容姿端麗声完璧な私ですが、生活能力はポンコツでした。

髙橋ルイ

文字の大きさ
65 / 100
第3章:恋愛初心者、ポンコツなりに奮闘します!

第65話:別れのホーム、あと少しだけ、この時間が続けば――

しおりを挟む
昼下がり、海辺の散歩を終えたふたりは実家へ戻り、帰り支度を終えた。

静かだった実家のリビングに、キャリーケースのコロコロ音がやけに響く。

天宮 玲奈「……準備、できました」

高坂 悠真「忘れ物ないか?」

天宮 玲奈「うん、大丈夫です。……でも、帰るの、ちょっと寂しいかも」

高坂 悠真「……だな」

少し気まずくなるような空気。でも、それもどこか心地よい。

玄関を出て、車で新居浜駅まで向かう道中。

玲奈はずっと窓の外を眺めていた。
新居浜駅のホーム。
特急「しおかぜ」が、数分後に入ってくる。

ここから岡山まで約2時間弱。そこから新幹線に乗り換えて東京へ。

天宮 玲奈「……乗り換え、ちゃんとできるかな」

高坂 悠真「スマホに経路送っといたから、それ見ながら行け。何かあったら連絡してこい」

天宮 玲奈「……はーい」

玲奈は小さく返事をしながら、ホームの端を見つめていた。

天宮 玲奈「悠真くん」

高坂 悠真「ん?」

天宮 玲奈「……今までで、いちばん楽しいお正月でした」

高坂 悠真「そりゃよかった」

天宮 玲奈「……帰りたくないって言ったら、困ります?」

高坂 悠真「困る。けど、気持ちはわかる」

玲奈が、少しだけ笑った。

天宮 玲奈「じゃあ……また来ていいですか?」

高坂 悠真「もちろん。今度は、夏でも秋でも、いつでも来いよ」

天宮 玲奈「そのときは、またふたりで……」

高坂 悠真「そのときは――」

少し間を置いて、言葉を繋げた。

高坂 悠真「ちゃんと“恋人”として、迎えに来るよ」

玲奈の目が見開かれ、そして――

天宮 玲奈「……っ、ずるいです、そういうの……!」

頬を染めながら、それでも玲奈は嬉しそうに笑った。

アナウンスが流れる。電車がホームへと滑り込んでくる。

天宮 玲奈「……じゃあ、また」

高坂 悠真「ああ。気をつけてな」

車両へと乗り込む玲奈。扉が閉まるギリギリまで、手を振っていた。

列車が動き出す。

窓の向こうで、玲奈がにこりと笑って、口だけで何かを言った。

(――「またすぐ会いましょう」)

そう言ったように見えた。
高坂 悠真「……さて、帰って掃除でもすっか」

心にぽっかり空いたスペースを、思い出で埋めるように。
列車が見えなくなってからも、俺はしばらくホームに立ち尽くしていた。

高坂 悠真「……はぁ」

思わずため息が漏れる。
寂しいとか、そういうのじゃない。……いや、あるけど。
ただ――あの時間が、夢みたいだったって、そんな気持ちがふっと胸に残ってた。

(あいつ、本当に楽しそうだったな)

最初にうちに来たときは、生活能力ゼロのポンコツで、
こっちが手を焼くばっかだったのに――

今じゃ、こっちが癒されてんだから世話ねぇ。

高坂 悠真「……次は、東京で会うんだよな」

なんとなく、ひとり言が出る。

その声がホームの静けさに吸い込まれていく。

スマホを取り出してみると、ちょうど玲奈からメッセージが届いていた。

『特急、快適ですっ!でも、ちょっとだけ、悠真くんの顔が恋しいかも……なんてっ』

高坂 悠真「……バカ」

苦笑しながら返信する。

『乗り換えミスんなよ。東京着いたら連絡くれ』

メッセージを送り終えたあと、
ようやく駅を出る気になった。

空を見上げると、雲ひとつない冬晴れ。

なのに、なんでこんなにぽっかりしてんだろうな。
夕方、家に戻ってきた頃。

居間には、誰もいない。
さっきまで玲奈がいた座布団だけがぽつんと残っている。

高坂 悠真「……静かだな」

ふと、冷蔵庫に貼ってある紙に気づいた。
メモ帳に走り書きされた文字。

『冷蔵庫に、昨日のシチューの残りあります♡ 玲奈』

高坂 悠真「……いつの間に、こんなの……」

にやけそうになる顔を抑えながら、鍋を開ける。

……案の定、具材が若干バラバラだったけど、
あの子なりに一生懸命作ったのは、もう分かってる。

レンジで温めながら、思った。

(……なんか、ほんとに“居た”んだな。あいつ、ここに)

味は、ちょっと薄かったけど――
なんだかすごく、あったかかった。
玲奈の不器用な愛情が、鍋の中でぽこぽこ湯気を立てていた。




________________________________________




後書き




最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

この第六十五話は、いよいよ“年末年始の帰省編”の締めくくり。

何気ないやりとりのなかに、
玲奈の想いの強さと、悠真の覚悟の芽生えがじわっと見えてくる一話になったかと思います。

駅のホームでの別れ、手を振る玲奈、静かになった家――
イベント的な展開ではないけれど、
ふたりの距離がちゃんと縮まった“日常の一歩”が詰まっていた回でした。

次回からは舞台を再び東京へ戻し、
日常生活編がリスタート!

同居生活にどんな変化があるのか?
玲奈が“意識し始めた”ことで何が起きるのか……?

次回――
「東京帰還、ただいまと、もうひとつの“おかえり”」

ぜひお楽しみに!





※この作品はAIの協力の元作成されています
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

逆ハーレムを完成させた男爵令嬢は死ぬまで皆に可愛がられる(※ただし本人が幸せかは不明である)

ラララキヲ
恋愛
 平民生まれだが父が男爵だったので母親が死んでから男爵家に迎え入れられたメロディーは、男爵令嬢として貴族の通う学園へと入学した。  そこでメロディーは第一王子とその側近候補の令息三人と出会う。4人には婚約者が居たが、4人全員がメロディーを可愛がってくれて、メロディーもそれを喜んだ。  メロディーは4人の男性を同時に愛した。そしてその4人の男性からも同じ様に愛された。  しかし相手には婚約者が居る。この関係は卒業までだと悲しむメロディーに男たちは寄り添い「大丈夫だ」と言ってくれる。  そして学園の卒業式。  第一王子たちは自分の婚約者に婚約破棄を突き付ける。  そしてメロディーは愛する4人の男たちに愛されて……── ※話全体通して『ざまぁ』の話です(笑) ※乙女ゲームの様な世界観ですが転生者はいません。 ※性行為を仄めかす表現があります(が、行為そのものの表現はありません) ※バイセクシャルが居るので醸(カモ)されるのも嫌な方は注意。  ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げてます。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2025.11.25)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

処理中です...