4 / 44
最後の集合写真
しおりを挟む
高校の同窓会は十年ぶりだった。
懐かしい顔ぶれに囲まれ、時間はあっという間に過ぎていった。幹事が最後に集合写真を撮ろうと言い出し、店の前で全員が肩を寄せ合った。
その場で撮った写真をグループチャットに送ってもらい、帰宅してから改めて見返す。
「ああ、みんな歳を取ったなあ」と笑っていたが、ふと違和感を覚えた。
写真の端、私の左隣に知らない女が写っている。
セミロングの髪に地味なワンピース、無表情で、まっすぐカメラを見ている。
私は隣に誰もいなかったはずだ。
気味が悪くなってチャットに写真を貼り、「この人、誰?」と送った。
しかし誰も反応しない。既読はつくのに、返事が来ない。
やがて一人だけが短く返信してきた。
『その話、今はやめよう』
不安になり、撮影時に近くにいた友人に電話をかけた。
「ねえ、集合写真で私の隣にいた女って――」
「……覚えてない。っていうか、あの時お前、誰も隣にいなかっただろ」
背筋に冷たいものが走った。
翌日、もう一度写真を開いた。
女の顔が、少しこちらに傾いているように見えた。前よりも笑みが浮かんでいる。
それだけじゃない。私の肩に置かれた女の手が、昨日の写真よりはっきり見えるのだ。
恐怖に駆られてスマホをロックし、無理やり忘れようとした。
しかし夜中、通知音で目が覚める。
グループチャットに新しい写真が送られていた。
それは昨日の集合写真と同じ構図だが、私と女しか写っていない。背景も人も消え、二人きりで並んでいる。
女は私の耳元で何かを囁いているような笑顔だった。
震える手でスマホを落とすと、背後から同じ吐息がかかった。
「……次は、私の番だから」
懐かしい顔ぶれに囲まれ、時間はあっという間に過ぎていった。幹事が最後に集合写真を撮ろうと言い出し、店の前で全員が肩を寄せ合った。
その場で撮った写真をグループチャットに送ってもらい、帰宅してから改めて見返す。
「ああ、みんな歳を取ったなあ」と笑っていたが、ふと違和感を覚えた。
写真の端、私の左隣に知らない女が写っている。
セミロングの髪に地味なワンピース、無表情で、まっすぐカメラを見ている。
私は隣に誰もいなかったはずだ。
気味が悪くなってチャットに写真を貼り、「この人、誰?」と送った。
しかし誰も反応しない。既読はつくのに、返事が来ない。
やがて一人だけが短く返信してきた。
『その話、今はやめよう』
不安になり、撮影時に近くにいた友人に電話をかけた。
「ねえ、集合写真で私の隣にいた女って――」
「……覚えてない。っていうか、あの時お前、誰も隣にいなかっただろ」
背筋に冷たいものが走った。
翌日、もう一度写真を開いた。
女の顔が、少しこちらに傾いているように見えた。前よりも笑みが浮かんでいる。
それだけじゃない。私の肩に置かれた女の手が、昨日の写真よりはっきり見えるのだ。
恐怖に駆られてスマホをロックし、無理やり忘れようとした。
しかし夜中、通知音で目が覚める。
グループチャットに新しい写真が送られていた。
それは昨日の集合写真と同じ構図だが、私と女しか写っていない。背景も人も消え、二人きりで並んでいる。
女は私の耳元で何かを囁いているような笑顔だった。
震える手でスマホを落とすと、背後から同じ吐息がかかった。
「……次は、私の番だから」
0
あなたにおすすめの小説
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
静かに壊れていく日常
井浦
ホラー
──違和感から始まる十二の恐怖──
いつも通りの朝。
いつも通りの夜。
けれど、ほんの少しだけ、何かがおかしい。
鳴るはずのないインターホン。
いつもと違う帰り道。
知らない誰かの声。
そんな「違和感」に気づいたとき、もう“元の日常”には戻れない。
現実と幻想の境界が曖昧になる、全十二話の短編集。
一話完結で読める、静かな恐怖をあなたへ。
※表紙は生成AIで作成しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/6:『とんねるあんこう』の章を追加。2025/12/13の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/5:『ひとのえ』の章を追加。2025/12/12の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/4:『こうしゅうといれ』の章を追加。2025/12/11の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/3:『かがみのむこう』の章を追加。2025/12/10の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/2:『へびくび』の章を追加。2025/12/9の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/1:『はえ』の章を追加。2025/12/8の朝4時頃より公開開始予定。
2025/11/30:『かべにかおあり』の章を追加。2025/12/7の朝8時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる