クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第4章:奈落の影、揺るがぬ誓い

第141話:原初の激突

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風が止まり、世界が沈黙した。
空は鉛色に曇り、地平の彼方まで緊張が張り詰める。

俺――高宮 悠斗たかみや ゆうとと、
影誓機関の執行官――ゼルガードが、わずか数メートルの距離で対峙していた。

「……さあ、見せてもらおうか。“共鳴契約”の真価を」

ゼルガードが一歩、前に出る。
その足元から影が波紋のように広がり、地面を黒く塗り替えていく。
見ただけで、魔力の密度が桁違いだと分かった。



「リーネ、美咲、後ろに!」
「わかった!」
「気をつけて、悠斗くん!」

二人が下がるのを確認し、俺は剣を構える。

ゼルガードは低く呟いた。
「“影従《えいじゅう》・群食《ぐんしょく》”」

次の瞬間、地面から数十の腕が生えた。
それぞれが生き物のようにうねり、牙を剥く。

「……数が違うな」
俺は深く息を吸い、剣を地面に叩きつけた。

「《共鳴契約》・展開!」



光が爆ぜる。
リーネと美咲の魔力が流れ込み、
白と青の二色が渦を巻く。

「“共鳴陣式《きょうめいじんしき》”──起動」

俺の剣が金色に輝き、足元に魔法陣が展開する。
剣先を振るうと、光の波が走り、影の腕を一掃した。

「ほう……なるほど。支配ではなく、共鳴による“循環”か。
ならば、それがどこまで通じるか試してやろう」

ゼルガードの声が冷たく響く。



彼の背後に黒翼が広がった。
それは影そのものが形を取ったような、禍々しい存在。
翼を振るうたび、空気が軋み、空が裂ける。

「“影誓・堕界《だかい》”」

漆黒の柱が天へと伸び、世界が闇に飲まれていく。
視界が歪み、音が消えた。

「なっ……空間が捻じ曲がってる!?」
リーネの声が震える。

「ここは私の“影界”。
光は届かず、魔力も削がれる。
お前たちの共鳴など、ここでは無意味だ」



「……それでもだ」
俺は息を整え、剣を構え直した。

「お前が支配するこの闇を、俺たちの“繋がり”で貫いてみせる!」

「言葉だけでは通用せん。――来い!」



激突。

ゼルガードの槍のような影翼が一直線に突き出され、
俺の光刃がそれを正面から受け止めた。

衝撃波が地面をえぐり、山肌が崩れる。
光と闇が混ざり合い、火花が散った。

「クッ……!」
押し返そうと力を込めるが、ゼルガードの魔力は底なしだった。

「その程度か! “原初”の名が泣くぞ!」

「まだだッ!!」



俺の背後で、美咲が祈るように手を組んだ。
「――“加護《かご》・聖波”!」

温かな光が俺の身体を包み、
同時にリーネの声が重なる。

「“氷鎖陣《ひょうさじん》・固定”!」

氷の鎖がゼルガードの脚を絡め取った。

「今だ、悠斗くん!」

「うおおおおおおおッ!!」

剣を振り抜く。
光刃が一直線に走り、ゼルガードの胸元を貫いた――かに見えた。



しかし次の瞬間、
ゼルガードの姿は“霧”に変わり、俺の背後に回っていた。

「甘い」

冷たい手が俺の肩を掴む。
視界が暗転し、全身の魔力が凍りつく。

「この影界では、私こそが法だ。
貴様の意志など――無に帰す」

「……っ!」

足元から黒い紋章が広がり、
体の自由が奪われる。

「やめてッ!」
美咲が叫び、リーネが詠唱を試みるが、
ゼルガードの影翼が一振りで全てを弾き飛ばした。



「さぁ、終わりだ」
ゼルガードが腕を振り下ろした――その瞬間。

胸の奥で、光が再び脈打った。
(……まだだ)
(守るって、決めたんだ)

その瞬間、俺の影が光り出した。
闇の中に、淡い金の模様が浮かび上がる。

「何……この反応……!?」
ゼルガードが初めて、驚愕の声を漏らした。



俺はゆっくりと顔を上げた。
瞳に映るのは、闇の中でも確かに輝く“光”。

「支配の影でも、閉ざされた世界でも――
俺たちの絆は、消えねぇ」

「共鳴契約・第二段階――《心臓共振|ハートリンク》」

光が弾け、影界全体が震えた。
ゼルガードの圧力が一瞬だけ緩む。

「なに……この力……!? まさか、原初を超えた……!?」

「超えるさ。
だってこれは、“俺たちの心”だ!」



爆音と共に光が炸裂し、影界が崩壊を始める。
ゼルガードが顔を覆い、怒号を上げた。

「貴様ァ……!!」

その怒声を背に、俺たちは光の中へ飛び込んだ。

――闇を貫く、たった一筋の希望のように。



__________________

後書き

ここまで読んでくださりありがとうございます!

第141話では、

ゼルガードとの初めての本格戦闘

“影界”という絶対支配空間での戦い

悠斗が《共鳴契約・第二段階》=《心臓共振》を発動

ゼルガードに初めて“驚き”を与える一撃

という展開を描きました。

次回142話は「崩壊する影界」。
ゼルガードの逆襲、そして“原初使役者”としての真なる姿が明らかになります。
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