クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第4章:奈落の影、揺るがぬ誓い

第134話:光の残滓と隠れ里

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霧が晴れた瞬間、世界が静まり返った。
先ほどまで濃密に満ちていた魔力の圧が消え、山の空気が一気に軽くなる。
風が木々を揺らし、鳥の声が戻ってきた。

「……終わったのね」
リーネが小さく呟き、肩の力を抜いた。

「まるで夢みたいだ」
美咲が胸に手を当て、深呼吸する。
「でも……本当に、これで解放されたんだね」

俺は黙って頷いた。
空気が澄み渡り、遠くの山並みが見える。
けれど――その静けさの奥に、妙な“名残”を感じた。



「……待て。何か残ってる」
俺は地面に落ちた黒い光を見つけ、しゃがみ込んだ。

それは、霧が消えたあとに残った小さな結晶。
まるで黒曜石のように鈍く光り、内部で紫の光が脈動していた。

「これは……魔石?」
リーネが眉を寄せる。
「でも普通の魔石とは違う。……生きてる?」

「生きてる?」
美咲が不安そうに覗き込む。

結晶の表面に、一瞬だけ“瞳”のような紋様が浮かんだ。

「ッ!」
俺は咄嗟に手を引く。
「今、見たか!?」

「見たわ。……間違いなく“意思”を持ってる」
リーネの声が低くなる。
「術者が残した残滓……“影核《えいかく》”よ」



「影核……?」

「影誓機関の高位術者が死んだとき、その魂の断片が魔力と結びついて残ることがあるの。
放っておけば、別の存在を呼び寄せる可能性があるわ」

「つまり……これも敵の手の内か」
俺は結晶を布で包み、腰の袋に入れた。
「王都に戻るまでの証拠に使える。下手に置いてくよりマシだ」

リーネは不安げに頷く。
「ただし、取り扱いには注意して。
これは、あなたの“従属スキル”さえ反応する可能性がある」

「……了解」



そこへ、後ろから息を切らせて桜井先生が駆けてきた。

「お、おおおっ! お前ら無事かぁぁ!?
お、俺、途中で迷って転んで谷に落ちたかと思ったけど生きてた!」

「よく生きてたな先生……」
俺は呆れつつも、安堵の笑みを浮かべた。
「まぁ、無事ならいい」

「おお、主……! いや、もう“隊長”って呼ばせてもらおう!」

「勝手に役職つけんな」

リーネが苦笑し、美咲が小さく笑う。
戦いの緊張がようやく和らいでいった。



山を抜けると、眼下に広がるのは――まるで霧の海を割って現れた“隠れ里”。
山の斜面に溶け込むように造られた木造の家々が、柔らかな光に包まれていた。

「……本当に、あったんだ」
美咲が息を呑む。

「幻じゃない。これが、リーネの言っていた里だ」
俺は前へと歩き出す。



里の入口で、老人が出迎えた。
深い緑の衣を纏い、目には知恵の光が宿っている。

「……久しい来訪者だな。
お前たちは“外の者”か」

「はい。幻霧域を越えてここに来ました」
リーネが一礼する。

老人は俺たちをじっと見て、ゆっくり頷いた。
「ならば、話を聞かねばならぬ。――“影”の気配を、お前の中に感じる」

俺の胸がわずかに疼く。
布越しの袋の中、影核がかすかに震えていた。



(……まだ終わってねぇ。
あの術者を倒しても、“影”そのものは生きている)

俺は拳を握り、改めて決意を固めた。
「わかった。話を聞かせてくれ」

そして、俺たちは静かな隠れ里の奥へと足を踏み入れた。



__________________

後書き

ここまで読んでくださりありがとうございます!

第134話では、

幻霧域の崩壊と「影核」の出現

隠れ里への到達

影誓機関の“術者の残滓”という新たな脅威
を描きました。

リーネの言葉どおり、影核は単なる魔石ではなく、敵の意思が宿る“再生の種”のような存在。
次回135話では、隠れ里で明かされる“影誓機関”の正体と、“従属スキル”の起源が語られます。
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