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4章
118話 嫌いなものは嫌い
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海産物は好きじゃない。
というのもリアル幼少期のトラウマのせいで結構な歳になるまでほとんど食べられなかった。
で、食べられない私に対して「本当においしい物を食べた事がないから」とかふざけた事を抜かしてくる奴のせいでまたさらに嫌いになる。そういうのも含めて私は海鮮類の9割が嫌いだ。特に甲殻類はやばいね、匂いも駄目だし、食べるとアレルギーじゃないがすぐに戻してしまうくらいには体が拒否反応を起こす。
「流石に匂いとかは再現されてないけど、やっぱり嫌なものは嫌だわ」
別に甲殻類とかおもいっきり魚類って訳ではないが、そこら辺のサハギンよりも大きいサハギンが目の前で銛を構えて唸り声を上げている。まあ、見て分かる通りだが、此処の洞窟のボスだな。やたらとサハギンばっかり多かったのはこの関係もあったんだろう。
まだボス部屋の中には入っていないのでエリアの制限とかはされていないがのしのしと歩いている一回り大きいサハギンがいる。
「何だかんだでボスまで来ちゃったけど、あれ倒したいんでしょ?」
「此処まで来たら倒すのが礼儀っすよ」
「どう、します……?」
「まー、死んでも別に私は痛くないからいいけど」
ぐいーっと伸びてから手持ちのアイテムと言うか装備を一度確認。特に問題はないので減っていた銃弾を装弾しなおす。後はPT全員がフル回復するまで待つのと、軽い食事を済ませる。
「見た目はサハギンだけど、機敏そうな相手のボスって初めてなのよねぇ」
「今までどんな相手してたんすか」
「んー、でかいゾンビとでかいゴーレムくらいしか相手してないけどさ」
「ゴーレムなんて、いました……?」
「東2-2の山のやつね、大柄でのろい相手は苦戦する要素ないし」
今までの連中はそこまで命中率とかAIM力とかが必要になる相手じゃなかったので問題なかったが、細身で素早い相手となるとまた話が変わってくる。デブで鈍足で当たり判定のでかいやつに苦戦するとかFPSなりTPSやってるなら恥ずかしい。細身で素早いとなると、その分の精密さがいるわけだから、適当に撃って当てるよりも難しいのが通例ではあるのだが。
「まあ、弾速もあるし、サハギン狙うよりは楽だろうけど、どこまで素早いかが問題かあ」
せっかく復活したウサ銃は装弾と固定ダメージが優秀なので使っていたが、明らかに素早く動きますって相手には鳳仙花、ショットガンが向いているのなんて、ちょっと考えりゃ分かる。問題は銃剣が使えないと言うので咄嗟の反撃するときに問題があるって位だろう。
「回復するまでの間に準備と、どう対応するか決めとこか」
「わ、私は、遠距離攻撃しか、ないんで……」
「うーん、ヘイトは引きつけられると思うっすけど、アカメさんの発砲音が気になるっす」
「そうなると私自身は戦力外だし、抜けてもいいけど」
「それはそれで、違うと……」
「そうっすねぇ……ガチでやりたいのはあるっすけど、そこまでするのは違うっすね」
やっべ、普通に良い奴らだわ、私だったら普通に攻撃しないで銃剣だけで対応しろとか言ってた気がする。っていうか言ってる。マジで余計な事するなって思っちゃうからな。
「ネトゲとか色んなゲームしてきたけど、ものすごい久々に良い奴に出会ったって感動したわ」
こんな稀な奴らいるんだ。と思いながらインベントリを開いてG4を取り出して、慣れた手つきでマガジンを排出し銃弾を詰める作業を開始するわけだが。最初にマガジンに1発入れてから本体に刺しこんでからコッキング。チェンバー内に一発入れてからマガジンを取り出して12発入れなおす。そうして全て銃弾を詰めたG4をゴーレム戦の時の様に左腰に入れて準備完了。
「アカメさん、そんなに、人付き合い悪いんですね……」
「やっぱガチ勢ってちょっとおかしいんすか……?」
「引っぱたくわよ、あんたたち」
ウサ銃も掠ってもダメージが入る鳳仙花の方へと切り替えて完了。銃弾の予備もまだ40発近くあるし、全部撃ち込むまでには倒せるだろうよ。ついでに減っていた満腹度も塩焼肉で回復しておく。この満腹度システム廃止して食事によるバフ効果にしてくれた方が使いやすいんだけどな。
「うっし、回復完了っす!」
「わ、私はもうちょっとです……」
「こっちは準備完了、あの気持ち悪い魚介類をさっさと倒したいからやるなら一気に片付けたいわ」
「じゃあメタリカさんが回復しきったら突入っすね」
もう少し時間が掛かるというのであれば一応直接発火用の黒色火薬も準備しておくか、導火線とかそういうのはもうないし、とりあえず余っていたポーチに直接50gの黒色火薬を詰めて固めておく。固めると言ってもぎゅっと握っておくだけなのでなんの変哲もない。こんな事出来るようになったのも生活火魔法のおかげだ。これ、いいスキルだわ。
火薬爆弾が思いのほか簡単に出来たので煙草を咥えて火を付ける。インベントリに直に仕舞ってるから、以前やった錬金ギルド爆破事件の様なヘマはもうしない。
「ん、いけます」
「じゃあ早速ボス戦っすよー!」
「保護者感覚すげーわ」
ボスエリアに侵入すると共にサハギンがこっちを視認し、銛をビュンビュンと回転させるように動かしてから柄の部分を腋に挟んでびしっと構える。ああ、これは苦戦する相手だ。絶対苦戦する。
「今までのが雑兵でこいつが武将とか指揮官クラスって言われたら納得するけど」
「キングサハギン、って名前ですね……」
「武将指揮官じゃなくて総大将だったか」
さて、まずはいつもの様に様子を見ながら相手の攻撃パターンを見るのに回避優先で……。
「おらぁー、いくっすよー!」
うん、そんな事だと思ってたよ。攻撃一つ二つも楽しんで回避しながら肉薄したいんだろうな。自分から前線張るっていうのならそれはそれでいいから、攻撃パターンとかを見ながら私は後ろで指示を。
「したかったんだけどなあ」
メカクレの奴もおしゃべり忍者に合わせて攻撃を開始し始めてるんだが、最初から飛ばし過ぎじゃないかって位に撃ちまくっている。うん、何となくと言うか道中の戦闘方法を思い出してみたが、とにかくヘイトをためた前衛に負担がかかる前にかなり高威力の魔法矢で攻撃をする節がある。
殲滅能力が高いからさくっと倒して被害を少なくするというのは確かに利点がある。ただ、相手を速攻で倒せるというのが前提条件になる。倒せない相手だとしても一気に全力を出してダメージを稼ぐのはありだが、形態変化とか暴走とかまあ昨今のゲームではよくあるタイプの物だが、その手の場合に、全力を出せないとか回復のクールタイムで失速してやられるというパターンもある。
「ああ、もう、何でこうバトルジャンキーって言うか頭の使わない戦い方ばっかりになるかな!」
グループ個人1位なだけあって派手にやってはいるけど、あのキングサハギン、魔法防御高いほうじゃないかな、軽いヒットストップばっかりでダメージが入っている感じが薄い。
で、前衛張っているおしゃべり忍者の方はというと、あの銛の振り回しだったり突きの攻撃を分身だったり変わり身だったりで回避している。あんな忍術持ってたのか、あいつ。って言うか忍者ってやっぱああいう変わり種のスキル持ってるんだな。
「このまま楽に……倒せればよかったんだけどなあ」
キングサハギンと二人がやり合っている横から通常のサハギン2匹が湧いてくる。出た出た、今までいなかった使役系のボス。しかも本体強いっぽいし、これは私が担当するしかないな。
「あー、やだやだ、対複数って立ち回りが難しいのよねぇ」
思い切り煙草を吸い上げてから紫煙をぶはーっと吐き出し、右腰に下ろしていたDボアを湧いて出てきた雑兵扱いのサハギン2匹に向かって1発ずつ撃ち込んで此方側にヘイトを向かせる。
「撃つたび派手な音をするんだから目立たない様にってのは難しいわな」
吸い切った煙草をぷっと吐き捨て、向かってくるサハギンを見据える。
「もろに食らったら多分一発ってのは、いつもと変わんないか」
オークよりはダメージ低いといいなあ。
というのもリアル幼少期のトラウマのせいで結構な歳になるまでほとんど食べられなかった。
で、食べられない私に対して「本当においしい物を食べた事がないから」とかふざけた事を抜かしてくる奴のせいでまたさらに嫌いになる。そういうのも含めて私は海鮮類の9割が嫌いだ。特に甲殻類はやばいね、匂いも駄目だし、食べるとアレルギーじゃないがすぐに戻してしまうくらいには体が拒否反応を起こす。
「流石に匂いとかは再現されてないけど、やっぱり嫌なものは嫌だわ」
別に甲殻類とかおもいっきり魚類って訳ではないが、そこら辺のサハギンよりも大きいサハギンが目の前で銛を構えて唸り声を上げている。まあ、見て分かる通りだが、此処の洞窟のボスだな。やたらとサハギンばっかり多かったのはこの関係もあったんだろう。
まだボス部屋の中には入っていないのでエリアの制限とかはされていないがのしのしと歩いている一回り大きいサハギンがいる。
「何だかんだでボスまで来ちゃったけど、あれ倒したいんでしょ?」
「此処まで来たら倒すのが礼儀っすよ」
「どう、します……?」
「まー、死んでも別に私は痛くないからいいけど」
ぐいーっと伸びてから手持ちのアイテムと言うか装備を一度確認。特に問題はないので減っていた銃弾を装弾しなおす。後はPT全員がフル回復するまで待つのと、軽い食事を済ませる。
「見た目はサハギンだけど、機敏そうな相手のボスって初めてなのよねぇ」
「今までどんな相手してたんすか」
「んー、でかいゾンビとでかいゴーレムくらいしか相手してないけどさ」
「ゴーレムなんて、いました……?」
「東2-2の山のやつね、大柄でのろい相手は苦戦する要素ないし」
今までの連中はそこまで命中率とかAIM力とかが必要になる相手じゃなかったので問題なかったが、細身で素早い相手となるとまた話が変わってくる。デブで鈍足で当たり判定のでかいやつに苦戦するとかFPSなりTPSやってるなら恥ずかしい。細身で素早いとなると、その分の精密さがいるわけだから、適当に撃って当てるよりも難しいのが通例ではあるのだが。
「まあ、弾速もあるし、サハギン狙うよりは楽だろうけど、どこまで素早いかが問題かあ」
せっかく復活したウサ銃は装弾と固定ダメージが優秀なので使っていたが、明らかに素早く動きますって相手には鳳仙花、ショットガンが向いているのなんて、ちょっと考えりゃ分かる。問題は銃剣が使えないと言うので咄嗟の反撃するときに問題があるって位だろう。
「回復するまでの間に準備と、どう対応するか決めとこか」
「わ、私は、遠距離攻撃しか、ないんで……」
「うーん、ヘイトは引きつけられると思うっすけど、アカメさんの発砲音が気になるっす」
「そうなると私自身は戦力外だし、抜けてもいいけど」
「それはそれで、違うと……」
「そうっすねぇ……ガチでやりたいのはあるっすけど、そこまでするのは違うっすね」
やっべ、普通に良い奴らだわ、私だったら普通に攻撃しないで銃剣だけで対応しろとか言ってた気がする。っていうか言ってる。マジで余計な事するなって思っちゃうからな。
「ネトゲとか色んなゲームしてきたけど、ものすごい久々に良い奴に出会ったって感動したわ」
こんな稀な奴らいるんだ。と思いながらインベントリを開いてG4を取り出して、慣れた手つきでマガジンを排出し銃弾を詰める作業を開始するわけだが。最初にマガジンに1発入れてから本体に刺しこんでからコッキング。チェンバー内に一発入れてからマガジンを取り出して12発入れなおす。そうして全て銃弾を詰めたG4をゴーレム戦の時の様に左腰に入れて準備完了。
「アカメさん、そんなに、人付き合い悪いんですね……」
「やっぱガチ勢ってちょっとおかしいんすか……?」
「引っぱたくわよ、あんたたち」
ウサ銃も掠ってもダメージが入る鳳仙花の方へと切り替えて完了。銃弾の予備もまだ40発近くあるし、全部撃ち込むまでには倒せるだろうよ。ついでに減っていた満腹度も塩焼肉で回復しておく。この満腹度システム廃止して食事によるバフ効果にしてくれた方が使いやすいんだけどな。
「うっし、回復完了っす!」
「わ、私はもうちょっとです……」
「こっちは準備完了、あの気持ち悪い魚介類をさっさと倒したいからやるなら一気に片付けたいわ」
「じゃあメタリカさんが回復しきったら突入っすね」
もう少し時間が掛かるというのであれば一応直接発火用の黒色火薬も準備しておくか、導火線とかそういうのはもうないし、とりあえず余っていたポーチに直接50gの黒色火薬を詰めて固めておく。固めると言ってもぎゅっと握っておくだけなのでなんの変哲もない。こんな事出来るようになったのも生活火魔法のおかげだ。これ、いいスキルだわ。
火薬爆弾が思いのほか簡単に出来たので煙草を咥えて火を付ける。インベントリに直に仕舞ってるから、以前やった錬金ギルド爆破事件の様なヘマはもうしない。
「ん、いけます」
「じゃあ早速ボス戦っすよー!」
「保護者感覚すげーわ」
ボスエリアに侵入すると共にサハギンがこっちを視認し、銛をビュンビュンと回転させるように動かしてから柄の部分を腋に挟んでびしっと構える。ああ、これは苦戦する相手だ。絶対苦戦する。
「今までのが雑兵でこいつが武将とか指揮官クラスって言われたら納得するけど」
「キングサハギン、って名前ですね……」
「武将指揮官じゃなくて総大将だったか」
さて、まずはいつもの様に様子を見ながら相手の攻撃パターンを見るのに回避優先で……。
「おらぁー、いくっすよー!」
うん、そんな事だと思ってたよ。攻撃一つ二つも楽しんで回避しながら肉薄したいんだろうな。自分から前線張るっていうのならそれはそれでいいから、攻撃パターンとかを見ながら私は後ろで指示を。
「したかったんだけどなあ」
メカクレの奴もおしゃべり忍者に合わせて攻撃を開始し始めてるんだが、最初から飛ばし過ぎじゃないかって位に撃ちまくっている。うん、何となくと言うか道中の戦闘方法を思い出してみたが、とにかくヘイトをためた前衛に負担がかかる前にかなり高威力の魔法矢で攻撃をする節がある。
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「ああ、もう、何でこうバトルジャンキーって言うか頭の使わない戦い方ばっかりになるかな!」
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で、前衛張っているおしゃべり忍者の方はというと、あの銛の振り回しだったり突きの攻撃を分身だったり変わり身だったりで回避している。あんな忍術持ってたのか、あいつ。って言うか忍者ってやっぱああいう変わり種のスキル持ってるんだな。
「このまま楽に……倒せればよかったんだけどなあ」
キングサハギンと二人がやり合っている横から通常のサハギン2匹が湧いてくる。出た出た、今までいなかった使役系のボス。しかも本体強いっぽいし、これは私が担当するしかないな。
「あー、やだやだ、対複数って立ち回りが難しいのよねぇ」
思い切り煙草を吸い上げてから紫煙をぶはーっと吐き出し、右腰に下ろしていたDボアを湧いて出てきた雑兵扱いのサハギン2匹に向かって1発ずつ撃ち込んで此方側にヘイトを向かせる。
「撃つたび派手な音をするんだから目立たない様にってのは難しいわな」
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