クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第4章:奈落の影、揺るがぬ誓い

第123話:精神への侵食

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闇が蠢いた。
術者の指先から広がったのは炎でも氷でもなく、黒い靄のようなものだった。
それは生き物のように広間を這い、俺の足元から絡みついてくる。

「……なにをしてやがる」

「簡単なことだ。肉体を壊すより、精神を縛った方が早い」
赤い瞳がぎらつき、冷たい声が響く。
「お前の中にある“黒鎖”は、元より精神に宿るもの……ならば、そこから崩してやればいい」



視界が歪む。
遺跡の崩れかけた壁が消え、気づけば俺は真っ暗な虚無に立っていた。

「っ……ここは……」

「お前の心の奥だ」
背後から術者の声がした。
振り向けば、同じ黒衣の影が立っていた。
だがその顔は――“俺自身”だった。

「……は?」



「お前は弱い。仲間に頼り、感情に流される。
いずれ暴走し、誰かを傷つける」

偽物の“俺”が、赤い瞳で笑う。
「だから器になるしかない。己を差し出し、すべてを委ねろ」

「……ふざけんな」
俺は低く吐き捨てた。



「悠斗!」
かすかに、遠くから声が響いた。リーネの声だ。

「悠斗くん!」
美咲の必死な叫びも重なる。

それは確かに外から聞こえてくる仲間の声だった。

「……俺には仲間がいる」
俺は剣を握り直す。
「誰かの器になるくらいなら、俺は――仲間を守るために鎖を振るう!」



「くだらない理想だ」
影の俺が剣を振るい、黒い靄が渦を巻く。

「なら証明してみせろ……自分が“人”であることを!」

黒と黒が激突する。
精神の奥で、己との戦いが始まった。



現実の遺跡では――。
悠斗の身体が膝をつき、額から黒い靄が溢れ出していた。

「悠斗!」
リーネが氷の壁で術者を牽制する。

「……やはり精神に干渉されたか」
術者は不気味に笑った。

「さぁ、どうする。
お前たちの“英雄”は、今まさに自我を呑み込まれようとしている」

美咲は涙を浮かべ、必死に悠斗の手を握る。
「悠斗くん……負けないで!」



――虚無の中。

俺は赤い瞳の“もう一人の自分”と剣をぶつけ合っていた。

(負けねぇ……俺は……!)

心臓の奥で黒鎖がうねり、爆ぜる音が虚空に響いた。



__________________

後書き

ここまで読んでくださりありがとうございます!

第123話では「影誓機関の術者」が仕掛けた精神干渉の戦いを描きました。

悠斗は精神世界に引きずり込まれ、“自分自身”と対峙する

現実では肉体が膝をつき、黒い靄が漏れ出している

リーネと美咲は必死に声を届けようとする

次回、第124話は「精神世界での決着」。
“己自身”との戦いに勝てるかどうかが、悠斗の人間性と仲間への誓いを決定づけます。
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