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5章

147話 開幕準備

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 もうスキルいいや。
 今更どうこうしたところで使った事のない物をいきなり実践投入するなら今使ってる奴を駆使した方が良いに決まってるだろう。人、これを諦めと言う。

 この間見たイベント概要も正確なものというか、正式版と言う訳ではなく『大まかな概要はこうなっています』と言う物をさらに掻い摘んで整理したわけだし、そろそろ本格的な詳細っての出てんだろ。

『アカメちゃん、アカメちゃん』
『急になんだ、バトルジャンキー』
『転移先にアカメちゃんの自宅出てるんだけど、いっていーの?』
『別にいいわよ、大したもん置いてないし』
『はーい!』

 そう言えばフレンドの許可出したまんまだわ。まあ荒らされる心配も無いし、大きい問題はないのでこのままでいいだろう。
 何だったら私がどういう人物か知ってるから余計な事したら、痛い目見るとしか思ってないだろう。
 
 自宅にいるついでにサプレッサーでも作ってみるか。


「サプレッサーの作り方ー」
「わー!」

 銃弾が発射される際に発生する音を軽減するもので、映画の様に「ピシュ」とか「パス」とか小さい音にするわけではなく「パァン」と大きく響く音を「パン」と音を小さくするもので、まったくなくなると言う訳ではない。
 映画ついでに言えば枕越しに撃ったら完全消音されるものもあるが、あれもフィクションだったりする。しかし、それはそれで楽しむと言うのが映画と言う物。目くじら立ててあそこのリアリティがどうとか言うのはナンセンス。
 
「出てくる音を減らす為に、銃弾が通過する間、音を防ぐ壁と言うか仕切りをかまします」
「はーい!」
「基本的には音を反射する為に、凸型の仕切りをこれでもかと詰め、減音していく」
「ほー!」
「ってのがリアルのサプレッサーな訳だけど、このゲームでどこまで再現してるかは分かんないのよね」
「えー!」
「そりゃ作った事ないんだから分かる訳がないんだよなあ」
「おー!」
「……で、何であんたがいるわけよ」
「バトル以外もするんですぅー」

 ぶうぶうと文句を言っているのをため息と共にスルーして鍛冶メニューを開いてどう加工するかを考えるわけだが、そろそろ樹脂製品の開発もしたいな、鉄製品って結局重いって弱点があるし。
 
「って言うかアカメちゃんさぁ、色々手出してるけど、そんなにいる?」
「そりゃあ、勝つためにはこういうのは準備が大事なのよ」
「アカメちゃん、本当は結構雑に戦っても強いでしょ」

 そういわれてぴたっと手を止める。雑にって部分が引っかかるが、まあ大体のゲームは経験でそこそこ動ける自覚ってのはあるが、強いかどうかってのは違う気がする。

「何だ急に」
「んー、勘かなぁ、だってあんだけ不遇とか難易度高いガンナーで立ち回ってるしぃ」
「だからこそ、準備をするのよ、時間をかけてでも足元をしっかりしてからなんでもやりたいのよ」

 またメニュー操作をしてサプレッサーの形を想像したうえで必要になるであろう物を投入して形を作っていく。炉の中ぶち込んで待って取り出すだけなので特に大変な事はないのだが。

「まあ、立ち回りはFPSとかTPSやってたから何となく出来るけど、アイテム周りはゲーム依存だから用意しないといけないのよ、私に敵対した奴等もさっさと報告すりゃ終わりだけど、やっぱり足元固めて確実にヤりたいし」
「アカメちゃんに喧嘩売るって相当だなぁ……どんな奴?」
「有象無象の嫉妬深い野郎共だな、今度のイベントで止め刺す予定」
「じゃー、明日の夜だねぇ」
「そうそう、明日……明日?」
「イベント詳細の正式お知らせが出てたからねぇ、見てないの?」
「んー……見てくるかあ、そろそろいい時間だしログアウトして寝るか」
「はーい、おやすみー」

 何だかんだで時間経ってるし0時前だが、まさか平日にがっつりイベントぶつけてくるとは思ってなかったわ。夜だからセーフ的な事なのか?って言うかもうちょっとイベント曜日考えろよ。
 まあ、サービス開始の初めはお祭り騒ぎみたいなもんだから、それに合わせてなんだろう。 
 
 ちなみにサプレッサーは製造失敗した。

『お疲れさまでした、これよりログアウト処理を開始します』


 視界が暗転してから元に戻ってHMDを外して、いつものワンセット。
 で、早速ベットから降りてPCを立ち上げ公式サイトのお知らせを確認する。タブレットは充電切れだっただけ。



『20XX年X月X日
 サービス開始1週間を記念しての「対人イベント」を開催致します。

 ・対人イベント実施期間及びカテゴリー
 20XX年X月X日水曜日20時~22時 個人戦 特設マップ  
 20XX年X月X日水曜日23時~24時 クラン戦 特設マップ 

 ・対人イベント報酬受け取り
 結果発表後すぐ。

 ・対人イベント参加方法
 1 開始時間前~30分までにメニューからイベントの参加をしてください。
 2 クラン戦の場合も同様に、クランマスターの参戦後に、クラン員の参加有無が表示されます。

 ・対人イベントの遊び方
 特設マップにいる全ての相手プレイヤーもしくはクランを倒すのみ、最後の一人もしくは1クランになった時点で終了。


 ・対人イベントにおける特殊ルール
 1 レベル、ステータスにおける制限
 参加者全員、一時的に基本Lv30 職業Lv30になるようにステータスとスキルを振り直しして頂きます。
 スキルはその時点で取得可能の物から、但し二次職サブ職以降の物が取得不可。
 レベル解放におけるスキルは30までの物は全て解放。
 
 HP100、MP75で固定化、自然回復の速度低下有り(スキルによる増加は可)
 またVIT、INTのステータスにおけるHP、MPの上昇は無し。
  
 (ステータスはキャラ作成時の30P+29P各項目最低1振り 職業Lvは職業Lv外のスキルでもスキルを振った時点で1カウント、30回分のスキル取得とレベルアップが可能)
 (イベント終了後は参加前のステータス、スキルに戻ります)
 

 2 アイテム制限
 2-1消耗品 
 回復アイテムはHP25、HP100回復のポーションがそれぞれ5個と2個 MP30回復のポーションが3個支給されます。(各スタック1枠ずつの制限)
 持ち込みポーションは性能差が発生する為持ち込み不可。
 その他、矢弾に関しては一律50発の支給。
 持ち込みアイテムに関してはインベントリ10枠まで持ち込み可能(従来の99個スタックではなく10個制限、矢弾は枠外、但し51発以降は1枠消費)

 ・備考
 ポーション類はキルした相手から奪取でき、譲渡も可能。
 矢弾も基本ルールはポーションと同じだが、該当武器で倒せた場合1~10発をランダムで取得。
 持ち込み、専用ポーション合わせてインベントリは15枠までになります。

 2-2 装備品
 武器、防具、アクセサリー類含めて10個までの持ち込みが可能。
 特殊効果、強力なステータスの装備品に関しては選択時に注意事項有り(強力になればなるほど占有枠数増加)
 
 


 やべ、見ててめんどくさくなってきた。前に見たときになかったのがアイテム関係の部分くらいか。イベント前に火炎瓶とパイプ爆弾10本ずつ作っておいて、後はだらだら過ごしたら良いって所か。
 ただここまで見ておいて、公平性の部分ではかなり頑張ってると言うか納得できる仕上がりにはなっている。
 まあ、スキルだけ公平性が薄いか?覚えておけば取得できるって言う部分が大きい気がする、といっても職業Lv30での制限を掛けているし、この辺も妥協できる点と言えばそうか。

「持ち込みアイテムが結構キーだなあ、回復と弾は用意してくれるってのは結構温情」

 それでも大体の用意はできているし、後は明日てか今日、のイベント開始時までに必要な持ち込みアイテム入手して用意すればいいだけか。

 火薬、たりっかな。
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