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きゅっと、隠れんぼ。※
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翌日の夕方過ぎ。
彼と逢える、短い時間。
「ねぇ、ヴィン?」
髪に指を絡め、腰を抱いてくるヴィンセント。
「なにかな。愛しいマリエッタ?」
「……クローゼットに、一緒に隠れて欲しいの」
「……ん? もう一度、お願い出来るかな?」
「クローゼットに、私と一緒に、隠れて欲しいの!」
「……それは……どんな遊びだ?」
「いざ! クローゼットへ!!」
立ち上がる。
もう、クローゼットしか思い付かなかった。
戸惑う彼の腕を引き、
衣装室の扉を開ける。
ハンガーを左右に寄せ、
二人分のスペースを作る。
この瞬間のために、
私は下着を着けていない。
信じてるわよ、ヴィンセント。
「では、お先にヴィンから入って」
「……ああ。これは……なにを?」
「身体を楽にして、座ってくださいませ」
「では、わたくしも……」
中へ入り、
扉を閉める。
パタン。
……暗い。
思った以上に、狭い。
布と木の匂い。
空気がこもって、動かない。
呼吸の音が、やけに大きい。
「……暗いですわね」
声が、すぐ近くに返ってくる。
「そう……だろうね?」
低い声。
吐息が、頬に触れた。
近い。
近すぎる。
場所、完全に間違えた。
……でも。
ここまで来たら、
擦れるだけ。
私はそっと腕を伸ばし、
彼の衣服を摘んだ。
「口付けして……くださる?」
喉が鳴る音。
「……あなたの香りが好きで。風に流されないなら、もっと感じられると思って……」
息を飲む気配。
暗闇で、位置を確かめ合う。
香りに顔を埋める。
わざと。
胸の位置に、顔が当たるように。
――擦れた。
ピクッ、と。
弄られてもいないのに。
布越しに、ほんの少し。
吐息が漏れる。
「……君は、何をしているのかな?」
「ヴィンを……感じてた、の」
腕が回り、
離さないように引き寄せられる。
「……これは、君の香りを、俺も取り込みたいからだ。いいね?」
「ぜひ。堪能してくださいませ」
指先が背中をなぞり、
首筋に鼻先が掠める。
「……なんと、甘美な香りだ」
下腹が、きゅっと鳴った。
「触れても……いいかな?」
「もちろんですわ。愛しいヴィン」
軽い口付けが、
逃げ場のない深さに変わる。
吐息と、水音。
私は彼の手を取り、
胸へ誘導した。
ねぇ。
分かるでしょう?
触って欲しいの…
布の上から。
――カリッ。
「…っ」
身体が跳ねる。
すりすりと擦れる布。硬さが主張して、
ピンと立つ淡いピンクの突端。
…伝わる指の熱が…
…刺激が…気持ち、いい……
その瞬間。
ガチャ。
ざわざわ。
「……しっ。マリエッタ、おいで」
低い声。
肩を抱かれ、
胸元を庇うように引き寄せられる。
魔術陣。
足元に、淡く光が走る。
音遮断と、結界。
世界が、切り離された。
衣装を褒める声が飛び交う。
「新しいドレスは、もう少し華やかでも……」
「ええ、あの色がとてもお似合いで」
「肌のお手入れも、今日は念入りにしましょう」
笑い声。
布の擦れる音。
外では、
侍女たちの賑やかな声が行き交っている。
近い。
思った以上に、近い。
暗さに慣れた視界の中で、
彼の輪郭だけが、はっきり分かる。
呼吸。
同じ速さ。
私の背に回された手が、
そっと、力を緩めた。
「……君は」
囁きが、耳元に落ちる。
「本当に、危ない遊びを思いつくね…
隠れんぼ、か…確かに…」
責める声音じゃない。
むしろ、呆れたようで、楽しそうで
胸の奥が、きゅっと鳴った。
「……でも」
一拍。
沈黙。
「これは…反則だ」
名前を呼ばれないのに、呼ばれた気がした。
……くちゅ。
小さな水音。
あ。
私、パンティ、履いてない。
気付いた瞬間。
ヴィンセントの息が、急に荒くなった。
「…君は…うそ…だろう?」
逃げ場を探す前に、
ヴィンセントの指が、スカートの中へ。
くちゅ。
ぬるり。
身体が震える。
「…ぁっ…」
水音が吐息と混ざる。
私の胸で主張している淡い突端を弄り
そして、愛液を絡めた彼の指が秘豆を
――きゅっと。
強い快感が走る。
声にならない音が漏れる。
「…っ」
彼の指に、嬲られてる…
「……はぅ……ん……」
腰が、勝手に跳ねる。
終わらない…
止まらない……
下半身で行き交う、確かな指の温かさ。
奥へ、入っては来ない。
けれど、割れ目をなぞる、その執拗さ。
秘豆に、彼の指先が
――何度も擦れる。
「……ぁ……はぁ……」
声を、必死に押し殺す。
重なる呼吸。執拗に求められている感覚が…
「…あっ…い…」
その瞬間。
ぐっと、押された。
びくっ。
触れられているのは、ほんの一部なのに。
身体の内側が、全部、反応している。
外の声が、遠のく。
――ガチャ。
「……あれ? 開かない……」
ガチャガチャ。
「鍵、かけた覚えないんだけれど……」
一拍。
部屋に馴染みある声が、割って入る。
「みんな。今からちょっと、手伝ってくれない?」
ざわざわ。
足音が、遠ざかっていく。
……コンコン。
「お嬢様。そろそろ、公爵様たちが戻られますよ。
お遊びは――また、次回で」
スタスタと去る気配。
静寂。
キー…
クローゼットの、開く音。
息を整える間もなく、
現実が戻ってくる。
乱れた服のままの、私。
「……鬼に、見付かっていたようだ」
囁き。
「ふふ」
視線を絡め、
ほんの一瞬の、軽い口付け。
それだけで、
全部を知ってしまう。
ヴィンセントが立ち上がり、
差し出された手に、私はそっと指を乗せる。
衣服を整える、優しい手。
丁寧で、
何事もなかったかのようで。
「……とても、よかったです」
本心。
「それは……よかった」
小さく、笑う声。
まるで、夢の中で戯れていたかのような軽さで。
私たちは腕を絡め、衣装部屋
――クローゼットを後にした。
胸の奥には、まだ。
確かに、
摘まれた感覚だけが、残っていた。
彼と逢える、短い時間。
「ねぇ、ヴィン?」
髪に指を絡め、腰を抱いてくるヴィンセント。
「なにかな。愛しいマリエッタ?」
「……クローゼットに、一緒に隠れて欲しいの」
「……ん? もう一度、お願い出来るかな?」
「クローゼットに、私と一緒に、隠れて欲しいの!」
「……それは……どんな遊びだ?」
「いざ! クローゼットへ!!」
立ち上がる。
もう、クローゼットしか思い付かなかった。
戸惑う彼の腕を引き、
衣装室の扉を開ける。
ハンガーを左右に寄せ、
二人分のスペースを作る。
この瞬間のために、
私は下着を着けていない。
信じてるわよ、ヴィンセント。
「では、お先にヴィンから入って」
「……ああ。これは……なにを?」
「身体を楽にして、座ってくださいませ」
「では、わたくしも……」
中へ入り、
扉を閉める。
パタン。
……暗い。
思った以上に、狭い。
布と木の匂い。
空気がこもって、動かない。
呼吸の音が、やけに大きい。
「……暗いですわね」
声が、すぐ近くに返ってくる。
「そう……だろうね?」
低い声。
吐息が、頬に触れた。
近い。
近すぎる。
場所、完全に間違えた。
……でも。
ここまで来たら、
擦れるだけ。
私はそっと腕を伸ばし、
彼の衣服を摘んだ。
「口付けして……くださる?」
喉が鳴る音。
「……あなたの香りが好きで。風に流されないなら、もっと感じられると思って……」
息を飲む気配。
暗闇で、位置を確かめ合う。
香りに顔を埋める。
わざと。
胸の位置に、顔が当たるように。
――擦れた。
ピクッ、と。
弄られてもいないのに。
布越しに、ほんの少し。
吐息が漏れる。
「……君は、何をしているのかな?」
「ヴィンを……感じてた、の」
腕が回り、
離さないように引き寄せられる。
「……これは、君の香りを、俺も取り込みたいからだ。いいね?」
「ぜひ。堪能してくださいませ」
指先が背中をなぞり、
首筋に鼻先が掠める。
「……なんと、甘美な香りだ」
下腹が、きゅっと鳴った。
「触れても……いいかな?」
「もちろんですわ。愛しいヴィン」
軽い口付けが、
逃げ場のない深さに変わる。
吐息と、水音。
私は彼の手を取り、
胸へ誘導した。
ねぇ。
分かるでしょう?
触って欲しいの…
布の上から。
――カリッ。
「…っ」
身体が跳ねる。
すりすりと擦れる布。硬さが主張して、
ピンと立つ淡いピンクの突端。
…伝わる指の熱が…
…刺激が…気持ち、いい……
その瞬間。
ガチャ。
ざわざわ。
「……しっ。マリエッタ、おいで」
低い声。
肩を抱かれ、
胸元を庇うように引き寄せられる。
魔術陣。
足元に、淡く光が走る。
音遮断と、結界。
世界が、切り離された。
衣装を褒める声が飛び交う。
「新しいドレスは、もう少し華やかでも……」
「ええ、あの色がとてもお似合いで」
「肌のお手入れも、今日は念入りにしましょう」
笑い声。
布の擦れる音。
外では、
侍女たちの賑やかな声が行き交っている。
近い。
思った以上に、近い。
暗さに慣れた視界の中で、
彼の輪郭だけが、はっきり分かる。
呼吸。
同じ速さ。
私の背に回された手が、
そっと、力を緩めた。
「……君は」
囁きが、耳元に落ちる。
「本当に、危ない遊びを思いつくね…
隠れんぼ、か…確かに…」
責める声音じゃない。
むしろ、呆れたようで、楽しそうで
胸の奥が、きゅっと鳴った。
「……でも」
一拍。
沈黙。
「これは…反則だ」
名前を呼ばれないのに、呼ばれた気がした。
……くちゅ。
小さな水音。
あ。
私、パンティ、履いてない。
気付いた瞬間。
ヴィンセントの息が、急に荒くなった。
「…君は…うそ…だろう?」
逃げ場を探す前に、
ヴィンセントの指が、スカートの中へ。
くちゅ。
ぬるり。
身体が震える。
「…ぁっ…」
水音が吐息と混ざる。
私の胸で主張している淡い突端を弄り
そして、愛液を絡めた彼の指が秘豆を
――きゅっと。
強い快感が走る。
声にならない音が漏れる。
「…っ」
彼の指に、嬲られてる…
「……はぅ……ん……」
腰が、勝手に跳ねる。
終わらない…
止まらない……
下半身で行き交う、確かな指の温かさ。
奥へ、入っては来ない。
けれど、割れ目をなぞる、その執拗さ。
秘豆に、彼の指先が
――何度も擦れる。
「……ぁ……はぁ……」
声を、必死に押し殺す。
重なる呼吸。執拗に求められている感覚が…
「…あっ…い…」
その瞬間。
ぐっと、押された。
びくっ。
触れられているのは、ほんの一部なのに。
身体の内側が、全部、反応している。
外の声が、遠のく。
――ガチャ。
「……あれ? 開かない……」
ガチャガチャ。
「鍵、かけた覚えないんだけれど……」
一拍。
部屋に馴染みある声が、割って入る。
「みんな。今からちょっと、手伝ってくれない?」
ざわざわ。
足音が、遠ざかっていく。
……コンコン。
「お嬢様。そろそろ、公爵様たちが戻られますよ。
お遊びは――また、次回で」
スタスタと去る気配。
静寂。
キー…
クローゼットの、開く音。
息を整える間もなく、
現実が戻ってくる。
乱れた服のままの、私。
「……鬼に、見付かっていたようだ」
囁き。
「ふふ」
視線を絡め、
ほんの一瞬の、軽い口付け。
それだけで、
全部を知ってしまう。
ヴィンセントが立ち上がり、
差し出された手に、私はそっと指を乗せる。
衣服を整える、優しい手。
丁寧で、
何事もなかったかのようで。
「……とても、よかったです」
本心。
「それは……よかった」
小さく、笑う声。
まるで、夢の中で戯れていたかのような軽さで。
私たちは腕を絡め、衣装部屋
――クローゼットを後にした。
胸の奥には、まだ。
確かに、
摘まれた感覚だけが、残っていた。
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