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10話 生まれて来た天使
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長い夜が明け、空が白い雲にて覆われている朝。雪は静かに、降り続けていた。
「お食事です」
「ありがとうございます……」
看護師により配膳された食事を樹は受け取り、ベッド横のサイドテーブルにそっと置く。
少しは食べるようにと声をかけるが、小春はいらないと布団を被る。
そんな姿に、ふわふわと舞う雪をただ眺めていた。
朝九時。二人は医師より処置の内容を聞き、樹は同意書に署名する。
その後、小春は亡くなった我が子を産む為の準備として、処置室に向かって行った。
これから出産が始まる。樹は手を付けていない食事を代わりに食べ、ヨーグルトだけ残した。
三十分ほどで看護師に付き添われて戻ってきた小春の顔は真っ青で、左手袖より伸びている透明の管は、銀のスタンドに吊るされた小さな液体容器に繋がれている。
「また、様子を見に来ますね」
「ありがとうございます……」
小春は消えそうな声で返事をし、ベッドで横になる。
そんな姿に樹は何も言えず、スタンドにぶら下がっている液体容器に目をやる。これが説明で受けた陣痛促進剤なのかと、ただ胸が詰まる思いだった。
樹は小春に背を向け、雪に彩られた町並みを見下ろしていると、その声は聞こえてきた。
「……これで、良いんだよね?」
掠れたら声に振り返ると、変わらずに目と鼻を赤くして、でも頬と唇は真っ青で、小さく体を震わせていた。
「ああ、外の世界を見せてやろう」
そう呟き、小春が横になっているベッド端に座る。そしてためらいもなく、小春の手を強く握った。
「……うん」
二人はただ、時間が過ぎるのを待つ。
選んだ選択は間違っていないと、自分達に言い聞かせてながら……。
三十分が過ぎた頃より痛みが出てきて、十分毎に二十秒程の痛みが現れたかと思えばすぐに引いていく。
様子を見に来た助産師により、陣痛が始まったと知らされる。今のうちに食事をしておいたほうがいいと助言され、昼食を早めに持ってこようかと聞かれるが、小春はお腹空いてないのでと笑ってみせる。
その姿が痛々しかった。
雪が降り続ける、昼下がり。
廊下より昼食の配膳音が聞こえる中、小春は息を切らし眉を顰めるようになった。
「……大丈夫か?」
「うん」
樹の問いに表情を緩めるが、すぐに唇をグッと噛み締める。その額には、脂汗が滲んでいた。
樹が配膳しに来た看護助手に痛そうだと訴えようとするが、小春は陣痛がこないと生まれてこれないからと力無く笑って見せる。
配膳後、様子を見に来た助産師より母親学級の時に教えてもらっていた出産時の呼吸法を再度教えてもらい、意識して息を吐く。
すると、少しその表情が和らいだ。
陣痛間隔が五分になり、痛みが伴う時間も増えていく。
昼食など口にする余裕も無さそうで、用意してあったコップに食堂の給水機から汲んできた水を入れストローで飲むのが精一杯だった。
樹は朝食に残しておいたヨーグルトを食べるように促すが、そんな余裕すら無いようだった。
何か出来ることはないかと聞くが、大丈夫としか返ってこなかった。
暗い灰色の雲が広がる、日没後の空。
頭上の間接照明で照らされる中。小春はベッドで横になり体を縮こませて一言も発することなく、ただ目を閉じ息を意識して吐き出していた。
陣痛の間隔は三分ほどになり、その都度激しい痛みに体を震わす。
そして、握られた手が離れることはなかった。
一方、樹の方も手の痛みを感じる境地を超え、感覚がなくなっていた。何より苦痛に満ちた小春の姿をずっと目の当たりにしているにも関わらず、何も出来ない歯痒さに胸の奥がズシンと痛む。
「大丈夫?」
ノックの音と共に、また様子を見に来た助産師が部屋に訪れる。
「はい、大丈夫です……」
消えそうな声で、そう呟く。
「前の方、出産終わられたから陣痛室に移りましょう」
「……はい」
陣痛の波が引いたタイミングを見計らって、部屋を移動する。そこは四畳ほどの空間にベッド、機械、奥には窓があるもカーテンは閉じてある別世界の空間だった。ベッドに横になった途端に、体を縮めた。三分切っていた。
助産師は小春の腰を押し、少し和らいだ表情に一言。
「ご主人、奥さんの腰を押してあげて。その方が楽になるから」
「はい」
樹が手を離して目の前から離れていく姿に物言いたげな表情を浮かべるが、助産師指導の元に腰を押してもらい息遣い後に漏れる声も小さくなっていた。
「して欲しいことは言った方が良いからね。我慢しないでね」
そう言い、助産師はまた様子を見に来ると部屋を出て行く。
「ここか?」
「うん……、ありがとう……。楽になってる……」
「どうして腰押してと言わないんだよ?」
「それは……」
口篭った小春は、振り返り樹のゴツゴツとした手を見つめる。
察しの悪い樹だが、なんとなく小春の手を掴む。すると、その表情は少し緩んだ。
「して欲しいことは言えよ」
「あ、うん」
口籠ってしまった小春は、窓を見つめる。
閉ざされたカーテンでは、空を見上げることは出来ない。
「次、助産師さんが来てくれたら開けて良いか聞くから」
いつもとは反対の関係が出来ていた。
夜、八時。
とっくに日も暮れたにも関わらず雪灯により明るく見える町並み。
小春が陣痛の合間に開かれたカーテンから見上げると、ぼんやりと明るい空からは止めどなく降り続ける六角形の結晶。
痛みは強くなっているがまだ胎児は下りてきておらず、出産出来る状態ではなかった。
「……痛い……、痛い……」
息遣いのみで声を発さなかった小春の口から、言葉が溢れた。
「もう少しだ……、もう少しで生まれるて来てくれるから」
そう言いながら腰を強く押すが、樹の指は既に感覚が失くなっており、力が入っているのかも分からない状態だった。
「はぁ……」
大きな溜息と共に強張っていた体は力が抜け、脱力しながら息を切らす。
陣痛の波が引き、訪れた安息の時。
樹は腰を押すのを止め小春の前に置かれた椅子に座り、力無い手を握りしめる。
脱力仕切っている小春は窓から空を見ることも樹の顔を見つめることもなく、ただ目を閉じ一際の休養を取った。
しかし。
「……うっ。はぁ……」
和らいでいた表情は一瞬で険しくなり、握られていた手に力が入る。
陣痛の間隔は三分を切っており、容赦なく次の波が押し寄せてきた。
陣痛促進剤を使用し十二時間。やっと、この時はきた。
「分娩室に行きましょう」
母体は出産の体制に入り、胎児も下りてきた。
小春は陣痛の間に樹と助産師に肩を貸されて歩き、ふらつく体でなんとか分娩台に乗る。
終わりが近付いていた。
「もう少しです。次の波が来たら、いきんでみましょう」
「……は……い」
今までは痛みを逃すように指導されていたが、体は出産体制に入っている。
その為、小春は必死にいきんだ。
陣痛の間隔が二分もないのに、押し寄せてくる痛みは一分以上。
痛みに耐えながら合図に合わせて必死でいきむが一向にお産は進まず、時間ばかりが過ぎていった。
「痛い、痛っ……」
小春とは違う声が突如聞こえて、二人はそちらに目をやる。それは先程居た陣痛室より聞こえてきて、出産を控えた妊婦だと分かる。
そして、その後に聞こえてきた。「赤ちゃんに会う為だから頑張る」と話している、弾んだ声が。
同様に会話を聞いていた助産師は顔を歪め、いきむのを止めた小春に咎めることも、奮闘させることもなく、ただ痛みを逃す息遣いをするように声をかけた。
しかし樹は引かず、もう少しで終わるからといきむようにひたすらに声をかけた。助産師の静止を聞こうともせず。
「もう、良いの……」
唇を噛み締めた小春の目から、ポタポタと涙が溢れていく。
「私も……、私も一緒に……。この子と一緒に……」
そう呟いたかと思えば、握られていた手をそっと抜いてきた。
「何、バカなこと言っているんだ! そんな……、バカなこと……」
離された手を掴み握るが、そこから生気を感じ取ることは出来なかった。
「わたし……。この子が居なかったら……、生きて、いけない……」
そう呟いたかと思えばスッと一筋の涙が伝い、そのまま目を閉じてしまった。
「おい! おい!」
その瞬間。ドクドクと激しい鼓動に襲われた樹は感情のまま小春の肩を掴み激しく揺らしてしまうが、その手を側にいた助産師がそっと添えてきた。
「落ち着いてください。寝ているだけです」
「……え!」
その声に小春の顔を凝視すると確かに息をしており、掴んでしまった肩から手を離す。
「すみません……」
「いえ、少し待ちましょう。気持ちが落ち着くのを」
「はい」
そう返事した樹は一歩下がり、陣痛の波で目が覚め息を切らす姿を、ただ眺めていた。
もし本当に小春がいなくなったら、どうなるのだろうか?
それを想像しただけで、体全身が身震いを起こした。
小春が痛みに耐えるだけになり一時間。二分毎にくる陣痛に体力は削れ、波が引いた時に気を失ったように眠ることを続けていた。
その顔が母親と重なった時、樹は一言呟いた。
「手術して、もらえませんか?」
出産が進まないと連絡を受けて様子を見にきていた女医は、その言葉に小春に目をやる。
無気力な目に、強張った体。心が折れた理由も聞いており、気持ちが追いついていない。
その判断が必要かと、助産師と話し始めた。
すると五分だけ二人で話をすると言った助産師に、樹は分娩室から外に出された。
医師は、一応帝王切開の準備をすると詰所に戻って行く。
廊下の四角い窓から見えるのは、大粒の雪。町は別世界のように、白く彩られている。
雪は本当に降り止む時がくるのか、悲しい出産は終わる時がくるのか。誰かに教えて欲しかった。
「ご主人、奥さんが呼んでますよ」
「……え?」
助産師に呼ばれ開かれたドアから中に入り、仕切られた水色カーテンを開ける。
そこには真っ直ぐな目でこちらを見つめてくる、生気が戻った小春がいた。
「ごめんなさい……」
樹は子供の死が分かり、初めて小春から目を逸らした。
充血した目から溢れるものを抑えながら掠れた声で呟くその姿を、直視出来ない。声も出せない。
だからその手を、ただ握った。
「外の世界を知って欲しい。お腹の中では、何も見えない。そうだよね?」
「ああ。まだ雪は降っててな、景色が綺麗だった」
話している間に陣痛の波がきた小春は、先程と変わりいきみ始める。
声を出し、脂汗を流し、涙を流し。痛みが引いた時は気を失ったように眠りにつく。しかし一向に出産は進まなかった。
通常なら赤ん坊も生まれてこようと共に戦ってくれるが、それはなく母親だけの力で産み落とさなければならない。
その残酷な現実に、小春はただ打ちひしがれていた。
「頭、見えてきましたよ!」
その声に顔を見合わせた二人は、手をギュッと握り締める。
知らせを聞き戻ってきた医師はこのまま処置をし、出産の補助を始める。
聞いたことのない悲痛な声を出し、拭いても拭いても溢れ出てくる汗をかき、降り続ける雪のように止めどない涙を流す。
こうして、とうとうこの時はきた。
分娩台に乗り三時間。何かが出て来た感覚がしたかと思えばその瞬間に、痛みが嘘のようにスッと引いていく。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
やっと周囲を感じ取れるぐらいになった小春は、医師の処置を受けながら違和感を覚えていた。
この部屋は、あまりにも静かだった。
「お疲れ様でした。よく、頑張りましたね。お母さん」
「……はい」
そうか。赤ちゃんが泣かないから。
助産師が取り上げて連れて行った方に、目をやる。
可愛い産声も、夫婦の歓声も、おめでとうの言葉もない。これが亡くなった子供を産むということだった。
それに心付いた小春は、ただ肩を震わす。
一心同体だった我が子は、もう腹の中に戻ってこない。その事実に。
十二月二十五日、二十三時五十一分、二六四八gで生まれたその子は、樹にそっくりな可愛い男の子だった。
四十週と一日。あまりにも短すぎる生涯を遂げたその子は、安らかな表情で亡くなっていた。
「……チビちゃん……」
小春は生まれて来た我が子の方に行こうと衝動的に身を乗り出すが、樹が抑え事なきを得る。
「今、先生が診てくれていますので……」
診る。亡くなった子供を。
それは救命ではなく、死因の特定だった。
震える小春の体を、樹は自身の体に寄り添わせる。
理由を知りたい。
知ったところで、失われた命は返ってこない。
理由を聞かなければ、我が子の死を受け入れられない。
知ったところで、過去に戻ってやり直すことは出来ない。
そんな感情が渦巻く中、二人はただ寄り添いその時を待った。
日付が変わる頃、医師は夫婦に側に付き添っていた助産師を呼ぶ。赤ちゃんの対応を頼む声が聞こえてきたかと思えば、二人の元にやって来た。
「……赤ちゃんの異常は見つかりませんでした。ただ、へその緒が捻じていた痕が見つかりまして。おそらくお腹の中で元気に動いていた際に、へその緒が捩れてしまって酸欠を起こしたのだと思います……」
眉を下げた表情で、ありのままの事実を告げられた二人は。
「……そう……ですか……」
力無く、そう返すことしか出来なかった。
赤ちゃんの死因は事故だった。
これは医師も母親も防ぐことが出来ない、抗えない悲しい運命。
その事実に、胸が詰まる思いだった。
「赤ちゃんは……?」
込み上げてくる重い息と共に出てきたのは、我が子のことだった。
「今から助産師が赤ちゃんの体を綺麗にします。寒いからお洋服も着せてあげないと……。お母さんの体が回復したら、病室に連れて行きますからね」
「……はい」
小春は分娩を終わらせたばかりで、まずは自分の体を回復させることを考えなければならない。
我が子の死を知り、一日半。二人は殆ど眠れていなかった。
小春は分娩台でそのまま眠り、樹は用意された背もたれ椅子に保たれかかっていた。
陣痛室より時折聞こえてくるあまりにも幸せな会話の内容に、樹は小春が目を覚まさないかと何度となくハラハラするが、その瞼が開くことはなかった。その都度、大きな溜息を吐く。
二時間程で歩行許可が出た小春は、助産師に体を支えてもらい病室までゆっくり歩く。
人生全てを投げ出したいとまで願ったこともあったが、体は気持ちに反して回復していた。
何故、我が子と共に連れて行ってくれなかったのか。
そう過った瞬間。
「あっ!」
小春は激しい眩暈に襲われ一瞬ふらつくが、そんな体を支えてくれる存在。
「ありがとうございます。ご主人」
「……ありがとう」
「たまたま、ですから」
そう返事をしたかと思えば、スッと離れていく。
そうだった。この人が……。
俯いていた顔を上げ病室に戻り灯りを付けてもらうと、開いていたカーテンから外の景色が広がっている。
一日半降り続けていた雪は、ようやく止んでいた。
ベッドで横になり灰色の雲に覆われた空をただ眺めていると、ドアが静かに開く音が聞こえた。
「……お母さん、お父さん、赤ちゃんですよ」
先程の助産師が、キャスターが付いた病院用のベビーベッドを押して部屋に入って来た。
新生児が着る白いベビー服に身を包み、布団をかけられた我が子は、他の新生児と変わらない。
しかし一つだけ違うのは、顔に白い布がかけられていることだった。
「最後に、抱っこをしてあげてくださいね」
そう告げた助産師はドアに手をかけ、静かに部屋を出て行った。
小春は震える手でゆっくり布を外す。
そこには短いまつ毛、低い鼻、薄い唇、可愛い顔をした男の子が瞼を閉じていた。
「……可愛い……、なんて可愛いの……。あなたに、そっくり……」
「……ああ、なんで俺なんかに……」
樹は唇から血が滲むぐらいに強く噛み、言葉をグッと飲み込んだ。
二人がその頬に触ると、柔らかくプニプニしていた。亡くなって数日経った体は冷たくなっていたが、その体は母親の体内で成長を遂げていたと見て取れる。
本来なら子供が生まれ、対面したこの瞬間が人生で最高に幸せな瞬間となるが、この夫婦は違う。
生まれた我が子にこの先はなく、待っているのは悲しい別れだけ。どれほど激痛に耐え子供を産んでも子を育む褒美はない。
何の為に十年の不妊治療に耐え、悪阻に耐え、数々の不調に耐え、お腹の子の命を守って来たのか。
我が子に対面し、その命を育みたかったから。
小春はそんな思いを一言も発せず、我が子をそっと抱き上げる。ふにゃふにゃとして弱くて、こちらの体温を奪うぐらいに冷たいが、怯むこともなく抱き寄せる。
しばらくし樹の胸に託すと彼も引き攣った表情を見せるが、ただその体を強く抱きしめた。
父親とのひとときを過ごした子供は母親の元に戻りそのまま包み込むように抱きしめられ、ただ連れられてゆく。
そこは外の景色が見える窓際。備え付けられている背もたれ椅子に座り、二人で空を見上げた。
先程まで覆われていた灰色の雲は風に流され、空全面に広がるのは大きな満月と輝く星々。
冬の澄んだ空気はそれらをより美しく見せてきて、どうしてこのような景色をこの先も共に見れないのかと、より胸を締め付けてくる。
小春は我が子を強く抱きしめる。生まれてすぐ別れなければならない我が子を、想いながら強く。
幾分かの時が過ぎて夜は明けていき、東の空は東雲色に包まれていく。
それは積もった雪を明るく照らしていき、美しく幻想的な景色が広がていった。
「見て。外の世界はね、こんなに美しいの……」
そう言葉にし我が子に笑いかけるが、その瞳からは涙が止めどなく溢れている。
青空が、陽の光が、照らされた雪が美しければ美しい程。何故我が子はこの美しい世界に生を受けることは出来なかったのかと、余計に涙が止まらなくなる。
日が上り雪が溶け落ちていく雫、空に広がる薄い雲と青空、茜色に染まった夕日。
どれほどの涙を流し、嗚咽を漏らし嘆き苦しんでも、その涙が枯れることはなかった。
「お食事です」
「ありがとうございます……」
看護師により配膳された食事を樹は受け取り、ベッド横のサイドテーブルにそっと置く。
少しは食べるようにと声をかけるが、小春はいらないと布団を被る。
そんな姿に、ふわふわと舞う雪をただ眺めていた。
朝九時。二人は医師より処置の内容を聞き、樹は同意書に署名する。
その後、小春は亡くなった我が子を産む為の準備として、処置室に向かって行った。
これから出産が始まる。樹は手を付けていない食事を代わりに食べ、ヨーグルトだけ残した。
三十分ほどで看護師に付き添われて戻ってきた小春の顔は真っ青で、左手袖より伸びている透明の管は、銀のスタンドに吊るされた小さな液体容器に繋がれている。
「また、様子を見に来ますね」
「ありがとうございます……」
小春は消えそうな声で返事をし、ベッドで横になる。
そんな姿に樹は何も言えず、スタンドにぶら下がっている液体容器に目をやる。これが説明で受けた陣痛促進剤なのかと、ただ胸が詰まる思いだった。
樹は小春に背を向け、雪に彩られた町並みを見下ろしていると、その声は聞こえてきた。
「……これで、良いんだよね?」
掠れたら声に振り返ると、変わらずに目と鼻を赤くして、でも頬と唇は真っ青で、小さく体を震わせていた。
「ああ、外の世界を見せてやろう」
そう呟き、小春が横になっているベッド端に座る。そしてためらいもなく、小春の手を強く握った。
「……うん」
二人はただ、時間が過ぎるのを待つ。
選んだ選択は間違っていないと、自分達に言い聞かせてながら……。
三十分が過ぎた頃より痛みが出てきて、十分毎に二十秒程の痛みが現れたかと思えばすぐに引いていく。
様子を見に来た助産師により、陣痛が始まったと知らされる。今のうちに食事をしておいたほうがいいと助言され、昼食を早めに持ってこようかと聞かれるが、小春はお腹空いてないのでと笑ってみせる。
その姿が痛々しかった。
雪が降り続ける、昼下がり。
廊下より昼食の配膳音が聞こえる中、小春は息を切らし眉を顰めるようになった。
「……大丈夫か?」
「うん」
樹の問いに表情を緩めるが、すぐに唇をグッと噛み締める。その額には、脂汗が滲んでいた。
樹が配膳しに来た看護助手に痛そうだと訴えようとするが、小春は陣痛がこないと生まれてこれないからと力無く笑って見せる。
配膳後、様子を見に来た助産師より母親学級の時に教えてもらっていた出産時の呼吸法を再度教えてもらい、意識して息を吐く。
すると、少しその表情が和らいだ。
陣痛間隔が五分になり、痛みが伴う時間も増えていく。
昼食など口にする余裕も無さそうで、用意してあったコップに食堂の給水機から汲んできた水を入れストローで飲むのが精一杯だった。
樹は朝食に残しておいたヨーグルトを食べるように促すが、そんな余裕すら無いようだった。
何か出来ることはないかと聞くが、大丈夫としか返ってこなかった。
暗い灰色の雲が広がる、日没後の空。
頭上の間接照明で照らされる中。小春はベッドで横になり体を縮こませて一言も発することなく、ただ目を閉じ息を意識して吐き出していた。
陣痛の間隔は三分ほどになり、その都度激しい痛みに体を震わす。
そして、握られた手が離れることはなかった。
一方、樹の方も手の痛みを感じる境地を超え、感覚がなくなっていた。何より苦痛に満ちた小春の姿をずっと目の当たりにしているにも関わらず、何も出来ない歯痒さに胸の奥がズシンと痛む。
「大丈夫?」
ノックの音と共に、また様子を見に来た助産師が部屋に訪れる。
「はい、大丈夫です……」
消えそうな声で、そう呟く。
「前の方、出産終わられたから陣痛室に移りましょう」
「……はい」
陣痛の波が引いたタイミングを見計らって、部屋を移動する。そこは四畳ほどの空間にベッド、機械、奥には窓があるもカーテンは閉じてある別世界の空間だった。ベッドに横になった途端に、体を縮めた。三分切っていた。
助産師は小春の腰を押し、少し和らいだ表情に一言。
「ご主人、奥さんの腰を押してあげて。その方が楽になるから」
「はい」
樹が手を離して目の前から離れていく姿に物言いたげな表情を浮かべるが、助産師指導の元に腰を押してもらい息遣い後に漏れる声も小さくなっていた。
「して欲しいことは言った方が良いからね。我慢しないでね」
そう言い、助産師はまた様子を見に来ると部屋を出て行く。
「ここか?」
「うん……、ありがとう……。楽になってる……」
「どうして腰押してと言わないんだよ?」
「それは……」
口篭った小春は、振り返り樹のゴツゴツとした手を見つめる。
察しの悪い樹だが、なんとなく小春の手を掴む。すると、その表情は少し緩んだ。
「して欲しいことは言えよ」
「あ、うん」
口籠ってしまった小春は、窓を見つめる。
閉ざされたカーテンでは、空を見上げることは出来ない。
「次、助産師さんが来てくれたら開けて良いか聞くから」
いつもとは反対の関係が出来ていた。
夜、八時。
とっくに日も暮れたにも関わらず雪灯により明るく見える町並み。
小春が陣痛の合間に開かれたカーテンから見上げると、ぼんやりと明るい空からは止めどなく降り続ける六角形の結晶。
痛みは強くなっているがまだ胎児は下りてきておらず、出産出来る状態ではなかった。
「……痛い……、痛い……」
息遣いのみで声を発さなかった小春の口から、言葉が溢れた。
「もう少しだ……、もう少しで生まれるて来てくれるから」
そう言いながら腰を強く押すが、樹の指は既に感覚が失くなっており、力が入っているのかも分からない状態だった。
「はぁ……」
大きな溜息と共に強張っていた体は力が抜け、脱力しながら息を切らす。
陣痛の波が引き、訪れた安息の時。
樹は腰を押すのを止め小春の前に置かれた椅子に座り、力無い手を握りしめる。
脱力仕切っている小春は窓から空を見ることも樹の顔を見つめることもなく、ただ目を閉じ一際の休養を取った。
しかし。
「……うっ。はぁ……」
和らいでいた表情は一瞬で険しくなり、握られていた手に力が入る。
陣痛の間隔は三分を切っており、容赦なく次の波が押し寄せてきた。
陣痛促進剤を使用し十二時間。やっと、この時はきた。
「分娩室に行きましょう」
母体は出産の体制に入り、胎児も下りてきた。
小春は陣痛の間に樹と助産師に肩を貸されて歩き、ふらつく体でなんとか分娩台に乗る。
終わりが近付いていた。
「もう少しです。次の波が来たら、いきんでみましょう」
「……は……い」
今までは痛みを逃すように指導されていたが、体は出産体制に入っている。
その為、小春は必死にいきんだ。
陣痛の間隔が二分もないのに、押し寄せてくる痛みは一分以上。
痛みに耐えながら合図に合わせて必死でいきむが一向にお産は進まず、時間ばかりが過ぎていった。
「痛い、痛っ……」
小春とは違う声が突如聞こえて、二人はそちらに目をやる。それは先程居た陣痛室より聞こえてきて、出産を控えた妊婦だと分かる。
そして、その後に聞こえてきた。「赤ちゃんに会う為だから頑張る」と話している、弾んだ声が。
同様に会話を聞いていた助産師は顔を歪め、いきむのを止めた小春に咎めることも、奮闘させることもなく、ただ痛みを逃す息遣いをするように声をかけた。
しかし樹は引かず、もう少しで終わるからといきむようにひたすらに声をかけた。助産師の静止を聞こうともせず。
「もう、良いの……」
唇を噛み締めた小春の目から、ポタポタと涙が溢れていく。
「私も……、私も一緒に……。この子と一緒に……」
そう呟いたかと思えば、握られていた手をそっと抜いてきた。
「何、バカなこと言っているんだ! そんな……、バカなこと……」
離された手を掴み握るが、そこから生気を感じ取ることは出来なかった。
「わたし……。この子が居なかったら……、生きて、いけない……」
そう呟いたかと思えばスッと一筋の涙が伝い、そのまま目を閉じてしまった。
「おい! おい!」
その瞬間。ドクドクと激しい鼓動に襲われた樹は感情のまま小春の肩を掴み激しく揺らしてしまうが、その手を側にいた助産師がそっと添えてきた。
「落ち着いてください。寝ているだけです」
「……え!」
その声に小春の顔を凝視すると確かに息をしており、掴んでしまった肩から手を離す。
「すみません……」
「いえ、少し待ちましょう。気持ちが落ち着くのを」
「はい」
そう返事した樹は一歩下がり、陣痛の波で目が覚め息を切らす姿を、ただ眺めていた。
もし本当に小春がいなくなったら、どうなるのだろうか?
それを想像しただけで、体全身が身震いを起こした。
小春が痛みに耐えるだけになり一時間。二分毎にくる陣痛に体力は削れ、波が引いた時に気を失ったように眠ることを続けていた。
その顔が母親と重なった時、樹は一言呟いた。
「手術して、もらえませんか?」
出産が進まないと連絡を受けて様子を見にきていた女医は、その言葉に小春に目をやる。
無気力な目に、強張った体。心が折れた理由も聞いており、気持ちが追いついていない。
その判断が必要かと、助産師と話し始めた。
すると五分だけ二人で話をすると言った助産師に、樹は分娩室から外に出された。
医師は、一応帝王切開の準備をすると詰所に戻って行く。
廊下の四角い窓から見えるのは、大粒の雪。町は別世界のように、白く彩られている。
雪は本当に降り止む時がくるのか、悲しい出産は終わる時がくるのか。誰かに教えて欲しかった。
「ご主人、奥さんが呼んでますよ」
「……え?」
助産師に呼ばれ開かれたドアから中に入り、仕切られた水色カーテンを開ける。
そこには真っ直ぐな目でこちらを見つめてくる、生気が戻った小春がいた。
「ごめんなさい……」
樹は子供の死が分かり、初めて小春から目を逸らした。
充血した目から溢れるものを抑えながら掠れた声で呟くその姿を、直視出来ない。声も出せない。
だからその手を、ただ握った。
「外の世界を知って欲しい。お腹の中では、何も見えない。そうだよね?」
「ああ。まだ雪は降っててな、景色が綺麗だった」
話している間に陣痛の波がきた小春は、先程と変わりいきみ始める。
声を出し、脂汗を流し、涙を流し。痛みが引いた時は気を失ったように眠りにつく。しかし一向に出産は進まなかった。
通常なら赤ん坊も生まれてこようと共に戦ってくれるが、それはなく母親だけの力で産み落とさなければならない。
その残酷な現実に、小春はただ打ちひしがれていた。
「頭、見えてきましたよ!」
その声に顔を見合わせた二人は、手をギュッと握り締める。
知らせを聞き戻ってきた医師はこのまま処置をし、出産の補助を始める。
聞いたことのない悲痛な声を出し、拭いても拭いても溢れ出てくる汗をかき、降り続ける雪のように止めどない涙を流す。
こうして、とうとうこの時はきた。
分娩台に乗り三時間。何かが出て来た感覚がしたかと思えばその瞬間に、痛みが嘘のようにスッと引いていく。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
やっと周囲を感じ取れるぐらいになった小春は、医師の処置を受けながら違和感を覚えていた。
この部屋は、あまりにも静かだった。
「お疲れ様でした。よく、頑張りましたね。お母さん」
「……はい」
そうか。赤ちゃんが泣かないから。
助産師が取り上げて連れて行った方に、目をやる。
可愛い産声も、夫婦の歓声も、おめでとうの言葉もない。これが亡くなった子供を産むということだった。
それに心付いた小春は、ただ肩を震わす。
一心同体だった我が子は、もう腹の中に戻ってこない。その事実に。
十二月二十五日、二十三時五十一分、二六四八gで生まれたその子は、樹にそっくりな可愛い男の子だった。
四十週と一日。あまりにも短すぎる生涯を遂げたその子は、安らかな表情で亡くなっていた。
「……チビちゃん……」
小春は生まれて来た我が子の方に行こうと衝動的に身を乗り出すが、樹が抑え事なきを得る。
「今、先生が診てくれていますので……」
診る。亡くなった子供を。
それは救命ではなく、死因の特定だった。
震える小春の体を、樹は自身の体に寄り添わせる。
理由を知りたい。
知ったところで、失われた命は返ってこない。
理由を聞かなければ、我が子の死を受け入れられない。
知ったところで、過去に戻ってやり直すことは出来ない。
そんな感情が渦巻く中、二人はただ寄り添いその時を待った。
日付が変わる頃、医師は夫婦に側に付き添っていた助産師を呼ぶ。赤ちゃんの対応を頼む声が聞こえてきたかと思えば、二人の元にやって来た。
「……赤ちゃんの異常は見つかりませんでした。ただ、へその緒が捻じていた痕が見つかりまして。おそらくお腹の中で元気に動いていた際に、へその緒が捩れてしまって酸欠を起こしたのだと思います……」
眉を下げた表情で、ありのままの事実を告げられた二人は。
「……そう……ですか……」
力無く、そう返すことしか出来なかった。
赤ちゃんの死因は事故だった。
これは医師も母親も防ぐことが出来ない、抗えない悲しい運命。
その事実に、胸が詰まる思いだった。
「赤ちゃんは……?」
込み上げてくる重い息と共に出てきたのは、我が子のことだった。
「今から助産師が赤ちゃんの体を綺麗にします。寒いからお洋服も着せてあげないと……。お母さんの体が回復したら、病室に連れて行きますからね」
「……はい」
小春は分娩を終わらせたばかりで、まずは自分の体を回復させることを考えなければならない。
我が子の死を知り、一日半。二人は殆ど眠れていなかった。
小春は分娩台でそのまま眠り、樹は用意された背もたれ椅子に保たれかかっていた。
陣痛室より時折聞こえてくるあまりにも幸せな会話の内容に、樹は小春が目を覚まさないかと何度となくハラハラするが、その瞼が開くことはなかった。その都度、大きな溜息を吐く。
二時間程で歩行許可が出た小春は、助産師に体を支えてもらい病室までゆっくり歩く。
人生全てを投げ出したいとまで願ったこともあったが、体は気持ちに反して回復していた。
何故、我が子と共に連れて行ってくれなかったのか。
そう過った瞬間。
「あっ!」
小春は激しい眩暈に襲われ一瞬ふらつくが、そんな体を支えてくれる存在。
「ありがとうございます。ご主人」
「……ありがとう」
「たまたま、ですから」
そう返事をしたかと思えば、スッと離れていく。
そうだった。この人が……。
俯いていた顔を上げ病室に戻り灯りを付けてもらうと、開いていたカーテンから外の景色が広がっている。
一日半降り続けていた雪は、ようやく止んでいた。
ベッドで横になり灰色の雲に覆われた空をただ眺めていると、ドアが静かに開く音が聞こえた。
「……お母さん、お父さん、赤ちゃんですよ」
先程の助産師が、キャスターが付いた病院用のベビーベッドを押して部屋に入って来た。
新生児が着る白いベビー服に身を包み、布団をかけられた我が子は、他の新生児と変わらない。
しかし一つだけ違うのは、顔に白い布がかけられていることだった。
「最後に、抱っこをしてあげてくださいね」
そう告げた助産師はドアに手をかけ、静かに部屋を出て行った。
小春は震える手でゆっくり布を外す。
そこには短いまつ毛、低い鼻、薄い唇、可愛い顔をした男の子が瞼を閉じていた。
「……可愛い……、なんて可愛いの……。あなたに、そっくり……」
「……ああ、なんで俺なんかに……」
樹は唇から血が滲むぐらいに強く噛み、言葉をグッと飲み込んだ。
二人がその頬に触ると、柔らかくプニプニしていた。亡くなって数日経った体は冷たくなっていたが、その体は母親の体内で成長を遂げていたと見て取れる。
本来なら子供が生まれ、対面したこの瞬間が人生で最高に幸せな瞬間となるが、この夫婦は違う。
生まれた我が子にこの先はなく、待っているのは悲しい別れだけ。どれほど激痛に耐え子供を産んでも子を育む褒美はない。
何の為に十年の不妊治療に耐え、悪阻に耐え、数々の不調に耐え、お腹の子の命を守って来たのか。
我が子に対面し、その命を育みたかったから。
小春はそんな思いを一言も発せず、我が子をそっと抱き上げる。ふにゃふにゃとして弱くて、こちらの体温を奪うぐらいに冷たいが、怯むこともなく抱き寄せる。
しばらくし樹の胸に託すと彼も引き攣った表情を見せるが、ただその体を強く抱きしめた。
父親とのひとときを過ごした子供は母親の元に戻りそのまま包み込むように抱きしめられ、ただ連れられてゆく。
そこは外の景色が見える窓際。備え付けられている背もたれ椅子に座り、二人で空を見上げた。
先程まで覆われていた灰色の雲は風に流され、空全面に広がるのは大きな満月と輝く星々。
冬の澄んだ空気はそれらをより美しく見せてきて、どうしてこのような景色をこの先も共に見れないのかと、より胸を締め付けてくる。
小春は我が子を強く抱きしめる。生まれてすぐ別れなければならない我が子を、想いながら強く。
幾分かの時が過ぎて夜は明けていき、東の空は東雲色に包まれていく。
それは積もった雪を明るく照らしていき、美しく幻想的な景色が広がていった。
「見て。外の世界はね、こんなに美しいの……」
そう言葉にし我が子に笑いかけるが、その瞳からは涙が止めどなく溢れている。
青空が、陽の光が、照らされた雪が美しければ美しい程。何故我が子はこの美しい世界に生を受けることは出来なかったのかと、余計に涙が止まらなくなる。
日が上り雪が溶け落ちていく雫、空に広がる薄い雲と青空、茜色に染まった夕日。
どれほどの涙を流し、嗚咽を漏らし嘆き苦しんでも、その涙が枯れることはなかった。
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