最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

文字の大きさ
237 / 625
8章

220話 有名になったからこそ

しおりを挟む
 クランハウスに射撃場と銃工房を設立したうえで、地下2Fまで掘り起こす。しめて450万Z也。
 それにしても一発で殆ど吹っ飛んでいくとは……ちなみに内訳は300万、25万、50万、75万。
 地下への増設がクランレベル3だったので、そこでさらに60万Z消費した。1レベル上げるごとに10万Zずつ増えていったのだが、いきなり法外的に値段が上がる訳じゃないのは僥倖。

 増設した地下に射撃場、2Fはリビング扱いだったが、銃工房を無理やり入れたので3分の1くらいは鉄臭くなった。ま、しょうがないよね、欲しいって言われてたし。
 勿論射撃場の仕様で専用弾の∞使用が可能だったりする。既にトカゲの奴がガトリングの試射場としてずっと入り浸っている。ああ、1つだけ文句を付けられたのだが、射撃場の近くに銃工房を作れと言っていたな。

 流石に作る場所までは指定されていなかったので、後々文句を言われる筋合いはないだろうよ。流石に腹立ったので「じゃあてめえが金出して作れ」って啖呵を切った。
 なんでもかんでも自分でやらずに人に任せるからこういう事になるんだぞ。

 後はサイオンに任せておいた、猫耳への樽買取を処理、1樽1万計算で20樽分購入、これは地下2Fに全部配置して、サイオン姉妹の1人に管理を任せておくかな。先に髭親父の奴に仕込みをさせてから、姉妹に仕事を覚えさせるって感じになる……と、思う。

 とりあえずクラン周りとマイハウス周りの強化はこんな所。
 銃工房の施設はギルドレベル5くらいの時に解禁だったわ。

「私に取っちゃ500万Zってはした金だよなあ」

 まだ2週間で個人で使った金額だけで言えばかなり使いこんでると思う。
 色々と作りこんだうえでクランハウスの入口、でかでかと掲げたうちのクランネームが入った看板を葉巻を咥えたまま見上げる。

「これだけ見たら金掛かってるってわからんなぁ……そのうち総天然色の図鑑でも出すか」

 建物半分割って透明図解を挟んだ奴ってちょっと面白そうだ。
 まあ製本できるか分からないんだけどさ。

 よくよく思えば此処までかなりの速足で駆け抜けてきたが、やる事が無くなるとレベリングくらいしかないってのが、MMOの問題よな。
 あー、でも、そろそろ銃のアタッチメント開発に本腰入れないといけないな。ついでに、いい加減にウサ銃の劣化を直してやりたいし、何時までも針金撒いたままの銃身って見た目もよろしくないわ。

「あの、すいません」
「何?」
「此処のクランショップに入るんですか?」
「あー、まあ、そうね」
「ここって本物のヴェンガン“ザ”カンパニーじゃないですよ」
「……どういう事?」

 ちょっと思考が停止した。
 どういうことだ、うちがヴェンガン“ズ”カンパニーだぞ?

「実はここって本家を真似した類似クランって話なんですよ……本物の方は東エリアにお店を構えていますので、其方に行ったどうですか?」
「あー、なるほど……そうか、ありがとう」

 内心腸煮えくり返るかと思ったけど、案外冷静だわ、私。
 人口が増えれば増える程、名前、アバター、ビルドの被りってのは出てくるのだが、まさかクラン名すらか。
 いや、まあ、名前が被ってくるのは良いんだけど、自分の方が本物だって言ってくるのは単純に驚いた。
 有名税って事なんだろうけど、それにしてもこっちを偽物と言ってくるとは……。

「一応敵情視察をしておくか……あんまし害があるようならいつもの報告BANコースで運営に連絡するだけだし」

 とは言え、この格好じゃこっちが本物ってばれるから、またゴリマッチョの所で見た目装備を用意するか?いや、こういう時の武具スキンだな。
 とりあえず言われた事は言われたが、このまま真っすぐ自分のクランハウスに入り、サイオンのお出迎え。ショップ内はそこそこまばらに人がいて、商品を見て購入しているのを横目にシオンから20万程クラン金を引き出してすぐさまゴリマッチョの所に。

「サングラスか顔の隠せるアクセ寄越せ」
「この間の眼帯じゃダメなのぉ?」
「赤色の四白眼は目立つからしょうがないじゃない片目しか隠れないし」
「機能は?ステータスありきなら結構高くつくわよ」
「見た目重視だから、そっちは良いわ……とにかく変装出来る様にしてくれれば良し」

 じゃあ、と言ってあっさり持ってきてくれる丸サングラス1つ。モデルと言うか、物的には飛べない豚のが愛用しているサングラスみたいだ。これでもしもグラスの色が黄だとまたそれはそれで違うキャラの奴になるったわ。
 それにしてもどんどんマフィアだなあ、これ。

「目の色見えないでしょ?」
「見えないけど、厳ついわねぇ……もうちょっと可愛いのがいいんじゃないのぉ」
「可愛さってのはいいのよ」

 サングラスを掛けた上で、武具スキンの一覧を開く。買ってて良かったスキンセット。一覧をスクロールしながらどれにするか決めていくのだが、丸サングラスってのがまあ引っかかるよね。
 とりあえずリアルのカジュアルな感じになるのでそれを選択。ダサTシャツにジーパンに丸サングラス。

「アカメちゃんセンスが怪しいわねぇ」
「えー、よくない?この宇宙猫T、可愛いと思うんだけど」
「あたしも、色んな服を着るし好きだから見るけど、初めてねぇ……こんなのは」
「逆にこんなの着てる方が逆に目立って、普段の恰好になったら目立たないと思うだよねぇ」

 サングラス代を渡し、裁縫クランを出て一息。
 こう言った見た目装備って何となく揃えておきたいんだよね。



 さて、やってきたヴェンガン“ザ”カンパニー。
 クランハウス的には2番目のサイズか……何とも中途半端。とりあえず中に入って品揃えを確認しつつ内情調査だが、ガンナー関係の商品が結構並んでいるな。
 流石に爆弾や火薬は並んでいないが、銃弾はあるな。1発3,000Zでガンナーギルドよりもちょっとお高め。ぼったくってんじゃねえか。

「お客さん、何かお探しで?」
「ガンナーはここに来たら装備が揃うって聞いてね」
「どういう武器使ってるんですか」
「あー、えーっと、これ」

 初期装備候補の1つのDボアを引き抜いて見せる。
 此処でうっかりセンターヘッドや鳳仙花出したらヤバかった気がする。あんなの持っているの私くらいだろうし。

「リボルバータイプは改造も出来ないですから大変ですよねー」
「そうねぇ、銃弾もあるみたいだけど、どうしてるのこれ」
「全部うちのクランで作った物ですよ」
「ほー……硝石ブームはまだあるけど、自力で作るんだ」

 なるほど、どうにかこうにか硝石丘でも作れたって所か。

「あ、そうそう、何か偽物があるとか聞いたんだけど、あっちの方が銃弾安く売ってたわよ」
「ああ“ズ”のほうですか……いつからか、うちのクランを真似していたらしいですね、容姿も合わせてうちのクランマスターに似せているとかで、本当に悪質ですよ」
「へえ……その偽物の方は、よっぽど此処の事が好きなんだろうな」
「有名税って奴ですよ、きっと」

 アタッチメントは……ないな、銃もあると言えばあるが、カスタムされたパイプ関係だし、ガンナーギルドまでは探し当てていないって事か?
 それとも身内にだけ教えているパターンなのか、どっちにしろだな。今の所はまだうちのクランに害がそこまで出ていないから良いけど、こいつ等が本気で妨害してきたら目にもの見せてやるからな。

「ちなみにクランマスターの名前って?」
「ああ『アオメ』さんですよ」

 こいつぁー、ギルティ。ゲロ以下の匂いがプンプンするわ。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...