クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第4章:奈落の影、揺るがぬ誓い

第133話:幻を喰らう者

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霧の奥――。
道なき道を抜けたその先に、異様な空間が広がっていた。
白と黒が混じるように揺らめく地面。
空には太陽も月もなく、ただ影だけが浮かんでいる。

「……ここが、幻霧域の中心か」
俺は剣を抜きながら呟いた。

「気をつけて。ここにいる“主”は、ただの術者じゃない」
リーネが警戒の声を上げる。

「……感じる。空気が……冷たい」
美咲が胸の前で手を握り締めた。



その時、空間がひずむように揺れた。

「ようこそ……私の夢の庭へ」

声が頭の中に直接響く。
次の瞬間、霧の奥から現れたのは黒衣の男。
顔の半分を仮面で覆い、その背後では無数の幻影が揺れていた。

「俺たちをここまで引きずり込んだのはお前か」
「ええ。“心の奥”を見せてもらった。恐れ、嫉妬、自己否定――人間とは実に脆い」

男の周囲に漂う霧が形を変え、リーネや美咲の姿を模していく。

「……っ!」
美咲が後退る。
「まるで私たちのコピー……!」

「ただの幻ではない」
男が冷ややかに笑う。
「“記憶の断片”から創り出した“現実の影”だ。倒しても消えない」



「面倒なことを……」
俺は剣を構え、黒鎖を展開した。

「リーネ、美咲、下がってろ」

「でも――!」
「こいつは俺がやる」
短く言い切る。



「勇ましいな」
術者が両手を広げると、幻の“俺自身”が現れた。
精神世界で見たあの“赤い瞳の俺”だ。

「……まだ出てくるのか」

「お前の恐れの象徴だ。
だが今度は“現実”として創り出してやった。さあ――お前自身に喰われろ」



(……また“俺自身”か)
胸の奥がざらつく。
けれど、今度は違った。

「もう負けねぇよ」
俺は低く言い、黒鎖を握り締める。
「俺は現実に立ってる。幻の中で生きるつもりはねぇ」

「吠えるなッ!」
術者が叫ぶと、幻の俺が一気に踏み込む。
剣と剣がぶつかり、火花が散った。



「うおおおっ!!」
鎖を絡め取り、幻の剣を弾き飛ばす。
その反動で黒い影が霧に崩れた。

「バカな……!」
術者が目を見開く。

「幻を現実にしたなら、その逆もできるんだろ?」
俺は冷たく笑う。
「“現実の意志”で、幻を壊す」

黒鎖が光を放ち、周囲の幻影を一掃する。



「ぐっ……貴様……!」
術者が膝をつき、霧が乱れた。

「これが……“従属の力”の本質……」

「違う。これは“信じる力”だ」
俺は剣を振り下ろした。
「現実を見失わないって、そういうことだろ」

刃が仮面を裂き、霧が一気に吹き飛ぶ。



霧が晴れた後に残ったのは、崩れ落ちた男の姿。
彼は苦しげに笑いながら呟いた。

「……やはり……人の心ほど……厄介なものはない……」

そして光の粒となって消えた。



「……終わった、の?」
美咲が小さく尋ねる。

「ああ」
俺は剣を下ろし、深く息を吐いた。
「これで……幻霧域も崩壊する」

リーネが頷く。
「あなたが“自分の現実”を信じたから、幻そのものが耐えられなかったのです」

「……信じる力、か」
俺は空を見上げた。
薄れゆく霧の向こうで、光が差し込み始めていた。



__________________

後書き

ここまで読んでくださりありがとうございます!

第133話では、幻霧域の主である術者との直接対決を描きました。

敵は“心の影”を現実に具現化する精神系の術者

悠斗は「幻に勝つのではなく、現実を信じる意志」で突破

幻霧域は崩壊し、山を覆っていた呪縛が消滅

次回134話は「崩れゆく山と新たな兆し」。
幻霧域の崩壊後、リーネたちが見る“光の残滓”に新たな手がかりが現れます。
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