クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第2章:王都に蠢く影、交錯する運命

第39話:奪い継ぐ力

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兵士たちが一斉に槍を突き出した。
鋭い風切り音が鼓膜を裂き、視界が真紅に染まる。

「悠斗!」

リーネの炎が弾け、迫る兵士数人を弾き飛ばす。
だが数はまだ残っている。
じりじりと距離を詰められ、俺は剣を構えた。

(……やるしかねぇ)



その瞬間だった。

『命令を確認――従属開始』

頭の奥に声が響く。
だが、今までの感覚とは違った。
従わせるだけじゃない。
何かが俺に流れ込んでくる――。

「……う、ぐっ」

兵士の一人が膝をつき、その直後、俺の体に重い鎧を着込んだかのような硬質感が走った。

(これは……さっき従属した兵士の“防御技術”……?)

驚愕とともに剣を振るうと、普段より鋭い動きが生まれた。
まるで鍛え抜かれた兵士の剣筋が、俺の腕に宿ったかのようだった。



「……悠斗、それ……」
リーネが息を呑む。

だがそれだけでは終わらなかった。

俺の脳裏に、突如として“知らない怒声”が響く。

『逃げた奴はぶっ殺せ! 命令は絶対だ!』

(な、なんだ……!?)

気づけば、俺の口調までが荒くなりかけていた。

「おい、立てぇ! 全員、突っ込め!!」

自分の声に、俺自身がぎょっとした。
まるで従属した兵士の“性格”までもが俺に入り込んでくる。



「悠斗! あなた……人格まで侵食されてる!」

リーネの叫びで我に返る。
慌てて深呼吸し、意識を押さえ込む。

(……落ち着け。これは……新しい力……だが同時に毒だ)

従属した相手から能力を奪える。
だが、その相手がただの村人なら――?

試しに、戦場に立っていた農夫に視線を送る。

『命令を確認――従属開始』

途端に、頭の中に“のんびりとした農夫の思考”が流れ込んできた。

「……天気が良ければ麦が育つ……いや、違ぇだろ今は!」

思わず頭を抱えた。
剣を構えながら、意味のない思考が邪魔をしてくる。
力になるどころか、戦闘の集中を削ぐだけ。



(つまり……強者を従属すれば力を得られる。だが弱者なら、その生き様ごと入り込む……!)

皮肉にも、この力の異常性がはっきりした。
望めば望むほど強さを手にできるが、同時に自分が“自分でなくなる”。



「悠斗……! 顔が……」
リーネが震える声で言った。

俺の表情は、一瞬兵士のものに、一瞬農夫のものに――次々と揺らぎ、混ざり合っていた。

「大丈夫だ……まだ俺は俺だ……!」

叫ぶように自分を叱咤し、俺は剣を振り抜いた。
従属した兵士たちの技を纏い、リーネの炎と合わせて敵を圧倒する。

やがて最後の兵が地面に沈み、戦場に静寂が戻った。



俺は膝をつき、荒い息を吐いた。

(……これが俺のスキルの“進化”か)

力を得られる。
だが、奪えば奪うほど自分を見失う危険がある。

「悠斗……あなたのその力、本当に……」
リーネは唇を噛み、言葉を飲み込んだ。

俺は短く笑った。
だがそれは、笑いとは呼べないものだった。

(こんな力……制御できるのか?)

不安だけが、夜風のように胸に広がっていった。



__________________

後書き

ここで補足
悠斗の今回覚醒した使役スキルは
過去に使役した人の得意な能力だったりをそのまま使えるというチート的能力なのです。
ただ難点は何の特殊な力のない村人なんかを使役した時はその性格をそのまま使うことになるからかえって不利になることもしばしあるという

まだまだ謎が多いスキルだということですな。






ここまで読んでくださってありがとうございます!

第39話では、使役スキルの“新たな段階”――従属者の能力を自分に取り込む力が描かれました。
ただし能力だけでなく「性格や思考までも侵食する」というリスクが判明し、悠斗の存在そのものが揺らぎ始めます。

次回は、この暴走気味の力をどう抑えるのか。
そして“本隊”との衝突に向け、さらに大きな戦いが迫っていきます。
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