最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

文字の大きさ
199 / 625
6章

186話 地獄の番犬

しおりを挟む
「それにしたってどうやってレベル上げたん」
「マイカと一緒に火山行ってきたんだよ。初めて共闘したけど、どうやってスカウトしたんだ」
「あいつは最初のイベントの時だったかしらねぇ……ほら、あのでかいゾンビ倒す奴」
「あれかあ、クラン参加って思ったけど、全員バラバラだったし、そこまで成績良くなかったわ」
「丁度3人PTだったんだけど、もう1人は対人イベントの時に鍛冶クランと大きくぶつかった所のマスターよ」

 あれから成長したのか、環境が変わったのか分からんが、ちょっと抵抗するようになったんだよな。大分無茶ぶりさせたからしょうがないんだろうけどなあ。

「あの髭親父もあいつの仲介で紹介されたからな、案外大きい人脈もってんのよ、私」
「何をどうやったら……で、此処なのか?」

 Lv30になったトカゲと一緒に地下への階段を降り、鉄扉を叩いていつもの流れで中に入る。勿論だが、私と同じような条件をクリアしているトカゲが中に入れない訳もなく、一緒になって受付に。
 所属するしないってのはトカゲ次第なので、私は私でギルドクエストを何個か受けておく。まあ、所属しないって言う選択肢はないか。
 そんな事を思っていたらそのトカゲが話しかけてくる。

「二次職選ぼうと思うんだが、いいか?」
「で、どんなのあったの」
「キャンセルは出来るから見たらどうだ、俺は銃職人があったからそっち選ぶぞ」
「やっぱ特化するか汎用型かって感じ?」
「見る限りはな、詳細もざっと見れる」
「ちなみにガンスミスってどういう感じなん」
「純戦闘から半戦闘半製造ってとこだな、戦闘力は今のガンナー据え置きっぽいから、装備でカバーするのが銃職人、ガンスミスだな」

 その辺は予想通りだったな。あの手作りガトリングも二次になってから作れば良かったのに……と、思ったけど、ここから開発していってフルオート化になるのかね。そうなるとやっぱり機械工学の製造もあるような気がする。

「ふむー……とりあえず私もそろそろ腹括っていくかなあ」
「特化型、遠距離近距離どっちかの専門は見たけど、俺は俺であまりスキル持ってないからな」
「まあ、取り合えず見てくるわ」

 ざっくりクエストを受けてから受付に行って改めて二次職の転職を進める。

「うーん、迷うな」

 ウィンドウにある二次職の一覧なのだが、結構な数がある。
 各銃器の専門職、トカゲがなったガンスミス、ガンフー、偵察兵、ガンスリンガー……名前だけで全くもって分からないのが数個、アウトロー、ケルベロス、ゴーストってとこだな。

「惹かれるのは分からん3個。転職後の変更は可能だからとりあえず選んでみるか?」

 一発勝負じゃなくて今後のスキル構成と覚えるまでの時間を費やされるかどうかって所なんだよな。ちなみにトカゲの奴は二次職祝いのスキルを見てきゃっきゃと騒いでいる。
 
「早くしてくんない?」
「今考えてるからちょっと待って」

 NPCに急かされるとは……それにしてもどうするよ、下手にこんな所で時間を掛けるのもしょうがないのだが、最初に選んだ二次職のスキルが貰えるってのもでかいんだよな。
 どういう専用スキルを覚えていくのかが不明だし、それを把握するのも全部手探りってのが気がかりなんだよな。

「早く決めたらどうだ」
「速攻でガンスミス選んだあんたに言われたかないわよ」
「二次職からは関連職だったらジョブチェンジ出来るんだし、そこまで悩むか?」
「貰えるスキル変わるんだから悩むに決まってんでしょ……!これ以上の難易度と不遇状態に会いたくないんだわ」
「自宅に数百万使って、ガンナーとして成功してるのにか」
「イベントで銃器の交換が出来なかったら此処まで来れてなかったわよ、ライフル、ショットガン、拳銃の3種類の使い分けが出来るだけで大分救われてた場面は多いし」

 そう言いつつ、唸りながら開きっぱなしのウィンドウをじいっと見つめて頭を抱える。今このままの状況で言えばアウトローを選ぶのが似合い過ぎているのだが、拳銃メインで早撃ち特化になるような気がする。
 
「ねー、トカゲよぉ、大型武器だったり、ギミック満載の装備作れる自信ある?」
「そりゃな、じゃなきゃ手回しガトリングなんて作らん」
「じゃ、ケルベロスにすっかな」
「どういう理由で?」
「それをベースにしたゲームや作品って結構銃器を使うからってのと、私が好きなゲームもそれに倣ってるからよ」

 そういう訳でぽちっとな。

「これで決定で良い?」
「ああ」

 認証されると共に派手に演出が掛かって転職……って訳ではないのだがシステム音声が流れてくると共に、職業の詳細が出てくる。


名称:ケルベロス
特性:特殊武器種『銃』を使用可能。他の武器種使用時に極めて大幅な弱体補正。
  :大型銃器の使用時に+補正、また銃器使用時の動作に+補正。
  :大型、複合銃器の使用に精通している二次職、大型武器と言うだけで浪漫。


「ま、中々良いんじゃない?で、手に入ったスキルってのが」


スキル名:大型銃器 レベル:1
詳細:【パッシブ】
  :一定サイズ以上の大型銃器の使用時に+補正
備考:スキル条件のサイズに銃種は問わない


「まあ浪漫スキル、どのくらい補正掛かるかは分からんけど」
「結局どういうのにしたんだ」
「でかい武器使うと強い職」
「それはまた、浪漫だな」

 大きい武器は心を擽られるからしょうがないね。確かに実用性や強さは大事だけどやっぱりモチベーション的には浪漫が無いとやってられんわ。
 
「あんたが頑張って銃器開発してギミック満載の大型銃器作ってくれりゃ一番いいんだけど、暫くかかりそうね」
「いや、そうでもない。完成品の銃器が買えるから、ばらして流用とかも出来そうだからそこまで難しくないと思う」
「銃器1丁の値段見たら数揃えるの大変だと思うぞ」

 この間試射した、あのマシンガン1つだけでも20万くらいよ。高級品なのはいいんだが、あの精度ではちょっと使いにくすぎるんだよなあ……トカゲの言ってる通りばらしてパーツと機構だけ流用するってのが一番いいんじゃね。
 
「そろそろクランハウスも目処が立ってきたし、またなんか新しいこと探さねえとなあ」

 イベントでもまた開催してくれたらそっちに意識を集中できるから良いんだけど、次有ったとしても三日後以降だな。
 特設マップに飛ばされる物じゃなくて、普通にやってる上でイベント報酬が貰えるような物でもいいんだが、お知らせ更新されないとわからんわ。

「私は戻るけど、あんたどーする?」
「持ってないスキル覚えに行くかな、射撃場も使ってみたい」
「じゃあ、此処で解散だな、どうせ家で会うんだろうけど」

 こっちもこっちでLv2のクエストを受けていたのでそれを消化しつつ、ジャガイモの生育待ちするのがいいかな。地味に此処に来る前にさくっと収穫して売っぱらってるのでやる事はないんだけど。
 何だかんだで貯金額も増えてきたからぼちぼちクランハウスの方の立地も確定させるのもありか。

「後はスカウトしてるのが上手い事銃弾作る所までいってくれりゃ、もうちょっと動けるんだが」
「一大ガンナーギルドにでもするのか?」
「そういうのは興味ないわねぇ……他の誰かがやってくれるんじゃね?」
「抱え込んだうえで銃弾を大量にイベントに持ち込み荒らしまわるもんだと」
「そういうのはやりたい奴がやりゃいいのよ」

 手をぷらぷらと揺らしながら先にガンナーギルドを後にする。
 転職祝いのスキルともう1個面白いもんが貰えたし、クエストついでに確認しに行こうかね。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...