ここは地下楽園ミデル 01.樹木の妖精ロワール

貴船きよの

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2,黄色いりんごの樹の下で

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 黄色いりんごの実をつけた木々の隙間から、青空が覗いていた。

「んー! 気持ちいいなぁ」

 ソラは、歩きながら両腕を上へと伸ばして深呼吸をした。

 森はそよ風が通り抜け、さわやかな果実の香りに包まれている。

 時折小鳥がさえずり、足元にはすみれに似たピンクや白の花が顔を覗かせていた。

「この森に連れて来てくれたのは初めてだね。花がたくさん咲いていてきれい」

「森は広いからね。花が咲くエリアも、動物達が集まるエリアもあるよ」

 ロワールと並んで歩きながら、ソラはちらりと彼を横目で見た。

 ソラはロワールと過ごすうちに、自分が自然体でいられることに気づいていた。

 ロワールといるときは、無理に話を盛り上げようとする必要はなかったし、気に入られようとして自分をよく見せることもなかった。

 ロワールがもしも人間だったら……、そこまで考えてしまう自分を、ソラは密かにたしなめた。

「ソラ、もうすぐ着くよ」

 ロワールに案内されて辿り着いた先には、高さが三十メートルはあると思われる巨樹があった。
 実はつけておらず、青々とした葉をたっぷりと茂らせている。

 ロワールは、その樹を見上げて言った。

「この樹が、僕が生まれた樹なんだ」

「えっ、……ああ、そうか。ロワールは樹木の妖精なんだよね」

 ソラは、ロワールに出会った日にされた自己紹介を思い出した。

「人間の幸せがミデルにある樹を満たして、そこから妖精が生まれ、妖精は人間界へ行く。そういう循環になっている」

 人間と同じ姿をしているロワールを見ていると忘れてしまいそうになるが、妖精には妖精の役目があって暮らしていた。

「不思議だね。人間の幸せがあったから、ロワールにも会えたんだ……」

 神秘的なものであるように巨木を見上げるソラを、ロワールは愛しそうに見つめた。

 ソラは、はたと気づいて言った。

「そういえば、他の妖精はどこにいるの? 私がここに来てから、遠くを歩いていた人を一人見ただけだった。妖精は、人間界で人間に奉仕することが仕事なんだよね。でも、今は人間界に行ける妖精は少ないんでしょう?」

 ソラの疑問に、ロワールは丁寧に答える。

「楽園には主に、半人前の妖精や、その妖精を育てる者、人間界から戻ってきて英気を養っている者がいる。今はお休み中の妖精が多いね、僕もそうだし。タフな妖精は、すぐに人間界に戻る者もいるんだけどね。ほかには、ミデルの暮らしを管理する者もいる。トンネル工事をしているのもその妖精達だ」

「見かけないだけでたくさんいるんだね」

 ソラは感心して言った。

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