしいと思っていた。もちろん、魔王討伐に協力できるならば協力してほしい、世界の為でもある。
「本当ですか!では改めて自己紹介を。僕はオーベル・レオンハルト。レオンと呼んでほしい。」
「私はリリム。リリム・アックスよ。まだ見ぬ斧の為に協力してあげるわ!」
こうして冒険は始まった。
この世界ではスキルが存在している。そのスキルにも二種類あり、先天性に備わっているものをユニークスキル、後天的に身に付けた技術より備わったものを個人スキルと分別されている。その他にも種族的にユニークスキルを所持している場合が多い特徴があり、ドワーフであれば鉱石鑑定を持っていることが多い。鉱石鑑定は鉱石の質を知ることができ、鉱石を扱う鍛冶と相性がいい。このためドワーフには鍛冶師が多いとされる由来でもある。
他の人型の種族であれば大抵種族的なユニークスキルを持っているが、ヒューマンには種族特性は無いとされている。その為ヒューマンでユニークスキルを持っている者は大切に扱われることが多い。
「僕は勇者だ。自慢ではないがそれなりに強いと自負している。君みたいなようじ……げふんげふん……少女に相手できるとは思えない。」
「戦ってみなければわからないじゃない」
「わかった。ハンデとして先に僕のスキルを教えておく。僕には光の加護と剣技のスキルしかない。魔法は使えないが、魔法の様なものは使えると伝えておこう」
「その慢心が敗因になるのよ!」
そう言ってリリムは蹴りだした。多少の怒りも入っているせいか、さっきまで佇んでいた状況とは大違いだ。
早い!レオンハルトは思った。将軍がギガントトードを相手に動いていた以上に、いや倍以上に早い。
「たあああぁぁぁぁっ!」
リリムは斧を両手に一直線にレオンハルトへと駆け寄り、真上から振り下ろした。
「ほう」
良い太刀筋だとレオンハルトは思った。迷いがなく、真っ直ぐだ。それなら力はどうだろうと思い来る斬撃を剣で受け止めた。
そして意識を失った。
気づけば見知らぬ天井が見えた。確かガルム将軍を迎えに行って、ギガントトードと戦った記憶はあるけど……。
「ここは……?」
不意に近くにいた気配に気づく。
「おお勇者様、気づかれましたか!どこか痛いところはないかな?」
「う、頭が痛い……あなたは、ガルム将軍……いえガルム殿ですね。ではここは山村のオーネリアですね?私はなぜこんなことになってしまったのでしょうか?」
「申し訳ありません、俺の娘と立ち会ったのは覚えていますかな?」
「あっ」
「思い出されたようで何よりです。うちのバカ娘のバカ力に打ち合おうとしてそのまま打ち負け、剣の腹で
頭をぶつけられたんじゃ」
「そうか、僕は負けたのか。勇者が負けるなんて」
勇者のスキルである光の剣は属性付与、耐久性向上の効果があり、普通の剣だったら腹で受け止めたら折れていただろう。だが耐久性が上がった状態で受け止め、様子を見ようと思ったらそのまま力任せに押し切られてしまった
「これは模擬選なんですじゃ。それに技術ではなく、力だけあるだけじゃ、もう一度立ち合ったら同じにはならんじゃろう」
「それでも負けは負けです。娘さんはどちらに?」
「ほれ、そこにいますじゃ」
そこには正座をして、目に涙を浮かべ怒った形相でこちらをにらんでいる少女の姿があった。
「こ、これは。いったいどうされたんですか?」
「いえ、勇者様、これはお仕置きをちょいとですな。勇者様に何かあったとしたら一大事じゃから」
「わ、私より弱いあんたがわ、わるいのよ!」
「これ、勇者様に向かってなんて口をきくんじゃ!」
「きゃん」
ガルムはリリムの頭蓋に拳骨を落とす。落とされた直後はさらに涙目だったが、落ち着いてきたらレオンハルトを見る目がより一層きつくなった。今まで女性にこのように見られたことは一度もないだろう。
「ガルム殿、僕は様付けされるほどの人ではありません。普通に話してもらって結構ですので」
「ほら!こいつもそう言ってるでしょ!自称勇者が!」
「こら!本当にどこで育て方を間違ったか……」
ふふっとレオンハルトは笑った。自分を打ち負かした相手が父親に頭が上がらず、ほんとに小さな女の子にしか見えない。ただ、その女の子は自分の体の半分ほどの斧を振ります程の力持ちではある。ほんとに幼女ではないのだろう。
「ガルム殿立会いの前に言われたことは変わりないですか?」
「あん?リリムをやるってここですじゃ?」
「はい、その話です。あ、無理にかしこまらずに普段通りで結構です」
「よし!じゃ、お構いなく。儂の代わりに魔王討伐はリリムを連れて行ってくれ。結婚が遅く、子供はまだ若いが、儂はもう200歳近い。すでに衰えを感じている儂は足手まといにしかならんじゃろう」
「私やーよ、こんな奴のお供なんて」
「リリムさん、お願いします。僕に力を貸していただけませんか?」
「いーーだ、絶対いや!」
リリムには冒険についていくメリットは全くない。この村で育ち、この村で満足している。魔物は確かに多くなったが、撃退できるであろう。母親が早くに亡くなったことは今でも引っかかっているが、病気でありどうしようもない事だった。それに、今みたいに一人で対処できない魔物が出た場合、自分が居なくなった後誰も対処できないのではないかとも考えていた。
「申し訳ない勇者さんよ。この子は誰に似たんだか頑固なんじゃよ」
「だったら、リリムさんの気持ちが変わるまで僕もこの町にいます!」
そう言って勇者スマイルを向けるが、リリムには効果が薄いようだ。
「え、ほんと?ふつーに嫌なんだけど?」
「リリム、旅に出たら珍しい武器が見つかるかもしれんぞ?」
「それはちょっと魅力的なんだけど……」
「この村では作られていない武器にも会えるかもしれん」
「でも、この村の守りが気になるし……」
ホント頑固じゃ。村の事を考えてくれているのはありがたいが、ガルムは素直に思った。ダメもとで……
「かっこいい斧や凄い斧に出会えるかもしれないのう……」
「いく!もちろん行く!ぜっったい行くわ!」
うわー、育て方間違った。何でこんなに斧好きなんかとガルムは思った。だが、これは好都合。ガルムは以前王都に住んでいた。将軍であった為もちろんではあるが、見聞を広める事の意義を十分に理解しているつもりである。リリムにもこんなさびれた山村に閉じこもるではなく、常日頃旅に出て経験をつんでほしいと思っていた。もちろん、魔王討伐に協力できるならば協力してほしい、世界の為でもある。
「本当ですか!では改めて自己紹介を。僕はオーベル・レオンハルト。レオンと呼んでほしい。」
「私はリリム。リリム・アックスよ。まだ見ぬ斧の為に協力してあげるわ!」
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