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流行病対策
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彼女の、身体が弱い?
その言葉が、遅れて胸に落ちた。
初耳だった。
だが、驚きより先に浮かんだのは、
「守らなければならない」という、当然の結論だった。
流行病。
……そういえば。
そんな話を、どこかで聞いた覚えがある。
王都か。
魔術師団か。
あるいは、宮廷医の噂話だったか。
思い出せない。
だが、重要なのはそこじゃない。
マリエッタを、不安にさせるわけにはいかない。
彼女は笑っていた。
あんなふうに、無防備に。
それを曇らせる可能性があるものは、
すべて、俺が先に潰す。
徹底的に調べ上げる。
記録を洗い、症例を集め、
原因も経路も、対策も、
一つ残らず掌握する。
彼女の憂いは、
俺が消し去る。
なぜなら――
マリエッタは、言ったのだ。
「ヴィンセントと、
ずっと一緒に生きたい」
……俺と。
この、俺と。
生涯を、共に。
胸の奥が、熱を持つ。
それは喜びで、
同時に、確信だった。
二ヶ月半後。
彼女の全てが、俺のものになる。
婚姻。
名実ともに。
誰の目にも、明確に。
ちらりと見上げてくる、あの瞳。
……可愛い。
可愛過ぎる。
心臓が、強く脈打つ。
だが、まだだ。
理性は、今も必死に仕事をしている。
全力で、歯止めをかけている。
今、手を出せば。
もし、万が一。
彼女の気が変わったら。
その可能性を、
俺は許容できない。
なのに。
……なんて、美味しそうな唇だ。
柔らかそうで、
熱を含んでいて、
触れれば、簡単に――
ぱっと、視線を逸らす。
「……マリエッタ」
どうか。
それ以上、俺を煽らないでくれ。
君は知らないだろう。
俺が、毎夜。
君を想像して。
白濁で、掌を塗り潰し続けていることなど。
知っていたら、
その距離で、
そんなふうに笑えないはずだ。
……今日の想像は。
マリエッタの唇しよう。
「まぁ!
こんなに大きくして!
いけない子ね」
責めるようで、どこか甘い声。
「すまない……
君を見るだけで……」
許しを乞うふりをして、
視線は、ただ彼女だけを追う。
「躾が必要ね?」
その言葉と同時に、
彼女の吐息が、
熱くそそり立つ杭に絡みつく。
柔らかい唇。
ピンク色の舌。
上下に舌が這い回り…俺に絡みつく。
澄んだ声が、くぐもって。
熱が、溢れて。
はーっはーっ
現実の呼吸が、乱れる。
……ダメだ。
俺の息子が、
はっきりと主張してきた。
抑えろ。
そうだ。
違うことを考えろ。
――カスティン王子と並ぶ、マリエッタ。
その光景が浮かんだ瞬間。
熱は、殺意に変わった。
一瞬で。
嘘みたいに、冷えた。
……ああ。
そうか。
俺はもう、
彼女を失う想像に、
耐えられない。
だから、排除する。
可能性ごと。
流行病も。
愚かな王子も。
彼女を脅かす、すべて。
マリエッタは、俺のものだ。
俺が守る。
俺が決める。
俺が、彼女の世界になる。
それが、自然で、正しい。
そう思えた瞬間、
胸の奥が、
ひどく静かになった。
しかし、もう少しマリエッタの唇をみておかねば…
なんて可愛さだ!
耐え続ける俺だった。
その言葉が、遅れて胸に落ちた。
初耳だった。
だが、驚きより先に浮かんだのは、
「守らなければならない」という、当然の結論だった。
流行病。
……そういえば。
そんな話を、どこかで聞いた覚えがある。
王都か。
魔術師団か。
あるいは、宮廷医の噂話だったか。
思い出せない。
だが、重要なのはそこじゃない。
マリエッタを、不安にさせるわけにはいかない。
彼女は笑っていた。
あんなふうに、無防備に。
それを曇らせる可能性があるものは、
すべて、俺が先に潰す。
徹底的に調べ上げる。
記録を洗い、症例を集め、
原因も経路も、対策も、
一つ残らず掌握する。
彼女の憂いは、
俺が消し去る。
なぜなら――
マリエッタは、言ったのだ。
「ヴィンセントと、
ずっと一緒に生きたい」
……俺と。
この、俺と。
生涯を、共に。
胸の奥が、熱を持つ。
それは喜びで、
同時に、確信だった。
二ヶ月半後。
彼女の全てが、俺のものになる。
婚姻。
名実ともに。
誰の目にも、明確に。
ちらりと見上げてくる、あの瞳。
……可愛い。
可愛過ぎる。
心臓が、強く脈打つ。
だが、まだだ。
理性は、今も必死に仕事をしている。
全力で、歯止めをかけている。
今、手を出せば。
もし、万が一。
彼女の気が変わったら。
その可能性を、
俺は許容できない。
なのに。
……なんて、美味しそうな唇だ。
柔らかそうで、
熱を含んでいて、
触れれば、簡単に――
ぱっと、視線を逸らす。
「……マリエッタ」
どうか。
それ以上、俺を煽らないでくれ。
君は知らないだろう。
俺が、毎夜。
君を想像して。
白濁で、掌を塗り潰し続けていることなど。
知っていたら、
その距離で、
そんなふうに笑えないはずだ。
……今日の想像は。
マリエッタの唇しよう。
「まぁ!
こんなに大きくして!
いけない子ね」
責めるようで、どこか甘い声。
「すまない……
君を見るだけで……」
許しを乞うふりをして、
視線は、ただ彼女だけを追う。
「躾が必要ね?」
その言葉と同時に、
彼女の吐息が、
熱くそそり立つ杭に絡みつく。
柔らかい唇。
ピンク色の舌。
上下に舌が這い回り…俺に絡みつく。
澄んだ声が、くぐもって。
熱が、溢れて。
はーっはーっ
現実の呼吸が、乱れる。
……ダメだ。
俺の息子が、
はっきりと主張してきた。
抑えろ。
そうだ。
違うことを考えろ。
――カスティン王子と並ぶ、マリエッタ。
その光景が浮かんだ瞬間。
熱は、殺意に変わった。
一瞬で。
嘘みたいに、冷えた。
……ああ。
そうか。
俺はもう、
彼女を失う想像に、
耐えられない。
だから、排除する。
可能性ごと。
流行病も。
愚かな王子も。
彼女を脅かす、すべて。
マリエッタは、俺のものだ。
俺が守る。
俺が決める。
俺が、彼女の世界になる。
それが、自然で、正しい。
そう思えた瞬間、
胸の奥が、
ひどく静かになった。
しかし、もう少しマリエッタの唇をみておかねば…
なんて可愛さだ!
耐え続ける俺だった。
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