クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第14話:決戦の幕開け

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夜空を切り裂く角笛の音が、再び村に鳴り響いた。
松明の列が森の奥から現れ、まるで炎の川のように揺れ動く。

「……百や二百じゃない……もっといる」
リーネりーねが蒼白な顔で呟く。
狼は毛を逆立て、牙をむき出しにした。

村人も盗賊も、皆が整然と並んでいる。
誰一人声を発さない。
ただ俺の命令を待つ従属者の群れ。

(……これだけの数相手に、本当に……)

胸の奥がざわめく。
だが逃げ場はない。



「そこにいる者たちよ、抵抗は無駄だ!」
騎乗の男が前列に出て、剣を掲げる。
月光を浴びるその鎧は豪奢で、ただの兵ではないことを示していた。

「辺境の村を勝手に掌握し、我らの兵を襲った罪――王国の名のもとに裁きを受けよ!」

兵たちが一斉に鬨の声をあげ、地面が揺れるほどの足音で迫ってくる。



「……悠斗」
隣でリーネりーねが俺の袖を掴んだ。
その手は震えている。
けれど瞳はまっすぐに俺を見つめていた。

「私は、あなたの決断に従います」

小さな声。
だが、その言葉は胸に深く突き刺さる。

(……そうだ、俺が決めなきゃいけない)



「全員――構えろ!」

俺の声に呼応し、村人たちが農具や石を構え、盗賊たちは剣を抜く。
整然と動き出すその姿は、もはや村人でも盗賊でもない。
一糸乱れぬ兵士の軍勢だった。

「な、なんだあいつらは……!」
敵兵の列に動揺が走る。

その刹那――。

『命令を確認――従属じゅうぞく開始』

頭の奥に、再びあの声が響く。
前列にいた敵兵の数人が、突然動きを止め、虚ろな瞳で膝をついた。

「……っ!」
俺は思わず拳を握りしめる。



「……まさか、味方を……!」
敵の指揮官が目を剥き、叫んだ。

だが、すでに遅い。
膝をついた兵たちは俺に頭を垂れ、次の瞬間、剣を振り上げて仲間に斬りかかっていた。

「やめろ! 裏切り者か!?」
「ぎゃあっ!」

混乱の声が戦場に響き渡る。
その混沌の中心にいるのは――俺。



「今だ! 一斉にかかれ!」

命令に従い、村人も盗賊も、そして従属した兵士までもが一斉に突撃した。
松明の炎が揺れ、剣戟と怒号が夜を震わせる。

「押し返せ! 相手はただの村人だ!」
「いや……動きが整いすぎてる……!」

敵兵の叫びが恐怖に変わっていく。
農具を振るう農夫、石を投げる子供でさえ、訓練された兵士のように正確に動き、敵の隊列を崩していった。



「……これが、俺の力……」

声にならない呟きが喉の奥で漏れる。
望んだわけじゃない。
けれど、今はこの力しか村を守る術がない。

隣でリーネが炎を放ち、敵兵を押し返す。
狼が唸り声を上げ、血に染まった草原を駆け抜ける。

俺はただ、声を張り上げ続けた。

「倒せ――一人残らず!」



戦場は炎と血に包まれていく。
従属した者たちは一切迷いなく、ただ俺の命令を実行する。

その光景は――守るための戦いであるはずなのに、どこか悪夢のようにすら見えた。

(……俺は、どこまでこの力を使うんだ……?)

胸に重い問いを抱えながら、俺はさらに声を張り上げた。



遠くで、再び角笛が鳴り響いた。
その音は、まだ終わりではないことを告げていた。

__________________

後書き

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
第14話では、ついに王国の本隊と悠斗たちが激突しました。
人間相手にまで従属が発動し、混乱する敵軍を前に、悠斗は己の力の異常さを突きつけられます。

次回は、戦いの中で浮かび上がる「敵軍の真の狙い」と「リーネの秘密」に迫ります。
悠斗がこの戦場でどう決断するのか――ぜひお楽しみに!
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