【完結】君と綴る未来 一 余命僅かな彼女と 一

 余命僅かである彼女の願いは、「自分が綴った小説を世に出すこと」。だから俺はその手を握り、共に戦うと決めた。


 藤城 直樹(ふじしろ なおき)高校一年生は、入学したばかりだが あえて友達を作らず、将来もどうでも良く、何事もない三年間を過ごすと決めていた。
 しかし同じクラスの女子である吉永 未来(よしなが みらい)に、直樹が二年前まで須藤 翼(すどう つばさ)のペンネームで小説投稿サイトに自作を載せていたと気付かれてしまう。
 バカにされると身構えるが、実は未来も小説を書いており須藤 翼のファンだった。その為、執筆の仕方を教えて欲しいと頼んでくる。

 直樹は、自分が小説を書いていたことを秘密にするのを条件とし、培った技術を未来に教えることにする。
 そんな彼女の夢は公募に受賞し、書籍化すること。
 元々素質と直樹の指導により上達していくが、現実はそう上手くいかず落選ばかり。
 初めはそれを受け入れていた未来だったが、時間が経つにつれ焦り始め、直樹に自分の夢を叶えて欲しいと託してきた。

 しかし彼は中学生の時に起きた出来事をキッカケに筆を折り、二度と執筆はしないと決めており。そして未来に、自分が成し得なかった夢をいつの間にか託していた。
 そんな互いの気持ちがぶつかり合ってしまい、直樹は未来の夢を否定してしまう。

 そんな最中に夏休みに入ってしまったことにより、彼女と会うことがなくなった直樹は、取り消せない言葉を放ったと後悔。
 新学期に謝ると決め登校するが、教室に未来の姿はなく、教師より留学の事実を聞かされる。
 最後に謝りたいと連絡を取ろうとするが通じず、それきりとなってしまう。
 しかし、そんな二人を引き合わせてくれたのも、また小説だった。

 久しぶりに対面した未来は、活気がなく痩せ細っており、実は病を抱えていて病状が悪化した為に姿を消したと知る。
 彼女が長く生きられない現実を認めた直樹は、人生最後の夢である「小説をこの世に出したい」願いを叶える為に、もう一度手を取り合う。


 過去の裏切りから筆を折ってしまった直樹が、今を懸命に生きる未来との出会いをきっかけに、自分にとっての小説とは何かを考え。
 優しかった母、自分に暴力を振るった父を思い出し。
 何故、人を避けるようになってしまったのかに向き合い。
 傷付いていた自分を認めて、将来に向き合っていく。


※前半が冗長で、テーマのブレもあった為、改稿しています。不自然に文字数の少ないところもあり、すみません。

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