クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第3章:揺れる絆、迫る真実

第77話:闇に潜む刃

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深夜。
焚火は小さくなり、残った火がぱちぱちと音を立てていた。
仲間たちはそれぞれ疲れ果て、岩に寄りかかって眠っている。

俺も目を閉じていたが、眠気は訪れなかった。
胸の奥に走る痛みと、脳裏に焼き付いた戦場の残響が、休息を許さなかったからだ。

(……嫌な気配がする)



「――来るぞ」

俺は即座に立ち上がり、剣を抜いた。
リーネもすぐさま魔力を練り、周囲を見回す。

次の瞬間、闇の中から複数の影が音もなく躍り出た。
黒装束の男たち――王国の密偵部隊。

「っ……!」
最初に気づいた美咲が悲鳴を飲み込み、短剣を構える。



「捕獲せよ。対象は生け捕り」
低い号令と共に、影が四方から迫る。

「悠斗、下がって!」
リーネの氷壁が立ち上がり、いくつかの刃を防ぐ。
だが密偵たちは素早く動き、壁を回り込んでくる。

「クソッ!」
俺は剣を振り抜き、迫る一人を弾き飛ばす。
火花が散り、鋭い金属音が夜に響いた。



「悠斗くん!」
美咲が背に回り、槍を構えた敵を必死に突き払う。
その必死な姿が一瞬視界に入った。

(……なんでだよ。なんでこんな目に遭わせなきゃならねぇんだ)

怒りが込み上げ、意識の奥で何かがうねった。

「――従え!」

怒声と共に、二人の密偵が膝をつく。
だが同時に胸の奥に鋭い痛みが走り、膝が震える。

「くっ……!」



「悠斗!」
リーネが駆け寄ろうとした、そのとき。

「やめろ!」
拓真の怒鳴り声が響いた。

全員が一瞬、動きを止める。
拓真は顔を真っ赤にしながら叫んでいた。

「こんな奴に……いつまでついていくつもりなんだ!
王国が追ってくるのは全部こいつのせいだろ!」

その言葉に、数人のクラスメイトが息を呑む。
迷いが空気に混じり、戦場の緊張がさらに歪んだ。



密偵の一人が口元を歪め、低く笑った。
「……なるほど。分断は容易い」

その嘲りが、夜の冷気に溶けた。



俺は血の味を噛み締めながら、剣を握り直した。

(……クソッ。
裏切りも、敵の襲撃も、全部一度にかよ)

限界を超えた体を奮い立たせ、再び影へと踏み込んだ。



__________________

後書き

ここまで読んでくださりありがとうございます!

第77話では「密偵の奇襲」と「拓真の爆発」を同時に描きました。
悠斗の従属は効果を発揮するものの、代償が重くのしかかり、同時に仲間内の不協和音が決定的に広がっていきます。

次回、第78話では――
奇襲の戦いの中で、拓真の本格的な裏切りが表面化。
悠斗たちにとって避けられない“決別の瞬間”が迫ります。
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