『コミュ障ビビリは妹の前で強がりたい!(※つよい)』〜ビビりは追放? なら今から本気出すから全員オレの妹な!(自己暗示)【配信を添えて】〜

時雨オオカミ

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追放させる詐欺が流行ってるんだってよ!

しかし、まわりこまれてしまった!

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 さて、気持ちよく妹の称賛を浴びながらではあるが、今はゴブリンが馬車を襲撃した現場にいるのである。

 真っ先に妹の怪我がないかのチェックを終わらせて、あとは真面目にテキパキと他の人の無事やら馬車の中の荷物が台無しになっていないかやらを確認し終わった。

 馬車は倒れて傷ついているが、中にあったものは奇跡的に無事であるらしい。よかったよかった。

 それから、馬を操っていた御者ぎょしゃの人も無事だ。街に向かう他の人も怪我はないらしい。間に合ったようでなにより。

 馬が走っていってしまい見つからないようだが、まあ無事だろう。へーきへーき。

 そんな感じでひと仕事終えてから、ずっと疑問に思っていたことを妹に尋ねた。

「ところでユラァ~、どうして馬車なんかでこっちに来たんだい? 観光したいなら、喜んでオレが迎えに行ったよ?」
「あのね、あのね! 私、アルフィンさんから聞いたの! お兄ちゃんはとーっても強いのに一人でしか依頼を受けないって! 優しすぎるから、他の人が傷つくところを見たくないって!」
「ん、うん? うん……」

 えええええええ!? すごく複雑な心境になるうううう! 

 いや、なに!? ギルマスゥ! なに吹き込んでくれてんの!? 
 いいけどさぁ! 武勇伝っぽく言ってくれるのは嬉しいんだけどさぁ!? 

「でも! お兄ちゃんを助けてくれる人はいないでしょ! だから、私が白魔法使いになって、お兄ちゃんを助けたいって言ったの! そうしたら、いろんな教材を送ってくれて! 独学で学んでみなさいって!」

 オレの妹になにやらかしてくれてんだよあの女ァァァァ! 

 絶対許さん。白魔法と言えど、魔力を使うことには変わらない。魔力を使いすぎると体内魔力が減りすぎて倒れることだってあるんだ! 初心者は特にそう! 自分の限界なんか知らないからすぐに過労になって倒れちゃうの! 

 普通なら魔法の使える教師が体内魔力が減りすぎないように見ていてやれるんだけど、ギルマスは独学で学べと言ったわけだろ? つまり、可愛い可愛い妹はその辺の限界も知らずに魔法を学んだことになる! 

「だ、大丈夫だったのかい? 魔力不足でた、倒れたり……とか!」
「ん? ううん! 大丈夫だったよ! すぐに白魔法は習得できたから!」

 見てくださいよ奥さん。オレの妹天才じゃない?? 
 はあー可愛くて天才とかマジ素晴らしいわ。

「ユラはすごいなあ~」
「えへへ、でしょう! これでお兄ちゃんと同じパーティに入って冒険できるね! 今日は、そのために一人で村から出てきたのよ! これから冒険者登録しに行こうとしてたの!」
「ははは、なるほど~、そうかあ。お兄ちゃん誇らし……ぅえっ!?」

 冒険者登録するって言った今!? 

「お兄ちゃん?」
「んっ、ごほん。いや、なんでもないよ? でもどうして冒険者登録を? 危ないじゃないか」
「お兄ちゃんは一人で冒険してるから、怪我を治してくれる人はいないでしょ? だから私が仲間になって治してあげたいって! さっきので伝わらなかった?」

 伝わりたくなかったぁぁぁぁ! 
 え? 嘘。つまり妹はこれからあのギルドに行くわけで? オレはそこを追放されて、ルンルンで村に帰ろうとしてたのに? 

「ところで、お兄ちゃんはどうしてそんなに荷物を持ってるの?」
「……し、仕送りするにも直接届けようと思っていたのさ。お金が貯まったからね」
「え……ということは……私の冒険者登録のときにはついてこれないんだね……晴れ姿……見て欲しかったなあ……」

 はい、無理ー!!!! 
 夢の実家でウハウハライフする未来は今をもってなくなりましたー!! 
 怖いことから逃げられる未来よサヨナラバイバイ! 
 あははっ、心の五歳児が泣いている。ギャン泣きしている……。

「行くよ。直接仕送りしたかっただけで、魔法で送ることもできるからな」
「本当!?」

 はい、可愛い~! 
 そのにっこり笑顔がお兄ちゃんの生き甲斐です! 

 追放されたのにいいのかって? 
 あれは代理が勝手に言いやがったことだからな! 本当のギルマスは各国のギルマスと一緒に定例会議してるんだ。いくら代理と言えど、そんな勝手なことは普通許されない。

 ただたんにオレは、都合よく追放されたのを利用して過労死しそうなギルドから逃げようとしていただけ! ちょっとくらい休暇がほしかっただけ! 今を持ってそれもできなくなったけどな!! 

「それじゃあ、小さな依頼から受けて行こうか」
「え、私お兄ちゃんがドラゴンぶっ飛ばすのとか、見てみたいなあ」

 その言葉を聞いてオレの体はピシリと硬直した。
 なんて?? 

「そ、そうかあ」
「うん! ドラゴンとか、バジリスクとか、すごいのをバーンッて倒すの見てみたい!」

 純真無垢な瞳がキラキラとオレを見つめている。
 この目に勝てるやつなんてこの世にいますか?? 

「分かった。オレ、いいところ見せられるように頑張るよ」

 本当にな! 

「うん、よかった! アルフィンさんには感謝しなくちゃ」
「なんでそこでギルマス?」
「だって、お兄ちゃん。こう言ったら絶対に認めてくれるって」

 ギルマスゥゥゥゥ!? 
 あの女、絶対にオレがギルドから逃げようとしてること分かってたな!? 
 つまりだ! あの女、オレが冒険者辞められないように妹を利用して外堀埋めて来やがったわけだ!? 

 に、逃げられねえええええ! 

「あ、あのぉ……冒険者様」
「うん、どうしたんだい?」
「その、すみません。馬が逃げちまって。まだ出発できそうにねぇんです」
「ああ……」

 まだ見つかんないのか大変だなあ~なんて、他人事で思っているとき。
 妹が、ポツリと呟いた。

「かわいそう……早く見つけてあげたいな、お兄ちゃん」
「よし、ならオレが力を貸そう」

 はい、妹の願いなら喜んでえええええ!! 
 馬を見つけるくらい楽勝だからな!! どんなに遠くにいたってパパーッと居場所を特定して差し上げましょう!
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