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村の東側ではアックス親子とギガントトードによる戦闘が繰り広げられていた。
「おいリリム、ギガントトードは皮膚が硬い。昆虫類と違って関節とかも狙えないし、しかもジャンプ力が驚異的じゃ!突進されたら敷かれないように気を付けるんじゃ」
「わかってる!ほんとでかい癖に意外と速いのね!でもそんなに強そうじゃないと思うのは私だけ?確かにお父さんの攻撃はいいのははいってないけど……」
「基本は魔法を使って攻撃するんじゃ。お前ならいけると思うんじゃがな」
リリムは攻めあぐねていた。生まれも育ちもこの村で父親と日々鍛錬しており、それなりに強くなった自負はある。言えば村人一強いのだから。狩りでも今まで色々な魔物と戦い、勝ってきた。もちろん父親であるガルムも狩りの最中であった魔物に後れをとるわけなく、怪我ひとつ負ったことがない。
そんな父親が小さいながらも怪我を負い、押されている現状を見ると二の足を踏んでしまう。父親より強い魔物何て見たことないし、その背中を見て成長してきたリリムには責める機会を失うには十分だった。体は動くが手が動かない、こんなことは今までなかった。
そんな時……。
「勇者レオンハルトが参った!あなたはガルム将軍とお見受けする。良くギガントトードを一人で引きとめていてくださった。あとはこの僕にお任せを!」
勇者であるレオンハルトは勇者スマイルをガルムへ向けたと思いきや、ギガントトードへ突撃していった。
から見れば現れたのは自称勇者と名乗る若者。また変なヒューマンが現れたのかと思った。だが認識が変わったのは携えていた鞘から剣を抜き、空へ向かって掲げると刃が光をまとっていくのが目に映ったからだ。
「も、もしや、光の剣!」
「うっそ!」
聞いたことがある、おとぎ話で。勇者は光の剣のスキルを用い、数々の魔物屠り、魔王を討ち滅ぼしたと……。
「あのヒューマン勇者なの?」
「わからん。じゃがあのスキルが使えるのは勇者だけと聞く」
光り輝く剣は神々しくあり美しかった。
それを脅威と感じとったギガントトードはレオンハルトへと向き直り、すぐさま持ち前のジャンプ力で詰め寄る。ジャンプ力は上方へ飛ぶためのものだけに非ず。前傾姿勢て飛ぶことにより驚異的な突進力へと変わる。その質量に任せて押しつぶそうと考えたのだった。
勇者はそれを予測していたかのようにギリギリのタイミングで側方へと避ける。ギガントトードは何本か折ってしまった木で向きを変え、レオンハルトへ正面より突っ込む。若者は予測していたのか、今度は正面より迎え撃つべく、地面を蹴った。
「覚悟せよ、魔物!これでおわりだぁぁぁーーーー!」
すれ違いざま、若者はその光り輝く剣で一刀のもとギガントトードを真っ二つにした。
レオンハルトはギガントトードが倒れたのを確認し、アックス親子へ向き直る。そこへ勇者スマイルを加え。
「大丈夫でしたか?」
倒された木々から日光が降り注ぎ、汗が反射しきらきらしたエフェクトにも見える。だがそれにきゃーきゃー反応するような人物はここにはいなかった。
「助かった、勇者様。俺はガルム。あっちで佇んでいるのは娘のリリムじゃ」
「やはり、あなたがガルム将軍でありましたか。僕は勇者レオンハルト。この村へは、将軍!あなたの力を魔王討伐へご助力いただきたく参ったところです。ギガントトードを一人で足止めするなんて軍隊を導入しなければ無理です。それを一人で成せるなんて流石……」
「すまんが、勇者様。儂はもう歳じゃ。今更冒険なんてもう無理なんじゃよ」
「しかし、将軍!」
「もう将軍でもなんでもない」
「ガルム殿、あなたは強い、まだまだ現役でも……」
「それに儂より強い奴ならそこにおる」
「えっ?どこに?」
レオンハルトは見回すが強そうな人物は見当たらない。なぜなら近くには幼女しかいないのだから。ただその幼女も大きな斧を持っている。
「ほれ、そこに佇んでいる儂の娘だ。娘を代わりにやるよ」
「しかし、先ほどの戦闘では戦っていなかったではありませんか。まだ幼すぎますし、第一僕は幼女には興味がないのです」
「誰も嫁にやるとは言っておらん!」
ぶちんっ!とどこからか音が聞こえたような気がした。レオンハルトは恐る恐るガルムより強いと言う娘へと顔を向ける。
「幼女ですっっってーー!?これでも成人してるのよ!」
「申し訳ない、どう見ても我々ヒューマンから見たら幼女にしか見えない」
それもそうだ。ヒューマンとドワーフでは成長が違う。同じ人型でも種族が異なれば成長から寿命まで全部異なる。ドワーフは人よりも背が低く、男性はくむくじゃら、女性はロリ体系がほとんどだ。しかも寿命は200~300歳とヒューマンより長寿であり、成長も緩やかである。そんな中リリムはヒューマンからしたら幼女にしか見えないかもしれないけどれっきとした15歳であり、この世界では成人している。
種族間の認識の違いがあるとしてもリリムは激怒した。
「あんた、私と勝負しなさい!」
「おいリリム、ギガントトードは皮膚が硬い。昆虫類と違って関節とかも狙えないし、しかもジャンプ力が驚異的じゃ!突進されたら敷かれないように気を付けるんじゃ」
「わかってる!ほんとでかい癖に意外と速いのね!でもそんなに強そうじゃないと思うのは私だけ?確かにお父さんの攻撃はいいのははいってないけど……」
「基本は魔法を使って攻撃するんじゃ。お前ならいけると思うんじゃがな」
リリムは攻めあぐねていた。生まれも育ちもこの村で父親と日々鍛錬しており、それなりに強くなった自負はある。言えば村人一強いのだから。狩りでも今まで色々な魔物と戦い、勝ってきた。もちろん父親であるガルムも狩りの最中であった魔物に後れをとるわけなく、怪我ひとつ負ったことがない。
そんな父親が小さいながらも怪我を負い、押されている現状を見ると二の足を踏んでしまう。父親より強い魔物何て見たことないし、その背中を見て成長してきたリリムには責める機会を失うには十分だった。体は動くが手が動かない、こんなことは今までなかった。
そんな時……。
「勇者レオンハルトが参った!あなたはガルム将軍とお見受けする。良くギガントトードを一人で引きとめていてくださった。あとはこの僕にお任せを!」
勇者であるレオンハルトは勇者スマイルをガルムへ向けたと思いきや、ギガントトードへ突撃していった。
から見れば現れたのは自称勇者と名乗る若者。また変なヒューマンが現れたのかと思った。だが認識が変わったのは携えていた鞘から剣を抜き、空へ向かって掲げると刃が光をまとっていくのが目に映ったからだ。
「も、もしや、光の剣!」
「うっそ!」
聞いたことがある、おとぎ話で。勇者は光の剣のスキルを用い、数々の魔物屠り、魔王を討ち滅ぼしたと……。
「あのヒューマン勇者なの?」
「わからん。じゃがあのスキルが使えるのは勇者だけと聞く」
光り輝く剣は神々しくあり美しかった。
それを脅威と感じとったギガントトードはレオンハルトへと向き直り、すぐさま持ち前のジャンプ力で詰め寄る。ジャンプ力は上方へ飛ぶためのものだけに非ず。前傾姿勢て飛ぶことにより驚異的な突進力へと変わる。その質量に任せて押しつぶそうと考えたのだった。
勇者はそれを予測していたかのようにギリギリのタイミングで側方へと避ける。ギガントトードは何本か折ってしまった木で向きを変え、レオンハルトへ正面より突っ込む。若者は予測していたのか、今度は正面より迎え撃つべく、地面を蹴った。
「覚悟せよ、魔物!これでおわりだぁぁぁーーーー!」
すれ違いざま、若者はその光り輝く剣で一刀のもとギガントトードを真っ二つにした。
レオンハルトはギガントトードが倒れたのを確認し、アックス親子へ向き直る。そこへ勇者スマイルを加え。
「大丈夫でしたか?」
倒された木々から日光が降り注ぎ、汗が反射しきらきらしたエフェクトにも見える。だがそれにきゃーきゃー反応するような人物はここにはいなかった。
「助かった、勇者様。俺はガルム。あっちで佇んでいるのは娘のリリムじゃ」
「やはり、あなたがガルム将軍でありましたか。僕は勇者レオンハルト。この村へは、将軍!あなたの力を魔王討伐へご助力いただきたく参ったところです。ギガントトードを一人で足止めするなんて軍隊を導入しなければ無理です。それを一人で成せるなんて流石……」
「すまんが、勇者様。儂はもう歳じゃ。今更冒険なんてもう無理なんじゃよ」
「しかし、将軍!」
「もう将軍でもなんでもない」
「ガルム殿、あなたは強い、まだまだ現役でも……」
「それに儂より強い奴ならそこにおる」
「えっ?どこに?」
レオンハルトは見回すが強そうな人物は見当たらない。なぜなら近くには幼女しかいないのだから。ただその幼女も大きな斧を持っている。
「ほれ、そこに佇んでいる儂の娘だ。娘を代わりにやるよ」
「しかし、先ほどの戦闘では戦っていなかったではありませんか。まだ幼すぎますし、第一僕は幼女には興味がないのです」
「誰も嫁にやるとは言っておらん!」
ぶちんっ!とどこからか音が聞こえたような気がした。レオンハルトは恐る恐るガルムより強いと言う娘へと顔を向ける。
「幼女ですっっってーー!?これでも成人してるのよ!」
「申し訳ない、どう見ても我々ヒューマンから見たら幼女にしか見えない」
それもそうだ。ヒューマンとドワーフでは成長が違う。同じ人型でも種族が異なれば成長から寿命まで全部異なる。ドワーフは人よりも背が低く、男性はくむくじゃら、女性はロリ体系がほとんどだ。しかも寿命は200~300歳とヒューマンより長寿であり、成長も緩やかである。そんな中リリムはヒューマンからしたら幼女にしか見えないかもしれないけどれっきとした15歳であり、この世界では成人している。
種族間の認識の違いがあるとしてもリリムは激怒した。
「あんた、私と勝負しなさい!」
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