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17話 高校三年生 春風香る
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未来の葬式が終わり数日。
俺は抜け殻になっていた。
あいつの両親には何度も礼を言われ、「未来のことは忘れて、あの子の分も生きて欲しい」と告げられた。
『生きてね』
分かってるよ。
『私の分も』
そうだな。約束したもんな。
そう思い制服に着替えて学校に行くが、クラスに着けばコートを脱いだ女子達のセーラー服姿。
「藤城。吉永さんのことは……」
俺は、話しかけてくれたクラスメイトの男子に返事せず、その場を立ち去る。
学校の敷地を出て歩いて行けば、そこは桜の並木道。
寒い冬を越した桜達は、また今年も花を咲かせようと着々と準備を始めている。
もう少しで春が来る。
新たな人生が始まる季節が。
俺は生きている。だから、これからを考え生きていかなければならない。分かっている。
だけど、簡単に乗り越えられない。
あいつの笑顔が、泣き顔が、いたずらっ子のような子供みたいな表情が、俺の脳内にこびりついて離れない。
どうしてだよ? 何であんなに直向きだったあいつが死ぬんだ?
今なら分かる。酒に逃げた父の気持ちが。
これほど苦しいなんて。
まるで、世界にひとりぼっちにされたみたいな孤独が俺を襲う。
舞い散る桜と共に俺の世界に入ってきたあいつは、俺の心を震わせ、掻き乱し、奪っていき、雪と共に消えてしまった。
この本を遺して。
あいつが居なくなって、何度も何度も繰り返し読んだ物語。
もっと色々読みたかった。
今度はあいつ自身の物語が読みたかった。もっと。もっと。
『お前が母さんの代わりに死ねば良かったんだ!』
蘇る、忌まわしい記憶。
自暴自棄になるな。あいつとの約束なんだから。
最後の約束と、未来が遺していった本が俺の精神を安定させるお守りだった。
そう思い、本のあとがきをぼんやりと読んでいた。
俺に向けた最後のメッセージを。すると。
「バカヤロウ! 直接言えよ!」
気付けば、そう叫んでいた。
やっと気付いた。その文章の本当の意味に。
「俺も、お前のことが!」
未来が死に、俺は初めて声を出して泣いた。
俺は抜け殻になっていた。
あいつの両親には何度も礼を言われ、「未来のことは忘れて、あの子の分も生きて欲しい」と告げられた。
『生きてね』
分かってるよ。
『私の分も』
そうだな。約束したもんな。
そう思い制服に着替えて学校に行くが、クラスに着けばコートを脱いだ女子達のセーラー服姿。
「藤城。吉永さんのことは……」
俺は、話しかけてくれたクラスメイトの男子に返事せず、その場を立ち去る。
学校の敷地を出て歩いて行けば、そこは桜の並木道。
寒い冬を越した桜達は、また今年も花を咲かせようと着々と準備を始めている。
もう少しで春が来る。
新たな人生が始まる季節が。
俺は生きている。だから、これからを考え生きていかなければならない。分かっている。
だけど、簡単に乗り越えられない。
あいつの笑顔が、泣き顔が、いたずらっ子のような子供みたいな表情が、俺の脳内にこびりついて離れない。
どうしてだよ? 何であんなに直向きだったあいつが死ぬんだ?
今なら分かる。酒に逃げた父の気持ちが。
これほど苦しいなんて。
まるで、世界にひとりぼっちにされたみたいな孤独が俺を襲う。
舞い散る桜と共に俺の世界に入ってきたあいつは、俺の心を震わせ、掻き乱し、奪っていき、雪と共に消えてしまった。
この本を遺して。
あいつが居なくなって、何度も何度も繰り返し読んだ物語。
もっと色々読みたかった。
今度はあいつ自身の物語が読みたかった。もっと。もっと。
『お前が母さんの代わりに死ねば良かったんだ!』
蘇る、忌まわしい記憶。
自暴自棄になるな。あいつとの約束なんだから。
最後の約束と、未来が遺していった本が俺の精神を安定させるお守りだった。
そう思い、本のあとがきをぼんやりと読んでいた。
俺に向けた最後のメッセージを。すると。
「バカヤロウ! 直接言えよ!」
気付けば、そう叫んでいた。
やっと気付いた。その文章の本当の意味に。
「俺も、お前のことが!」
未来が死に、俺は初めて声を出して泣いた。
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