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第4章:奈落の影、揺るがぬ誓い
第116話:捕縛の鎖
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◇
昼下がりの街道。
鳥の鳴き声に混じって、金属の擦れる音が近づいてきた。
リーネが耳を澄ませて言った。
「……来ます。六、七。斥候でしょう」
「騎士団の先遣隊か」
俺は剣を握り直す。
◇
やがて木々の間から、銀鎧に紋章を刻んだ騎士たちが姿を現した。
彼らの剣は抜かれておらず、だが視線は鋭く俺を射抜いている。
「――高宮 悠斗。王国の命により、貴様を捕縛する」
隊長らしき男が声を張り上げる。
その声には“殺意”ではなく、“命令を遂行する冷徹さ”だけがあった。
◇
「捕縛、だと……?」
美咲が息を呑む。
俺は低く吐き捨てた。
「やっぱり……そういうつもりか」
◇
騎士たちが一斉に動いた。
腰に下げた鎖が煌めき、魔術の符が光を帯びる。
ただの拘束具ではない。生け捕り専用の“封魔の鎖”だ。
「くっ!」
俺は飛び込んできた一人の騎士の剣を弾き、逆に黒鎖を繰り出す。
だが、その鎖に別の騎士が符を叩きつけ、火花が散った。
「……効きが鈍い!?」
「高宮 悠斗。お前の力は既に知られている。
その“従属”は、この封魔で抑え込む」
◇
(……なるほどな。
ただの兵じゃねぇ、俺専用の対策かよ!)
舌打ちをしながら剣を振り払う。
だが鎖の符が近づくたび、黒鎖の動きがわずかに鈍る。
◇
「悠斗!」
リーネの氷槍が飛び、二人の騎士を吹き飛ばす。
「今は退いて! 正面からでは不利です!」
「……チッ」
俺は剣を振り回し、迫る鎖を切り裂きながら後退した。
◇
そのとき。
美咲が叫んだ。
「やめて! 悠斗くんは……私たちを守ってくれた! 捕まえるなんて間違ってる!」
必死の声に、一瞬だけ騎士たちの動きが止まった。
だが隊長は冷たく言い放つ。
「少女よ、勘違いするな。
我らは王国の命に従うだけだ。……情は無用」
◇
その言葉に、美咲の顔が青ざめた。
(……こいつら、本気だ。
殺す気はなくても、従わせる気なんざ一切ねぇ。
俺を“物”として扱うつもりだ……!)
胸の奥に熱が走り、黒鎖が激しく脈動する。
◇
「――誰の鎖にも繋がれるかよッ!!」
俺は全力で剣を振り抜いた。
黒雷を纏った斬撃が地面を抉り、迫る騎士たちを弾き飛ばす。
土煙の中、騎士たちは呻き声を上げながらも、なお立ち上がろうとしていた。
「撤退だ!」
隊長の号令が飛ぶ。
「報告を最優先せよ!」
◇
彼らは完全には倒れていなかった。
だが深追いする前に、森の奥へと退いていく。
残されたのは、焦げた大地と、重い沈黙だけ。
◇
「……悠斗」
リーネが小さく呟く。
「王国は完全にあなたを“捕える対象”として見ている。
……これからは、戦う相手が兵や魔物じゃなく、“国”そのものになるかもしれません」
「……そう、だろうな」
俺は深く息を吐いた。
胸の奥で、黒鎖がなおもざわめいていた。
まるで“怒り”を映すように。
◇
__________________
後書き
ここまで読んでくださりありがとうございます!
第116話では「王国騎士団の小部隊との初交戦」を描きました。
王国は悠斗を“殺す”のではなく“捕縛”する命令を下している
封魔の鎖という“従属対策”を持ち込んでいる
美咲が必死に訴えるも、情は通じず
悠斗は「誰の鎖にも繋がれない」と誓いを強めた
次回は「騎士団の報告を受けた王都の反応」と、「影の術者の不穏な動き」を同時に描きます。
昼下がりの街道。
鳥の鳴き声に混じって、金属の擦れる音が近づいてきた。
リーネが耳を澄ませて言った。
「……来ます。六、七。斥候でしょう」
「騎士団の先遣隊か」
俺は剣を握り直す。
◇
やがて木々の間から、銀鎧に紋章を刻んだ騎士たちが姿を現した。
彼らの剣は抜かれておらず、だが視線は鋭く俺を射抜いている。
「――高宮 悠斗。王国の命により、貴様を捕縛する」
隊長らしき男が声を張り上げる。
その声には“殺意”ではなく、“命令を遂行する冷徹さ”だけがあった。
◇
「捕縛、だと……?」
美咲が息を呑む。
俺は低く吐き捨てた。
「やっぱり……そういうつもりか」
◇
騎士たちが一斉に動いた。
腰に下げた鎖が煌めき、魔術の符が光を帯びる。
ただの拘束具ではない。生け捕り専用の“封魔の鎖”だ。
「くっ!」
俺は飛び込んできた一人の騎士の剣を弾き、逆に黒鎖を繰り出す。
だが、その鎖に別の騎士が符を叩きつけ、火花が散った。
「……効きが鈍い!?」
「高宮 悠斗。お前の力は既に知られている。
その“従属”は、この封魔で抑え込む」
◇
(……なるほどな。
ただの兵じゃねぇ、俺専用の対策かよ!)
舌打ちをしながら剣を振り払う。
だが鎖の符が近づくたび、黒鎖の動きがわずかに鈍る。
◇
「悠斗!」
リーネの氷槍が飛び、二人の騎士を吹き飛ばす。
「今は退いて! 正面からでは不利です!」
「……チッ」
俺は剣を振り回し、迫る鎖を切り裂きながら後退した。
◇
そのとき。
美咲が叫んだ。
「やめて! 悠斗くんは……私たちを守ってくれた! 捕まえるなんて間違ってる!」
必死の声に、一瞬だけ騎士たちの動きが止まった。
だが隊長は冷たく言い放つ。
「少女よ、勘違いするな。
我らは王国の命に従うだけだ。……情は無用」
◇
その言葉に、美咲の顔が青ざめた。
(……こいつら、本気だ。
殺す気はなくても、従わせる気なんざ一切ねぇ。
俺を“物”として扱うつもりだ……!)
胸の奥に熱が走り、黒鎖が激しく脈動する。
◇
「――誰の鎖にも繋がれるかよッ!!」
俺は全力で剣を振り抜いた。
黒雷を纏った斬撃が地面を抉り、迫る騎士たちを弾き飛ばす。
土煙の中、騎士たちは呻き声を上げながらも、なお立ち上がろうとしていた。
「撤退だ!」
隊長の号令が飛ぶ。
「報告を最優先せよ!」
◇
彼らは完全には倒れていなかった。
だが深追いする前に、森の奥へと退いていく。
残されたのは、焦げた大地と、重い沈黙だけ。
◇
「……悠斗」
リーネが小さく呟く。
「王国は完全にあなたを“捕える対象”として見ている。
……これからは、戦う相手が兵や魔物じゃなく、“国”そのものになるかもしれません」
「……そう、だろうな」
俺は深く息を吐いた。
胸の奥で、黒鎖がなおもざわめいていた。
まるで“怒り”を映すように。
◇
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後書き
ここまで読んでくださりありがとうございます!
第116話では「王国騎士団の小部隊との初交戦」を描きました。
王国は悠斗を“殺す”のではなく“捕縛”する命令を下している
封魔の鎖という“従属対策”を持ち込んでいる
美咲が必死に訴えるも、情は通じず
悠斗は「誰の鎖にも繋がれない」と誓いを強めた
次回は「騎士団の報告を受けた王都の反応」と、「影の術者の不穏な動き」を同時に描きます。
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