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46.ユウの役に立ちたいの
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ふと、二人が二階に上がったまま降りてこないことに気づいた。
何だか気になって、私はそーっと階段を上がった。
「……」
「……」
何か話してる。そっとドアに耳を近づけた。
『……で、だからとりあえずミュービュリで身を隠しとけって』
『ふうん……』
『……なあ、さっき何で朝日にあんな言い方したんだよ』
『あんな……って?』
『絶対テスラに行かせない、兵士みたいなことするなって……』
ちょっと黙り込んだあと、ユウの凛とした声が響いた。
『僕の使命は、朝日を守ることだ』
もう何度となく聞いた、ユウの台詞。
私は思わず、溜息をついた。
1年経っても……私達の距離は……何も変わっていないのかな。
ユウにとっては……どこまでいっても守る対象止まりなのかな……。
『ふうん……?』
夜斗が意味ありげな相槌を打つ。
『ガードすべき対象をわざわざ危険に晒す馬鹿がどこにいる』
『……でも、女王の託宣は、戦の終焉の鍵になる娘、だぞ。お前がいくらそう思っていたって……』
『もう十分、鍵としての役目は果たしただろう。後は俺が終わらせる』
『それは身体を治してから言えよ』
『……』
夜斗がちょっと厳しく言うと、ユウはぐっと押し黙った。
『……まあ、俺は朝日の強制執行には逆らえないんでね。特訓を頼まれたら相手をするしかないんだ。怨むなよ』
『何を……』
夜斗がこちらに戻ってくる気配がしたので、慌ててドアの前から離れ、階段を下りた。
リビングに入って、思わず胸を押さえる。
何だかドキドキする。あれが、ユウの本音なんだろうか……。
ユウは、もう、私にテスラに関わってほしくないんだ。
自分の世界のことだから、自分で片をつけたい、と……。
夜斗が階段を下りてきてリビングに入って来た。
そしてちょっと私の顔を覗くと
「……聞いてただろ」
と言って少し困ったような顔をした。
「……少しだけ」
「ま、あんまり気にするな。自分の身体が思い通りにならないから、カリカリしてるんだよ」
「……」
「朝日を守れる状態じゃないだろ、今。自分自身で情けなく思ってるんじゃないか?」
「そんなこと……ないのに……」
ただ傍にいてくれれば――それでいいのに。
「それか、ただ単に……ま、それはいいか」
夜斗は何か言いかけて、ちょっと笑った。
「俺はいい傾向だと思うけどね。あいつ、幼いころの記憶が封じられていた悪影響か、感情の起伏に乏しかっただろう? だけど、前よりずっと感情表現が豊かになったな、と思って。俺達にやつあたりするなんてさ」
私はハッとして、夜斗の顔を見た。
そう言われればそうかも。
ユウは、不機嫌そうになったことはあってもそれを吐露することなんて、学校に行っていた頃は一度もなかった。
そう考えれば、今は前よりも心を開いてくれている、と思っていいのかな。
夜斗って……フェルを使わなくても、その人の心を察するのがすごくうまいんだ。
だから、何だか私もユウもちょっと甘えてしまうのかも。
じーっと夜斗を見上げると、夜斗がちょと照れたような顔をして
「……何だよ」
とぶっきらぼうに言った。
「夜斗って、いいお兄ちゃんだよね……」
「なるほど……そういう感じね……」
夜斗は何だかちぐはぐな相槌を打つと、ちょっと溜息をついた。
「まぁ……とにかく。お前は、ユウの言うことにいちいち振り回されてちゃ駄目だ。あいつは今、拗ねてるだけなんだから。それより、お前がいいと思ったことをどんどん実行に移していった方がお前らしいんじゃないの? 周りを振り回すのは、むしろお前の専売特許だろ」
夜斗がそう言って笑って、私の頭をぐしゃぐしゃっとする。私は「もう!」と言って手を払ったけど、ちょっと目から鱗だった。
……そうだよね。私のモットーは、『やらないよりやって後悔しよう』だもん。
私が防御を完璧にすれば、絶対、ユウだって安心してくれる。
「よし、防御を絶対マスターする。頑張る!」
「その意気だな」
私は右手を上げてガッツポーズをすると、夜斗がくっくっくっと楽しそうに笑っていた。
「目標を決めよう。今日が4月7日だから……」
そこまで言って、ふと……何かが引っかかる。
――出会った記念! 今日、4月7日がユウの誕生日!
1年前の自分の台詞を思い出す。
「……ああっ!」
思わず叫ぶ。夜斗が本気で驚いて仰け反っていた。
「何だよ、脅かすなよ」
「夜斗、今日、今日だった! ユウの誕生日!」
「……誕生日ぃ?」
あ、そっか、夜斗にもその概念はないんだ。
そう言えばそうだったと思い、私は1年前のいきさつを説明した。
そして、12月24日の私の誕生日には、プレゼントをもらったことも。
「へー……そんな風習がね……」
夜斗が顎をしゃくりながら唸る。
「……あ、そうだ。本当の誕生日、分かるかもしれないぞ」
「え?」
夜斗は「ちょっと待ってろ」と言って、二階に上がっていった。
そしてすぐに、私のひいお祖父ちゃんの日記を手に戻ってきた。
「暦って、テスラとこの世界は一緒なの?」
「そうなんだよ。不思議だよな」
夜斗はそう言いながら日記をめくる。
「村であったこと、かなりこまめに書いてあったから……フィラの三家にまつわることなら絶対書いてあると思うんだよな」
「なるほど……」
一緒に覗き込んでみるけど、やっぱりまるでわからない。
「ん……? 『ピュルヴィケンに双子が生まれた。とても素晴らしいことだ』。俺とリオのことだな。俺の家では双子は強い力を持つと言われているから……」
「いつなの?」
「これは……6月1日だな」
「そうなんだ。覚えとくね」
「おう」
そして夜斗は再び日記を捲った。
夜斗と理央より1年ぐらい後にユウは生まれているはずだから……。
「……おっ」
夜斗の手が止まった。
「書いてある?」
「ああ。『ファルヴィケンに男の子が生まれた。素晴らしい素質を持った子供だ。きっと村を盛り立てて行ってくれるに違いない。ピュルヴィケンの双子といい、とても才能に恵まれている世代だ。……わがチェルヴィケンが途絶えてしまったことがひどく淋しく思える。ヒールヴェンが生きていれば、きっと若い世代を導いてくれたであろうに』……だって」
「そっか……。パパがキエラで生きてたこと、まだ知らないもんね」
「実際、導いてくれたからな……」
ちょっとしんみりする。
「あ、で、何日?」
我に返って夜斗に聞くと
「えっと……当たりだ」
と夜斗はちょっと驚いた様子だった。
「当たり?」
「4月7日。今日だ」
「……!」
私はすっくと立ち上がった。
「じゃあ、絶対今日お祝いしなきゃ!」
「……どうやって?」
そうか。こればかりは夜斗も初心者だからわからないよね。
とりあえず、ユウは朝しか食べないから料理はいらないとして、ケーキぐらいはあった方がいいよね。甘い物好きだし。
あと、誕生日プレゼント……どうしよう?
「買い物に行きたい」
「そりゃ無理だ」
「だよねぇ」
夜斗の障壁は敷地内だけ。私一人で出かける訳にもいかないし……夜斗と一緒に出掛けたら、今度はユウが一人になっちゃう。
「……ママに相談してみる」
私は携帯から、ママに電話してみた。
ママはちょうど手が空いていたところみたいで、すぐに出てくれた。
ユウの誕生日の話をすると
「じゃあ、ケーキを1つ用意しておくわ。家に届けるようにするわね」
と言ってくれた。
そして、買い物には夜斗に行ってもらった。
バスの乗り方から説明しないといけなくて大変だったけど、とりあえずメモを渡して書いてあるものを買ってきてもらった。
飲み込みが早い夜斗は迷うこともなく、ちゃんと任務を全うしてくれた。
そして……午後6時半。ママがレストランに頼んでくれたケーキが届いた。
その頃には私の用意も終わった。
……リビングにケーキをセッティングして、コーヒーの準備をする。
誕生日プレゼントをそっと隅に隠すと、私は二階に上がった。
ユウは……喜んでくれるかな?
何だか気になって、私はそーっと階段を上がった。
「……」
「……」
何か話してる。そっとドアに耳を近づけた。
『……で、だからとりあえずミュービュリで身を隠しとけって』
『ふうん……』
『……なあ、さっき何で朝日にあんな言い方したんだよ』
『あんな……って?』
『絶対テスラに行かせない、兵士みたいなことするなって……』
ちょっと黙り込んだあと、ユウの凛とした声が響いた。
『僕の使命は、朝日を守ることだ』
もう何度となく聞いた、ユウの台詞。
私は思わず、溜息をついた。
1年経っても……私達の距離は……何も変わっていないのかな。
ユウにとっては……どこまでいっても守る対象止まりなのかな……。
『ふうん……?』
夜斗が意味ありげな相槌を打つ。
『ガードすべき対象をわざわざ危険に晒す馬鹿がどこにいる』
『……でも、女王の託宣は、戦の終焉の鍵になる娘、だぞ。お前がいくらそう思っていたって……』
『もう十分、鍵としての役目は果たしただろう。後は俺が終わらせる』
『それは身体を治してから言えよ』
『……』
夜斗がちょっと厳しく言うと、ユウはぐっと押し黙った。
『……まあ、俺は朝日の強制執行には逆らえないんでね。特訓を頼まれたら相手をするしかないんだ。怨むなよ』
『何を……』
夜斗がこちらに戻ってくる気配がしたので、慌ててドアの前から離れ、階段を下りた。
リビングに入って、思わず胸を押さえる。
何だかドキドキする。あれが、ユウの本音なんだろうか……。
ユウは、もう、私にテスラに関わってほしくないんだ。
自分の世界のことだから、自分で片をつけたい、と……。
夜斗が階段を下りてきてリビングに入って来た。
そしてちょっと私の顔を覗くと
「……聞いてただろ」
と言って少し困ったような顔をした。
「……少しだけ」
「ま、あんまり気にするな。自分の身体が思い通りにならないから、カリカリしてるんだよ」
「……」
「朝日を守れる状態じゃないだろ、今。自分自身で情けなく思ってるんじゃないか?」
「そんなこと……ないのに……」
ただ傍にいてくれれば――それでいいのに。
「それか、ただ単に……ま、それはいいか」
夜斗は何か言いかけて、ちょっと笑った。
「俺はいい傾向だと思うけどね。あいつ、幼いころの記憶が封じられていた悪影響か、感情の起伏に乏しかっただろう? だけど、前よりずっと感情表現が豊かになったな、と思って。俺達にやつあたりするなんてさ」
私はハッとして、夜斗の顔を見た。
そう言われればそうかも。
ユウは、不機嫌そうになったことはあってもそれを吐露することなんて、学校に行っていた頃は一度もなかった。
そう考えれば、今は前よりも心を開いてくれている、と思っていいのかな。
夜斗って……フェルを使わなくても、その人の心を察するのがすごくうまいんだ。
だから、何だか私もユウもちょっと甘えてしまうのかも。
じーっと夜斗を見上げると、夜斗がちょと照れたような顔をして
「……何だよ」
とぶっきらぼうに言った。
「夜斗って、いいお兄ちゃんだよね……」
「なるほど……そういう感じね……」
夜斗は何だかちぐはぐな相槌を打つと、ちょっと溜息をついた。
「まぁ……とにかく。お前は、ユウの言うことにいちいち振り回されてちゃ駄目だ。あいつは今、拗ねてるだけなんだから。それより、お前がいいと思ったことをどんどん実行に移していった方がお前らしいんじゃないの? 周りを振り回すのは、むしろお前の専売特許だろ」
夜斗がそう言って笑って、私の頭をぐしゃぐしゃっとする。私は「もう!」と言って手を払ったけど、ちょっと目から鱗だった。
……そうだよね。私のモットーは、『やらないよりやって後悔しよう』だもん。
私が防御を完璧にすれば、絶対、ユウだって安心してくれる。
「よし、防御を絶対マスターする。頑張る!」
「その意気だな」
私は右手を上げてガッツポーズをすると、夜斗がくっくっくっと楽しそうに笑っていた。
「目標を決めよう。今日が4月7日だから……」
そこまで言って、ふと……何かが引っかかる。
――出会った記念! 今日、4月7日がユウの誕生日!
1年前の自分の台詞を思い出す。
「……ああっ!」
思わず叫ぶ。夜斗が本気で驚いて仰け反っていた。
「何だよ、脅かすなよ」
「夜斗、今日、今日だった! ユウの誕生日!」
「……誕生日ぃ?」
あ、そっか、夜斗にもその概念はないんだ。
そう言えばそうだったと思い、私は1年前のいきさつを説明した。
そして、12月24日の私の誕生日には、プレゼントをもらったことも。
「へー……そんな風習がね……」
夜斗が顎をしゃくりながら唸る。
「……あ、そうだ。本当の誕生日、分かるかもしれないぞ」
「え?」
夜斗は「ちょっと待ってろ」と言って、二階に上がっていった。
そしてすぐに、私のひいお祖父ちゃんの日記を手に戻ってきた。
「暦って、テスラとこの世界は一緒なの?」
「そうなんだよ。不思議だよな」
夜斗はそう言いながら日記をめくる。
「村であったこと、かなりこまめに書いてあったから……フィラの三家にまつわることなら絶対書いてあると思うんだよな」
「なるほど……」
一緒に覗き込んでみるけど、やっぱりまるでわからない。
「ん……? 『ピュルヴィケンに双子が生まれた。とても素晴らしいことだ』。俺とリオのことだな。俺の家では双子は強い力を持つと言われているから……」
「いつなの?」
「これは……6月1日だな」
「そうなんだ。覚えとくね」
「おう」
そして夜斗は再び日記を捲った。
夜斗と理央より1年ぐらい後にユウは生まれているはずだから……。
「……おっ」
夜斗の手が止まった。
「書いてある?」
「ああ。『ファルヴィケンに男の子が生まれた。素晴らしい素質を持った子供だ。きっと村を盛り立てて行ってくれるに違いない。ピュルヴィケンの双子といい、とても才能に恵まれている世代だ。……わがチェルヴィケンが途絶えてしまったことがひどく淋しく思える。ヒールヴェンが生きていれば、きっと若い世代を導いてくれたであろうに』……だって」
「そっか……。パパがキエラで生きてたこと、まだ知らないもんね」
「実際、導いてくれたからな……」
ちょっとしんみりする。
「あ、で、何日?」
我に返って夜斗に聞くと
「えっと……当たりだ」
と夜斗はちょっと驚いた様子だった。
「当たり?」
「4月7日。今日だ」
「……!」
私はすっくと立ち上がった。
「じゃあ、絶対今日お祝いしなきゃ!」
「……どうやって?」
そうか。こればかりは夜斗も初心者だからわからないよね。
とりあえず、ユウは朝しか食べないから料理はいらないとして、ケーキぐらいはあった方がいいよね。甘い物好きだし。
あと、誕生日プレゼント……どうしよう?
「買い物に行きたい」
「そりゃ無理だ」
「だよねぇ」
夜斗の障壁は敷地内だけ。私一人で出かける訳にもいかないし……夜斗と一緒に出掛けたら、今度はユウが一人になっちゃう。
「……ママに相談してみる」
私は携帯から、ママに電話してみた。
ママはちょうど手が空いていたところみたいで、すぐに出てくれた。
ユウの誕生日の話をすると
「じゃあ、ケーキを1つ用意しておくわ。家に届けるようにするわね」
と言ってくれた。
そして、買い物には夜斗に行ってもらった。
バスの乗り方から説明しないといけなくて大変だったけど、とりあえずメモを渡して書いてあるものを買ってきてもらった。
飲み込みが早い夜斗は迷うこともなく、ちゃんと任務を全うしてくれた。
そして……午後6時半。ママがレストランに頼んでくれたケーキが届いた。
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