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2,黄色いりんごの樹の下で
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しおりを挟む「うん。ミデルは広いんだ。それに、妖精は生まれた場所の近くや、自分の居心地のいい場所で過ごすことが多いから、それぞれが思い思いに暮らしている」
生まれた場所、自分の居心地のいい場所……と聞くと、ソラはそこから遠く離れた場所に来てしまったことを意識してしまい、胸がしくりとした。
「そうなんだ……」
ソラは、ミデルにもロワールにも不満はなかった。
けれど、妖精に共感できるほどの愛着は、ミデルには湧いていなかった。
ロワールは、ソラの心情を察した。
「ソラは、人間界に戻りたい?」
「……戻れるものなら」
地面を見つめながら、ソラは切実に吐露した。
「そうだよね……」
「あっ、でも、ロワールといるのがいやだとか、そういうことじゃないの」
「ふふっ、わかっているよ。……やさしいね、ソラは」
慌てて首を横に振るソラに、ロワールは微笑んで彼女の髪を撫でた。
ソラはどきりとした。
湧き出してくる感情があることも自覚していた。
けれど、その気持ちには無意識に蓋をした。
それに、さりげない仕草はロワールにとっては特別なことではなかった。
ロワールはいつでもやさしく、それは彼の通常通りの態度だった。
ロワールは言った。
「今、仲間の妖精に、ソラを人間界に帰せるかどうかを相談しているんだ」
「そうなの?」
ロワールははっきりと返答できる内容はなかったが、力強く頷いた。
ソラは、ほのかに灯された希望に笑みがこぼれる。
しかし、ロワールは真剣な面持ちで話を続けようとした。
「それでね、ソラには言っておかないといけないことが、」
「あっ!!」
ロワールの話の途中で、ソラはロワールの背後にあるものが視界に入って声を上げた。
「どうかした?」
「ロワール、あの樹……」
ソラが見ているほうへとロワールが振り向くと、黄色いりんごが実る森の奥に、周囲の樹木とは様子が違う樹木が一本立っていた。
二人は、その樹木のもとへと歩み寄った。
「ここの樹までだめになったか……。ついこの前までは元気だったんだけどね」
ごつごつとした樹の表面に触れて、ロワールは枯れ始めた枝葉を見上げた。
葉の色は茶色く変わり、足元には、枝から落下した熟した実がいくつも潰れている。
このまま放置すれば、いずれ倒れてしまう。
枯れた樹木を見つけることはこれまでにもあり、ソラは自分にできることを知っていた。
「ロワール……」
ソラは、ロワールの手をそっと握った。
「少しだけなら、ここでもいいよ」
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