22 / 32
収監令嬢・蛇足の舞台裏 ~神々の事情~
男神の回顧録9・男神の高揚【第9幕】
しおりを挟む
“いやん、舞踏会ですって! 胸躍るイベントねー!”
すでに監視目的というのを忘れたかのような、スラァ様のハイテンションな声。わたしの中でわんわん響き、こめかみの奥を揺さぶられるような感覚になる。
「……スラァ様、少し声を落としてもらえませんか」
“あら、ごめんなさい。……で? 話って?”
「舞踏会の夜、ムーンの協力を得てマユと二人きりで会いたいと思っています。よろしいでしょうか?」
“えっ”
声高に騒いでいたスラァ様の声が、急に2オクターブぐらい下がった。
“よろしい訳がないでしょう。舞踏会と言えば登場人物が一堂に会してるんだから”
「しかし恐らく、ミーアはここでディオンのイベントを起こしますよね?」
“うーん……多分ね”
「かなり重要なイベントですし、神々の注意をそちらに引き付けることはできませんか?」
“できなくはないけど、マリアンセイユはそのイベントを阻止しないといけないんじゃないの?”
「マユは物語の先を知りませんし、驚くぐらいディオンに関心がないんです」
マユからはたびたび学院の話を聞くが、授業のことやミーアのこと、友達になったというクロエの話ばかりだ。
ディオンとはどうなっているんだろう、と思い聞いてみたところ
「えっ、殆ど話してないわ。だって生徒じゃなくて学院長だし」
という返事が返って来た。
やっぱりマユは、婚約者とはどういうものなのかわかっていない気がする。
“それってどうなの? そりゃミーアに持ってかれちゃうわよ”
「そうですね……」
“あ、セルフィスとしてはそれでもいいのか。マリアンセイユがディオンの婚約者じゃなくなれば障害が無くなるものね”
「いえ、そういう訳では……」
ミーアがマユからディオンを奪うことを目論めば、マユの身に危険が及ぶ。
それならばマユがちゃんと自分の立場を主張してディオンの気を引くべきなのだが、マユがディオンと結婚して大公子妃になるという未来は想像し難いし、できることなら阻止したい。
ディオンと結婚してほしくはないが、ディオンの婚約者から引き摺り下ろされるマユは見たくない。
“えー、男心は複雑ね”
「当たり前のように心を読まないでください」
わたしがどうしたいかを考えたところで、どうせ神々への披露が終わるまでは何もできない。
それにマユ自身が今は『聖なる者』になることしか考えておらず、他のことには全く頭が回っていないようだ。
それは安心なようで不安でもあるが、何も本当のことが話せないのだからどうしようもない。
それに大事なのは、わたしの望みではなくマユの望み。
それがどういうものであろうが、わたしはマユが望むことを叶える、そのために動くと決めたのだ。
そのマユが
「セルフィスと踊りたい」
と言ってくれたのだから、今はそれに最大限応えたい。
マユはわたしに愚痴をこぼす割に、あまり無茶な要求はしてこなかった。
大公の間諜だから、会っていることは秘密だから、と手を変え品を変え距離を取るようにしてきたせいか、踏み込んではいけないと思っているのだろう。
わたしが引いてしまった線をじっと睨み、決してその線を越えようとはしない。だけどその手前で、精一杯身を乗り出すように手を振ってくれている気がする。
その様子がいじらしくて、可愛くて……申し訳なくも思う。
本当のことは何一つ言えず、それでも未練たらしくマユを試すようなことを言ったり、揺さぶるようなことを言ったり。
そんなことしかできないわたしを必要としてくれることが、たまらなく嬉しい。
“へぇ……ちゃんと進展してるのね”
「進展と言えるのでしょうか?」
“まぁ、朴念仁にはわからないでしょうよ”
けっ、と吐き捨てるように言われてさすがに苛つくが、今はとにかくスラァ様の許可をもらわなければならない。
「それで、先ほどの件ですけど」
“どういう手を使うつもりなのか説明してよ。じゃないと判断できないわ”
スラァ様に言われ、わたしは作戦のあらましを説明した。
マユはディオンと踊ったあとはもうすることが無いから適当にぶらつくわ、と言っていた。
恐らくミーアを警戒して様子を見るつもりなのだろうが、もしミーアがイベントを起こしていたとしたら、踊り終わったマユと対面することは無い。既に令嬢達に東側のバルコニーに呼び出されているからだ。
となると、マユがその反対側、西側のバルコニーに来たところで隔離すればいい。
“そんな都合よく事が運ぶの? 言っておくけど、セルフィスが舞踏会会場に乗り込むのはナシよ”
「そんなことはしません。マユには『その夜のロワーネの森に浮かぶ上弦の月はひときわ綺麗でしょうね』と言っておきましたから」
“……ああ、言ってたわね”
どうやらマユと会っているときは必ず監視しているらしいスラァ様が、思い出したように呟く。
しかし意味が解らなかったらしく、
“え、それだけ?”
と不思議そうに声を上げた。
「行動を強制する発言は違反ですから」
“それはそうね。……いやだから、それで必ず西側に来るの?”
「ロワーネの森は大公宮の西にあります。そして舞踏会の時刻なら、上弦の月は西側に見えますから」
“へぇ……”
マユが来たら、ムーンに結界を張ってもらい、誰も近づけないようにする。あとは私の魔法で作っておいた『聖女の泉』への通路にマユを誘い込む。
『聖女の泉』は、ロワーネの谷とフォンティーヌの森の分岐点。聖女シュルヴィアフェスが魔界に入る前にこの泉で身を清めたといわれている。
実はリンドブロム城の敷地からかなり奥にあり、今では誰も立ち入ることのない場所、いわゆる聖域だ。
地上に魔法の通路を作るためには、次元に穴を開け出発地点と目的地と繋ぐ必要がある。さらにそれらが不自然なものとならないよう偽装するのにも、かなりの魔精力を消費する。
魔王の力はこれでかなり抑えられるし、聖女の泉自体が自然の魔精力に溢れた神聖な領域だ。これにムーンの結界が加われば、まず見つからないだろう。
“なるほどね。月光龍の結界が神々にどこまで通用するかはわからないけど、仮に見えていたとしても小部屋の人の出入りまで気にすることはないだろうし、ましてや『聖女の泉』を覗く者はいないと思うわ”
「よろしいでしょうか?」
“ま、いいでしょう。ただし、マリアンセイユを西側に直接連れて行くような真似は許さないわよ。あくまで彼女の意志で。彼女には、ディオンとミーアのイベントに割って入る権利があるのだから”
「わかっています」
“来なかったら諦めてもらうわ”
「はい」
“……ま、頑張って”
素っ気なく励ましの言葉を述べ、スラァ様の気配が消える。
途端に、ドッと汗が噴き出て眩暈がした。『女神のロッド』によるスラァ様との会話は、得るものは多いがかなり体に負担が来る。
しかし弱音を吐いている訳にはいかない。
もうすぐ、この物語は終わる。
マユの望みのために動くとは言ったが、おとなしくディオンに持っていかれる気はさらさら無いのだ。
* * *
舞踏会の夜のマユは、夜空に輝く月のように美しく、可憐で。
魔法の通路から出てきたのを見たときは、一瞬息が止まった。
思えば、公爵令嬢として振舞うマユを見たのは初めてだった。
2年間、アイーダ女史に厳しく叱られて、半泣きになってわたしに愚痴を言いながらも、ずっと努力して。
わたしのせいで何も知らない世界に来てしまったマユは、本当に何も無いところからここまで来たのだ、と尊敬の念すら抱いた。
パルシアンにずっと閉じ込めておきたかった。
けれど、マユが表に出て多くの人間に認められ、数多の令嬢が歯噛みをするような美しい立派な淑女となったのは、陰でずっと見ていたわたしにとっても誇らしいことだった。
そしてマユにとっても、そうやって公にその存在を認められることは大事だったのだと思う。
ずっと僻地パルシアンに追いやられていた罪深き可哀想な令嬢のままでは、マユの本当の魅力は花開かなかったに違いない。
「月夜に相応しい装いですね。ディオン殿下に合わせたのですか?」
緑の絨毯の上で舞いながらマユにそう問いかける。
ほわっと幸せそうに笑っていたマユは、少しだけ我に返った表情をすると
「そうなの」
とやや気まずそうに答えた。その真意はわからない。
しかし次の瞬間には、パルシアンで見るいつもの楽しそうな表情に戻っていた。
「でも……セルフィスに合わせるなら、アクセサリーはゴールドだったわね」
そう言って本当に嬉しそうに笑うので、何とも言えない、甘く切ないものが胸の奥から込み上げてきた。
何一つ本当のことは伝えられないわたしに、どうしてそんな嬉しい言葉をくれるのか。
マユのためにと言いつつ、マユがわたしにくれるものの方がずっと大きくて、温かくて、危うく涙が出そうになった。
物語が終わるまであと少し……本当にあともう少しのはずなのに、随分と先のことのように感じる。
すべてが終われば、わたしは、わたしの真実の言葉をマユに伝えられるのに。
すでに監視目的というのを忘れたかのような、スラァ様のハイテンションな声。わたしの中でわんわん響き、こめかみの奥を揺さぶられるような感覚になる。
「……スラァ様、少し声を落としてもらえませんか」
“あら、ごめんなさい。……で? 話って?”
「舞踏会の夜、ムーンの協力を得てマユと二人きりで会いたいと思っています。よろしいでしょうか?」
“えっ”
声高に騒いでいたスラァ様の声が、急に2オクターブぐらい下がった。
“よろしい訳がないでしょう。舞踏会と言えば登場人物が一堂に会してるんだから”
「しかし恐らく、ミーアはここでディオンのイベントを起こしますよね?」
“うーん……多分ね”
「かなり重要なイベントですし、神々の注意をそちらに引き付けることはできませんか?」
“できなくはないけど、マリアンセイユはそのイベントを阻止しないといけないんじゃないの?”
「マユは物語の先を知りませんし、驚くぐらいディオンに関心がないんです」
マユからはたびたび学院の話を聞くが、授業のことやミーアのこと、友達になったというクロエの話ばかりだ。
ディオンとはどうなっているんだろう、と思い聞いてみたところ
「えっ、殆ど話してないわ。だって生徒じゃなくて学院長だし」
という返事が返って来た。
やっぱりマユは、婚約者とはどういうものなのかわかっていない気がする。
“それってどうなの? そりゃミーアに持ってかれちゃうわよ”
「そうですね……」
“あ、セルフィスとしてはそれでもいいのか。マリアンセイユがディオンの婚約者じゃなくなれば障害が無くなるものね”
「いえ、そういう訳では……」
ミーアがマユからディオンを奪うことを目論めば、マユの身に危険が及ぶ。
それならばマユがちゃんと自分の立場を主張してディオンの気を引くべきなのだが、マユがディオンと結婚して大公子妃になるという未来は想像し難いし、できることなら阻止したい。
ディオンと結婚してほしくはないが、ディオンの婚約者から引き摺り下ろされるマユは見たくない。
“えー、男心は複雑ね”
「当たり前のように心を読まないでください」
わたしがどうしたいかを考えたところで、どうせ神々への披露が終わるまでは何もできない。
それにマユ自身が今は『聖なる者』になることしか考えておらず、他のことには全く頭が回っていないようだ。
それは安心なようで不安でもあるが、何も本当のことが話せないのだからどうしようもない。
それに大事なのは、わたしの望みではなくマユの望み。
それがどういうものであろうが、わたしはマユが望むことを叶える、そのために動くと決めたのだ。
そのマユが
「セルフィスと踊りたい」
と言ってくれたのだから、今はそれに最大限応えたい。
マユはわたしに愚痴をこぼす割に、あまり無茶な要求はしてこなかった。
大公の間諜だから、会っていることは秘密だから、と手を変え品を変え距離を取るようにしてきたせいか、踏み込んではいけないと思っているのだろう。
わたしが引いてしまった線をじっと睨み、決してその線を越えようとはしない。だけどその手前で、精一杯身を乗り出すように手を振ってくれている気がする。
その様子がいじらしくて、可愛くて……申し訳なくも思う。
本当のことは何一つ言えず、それでも未練たらしくマユを試すようなことを言ったり、揺さぶるようなことを言ったり。
そんなことしかできないわたしを必要としてくれることが、たまらなく嬉しい。
“へぇ……ちゃんと進展してるのね”
「進展と言えるのでしょうか?」
“まぁ、朴念仁にはわからないでしょうよ”
けっ、と吐き捨てるように言われてさすがに苛つくが、今はとにかくスラァ様の許可をもらわなければならない。
「それで、先ほどの件ですけど」
“どういう手を使うつもりなのか説明してよ。じゃないと判断できないわ”
スラァ様に言われ、わたしは作戦のあらましを説明した。
マユはディオンと踊ったあとはもうすることが無いから適当にぶらつくわ、と言っていた。
恐らくミーアを警戒して様子を見るつもりなのだろうが、もしミーアがイベントを起こしていたとしたら、踊り終わったマユと対面することは無い。既に令嬢達に東側のバルコニーに呼び出されているからだ。
となると、マユがその反対側、西側のバルコニーに来たところで隔離すればいい。
“そんな都合よく事が運ぶの? 言っておくけど、セルフィスが舞踏会会場に乗り込むのはナシよ”
「そんなことはしません。マユには『その夜のロワーネの森に浮かぶ上弦の月はひときわ綺麗でしょうね』と言っておきましたから」
“……ああ、言ってたわね”
どうやらマユと会っているときは必ず監視しているらしいスラァ様が、思い出したように呟く。
しかし意味が解らなかったらしく、
“え、それだけ?”
と不思議そうに声を上げた。
「行動を強制する発言は違反ですから」
“それはそうね。……いやだから、それで必ず西側に来るの?”
「ロワーネの森は大公宮の西にあります。そして舞踏会の時刻なら、上弦の月は西側に見えますから」
“へぇ……”
マユが来たら、ムーンに結界を張ってもらい、誰も近づけないようにする。あとは私の魔法で作っておいた『聖女の泉』への通路にマユを誘い込む。
『聖女の泉』は、ロワーネの谷とフォンティーヌの森の分岐点。聖女シュルヴィアフェスが魔界に入る前にこの泉で身を清めたといわれている。
実はリンドブロム城の敷地からかなり奥にあり、今では誰も立ち入ることのない場所、いわゆる聖域だ。
地上に魔法の通路を作るためには、次元に穴を開け出発地点と目的地と繋ぐ必要がある。さらにそれらが不自然なものとならないよう偽装するのにも、かなりの魔精力を消費する。
魔王の力はこれでかなり抑えられるし、聖女の泉自体が自然の魔精力に溢れた神聖な領域だ。これにムーンの結界が加われば、まず見つからないだろう。
“なるほどね。月光龍の結界が神々にどこまで通用するかはわからないけど、仮に見えていたとしても小部屋の人の出入りまで気にすることはないだろうし、ましてや『聖女の泉』を覗く者はいないと思うわ”
「よろしいでしょうか?」
“ま、いいでしょう。ただし、マリアンセイユを西側に直接連れて行くような真似は許さないわよ。あくまで彼女の意志で。彼女には、ディオンとミーアのイベントに割って入る権利があるのだから”
「わかっています」
“来なかったら諦めてもらうわ”
「はい」
“……ま、頑張って”
素っ気なく励ましの言葉を述べ、スラァ様の気配が消える。
途端に、ドッと汗が噴き出て眩暈がした。『女神のロッド』によるスラァ様との会話は、得るものは多いがかなり体に負担が来る。
しかし弱音を吐いている訳にはいかない。
もうすぐ、この物語は終わる。
マユの望みのために動くとは言ったが、おとなしくディオンに持っていかれる気はさらさら無いのだ。
* * *
舞踏会の夜のマユは、夜空に輝く月のように美しく、可憐で。
魔法の通路から出てきたのを見たときは、一瞬息が止まった。
思えば、公爵令嬢として振舞うマユを見たのは初めてだった。
2年間、アイーダ女史に厳しく叱られて、半泣きになってわたしに愚痴を言いながらも、ずっと努力して。
わたしのせいで何も知らない世界に来てしまったマユは、本当に何も無いところからここまで来たのだ、と尊敬の念すら抱いた。
パルシアンにずっと閉じ込めておきたかった。
けれど、マユが表に出て多くの人間に認められ、数多の令嬢が歯噛みをするような美しい立派な淑女となったのは、陰でずっと見ていたわたしにとっても誇らしいことだった。
そしてマユにとっても、そうやって公にその存在を認められることは大事だったのだと思う。
ずっと僻地パルシアンに追いやられていた罪深き可哀想な令嬢のままでは、マユの本当の魅力は花開かなかったに違いない。
「月夜に相応しい装いですね。ディオン殿下に合わせたのですか?」
緑の絨毯の上で舞いながらマユにそう問いかける。
ほわっと幸せそうに笑っていたマユは、少しだけ我に返った表情をすると
「そうなの」
とやや気まずそうに答えた。その真意はわからない。
しかし次の瞬間には、パルシアンで見るいつもの楽しそうな表情に戻っていた。
「でも……セルフィスに合わせるなら、アクセサリーはゴールドだったわね」
そう言って本当に嬉しそうに笑うので、何とも言えない、甘く切ないものが胸の奥から込み上げてきた。
何一つ本当のことは伝えられないわたしに、どうしてそんな嬉しい言葉をくれるのか。
マユのためにと言いつつ、マユがわたしにくれるものの方がずっと大きくて、温かくて、危うく涙が出そうになった。
物語が終わるまであと少し……本当にあともう少しのはずなのに、随分と先のことのように感じる。
すべてが終われば、わたしは、わたしの真実の言葉をマユに伝えられるのに。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる