クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第2章:王都に蠢く影、交錯する運命

第37話:暴走する力

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月明かりの下を歩き続け、やがて森の中へと足を踏み入れた。
湿った土の匂いが鼻を刺し、枝葉の影がゆらゆらと揺れている。

「……静かすぎるな」

俺は耳を澄ませながら呟いた。
次の瞬間、茂みを割って数匹の魔獣が飛び出す。
狼に似た魔物――牙狼だ。

「来るぞ!」

リーネが詠唱に入る。
俺も剣を抜き、構えた。



牙狼の群れが一斉に飛びかかる。
俺は剣で一匹を切り払い、リーネの氷魔法が二匹を足止めする。
だが数は多く、次々と襲いかかってくる。

「チッ……!」

その時だった。

胸の奥が、熱を帯びるように脈打った。
頭の中に、あの声が響く。

――『命令を確認――従属開始』

「なっ……勝手に!?」

意識していないのに、使役スキルが発動していた。
視界に映る牙狼たちの瞳が赤く染まり、動きを止める。



「悠斗……これ……!」

リーネの声に振り向くと――
彼女の瞳までもが赤く染まりかけていた。

「……やめろっ!!」

必死にスキルを押さえ込もうとするが、力は暴走を続ける。
森の鳥が枝から落ち、虫までもが地に伏し、まるで世界が支配下に沈んでいくようだった。

「っ……あぁぁぁ!」

俺は頭を抱え、地面に膝をついた。



「悠斗!」

リーネが駆け寄り、その肩を強く抱いた。
温もりと共に、彼女の声が耳に届く。

「あなたはあなた! この力に呑まれないで!」

その声に、胸の奥で暴れる衝動がわずかに鎮まる。
必死に息を吐き、握った拳を地面に叩きつけた。

――光が弾け、赤い瞳が霧散する。



気がつけば、牙狼たちは逃げ去り、森は再び静寂を取り戻していた。
俺の全身は汗で濡れ、息が荒い。

「……っ、はぁ……はぁ……」

「悠斗、大丈夫?」

リーネが覗き込み、不安そうに眉を寄せている。

「……ああ。……だが、今のは」

自分の手を見つめる。
意図せず暴走した力――
このままでは、誰かを巻き込んでしまう。



(……王都どころか、仲間すら危険に晒す力か)

恐怖と嫌悪が胸に広がる。
だが同時に、抗うしかないと強く思った。

「……制御しねぇと。俺自身が終わる」

夜風が木々を揺らす中、俺は固く誓った。



__________________

後書き

ここまで読んでくださりありがとうございます!

第37話では「使役スキルの暴走」を描きました。
これまで制御できていた力が意図せず暴走し、リーネまでも巻き込みかける展開で、悠斗の脅威が改めて浮き彫りになります。

次回は、この暴走の余波がどう周囲に影響を与えるのか。
そして王国がさらにどう動くのかが描かれていきます。
ぜひご期待ください!
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