クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第3章:揺れる絆、迫る真実

第76話:休息の裏で

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森を抜け、岩場の陰に簡易の焚火を作った。
血の匂いが漂う戦場からは十分に離れ、ようやく息をつける場所に辿り着いたのだ。

俺は岩に背を預け、剣を膝に置いたまま目を閉じる。
体中が痛みで悲鳴を上げているが、意識だけはどうにか繋ぎ止めていた。

(……少しでも休まねぇと、次は持たねぇ)



「水です」
リーネが差し出してきた皮袋を受け取り、一口含む。
冷たさが喉を通り、少しだけ体が楽になる。

「ありがとう」
そう呟くと、彼女は静かに微笑んだ。

隣では美咲が黙ったまま、俺の腕に布を巻いていた。
戦闘でできた浅い傷口を必死に塞ごうと、小さな手が震えている。

「もう……無茶ばかりして……」
小さな声が漏れた。

「悪いな」
素直にそう返すと、美咲はびくりと肩を揺らし、顔を赤くして黙り込んだ。



「ふふ……青春だなぁ」

突然、焚火の向こうから鼻声混じりの声が響いた。
土下座の姿勢のまま木の枝を拾い集めている桜井先生が、涙目でにやにやしていた。

「お前は黙ってろ!!」
即座にツッコむと、わずかに笑いが広がる。
重苦しい空気が少し和らぎ、仲間たちもほっと息をついた。



だが、その輪の外。

拓真は皆から離れた場所で、ひとり拳を握りしめていた。
袖口に隠した紋章が、月明かりにかすかに光る。

(……渡せば、俺は助かる。
あいつを差し出せば、俺だけは――)

震える手を押さえ込みながら、彼は唇を噛み締めた。



夜更け。

森の影に潜む黒装束の男たちが、焚火の灯りを遠巻きに眺めていた。
王国直属の密偵――従属スキル保持者を監視するための隠密部隊だ。

「……対象は休息中。次の機を待つ」
「承知」

低い囁きが、風に消える。



一方その頃。

「……悠斗」
リーネが小声で俺を呼ぶ。
俺が目を開けると、彼女は真剣な顔で見つめ返してきた。

「明日以降、動きを変えるべきです。
追手は確実に強化されている。……正面からの戦いは、もう持ちません」

「……だろうな」

わかっている。
だが逃げるだけでは、結局いつか追い詰められる。

(……いずれは、真正面からぶつかるしかない)

その答えが見えぬまま、俺は再び目を閉じた。



焚火の炎が揺れる夜。
表ではわずかな安堵が灯り、裏では裏切りと刺客の影が確実に忍び寄っていた。



__________________

後書き

ここまで読んでくださりありがとうございます!

第76話では「休息の時間」と「忍び寄る影」を並行して描きました。
美咲とリーネの支え、桜井先生のギャグで空気を和らげつつ、拓真の裏切りと密偵の監視がじわじわ迫っています。

次回、第77話では――
休息の終わりと共に、新たな襲撃が始まります。
仲間の絆が試される中、裏切りの火種が大きく揺らぎ出すでしょう。
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