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伍の怪【シムルグの雛鳥】
あめだま
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それは、中学一年生のとき。
事故で両親を亡くし、なかなかいろはが孤児院に馴染めずにいたときの、大切な思い出だった――
ギイ、ギイとブランコが揺れる音が、夕方の公園に響いていた。
ブランコを漕ぐ音など珍しくもない。しかし、なぜだかそれが気になった少女の足は引き寄せられるように公園内に入った。
寂れた公園だ。遊具も少なく、普段からあまり使われることのない場所で、近道に利用する者がたまにいるくらいの人気のない場所である。
そんな公園に人がいることに興味を持ったのだろうか?少女はふらりと立ち寄り、そして落ち込んだようにブランコに座っている女性に出会ったのだ。
「お姉さん、どうしたんですか?」
声をかけたのも偶然だった。
見知らぬ人に声をかけるような気概も本来はなかったのだが、そのときだけは少女もなぜだか声をかけてしまっていたのである。
「め……」
「?」
ぶつぶつと呟いているらしい女性に近づき、その隣にあるブランコに座る。そうして、耳を澄ませる。
「めだ…… ま…… めだ、ま…… がほし、い」
少女はよくある怪談だ、と納得して尚その場に居続ける。
そのままでは目玉を取られてしまうのでは? という不安も僅かに彼女にはあったが、それでも動く気にはなれなかったようだ。
「目玉はあげられませんけど、飴玉ならありますよ」
そう言って彼女の傷だらけの手に飴玉を握らせて少女はにっこりと微笑む。
そして傍に置いたバッグからスケッチブックと鉛筆を取り出して彼女の正面に立った。
「あなたの目の色はなんでしょう?」
「く、ろ…… めだ、ま……」
「わたしは緑色なのであげられませんね」
「め…… がないと……」
苦しむ様子の彼女を哀れむように少女は見つめ、そこに少女がいることを示すように会話を続ける。
その間にも少女は目以外の部分を中心に女性を描いていった。
「どうしてそんなに目がほしいのでしょう?」
「あの…… ひと、みつけ、られ…… い」
「なるほど、会いたい人がいるんですね」
「どこ、にも…… いけな……」
「あなたは、ただ迷子になってしまっただけなんですね……」
少女には元々霊能力などなかった。
しかし、とある出来事が起きたことでこうしてあの世の存在を見るようになっていた。それは幸いなのか、不幸なことなのか、それは少女にしか分からないことである。
「あなたは、目がなくても綺麗ですね。きっと、目があったら……こんな感じなんでしょうか……」
他意はなかった。
しかし、女性のことを思って描いたその絵は不思議と彼女に似合っているような気がして思わず彼女に見せていた。
目がないのだから見えないはずなのだと気づいたのはその後だ。しかし、顔を伏せて呻いていた女性が顔を上げると、無残に切り裂かれていた顔の傷は薄まり瞼を震わせていた。
「ああ…… ああ…… !」
「えっ、うそ……」
瞼を開いたその下には黒真珠のような瞳。
ボロボロになっていた服は整えられ、信じられないといった風に少女を見つめていた。
「目…… 私の目…… !ありがとう、ありがとうっ!」
女性が笑う。
少女が自身の持った紙を見ると、今度は絵の目玉が消えていた。
それは先ほどの彼女の姿に他ならない。
「あ、えっと……」
「ありがとう、これであの人のところへ行ける…… その絵、貰ってもいいかしら」
「あー、えっと、どうぞ?」
スケッチブックから破り取り、女性へと渡す。
女性がその真実の姿を己の目で確認し、大事そうに抱える。
すると、みるみるうちに絵は引き裂かれ、花弁となり女性の手を取るように渦巻いた。行く先には眩い程の光に溢れ、彼女を安らぎに導いている。よく見れば、他にも透明な人物や動物達が集まってその中へと入って行くのが見えた。
「ありがとう、ありがとう…… 優しいお嬢さん。ねえ、これからも私のような迷子に道を教えてあげて………… けれど、きっとあなたの描いた私達の絵を誰かが見てしまったら、きっとあなたが一人になってしまう。だから、決してその絵を人に見せてはいけないわ…… いいわね」
女性はそう言って手の中にある飴玉を頬張った。
コロコロと転がる音はどこか鈍い鈴のようで、彼女の新たな旅立ちを祝っているかのよう。
どこかで慣らされた鈴の音が響く。光は大きくなっていき、女性は少女に背を向けて歩んでいく。
「さようなら、ありがとう」
彼女の行く先には同じくらいの歳であろう男性が手を振っている。
そこに飛び込んで行った彼女の結末は、途中で光が収まってしまったため少女には分からなかったが、きっと幸せだろうと彼女は思った。
( なんだろう、あたたかい…… )
それ以来、いろはは〝 迷子 〟を見つけるとちょっとした手助けをするのである。
行くべき場所へと行けるように、その切っ掛けができるように……
そうして縁となる似顔絵を描き、彼女は死者の餞として贈るのだ。
( ますます孤児院には馴染めなくなったけど…… でも、人はあたたかいって知ってるから、いいの…… )
◆
「あのね、先生…… わたし、黙っていることがありました」
「…… そうかい」
いろはが意を決して話し出すと、ナヴィドは優しく頷きその背をポンと叩く。それはまるで幼い子供にするような仕草だった。
「わたし、わたし、お母さんとお父さんが病院で焼けて死んでしまったときから、おかしなものが見えるようになってしまったんです」
目の前の彼女は孤児院から高校へと通っている。それはナヴィドも知るところの話だった。
そして、その理由もまた、彼はきっちりと把握していたのである。
いろはの両親は入院していたいろはを見舞いに行った際に、火事に巻き込まれて亡くなっている。
その火事の中、唯一生き残ったいろはは炎に対して深いトラウマを持っているだろうことも、ナヴィドは知っていた。
「うん」
「死んでしまった人達は皆、悲しそうにしてました。だからせめて似顔絵でも描いて見せてあげたくて…… 絵を上手く描けるように努力したんです」
パラパラと捲られる彼女のスケッチブックの中は、〝 死 〟で溢れている。このおかしい学校で出会った沢山の鳩も、その中の一つである。
翼が折れている鳩、切れて飛べなくなってしまった鳩、食い散らかされた鳩、なにかに圧し潰された鳩…… 様々な死因がスケッチブックの中には詰まっていたのだ。
それらは鉛筆で描いたものにも関わらず、一つ一つが写実画と言えるほどの出来栄えになっている。
「それで、ある日女の人に見せました…… 女の人は、とても嬉しそうにして受け取ってくれました。そうしたら、その人は笑って空気に溶けたの。きっと、成仏…… なんだと思います。でも、人間を強く恨んでいるような人は苦しませるだけで、痛い思いをさせるだけでした…… それも、絵が上手くなった今は関係がなくなっちゃったんですけどね」
彼を見つめるその両目は僅かながら不安に揺れている。
その様子を見て、ナヴィドはふっ、と笑った。
「それが、キミのできること? 隠し事だったんだね?」
「…… はい」
彼の笑みに 「信じてもらえなかったか」 と落ち込みかけた彼女は、その頭に乗せられた大きな手で撫で回され、目を丸くして彼を再び見つめる。
「よく話してくれたね…… えらいえらい」
「わたし、子供じゃありません」
ムッとしたように言った彼女に、ナヴィドは悪戯気のある顔で 「生徒は生徒。キミは私の教え子だよ」 と答える。
それは立場が逆転しただけで、職員室で彼女とした会話とほとんど同じ内容だった。
「もういいです……」
「拗ねちゃったかな? ごめんごめん」
階段を下り、再び職員室に戻ってきた2人はどちらが言うともなく近くの椅子に座る。
「このあと、どうしましょうか……」
いろはが困ったようにそう言った。
「いろはちゃんはこの学校の七不思議って知ってるかい?」
「…… 今までのが、七不思議だったと?」
彼女の通う〝 七彩高等学校 〟には七の文字に縁があり、なんらかの噂には七が付き物である。
例えば、屋上のとあるタイルの上で七回好きな人の名前を言えば恋が叶うとか、とあるクラスの出席番号七番は呪われるだとか、そんな他愛ない噂だ。
その中でも、やはり学校に付き物な七不思議は有名だったといろはは記憶していた。
「最初の一番は〝 いじめられていた花子さん。トイレの窓を割って逃げ出した。そのときの落し物を今でも探してる 〟でしたっけ。確かに中庭の生首と内容は一緒ですね」
二番目は保健室のゆかりさん。彼女は注射が大嫌い。あまりに暴れて空気が入り、死に至る。いつまでも八つ当たりする相手を探してる。
三番目はプールのミドリ君。大切な形見のペンダントをいつもいつも身につけている。泳ぎが下手くそカナヅチで、ある日放課後プールに忍び込み、こっそり練習悪い奴。突然ペンダントが流されて、追いかけて排水溝に吸い込まれちゃった。
四番目は音楽室の悲しいすすり泣き。悲惨な女が身体を楽器に埋め込まれ、今でも痛い痛いと訴えている。
「それにしても、この学校の怪談は物騒ですよね」
「ああ、死んだってはっきり言われているからね……」
普通はもう少し柔らかい言い方になるはずだとナヴィドが言うと、いろはは「ええと」と空で数えながら呟いた。
「ここまでは体験しましたね」
「ああ、けれどさっきの階段の出来事は確か七不思議にはなかったはずだね」
「ええ、でもこれで少しは行動指針が取れそうです」
彼女の意図をナヴィドはすぐに察した。
つまり、いろはは七不思議を探そうと言っているのだ。
「噂によれば……〝 五番目は体育館。鈍臭い男子生徒が天井やボードに嵌ったバレーボールを一人で片付けた。けれどあんまりに鈍臭いから転んでしまい、落ちてきたバスケットゴールの下敷きになっちゃった 〟でしたっけ。なら体育館に行くべきでしょうか」
「あとは…… そうだね」
六番目は家庭科室の桜子さん。お金持ちのお嬢様で誰も逆らえない。けれど態度も大きく嫌われていた。ある日いじめた子供に仕返しされて、手足を包丁で滅多刺し。しまいには立つこともできなくなって、そのまま一人寂しく死んじゃった。
七番目は放送室のおしらせさん。人の秘密や隠し事、全部全部お見通し。気まぐれにお知らせを流しては、皆の秘密をバラしちゃう。
「まあ…… 順番に行ったほうがいいかな」
「それじゃあ、体育館に行きましょうか」
足取りは決して軽いとは言えなかったが2人は進む。
職員室に残された、赤い絵の具の〝あなたをちょうだい〟という文字には気づかずに。
いろはの使っていたカップはそのまま、文字に侵食されて真っ二つに割れた。
不吉な気配はただ一人、〝 いろは 〟に狙いを定めて……
「……」
ふと、立ち止まるナヴィドにいろはが 「どうしました?」 と訊くと、彼は微笑んで 「なんでもないよ、さあ行こう」 と先を促す。
「どうにも、危機感がうまく持てないなあ」
これ以上、彼女を危険な目に遭わせるわけにはいかない。ナヴィドはそう思ったが、彼自身が危険だと感じにくいためにそれも難しいことだった。
誰だって自分の危機には敏感だが、アリにとって危機になることなど意識はしないものである。
故に、彼はいろはを見守っていながら何度も危険な目に遭わせてしまったのだ。
「…… ?」
( いろはちゃんは気にしていないようだけれど、役立たずなんて言われても仕方ないくらいだ。あの子に笑われてしまうな )
ナヴィドは自嘲するように笑った。
「気にしていません」
「え、いろはちゃん?」
ナヴィドが気づけば、前を向いていた彼女は上目遣いをするように彼を見上げていた。その瞳の中には失望の文字はない。
相変わらず、なにを考えているのかよく分からない眠そうな目だ。
「わたし、怪異に関わるのは慣れていますし、むしろ望むところだとさえ思っていますから」
そう言ってふっ、と笑う彼女は本心から言っているようだった。
しかし、なにも言っていないナヴィドに対して話したタイミングを考えると、彼の思考を読んで言ったとしか考えられないだろう。
それに驚きつつもナヴィドは 「心配くらいはさせてほしいよ」 と返した。
かくして二人は細々とした怪現象など気にもせず体育館へと辿り着いた。
「資料室は危なかったですね」
「うん、まさか首吊りロープが自力移動してひっかけようとしてくるとは……」
途中で寄った資料室では天井から突然垂れ下がってきた首吊りロープがいろは目掛けて襲ってきたのだ。
彼女が捕まる前に背後にいたナヴィドがいろはを引き寄せ、ことなきを得たのだが、一切赤面することなく 「助かりました」 「助けた」 なんてやり取りをする2人は、同級生の少女が見ていたとしたら羨むシチュエーションそのものだっただろう。
「体育館では…… ボールを片付ければいいのでしょうか…… ?」
「それでいいんじゃない? 天井とかどうすればいいのか分からないけれど」
体育館の中をいろはが覗くと、トーン、トーンとなにかが跳ねる音が聞こえてきた。
「ボールが落ちてきてる……」
「天井のボールは回収しなくても良さそうだね。でも降ってくるボールには気をつけようか」
「そんなこと、言われなくても分かっていますよ」
いろはたちは時折降ってくるボールを避けながら、体育館中央にあるカゴに拾ったボールを次々と入れていく。
しかしボールが尽きることはなさそうだ。
「終わらない……」
二手に分かれてボールを片付ける作業をしているとき、いろははふと何者かに呼ばれているような気持ちになった。
それが危険であると理解していながら、彼女はその声の持ち主を探そうと首をして体育館全体を見渡す。
ナヴィドが遠い。
今のうちならば、危険を冒して声の持ち主を探すことができるだろう。
いろはは、そっとバスケットゴールに近寄った。
物騒な噂のある、そのバスケットゴールに。七不思議では、この体育館で片付けをしている子供はバスケットゴールの下敷きになって死んでいる。
彼の未練は片付けが終わらないうちに死んでしまったことなのだろうか? きっとそうなのだろうといろはは結論づける。
しかし、今のままではいつまで経っても、それこそ永遠に片付けは終わらないだろう。危険を冒してまで進展を狙わなければいじめられっ子の片付けは終わらない。
なら、危険を冒すのは自分でいい。いろはは哀れな怪異に、そして早くこの学校から帰れるようにと願っていた。
ガタン、と不吉な音がする。
「あとは…… どうすればいいのかな」
バスケットゴール裏のボールが飛び出した。
いろはに向かってくるそれを彼女は避ける。
「バーカ、避けても無駄だよ」
しかし、後ろから足元を掬うように跳ねたボールに彼女は足を取られ、その場で転ぶ。
その瞬間、いろはの姿は体育館から消失した。
「いろはちゃん!? またっ…… クソッ」
遠くにいたナヴィドは人間の足にしては早く駆けつけることができたが、やはり間に合わなかった。
そうなるようにいろはがタイミングを計っていたのだ。
独りでなんでも解決しようとする癖のある少女に彼は心配気に息を吐き、苛立ち混じりに五番目の怪異を睨みつけた。
『ごめんなさい…… ごめんなさい…… ごめんなさい……』
囁き続ける怪異の少年にナヴィドは怖がらせないようにとできうるだけ優しく声をかけ、なぜ背後からの不意打ちをしたのかを問う。
バスケットゴールから飛び出したボールは彼の操作したものではなかったが、その後いろはを背後から襲ったボールは彼が操作したものだとナヴィドには分かっていたからだ。
『ごめんなさい…… ごめんなさい……』
ナヴィドは溜息を吐く。
しかし彼からいろはがどこに消えたのかを聞き出さなくてはならない。
〝 体育館、バスケットゴールの下で転ぶと人が消えてしまう 〟そんな都市伝説も、確かに各所の学校で存在していた……
「私が行くまで、どうか無事でいてくれよ……」
不思議と、ナヴィドには見殺しにするという選択肢はなかった。
一生徒、ただの人間ごとき…… そんな言葉がぐるぐると頭の中に木霊しては彼はそれを否定する。
見捨てるには、あまりに親しくなりすぎた。
守れなかったたびに、彼女はそれを笑って許している。
そんな彼女を見捨てることなど、もはや彼にはできなかった。
「はは、人間に執着するなんて何年ぶりかな」
彼は猛禽類のような鋭い目で怪異の少年を見つめる。
その場に羽音が響き渡った。
事故で両親を亡くし、なかなかいろはが孤児院に馴染めずにいたときの、大切な思い出だった――
ギイ、ギイとブランコが揺れる音が、夕方の公園に響いていた。
ブランコを漕ぐ音など珍しくもない。しかし、なぜだかそれが気になった少女の足は引き寄せられるように公園内に入った。
寂れた公園だ。遊具も少なく、普段からあまり使われることのない場所で、近道に利用する者がたまにいるくらいの人気のない場所である。
そんな公園に人がいることに興味を持ったのだろうか?少女はふらりと立ち寄り、そして落ち込んだようにブランコに座っている女性に出会ったのだ。
「お姉さん、どうしたんですか?」
声をかけたのも偶然だった。
見知らぬ人に声をかけるような気概も本来はなかったのだが、そのときだけは少女もなぜだか声をかけてしまっていたのである。
「め……」
「?」
ぶつぶつと呟いているらしい女性に近づき、その隣にあるブランコに座る。そうして、耳を澄ませる。
「めだ…… ま…… めだ、ま…… がほし、い」
少女はよくある怪談だ、と納得して尚その場に居続ける。
そのままでは目玉を取られてしまうのでは? という不安も僅かに彼女にはあったが、それでも動く気にはなれなかったようだ。
「目玉はあげられませんけど、飴玉ならありますよ」
そう言って彼女の傷だらけの手に飴玉を握らせて少女はにっこりと微笑む。
そして傍に置いたバッグからスケッチブックと鉛筆を取り出して彼女の正面に立った。
「あなたの目の色はなんでしょう?」
「く、ろ…… めだ、ま……」
「わたしは緑色なのであげられませんね」
「め…… がないと……」
苦しむ様子の彼女を哀れむように少女は見つめ、そこに少女がいることを示すように会話を続ける。
その間にも少女は目以外の部分を中心に女性を描いていった。
「どうしてそんなに目がほしいのでしょう?」
「あの…… ひと、みつけ、られ…… い」
「なるほど、会いたい人がいるんですね」
「どこ、にも…… いけな……」
「あなたは、ただ迷子になってしまっただけなんですね……」
少女には元々霊能力などなかった。
しかし、とある出来事が起きたことでこうしてあの世の存在を見るようになっていた。それは幸いなのか、不幸なことなのか、それは少女にしか分からないことである。
「あなたは、目がなくても綺麗ですね。きっと、目があったら……こんな感じなんでしょうか……」
他意はなかった。
しかし、女性のことを思って描いたその絵は不思議と彼女に似合っているような気がして思わず彼女に見せていた。
目がないのだから見えないはずなのだと気づいたのはその後だ。しかし、顔を伏せて呻いていた女性が顔を上げると、無残に切り裂かれていた顔の傷は薄まり瞼を震わせていた。
「ああ…… ああ…… !」
「えっ、うそ……」
瞼を開いたその下には黒真珠のような瞳。
ボロボロになっていた服は整えられ、信じられないといった風に少女を見つめていた。
「目…… 私の目…… !ありがとう、ありがとうっ!」
女性が笑う。
少女が自身の持った紙を見ると、今度は絵の目玉が消えていた。
それは先ほどの彼女の姿に他ならない。
「あ、えっと……」
「ありがとう、これであの人のところへ行ける…… その絵、貰ってもいいかしら」
「あー、えっと、どうぞ?」
スケッチブックから破り取り、女性へと渡す。
女性がその真実の姿を己の目で確認し、大事そうに抱える。
すると、みるみるうちに絵は引き裂かれ、花弁となり女性の手を取るように渦巻いた。行く先には眩い程の光に溢れ、彼女を安らぎに導いている。よく見れば、他にも透明な人物や動物達が集まってその中へと入って行くのが見えた。
「ありがとう、ありがとう…… 優しいお嬢さん。ねえ、これからも私のような迷子に道を教えてあげて………… けれど、きっとあなたの描いた私達の絵を誰かが見てしまったら、きっとあなたが一人になってしまう。だから、決してその絵を人に見せてはいけないわ…… いいわね」
女性はそう言って手の中にある飴玉を頬張った。
コロコロと転がる音はどこか鈍い鈴のようで、彼女の新たな旅立ちを祝っているかのよう。
どこかで慣らされた鈴の音が響く。光は大きくなっていき、女性は少女に背を向けて歩んでいく。
「さようなら、ありがとう」
彼女の行く先には同じくらいの歳であろう男性が手を振っている。
そこに飛び込んで行った彼女の結末は、途中で光が収まってしまったため少女には分からなかったが、きっと幸せだろうと彼女は思った。
( なんだろう、あたたかい…… )
それ以来、いろはは〝 迷子 〟を見つけるとちょっとした手助けをするのである。
行くべき場所へと行けるように、その切っ掛けができるように……
そうして縁となる似顔絵を描き、彼女は死者の餞として贈るのだ。
( ますます孤児院には馴染めなくなったけど…… でも、人はあたたかいって知ってるから、いいの…… )
◆
「あのね、先生…… わたし、黙っていることがありました」
「…… そうかい」
いろはが意を決して話し出すと、ナヴィドは優しく頷きその背をポンと叩く。それはまるで幼い子供にするような仕草だった。
「わたし、わたし、お母さんとお父さんが病院で焼けて死んでしまったときから、おかしなものが見えるようになってしまったんです」
目の前の彼女は孤児院から高校へと通っている。それはナヴィドも知るところの話だった。
そして、その理由もまた、彼はきっちりと把握していたのである。
いろはの両親は入院していたいろはを見舞いに行った際に、火事に巻き込まれて亡くなっている。
その火事の中、唯一生き残ったいろはは炎に対して深いトラウマを持っているだろうことも、ナヴィドは知っていた。
「うん」
「死んでしまった人達は皆、悲しそうにしてました。だからせめて似顔絵でも描いて見せてあげたくて…… 絵を上手く描けるように努力したんです」
パラパラと捲られる彼女のスケッチブックの中は、〝 死 〟で溢れている。このおかしい学校で出会った沢山の鳩も、その中の一つである。
翼が折れている鳩、切れて飛べなくなってしまった鳩、食い散らかされた鳩、なにかに圧し潰された鳩…… 様々な死因がスケッチブックの中には詰まっていたのだ。
それらは鉛筆で描いたものにも関わらず、一つ一つが写実画と言えるほどの出来栄えになっている。
「それで、ある日女の人に見せました…… 女の人は、とても嬉しそうにして受け取ってくれました。そうしたら、その人は笑って空気に溶けたの。きっと、成仏…… なんだと思います。でも、人間を強く恨んでいるような人は苦しませるだけで、痛い思いをさせるだけでした…… それも、絵が上手くなった今は関係がなくなっちゃったんですけどね」
彼を見つめるその両目は僅かながら不安に揺れている。
その様子を見て、ナヴィドはふっ、と笑った。
「それが、キミのできること? 隠し事だったんだね?」
「…… はい」
彼の笑みに 「信じてもらえなかったか」 と落ち込みかけた彼女は、その頭に乗せられた大きな手で撫で回され、目を丸くして彼を再び見つめる。
「よく話してくれたね…… えらいえらい」
「わたし、子供じゃありません」
ムッとしたように言った彼女に、ナヴィドは悪戯気のある顔で 「生徒は生徒。キミは私の教え子だよ」 と答える。
それは立場が逆転しただけで、職員室で彼女とした会話とほとんど同じ内容だった。
「もういいです……」
「拗ねちゃったかな? ごめんごめん」
階段を下り、再び職員室に戻ってきた2人はどちらが言うともなく近くの椅子に座る。
「このあと、どうしましょうか……」
いろはが困ったようにそう言った。
「いろはちゃんはこの学校の七不思議って知ってるかい?」
「…… 今までのが、七不思議だったと?」
彼女の通う〝 七彩高等学校 〟には七の文字に縁があり、なんらかの噂には七が付き物である。
例えば、屋上のとあるタイルの上で七回好きな人の名前を言えば恋が叶うとか、とあるクラスの出席番号七番は呪われるだとか、そんな他愛ない噂だ。
その中でも、やはり学校に付き物な七不思議は有名だったといろはは記憶していた。
「最初の一番は〝 いじめられていた花子さん。トイレの窓を割って逃げ出した。そのときの落し物を今でも探してる 〟でしたっけ。確かに中庭の生首と内容は一緒ですね」
二番目は保健室のゆかりさん。彼女は注射が大嫌い。あまりに暴れて空気が入り、死に至る。いつまでも八つ当たりする相手を探してる。
三番目はプールのミドリ君。大切な形見のペンダントをいつもいつも身につけている。泳ぎが下手くそカナヅチで、ある日放課後プールに忍び込み、こっそり練習悪い奴。突然ペンダントが流されて、追いかけて排水溝に吸い込まれちゃった。
四番目は音楽室の悲しいすすり泣き。悲惨な女が身体を楽器に埋め込まれ、今でも痛い痛いと訴えている。
「それにしても、この学校の怪談は物騒ですよね」
「ああ、死んだってはっきり言われているからね……」
普通はもう少し柔らかい言い方になるはずだとナヴィドが言うと、いろはは「ええと」と空で数えながら呟いた。
「ここまでは体験しましたね」
「ああ、けれどさっきの階段の出来事は確か七不思議にはなかったはずだね」
「ええ、でもこれで少しは行動指針が取れそうです」
彼女の意図をナヴィドはすぐに察した。
つまり、いろはは七不思議を探そうと言っているのだ。
「噂によれば……〝 五番目は体育館。鈍臭い男子生徒が天井やボードに嵌ったバレーボールを一人で片付けた。けれどあんまりに鈍臭いから転んでしまい、落ちてきたバスケットゴールの下敷きになっちゃった 〟でしたっけ。なら体育館に行くべきでしょうか」
「あとは…… そうだね」
六番目は家庭科室の桜子さん。お金持ちのお嬢様で誰も逆らえない。けれど態度も大きく嫌われていた。ある日いじめた子供に仕返しされて、手足を包丁で滅多刺し。しまいには立つこともできなくなって、そのまま一人寂しく死んじゃった。
七番目は放送室のおしらせさん。人の秘密や隠し事、全部全部お見通し。気まぐれにお知らせを流しては、皆の秘密をバラしちゃう。
「まあ…… 順番に行ったほうがいいかな」
「それじゃあ、体育館に行きましょうか」
足取りは決して軽いとは言えなかったが2人は進む。
職員室に残された、赤い絵の具の〝あなたをちょうだい〟という文字には気づかずに。
いろはの使っていたカップはそのまま、文字に侵食されて真っ二つに割れた。
不吉な気配はただ一人、〝 いろは 〟に狙いを定めて……
「……」
ふと、立ち止まるナヴィドにいろはが 「どうしました?」 と訊くと、彼は微笑んで 「なんでもないよ、さあ行こう」 と先を促す。
「どうにも、危機感がうまく持てないなあ」
これ以上、彼女を危険な目に遭わせるわけにはいかない。ナヴィドはそう思ったが、彼自身が危険だと感じにくいためにそれも難しいことだった。
誰だって自分の危機には敏感だが、アリにとって危機になることなど意識はしないものである。
故に、彼はいろはを見守っていながら何度も危険な目に遭わせてしまったのだ。
「…… ?」
( いろはちゃんは気にしていないようだけれど、役立たずなんて言われても仕方ないくらいだ。あの子に笑われてしまうな )
ナヴィドは自嘲するように笑った。
「気にしていません」
「え、いろはちゃん?」
ナヴィドが気づけば、前を向いていた彼女は上目遣いをするように彼を見上げていた。その瞳の中には失望の文字はない。
相変わらず、なにを考えているのかよく分からない眠そうな目だ。
「わたし、怪異に関わるのは慣れていますし、むしろ望むところだとさえ思っていますから」
そう言ってふっ、と笑う彼女は本心から言っているようだった。
しかし、なにも言っていないナヴィドに対して話したタイミングを考えると、彼の思考を読んで言ったとしか考えられないだろう。
それに驚きつつもナヴィドは 「心配くらいはさせてほしいよ」 と返した。
かくして二人は細々とした怪現象など気にもせず体育館へと辿り着いた。
「資料室は危なかったですね」
「うん、まさか首吊りロープが自力移動してひっかけようとしてくるとは……」
途中で寄った資料室では天井から突然垂れ下がってきた首吊りロープがいろは目掛けて襲ってきたのだ。
彼女が捕まる前に背後にいたナヴィドがいろはを引き寄せ、ことなきを得たのだが、一切赤面することなく 「助かりました」 「助けた」 なんてやり取りをする2人は、同級生の少女が見ていたとしたら羨むシチュエーションそのものだっただろう。
「体育館では…… ボールを片付ければいいのでしょうか…… ?」
「それでいいんじゃない? 天井とかどうすればいいのか分からないけれど」
体育館の中をいろはが覗くと、トーン、トーンとなにかが跳ねる音が聞こえてきた。
「ボールが落ちてきてる……」
「天井のボールは回収しなくても良さそうだね。でも降ってくるボールには気をつけようか」
「そんなこと、言われなくても分かっていますよ」
いろはたちは時折降ってくるボールを避けながら、体育館中央にあるカゴに拾ったボールを次々と入れていく。
しかしボールが尽きることはなさそうだ。
「終わらない……」
二手に分かれてボールを片付ける作業をしているとき、いろははふと何者かに呼ばれているような気持ちになった。
それが危険であると理解していながら、彼女はその声の持ち主を探そうと首をして体育館全体を見渡す。
ナヴィドが遠い。
今のうちならば、危険を冒して声の持ち主を探すことができるだろう。
いろはは、そっとバスケットゴールに近寄った。
物騒な噂のある、そのバスケットゴールに。七不思議では、この体育館で片付けをしている子供はバスケットゴールの下敷きになって死んでいる。
彼の未練は片付けが終わらないうちに死んでしまったことなのだろうか? きっとそうなのだろうといろはは結論づける。
しかし、今のままではいつまで経っても、それこそ永遠に片付けは終わらないだろう。危険を冒してまで進展を狙わなければいじめられっ子の片付けは終わらない。
なら、危険を冒すのは自分でいい。いろはは哀れな怪異に、そして早くこの学校から帰れるようにと願っていた。
ガタン、と不吉な音がする。
「あとは…… どうすればいいのかな」
バスケットゴール裏のボールが飛び出した。
いろはに向かってくるそれを彼女は避ける。
「バーカ、避けても無駄だよ」
しかし、後ろから足元を掬うように跳ねたボールに彼女は足を取られ、その場で転ぶ。
その瞬間、いろはの姿は体育館から消失した。
「いろはちゃん!? またっ…… クソッ」
遠くにいたナヴィドは人間の足にしては早く駆けつけることができたが、やはり間に合わなかった。
そうなるようにいろはがタイミングを計っていたのだ。
独りでなんでも解決しようとする癖のある少女に彼は心配気に息を吐き、苛立ち混じりに五番目の怪異を睨みつけた。
『ごめんなさい…… ごめんなさい…… ごめんなさい……』
囁き続ける怪異の少年にナヴィドは怖がらせないようにとできうるだけ優しく声をかけ、なぜ背後からの不意打ちをしたのかを問う。
バスケットゴールから飛び出したボールは彼の操作したものではなかったが、その後いろはを背後から襲ったボールは彼が操作したものだとナヴィドには分かっていたからだ。
『ごめんなさい…… ごめんなさい……』
ナヴィドは溜息を吐く。
しかし彼からいろはがどこに消えたのかを聞き出さなくてはならない。
〝 体育館、バスケットゴールの下で転ぶと人が消えてしまう 〟そんな都市伝説も、確かに各所の学校で存在していた……
「私が行くまで、どうか無事でいてくれよ……」
不思議と、ナヴィドには見殺しにするという選択肢はなかった。
一生徒、ただの人間ごとき…… そんな言葉がぐるぐると頭の中に木霊しては彼はそれを否定する。
見捨てるには、あまりに親しくなりすぎた。
守れなかったたびに、彼女はそれを笑って許している。
そんな彼女を見捨てることなど、もはや彼にはできなかった。
「はは、人間に執着するなんて何年ぶりかな」
彼は猛禽類のような鋭い目で怪異の少年を見つめる。
その場に羽音が響き渡った。
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